16歳のとき(1990年)に病気で右足を失い、義足の生活になりました。20年間スポーツとは無縁の生活を送ってきましたが、2010年にたまたま義足が壊れて修理に訪れた義肢装具会社で、アンプティサッカーという競技があることを教えてもらいました。 日本では前年に普及活動が始まったばかりということで体験会に誘ってもらい、以後プレーを続けています。

アンプティサッカーの魅力は、年齢や性別に関係なく、クラッチという医療用の杖を使って誰でも気軽に競技を始められるところ。通常のサッカー同様、フィジカルコンタクトのあるスポーツなので、体やクラッチが激しくぶつかり合うところも面白いです。プレーヤーのレベルは様々ですが、チームスポーツなので、ピッチの上では皆で助け合ってプレーできるのも楽しいですね。

また、試合時には義足なしでプレーしていますが、義足を外すと自由度が増して解放感があるんです。私は義足では走れませんが、クラッチでは思い切り走れるのも楽しいところ。ただ、両手がクラッチでふさがるので、ちょっとした荷物も運べなくなるのが苦労する点です(笑)。

ー 印象に残っている試合

一番印象に残っているのは、日本代表が初めて参加したワールドカップアルゼンチン大会の初戦です。アウェイの雰囲気のなか、私にとって初めての公式戦に臨みました。大会の結果はボロボロでしたが、この大会で経験した5試合は、遠征中の生活を含めとても楽しく貴重な時間でした。

国内大会では、初めて日本選手権で優勝した2013年の第3回大会が印象深いです。それまで2年間決勝で敗戦していたので、優勝できたのは本当に嬉しかったですね。また、2022年3月にバングラデシュで開催されたアンプティサッカーW杯東アジア予選では、選手ではなくテクニカルデリゲーツ(競技運営委員)として参加させてもらいました。初めて訪問した国で大会運営を仕切らなければならず、かなり大変ではありましたが、貴重な経験になりました。

 
 

長く外資系の会社でエンジニアをしており、15年ほど前から医療ITを専門にセールスエンジニアとして様々なビジネスを経験してきました。Salesforceは最初はリクルーターに紹介してもらいました。その際、私がここ数年注力していたHL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)という新しい医療情報交換標準規格にSalesforceもコミットしているというニュースを思い出し、Salesforceの採用サイトを見てみたところ、今のGo To Marketというポジションに興味を持ったので応募しました。

現在は、インダストリーズトランスフォーメーション事業本部(ITX)という部署でヘルスケア(主に病院や自治体)を担当するシニアマネージャーをしています。ヘルスケア分野へのGo To Market戦略を検討し、AE(Account Executive:外勤営業)やSE、マーケティングの方々と相談しながらお客様への提案を推進していくことが主な役割です。Salesforceにとってヘルスケアは新しいビジネス領域となるため大変な部分はありますが、ヘルスケア業界向けの製品であるHealth Cloudを中心に、Salesforceの各製品を医療業界で広く活用していただけるよう日々頑張っています。このほか、ソートリーダーシップを発信するために学会やイベントでの講演なども担当しています。

ー 仕事面でのやりがいや目標

今は、Salesforceの話を聞きたいとおっしゃってくれるヘルスケア業界のお客様との会話を重視しています。Salesforceからは様々なクラウド製品の機能や海外での事例をご紹介したり、お客様からは医療機関の持つ課題などを教えていただいています。

Salesforceは「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである」と考えており、私自身も日本のヘルスケア分野の社会課題解決に貢献することを目標としています。ヘルスケアチーム内で検討した様々な提案が少しずつ医療業界にも受け入れられているので、これから医療業界での成功体験を積み重ねていきたいと思っています。

 
 

ここ数年は選手としての活動を以前よりセーブしています。理由は2つ。1つは選手として長くプレーしたいから。選手を長く続けることがアンプティサッカーに対する恩返しになると考えています。もう1つは、アンプティサッカー協会の普及活動にも関わりたいからです。日本のどこに住んでいても、アンプティサッカーにチャレンジしたい人がプレーできる環境があること、それが私の目標の一つです。その一環として、1-1-1モデルに基づいた就業時間内のボランティア活動として、北陸の大学で開催されたアンプティサッカー体験会とゼミ生のディスカッションに参加させてもらいました。

仕事とアスリート活動を両立するなかで、相乗効果はたくさんあると思います。私自身、スポーツをするようになって生活が豊かになり、アンプティサッカーを通して日本中にたくさんの友人ができました。相手の立場を理解することも仕事につながっていると思いますし、シンプルに体力もつきました(笑)。デュアル・キャリアを実践するにあたっては、仕事と家庭と競技の3つのバランスを大切にしています。

ー デュアル・キャリアを考えている方へのメッセージ
生活の中で複数の「軸」を持つことは、大変な部分もありますが、間違いなく自分の生活を豊かにしてくれると思います。Salesforceにはデュアル・キャリア・アスリートが活躍できる平等な機会や環境が用意されており、仕事も競技もどちらも真剣に取り組んだ日々はその後の人生の支えや自信につながります。ぜひSalesforceでチャレンジしてみてください!
 
 
主な実績
FC九州バイラオール所属選手として
日本アンプティサッカー選手権大会優勝5回、準優勝4回
レオピン杯 Copa Amputee 優勝2回、準優勝1回
競技説明
  • 7人制、25分ハーフ、少年サッカー用ゴールおよびピッチサイズでプレーを行う
  • 下肢障害の選手がフィールドプレーヤーで、クラッチ(杖)を軸足代わりに走る、パス、シュートを行う。上肢障害の選手がゴールキーパーを務める。
  • クラッチで故意にボールに触れるとハンド、スローインではなくキックイン、オフサイドなしなど特別なルールがある。