セールスフォース・ドットコムでは創業当時より、「1-1-1モデル」と呼ぶビジネスと統合した社会貢献を行なっています。年次イベント「Salesforce World Tour Tokyo 2015」でも社会貢献関連ブースなどで新しい取り組みをご紹介しました。 セールスフォース・ドットコムが実施する社会貢献の価値と、社会貢献がもたらすマーケティング効果についてご紹介します。
社会貢献モデル「1-1-1」とは?
「1-1-1モデル」とは、製品の1%、株式の1%、就業時間の1%を活用してコミュニティに貢献するというシンプルな社会貢献モデルです。 1999年の創業以来、セールスフォース・ドットコムが製品提供を通じて支援してきた、非営利団体の数は世界で27,000団体以上、助成金は1億ドル以 上、社員がボランティア活動に費やしてきた時間は110万時間以上にのぼります。
今回のイベントで行われた、子ども向けのプログラミング教育体験「Kids Coding」は、セールスフォース・ドットコムがグローバルに展開する社会貢献活動の1つである「STEM教育※」プログラムのひとつです。
イベント会場で開催された「Kids Coding」では子どもはもちろんのこと、 多くの大人の方にもご参加いただきました。加えて、このプログラムは会場でのブース設置のみならず、セールスフォース・ドットコムの社員がボランティアとして講師役も務めました。
※「STEM教育」は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学) 、Mathematics(数学)の4分野を統合した理数系教育のこと。
どのような社会貢献活動を行っているのか?
子どもたちに楽しくプログラミングを学んでもらう「Kids Coding」プログラムは、子どもに創造的な学びの場を提供するNPO法人CANVAS(http://canvas.ws/)がプログラムパートナー となって実施されました。講師の土橋遊さんは「今回のプログラム参加者の多くはイベント参加者の大人がメインですが、予想以上に反応がよく驚いています。 継続的なプログラミング学習の場を増やすためには、こどもたちを支える指導者自体が増えることや、保護者の理解が進むことが必要です。今回ブースを出させ てもらい、大人にもプログラミングを楽しんでいただけたということはそんな課題解決の第一歩にもなるのではないかと思います。」とコメントをしています。
他にも、別会場で行なわれた日本の食問題解決アクションプログラムでは、日本初のフードバンクであるNPO法人セカンドハーベスト・ジャパン (http://2hj.org/)をプログラムパートナーとして実施しており、スタッフの高原恵さんは、「イベント会場ではお米の小分けのボランティア 活動と、フードドライブ(食品の寄付を集め、団体へ送る活動)を実施していただきました。小分けされたお米と、フードドライブで集められた食品は、経済的 な理由で十分に食べることが出来ないご家庭へと届けられます。セールスフォース・ドットコムのみなさまには、毎週の様に当団体のボランティア活動に参加し ていただいております。今回、その熱心な取り組みを知っていただける良い機会となり、当団体としても嬉しく思います。1-1-1モデルが、他の企業さまに も広がっていくことを願っています。」とコメントをしています。
セールスフォース・ドットコムの社会貢献部門Salesforce.orgのシニアマネージャーの遠藤理恵は、「1-1-1モデル」について次のように語っています。 「私たちの社会貢献モデルは自社で実践することはもちろん、多くの企業にも広げていくための普及啓発活動も行なっています。企業の社会貢献活動が企業価値 向上につながるという統計調査も昨今では見られるようになってきたので、このようなイベントの場で、様々な企業に1-1-1モデルを知って導入していただ き 、もっと社会的インパクトを生み出していきたいと思っております。」
このように、セールスフォース・ドットコムではビジネスとともに、社会貢献活動を常に行っていますが、一般的にビジネスと社会貢献活動をあわせて行 う形は敷居が高く、難しいものと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。企業がこのような活動を行うメリットはどこにあるのでしょうか。そのひとつの 答えとして、マーケティング効果というものが近年では謳われています。
社会貢献がマーケティングにつながるワケ
社会貢献の新しい形である「1-1-1モデル」は、社会的インパクトはもちろんのこと、企業にもたらされるポジティブ・インパクトもあります。その効果の一端として、日本における消費者の意識調査・レポートをいくつかご紹介します。
『企業イメージ構築に役立つリサーチ』(日本リサーチセンター、2014)によれば、企業のブランド価値について「社会貢献を知れば企業イメージが向上する」(74%)、「社会貢献活動を行っている企業の商品・ サービスを選ぶ」(37%)という結果となっています。
また『消費者意識基本調査』(消費者庁、2015)によれば、「商品・サービスを選ぶ時に、経営方針や理念、社会貢献活動を意識する」という項目で 「常に意識する」(4%)、「よく意識する」(15%)となっており、「消費者として心掛けている行動」という項目では「環境に配慮した商品やサービスを 選択する」(54%)との結果に。商品・サービスだけではなく、社会貢献を含む企業の経営姿勢が消費者に見られており、企業イメージが購買に大きく影響し ていると言えます。
『日本人の国民性調査』(統計数理研究所、2014)によれば、「たいていの人は”他人の役に立とうとしているか”あるいは”自分のことだけに気を くばっているか”」という項目で、「他人の役に立とうとしている」(45%)となっており、1978年以降に右肩上がりで伸び、日本人の利己性より利他性 が初めて上回ったとのこと。欧米に負けず、日本でも社会貢献意識が成熟してきているようです。同様の調査としては、『社会意識に関する世論調査』(内閣 府、2015)によれば、「社会の一員として社会のために役立ちたいと思っているか」との項目に、「思っている」と答えた割合は66%います。
これらの調査データからわかることは「日本社会の一定数は利他性を重んじ、企業の社会貢献全般にポジティブな印象をもち、その企業イメージから購買の意思決定をしている」という点です。
「1-1-1モデル」などの社会貢献活動は社会的インパクトに加えて、企業のマーケティングやブランディングにもポジティブなインパクトを与えます。
ポジティブ・インパクトの連鎖
企業の社会貢献活動は、社会にポジティブ・インパクトをおよぼすのはもちろんのこと、ステークホルダー(利害関係者)として顧客とのつながりを創る、マーケティングやブランディングの施策そのものであると言えるのかもしれません。
もちろん、商品・サービスの品質や価格が購買に大きな影響を与えますが、少なからず企業の社会貢献活動は、消費者の購入ファクターの1つであると言えるでしょう。
また「1-1-1」モデルは、社外のみならず、社内ステークホルダー(社員)にも当てはまります。 今回のイベント会場における社会貢献系ブースには、ご来場いただいたお客様やパートナー企業だけでなく、社員も立ち寄ります。そして、ブースの講師担当も 一部は弊社社員でした。このような活動を通じて、自社への誇りを高め、優秀な人材を雇用・維持していくための、インターナルマーケティングの役割も果たし ています。
社内外の様々な人たちを巻き込み、ビジネスでも社会貢献活動でも価値を還元していく。ビジネスと社会貢献を統合した「1-1-1モデル」を通じて、世界中にさらなるポジティブ・インパクトを生み出す。
セールスフォース・ドットコムは「1-1-1モデル」の実施と普及啓発活動を、今後も様々なカタチで行なっていきます。
参考文献:
企業イメージ構築に役立つリサーチ(日本リサーチセンター、2014年6月発表)
平成26年 消費者意識基本調査』(消費者庁、2014年調査)
第13次 日本人の国民性調査(統計数理研究所、2013年調査)
社会意識に関する世論調査(内閣府、2015年1月調査)