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シリーズ営業改革 Vol.1 筋肉質な営業組織を作る「営業人材開発のアプローチ」

シリーズ営業改革 Vol.1 筋肉質な営業組織を作る「営業人材開発のアプローチ」

2018年4月25日に開催された東洋経済主催のセミナー。ここでは営業改革をテーマに、さまざまな角度から講演が行われました。このセミナーの内容を4回連載のダイジェストで紹介していきます。1回目である今回は「営業人材開発のアプローチ」である Sales Enablementについて解説いたします。

2018年4月25日に開催された東洋経済主催のセミナー。ここでは営業改革をテーマに、さまざまな角度から講演が行われました。このセミナーの内容を4回連載のダイジェストで紹介していきます。1回目である今回は「営業人材開発のアプローチ」である Sales Enablementについて解説いたします。

海外では一般的になりつつある「Sales Enablement」という組織

時代の変化に追随しながらさらなる効果をあげていくため、筋肉質な営業組織を作りたい。このように考えている経営者や営業マネージャーは少なくないはずです。そのための重要なアプローチとなるのが「ITを活用した営業活動の仕組み化」ですが、もう1つ忘れてはならないことがあります。それは「人材育成の強化」です。

しかし「日本企業における営業人材への教育投資は、決して十分ではありません」と指摘するのは、セールスフォース・ドットコムでSales Enablement(営業人材開発部) 部長を務める山下 貴宏です。「株式会社アイ・キューの『日本の人事部 人事白書2017』によれば、OJTを実施している企業は90%に上り、講師による研修を行っている企業も82.7%となっていますが、その中で営業・販売研修への注力度合いはわずか6.9%、従業員1人あたりの教育研修費用も46,764円に過ぎません。これに対して米国では、営業1人あたりの教育研修費用が1,459ドル(1ドル112円換算で163,408円)となっており、大きな差が生じています」。

また投資額だけではなく、教育研修の進め方にも問題があると指摘。従来型の固定的な人材開発ではなく、変化の激しい時代に対応した柔軟かつスピーディな人材開発が欠かせないと語ります。

「そのために重要な役割を果たすのが『Sales Enablement』という組織です。海外ではSales Enablementをもつ企業が急速に増えており、営業人材の育成における中核的な存在になっているのです」。

基礎から実践までカバーするSales Enablementの人材育成

それでは「Sales Enablement」とは、どのような機能を果たす組織なのでしょうか。シンプルにいうと、営業の①「入社後の早期立ち上げ」と、②「営業達成率の向上」を主目的に、営業の「スキル/ナレッジの実践レベル向上」を支援することだと、山下は説明します。対象となるのは営業系の組織全体であり、新卒への支援、インサイドセールスへの支援、直販営業への支援、さらに主要パートナー営業へのコンテンツ提供までカバーしているといいます。また人事部が提供するトレーニングが「全社員を対象にした基礎トレーニング」だとすれば、Sales Enablementが提供するのは「営業活動に必要な基礎から実践に至るまでの幅広い内容」だとも指摘します。

このようなトレーニングを実現するには、メンバー構成も重要になります。人材開発や人事コンサルティング、エグゼクティブコーチングの経験者に加え、社内営業やIT開発経験者も参加し、「人材開発経験者✕社内営業経験者✕IT」の専門性を融合する必要があるのです。

トレーニング施策立案の土台となるのは、SFA/CRMを通じて得られた営業活動データです。これによって営業人材育成の成果指標(KPI)を見出すと共に、ノウハウやベストプラクティスを抽出し、それらを体系化、コンテンツ化、ツール化、データ化して、営業組織へと提供することになります。

ここで重要になるのがKPIの評価です。ビジネス成果に連動するKPIを設定した上で、全体的な評価では統計的に意味のある数値を使わなければなりません。「ここでやってしまいがちなのが『平均値』で全体の達成率を測ってしまうことですが、平均値では一部のハイパフォーマーによるバイアスがかかりやすく、実態を見誤る可能性があります。そこでおすすめしたいのが『中央値』の採用です。中央値とは母集団における真ん中の人の値であり、ハイパフォーマーのバイアスを受けにくく、営業組織が底上げされているか否かを適切に評価しやすくなります」。

そして個々の営業担当者の「営業達成率」と「Enablementプログラムの活用度」の関係をマッピングし、両者の相関関係が高くなるように、施策を立案・調整していくのだと説明します。

Enablementプログラムの実施は3つのステップで推進

Enablementプログラムの実施は、大きく3つのステップで進められます。「Learn(知る)」、「Apply(学んだ知識を現場で適用する)」、「Leverage(効率的に動く)」です。ここから山下は、セールスフォース・ドットコムにおけるそれぞれの取組内容について紹介します。

まず「Learn」では、「Learning Journey」によって「学ぶ道筋」を明確化し、これと紐付けた形で内製したコンテンツを提供しています。トレーニング回数は年間約100回となっており、これによって営業に必要な内容をひと通りカバーしています。トレーニング履歴は、受講修了・テスト合格者に与えられる「バッジ」の形で可視化しており、トレーニング全体の履歴もダッシュボードで確認できるようにしています。

次に「Apply」では、「学習」→「実践できる」を管理するアプリケーションによって立ち上がりに必要な行動項目を体系化した上で、営業マネージャーによるコーチングを行っています。このコーチングは、対象者の立ち上がり支援だけではなく、マネージャーのコーチング力アップも目的としています。さらに立ち上がりの進捗を一目瞭然で可視化できる仕組みも用意しています。

そして「Leverage」では、複数ツールを組み合わせた情報流通を行うと共に、ナレッジマネジメント専任を設置し、情報流通を部門横断で加速しています。情報流通の方法には、Chatterによる会話、ナレッジポータル、Pardotなどのマーケティングオートメーションツールを使ったコンテンツ配信、対面で情報を共有する「Sharing Success」が含まれます。さらにこれらのナレッジがどのように参照・活用されているのかを分析し、次にどのような情報を流通させるべきかの判断も行われています。

このように、Sales Enablementが行う人材育成の取り組みは、これまで人事部門が中心になって行ってきた従来型の研修とは、大きく異なっています。このような取り組みを積極的に推進することで、営業担当者の短期立ち上がりと継続的なスキルアップが可能になり、筋肉質な営業組織も作りやすくなるはずです。

今回紹介したSales Enablementの取り組みに加えて、注目度の高いインサイドセールス組織の立ち上げ方について、ハイブリットで解説するセミナーを6/27(水)に開催致します。以下よりお申し込みいただけます。

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