社内の人材育成、どの様に進めていますか?
「社内の人材育成に本腰を入れて取り組みたい」「次期リーダーを今のうちから育てておきたい」「中途入社の社員が増えてきている」「春になったら新卒が入社する」・・・
働き方改革や人手不足が叫ばれる今、人材育成に関する悩みは尽きることがありません。
一般的に、「人材育成=研修」と発想が転換しやすいので、育成テーマを見つけてはそれについての研修を実施する、といった取り組みをなさってきた企業様も多くいらっしゃることと思います。一方で「働き方改革」「テレワーク」といった時代の流れを考えると、社員を同じ場所に長時間拘束する必要があり、かつコストも高い「研修」のみで人材育成を行うのは得策ではありません。
今回は、研修をあくまで手段の1つとして捉えた上で、様々なチャネルを組み合わせて人材育成プログラムを提供する際の考え方をご説明いたします。
人材育成をインプット型とアウトプット型のコンテンツに分けてみる
では実際の施策を考える際、何から考えれば良いのでしょうか?組織内人材育成の取り組み手法という観点からは大きく2つに分けることが出来ます。いわゆる「OJT」と「Off-JT」というものです。略語の通りですが、「仕事上で教育を行う(OJT)」か「仕事外の時間で教育を行う(Off-JT)」かの違いということになります。
OJTに関して言えば、適切な指導者を付けながら「意図的かつ計画的に」仕事上の経験を通して成長に繋げる育成手段となります。ここで重要なのは、とりあえず現場に出す、あるいは単に仕事を丸投げすることが OJT では決してないということです。しっかりと育成側の意図(何を得てほしいのか)や計画(学びのスケジュール)があることが重要です。 育成担当の方は、この点を現場マネージャ等としっかり握っておく必要があります。
一方、Off-JTに関してはいかがでしょうか。ここではまず、実施する各育成プログラムがインプット型かアウトプット型か、という視点で分けてみましょう。
◆インプット
- 自社の事業内容/製品/サービスについての理解
- ビジネスマナーの理解
- 業務プロセスの理解
- 技術の習得
◆アウトプット
- 自社紹介の実践・認定
- 電話対応のロープレ
- 実際の事例を元にしたケーススタディ/グループワーク
上記はあくまで一例ですが、特定のスキルや知識を身につけるためには必ずインプットとアウトプットを繰り返して学習することはご理解いただけるかと思います。
実施している育成プログラムの分類が終わりましたら、続いて考えていただきたいのは、それらのコンテンツを届ける方法です。一般的にアウトプット型の学習機会は、研修やグループワークなど、オフラインでの実施がより効果的と言われています。一方インプット型は時間や場所の制約が無いオンラインで実施するのが良いでしょう。
「研修実施が忙しすぎるあまり、コンテンツ自体の改善を行う時間が無い」というのは育成担当者共通の悩みですが、インプット型の研修をオンラインに移行し、浮いた時間を育成コンテンツの改善等に当てていくことで、本来の目的である「育成」に焦点を当ててより良いプログラムにしていくことが可能となります。
弊社内でも、育成プログラムを実施していますが、知識のインプットはオンラインに移行しています。アウトプット型のコンテンツは集合研修で実施し、知識・スキルが身についたかどうかは各種社内認定の仕組みを通して測っています。 この割合が、7 (オンライン) : 2 (集合研修) : 1 (認定) となるように全社的にデザインされています。
組織内人材育成の手法としてのオンライン学習
オンライン学習については、個人の能力開発手段としてはかなり普及していますが、組織としての人材育成手段としては、経営層と育成対象者のテクノロジーに対する捉え方のギャップが起因となって取り組みが遅れているのが実情です。 経営層やマネージャー陣は先輩方の背中を見て学んできた世代かもしれません。一方育成対象者となる若い世代は、彼らは単純な知識のインプットのために研修に長時間出席したり、業務に繋がるか分からない一般的な内容を学ばせられることに抵抗を覚える傾向があります。
そんな環境下で、組織は「学習環境の整備」と「コンテンツの充実化」という2つの観点で育成環境を整備することが必要になります。 前者は、育成対象者が学習したいと思った時、タイミングや場所を選ばずすぐに学習コンテンツにアクセスできる環境、後者は、極力育成対象者の業務に活かせるようなコンテンツを提供するという点が、非常に重要です。
特に後者の「自社にあった人材育成コンテンツの提供」に関しては、提供する側の手間がかかることを回避して、丸ごと外部に委託してしまうケースも少なくないように思います。それ自体が悪いことでは有りませんが、結果として、「育成内容が一般的過ぎて仕事に生かせない」という声もよく伺います。 どのようにすれば、自社にあった育成コンテンツを整備していくことができるのでしょうか?
育成コンテンツはどのように作れば良いの?
育成コンテンツを作るとなると大変な労力がかかるイメージがあると思います。
「そもそも何を作れば良いのか?」
「どんな手順で?」
「文献や資料を引っ張ってこないといけないのか?」
・・・等々
実はゼロベースでコンテンツを考えて生み出す前に、できることが沢山あります。まずは下記の3つのステップを試みて、これらをやり尽くした上で、ゼロベースでコンテンツ開発をすることとしてみましょう。
まず大前提として、「社内にある情報やお客様事例等を整理して展開してあげるだけでも価値がある」ということが挙げられます。部門責任者や人事部門の方であれば、少なくとも現場前線のメンバーよりも横断的に組織の情報が入ってくることと思いますが、その中には意外と現場メンバーが把握していない、かつ役に立つ情報が眠っていることがあります。それを体系的に整理し、育成コンテンツという形にするだけでも価値があります。当たり前の情報だと思うものも改めて、受け手側の認識で考えてみることが重要です。
Step1:今ある育成コンテンツを整理する
まずは、今ある社内の研修コンテンツやマニュアルを体系的に並べて整理しましょう。その上で、Off-JTのうちオフラインで提供すべきものはなにか、オンラインを駆使して提供すべきものはなにか、これらを精査することから始めてみてください。実はこの作業だけでも、育成コンテンツは結構な量になります。 当社でも、既存のマニュアルや現場でマネージャが実施していた対面研修の一部コンテンツを切り出して、オンラインへの移行に取り組んでいるところです。
Step2:外部ソースを活用する
今ある育成コンテンツを整理するだけでは、ソースが足りないことがあります。そこで、外部のリンクや動画等、社内のソースを補完する形で一時的に活用することで、既存のコンテンツだけでは拾えない育成テーマにもリーチすることができます。 この間並行して、社内で自社業務に沿ったコンテンツを整備していく必要はありますが、取り組みの最初のハードルを下げる意味でも、外部ソースを活用することをためらう必要はありません。
Step3:事例を情報収集してまとめる
Step1でお伝えした「今ある情報」「今ある育成コンテンツ」というのは、社内に資料化されたものばかりではありません。例えば現場のハイパフォーマーが日々作り出している成功事例は、その都度発生している「今ある育成コンテンツ」ですが、これらをヒアリングした上で 資料化/研修化することで、一過性の成功事例ではなく貴重な育成コンテンツとしてすくい上げることが可能になります。 Step1・2と比較して、より実践的な知識を得ることができるので、現場で戦うための武器を渡すという意味で非常に有効な取り組みです。このようなナレッジの展開も、オンライン/オフラインを使い分けることにより実現していくことができます。 以上の3ステップが、自社コンテンツを整備していく上での最初の一歩となります。 自社内での人材育成を考える上で、1つの考え方として参考にしていただければ幸いです。
myTrailhead紹介:
セールスフォース・ドットコムでは、社内の育成コンテンツを集約する学習プラットフォームとして “myTrailhead” を2019年3月にリリースいたしました。
上記のようにして集約した社内の育成コンテンツやナレッジを、社員の方に楽しく学習していただけるプラットフォームとなっています。また、Salesforce プラットフォームの強みを生かして、営業データなど日々の業務データと掛け合わせて相関を分析していく、といった多面的な分析を行うことができるようになっています。
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