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中小企業・ スタートアップ経営変革Days (Day1) 開催レポート

中小企業・ スタートアップ経営変革Days (Day2) 開催レポート

2022年9月7日と8日に開催した「中小企業・ スタートアップ経営変革Daysでは、中小企業やスタートアップを対象とした営業や経営、組織改革、DXなどに関するさまざまなセッションを展開しました。本記事ではDay1から3つの注目セッションを紹介します。

2022年9月7日と8日に開催した「中小企業・ スタートアップ経営変革Days 先人の“失敗”から「人材育成」「売上拡大」を学ぶ2日間」では、中小企業やスタートアップを対象とした営業や経営、組織改革、DXなどに関するさまざまなセッションを展開。青山学院大学 原監督のセッションは朝8時開始にも関わらず、1000名以上の視聴者様にお集まりいただき盛況となりました!

本記事ではDay1から3つの注目セッションを紹介します。
(Day2のレポートはこちら

営業1万人の調査結果から考察する、最強の「営業組織育成」論

基調講演「営業1万人調査から見えた 売上拡大と人材育成を実現する最強の組織づくり」では、事業起ち上げと営業組織作りの専門家であるTORiX株式会社 代表取締役 高橋 浩一氏をモデレーターに、強いチームづくりの実績を持つ青山学院大学 地球社会共生学部 教授 陸上競技部長距離ブロック 監督の原 晋氏と、セールスフォース・ジャパン 常務執行役員で、営業人材開発部門責任者を歴任し、現在は中小企業・スタートアップ企業を対象とした営業部門の統括本部長を務める安田 大佑が登壇。中小企業の営業チームが直面している現状や、売上拡大と人材育成において経営者が取るべきアクションについて議論しました。

セッションは、TORiXが営業担当者1万人に実施した調査結果からわかった、成果を上げられる組織とそうでない組織の特徴をもとに意見を公開する形式で行われました。高橋氏は冒頭、組織の命運を分ける4つのポイント「共通言語」「活動の実態」「人が育つ仕組み」「コミュニケーションのバランス」を、オセロゲームの4角になぞらえ、それぞれ話題を展開しました。

最初の話題は「成果を上げるための共通言語の有無」です。調査結果によると、目標を達成できないチームでは、「勝ちパターンと言えるものは特にない」と答えた割合が達成できるチームの4倍以上と、大きな差がつきました。

TORiX株式会社 代表取締役 高橋 浩一氏

箱根駅伝に挑むチームのスローガンを「わくわく大作戦」や「ハッピー大作戦」など、わかりやすい言葉で伝えてきた原氏は、この結果から「仕事は、1人でやらないことが大前提」だといいます。1人の優秀な社員に依存している状態では、その人が会社を去ってしまうとまた別の人を育成しなければなりません。原氏は「共通する理念のもと、共通するメソッドを作れば、1人に頼らなくてもよくなり、組織で勝負できます。そのためには、まずは共通言語を作らなきゃいけない、あるいは体系化させなければいけないのです」と説明しました。

営業のノウハウを優秀な人の頭の中だけに留めず、明文化することで、組織の共通言語が生まれます。それを生み出すためには、経営者が理念を掲げ、それをもとにした行動指針を作ることです。やがて一人ひとりが理解し、強い組織になっていきます。原氏がわかりやすいスローガンを掲げるのは、「人の心をつかむため」だといいます。日本中の注目を集める箱根駅伝は新聞でも報道されますので、原氏のわかりやすいコメントは注目を集め、記事化されて多くの人の心に響いていきます。

青山学院大学 地球社会共生学部 教授 陸上競技部長距離ブロック 監督の原 晋氏

原氏は、「理念は、社員の心に響くようなテーマをもって伝えましょう。そうすれば社員は『この社長についていこう』と思います。ですから入り口では、平易でわかりやすい、興味をそそるような言葉を投げかけることが必要です」とコメントしました。

さらに原氏は、共通の目標は大切だが、それが誇大妄想だけでは成果につながらないと指摘し、壮大な目標に加え、実現可能な「半歩先の目標」をクリアする成功体験を作ることで、社員一人ひとりの自信が生まれると説明しました。

原氏のコメントに加え、安田は、人の心に信頼を作るのは継続であると述べ、言葉が組織の共通言語と認識されるためには、毎日地道に伝えていくことが大切であり、それがリーダーシップであると話しました。さらに、自分たちのルールブックを作る際も、「自分の母親がわかる、誰もが理解できる内容に」といいます。繰り返し、わかりやすい言葉で伝え、浸透させていくのです。

セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 コマーシャル営業統括本部 統括本部長 安田 大佑

オンデマンド配信中!

組織成長の命運を分ける4つのポイント「共通言語」に続いて、話題は「活動の実態」「人が育つ仕組み」「コミュニケーションのバランス」へと移ります。続きはオンデマンド配信でご覧ください!

急成長スタートアップ3社、苦難と成長のリアルストーリー

デジタル活用に伴うSaaSの普及により、ITスタートアップの成長は目覚ましいものがあります。Day1注目セッション「急成長スタートアップの光と影 – どのように苦難を乗り越えたか -」では、成長して拡大フェーズにある3社からゲストを迎え、苦難と成長のリアルなストーリーがシェアされました。

セッションに先立ち、モデレーターであるセールスフォース・ジャパン の執行役員 佐野 匠は、成長企業が失敗や苦しんだ経験、それを乗り越えた実体験を学ぶ機会の必要性から、本セッションを企画したと告げ、「基幹事業の収益化」「資金調達」「組織・カルチャー」「採用・人材配置」「社内インフラ整備」の5つのトピックを掲げました。

セールスフォース・ジャパン エンタープライズ首都圏 第二営業本部
執行役員 第二営業本部長 佐野 匠

最初のトピックは「基幹事業の収益化」。弁護士ドットコム株式会社 代表取締役社長 元榮 太一郎氏によれば、その昔、弁護士への相談は今ほど気軽ではなく、誰かの紹介がないと依頼を受け付けない世界であったといいます。元榮氏は、それではいけないと、社会をより良く前に進めるためにオンラインで弁護士と依頼者がつながる場として弁護士ドットコムを2005年に創業します。

元榮氏は、最初にぶつかった壁として「弁護士法72条という法律がありまして、報酬を目的とする弁護士の紹介を禁止している法律がありました。罰則付きの厳しいその法律によって、マッチングサイトが手数料をいただくというモデルが取れなかったのです。ですから、弁護士ドットコムは、収益化するまで8年、黒字化するまで8年かかりました」と語りました。

当時は現在のようにベンチャーキャピタルから資金を得るのも困難だったため、元榮氏は自身の設立したAuthense法律事務所で弁護士として得た報酬から、弁護士ドットコムの運営資金を捻出し、法律事務所のメンバーにサイト運用を依頼して運営を続けました。

2007年、弁護士会は広告料の支払いであれば法律違反にならないことを明示します。しかし弁護士サイトが社会にすぐに浸透できたわけではありません。元榮氏は、圧倒的なシェアを獲得するまでは慎重に進めようと、2013年まで完全無料でサイト運営を続けました。収益がなくても、メンバーには不安を抱かせないよう、ビジョンを磨いていきました。

弁護士ドットコム株式会社 代表取締役社長 元榮 太一郎氏

弁護士ドットコムには、ユーザーさんから、たくさんの感謝のメッセージが届きます。問題を解決するのは担当する弁護士ですが、サイトにまで感謝が届くのはビジョンとビジネスモデルが高い価値を提供している証拠です。元榮氏は、メッセージの一つひとつをメンバーとシェアし、事業の意義を伝えていきました。

人事労務管理SaaSを展開する株式会社SmartHRの代表取締役 芹澤 雅人氏は、黒字化にあたって社会保険労務士との関わりに苦労したといいます。「士業の方から見ると、一部の仕事が奪われる印象を受けます。そうではなく、私達は、一緒にやっていきましょうというスタンスですと伝えていたのですが、その認知を作るのがたいへんでした」(芹澤氏)

株式会社SmartHR 代表取締役 芹澤 雅人氏

会計から始まり、現在は人事労務や創業支援など、スモールビジネス向けにさまざまなSaaSを展開するfreee株式会社の執行役員 CIO 土佐 鉄平氏も、当初は税理士や会計士の仕事を奪うという印象を持たれたと語ります。土佐氏は、「税理士さんのお仕事の中で、記帳代行みたいな業務があります。顧問先から送られてきた領収書とか通帳を記帳する業務なのですが、こうした業務は省力化してより付加価値の高い業務をやっていきましょうとメッセージを出しています。業務を変えていこうという認知を広げています」と語りました。

freee株式会社 執行役員 CIO 土佐 鉄平氏

ITスタートアップの実体験から学ぶ5つのトピック「基幹事業の収益化」に続いて、「資金調達」「組織・カルチャー」「採用・人材配置」「社内インフラ整備」とSalesforce活用のメリットもお話しいただきました!

こちらも続きは本編オンデマンド配信でご覧ください!

リモートワークは仕組みづくりと適切なツール、そして思いやり

Day1のクロージングセッションは「中小企業のホンネ討論 ぶっちゃけ!リモート時代への対応どこまで?」と題し、セールスフォース・ジャパン 執行役員 コマーシャル営業 第五営業本部 本部長 大平 宏美をホストに、ドローンやロボットほか、デジタルデバイス向けの業務アプリケーションを提供する株式会社センシンロボティクス 代表取締役社長 CEO 北村 卓也氏と、富士ゼロックスからセールスフォース・ジャパンに転職し コマーシャル営業 第三営業本部 本部長を務める吉川 徳彦をスピーカーに迎え、中小企業におけるさまざまな働き方を議論しました。

セッションの冒頭で大平は、東京23区、全国、地方圏のテレワーク実施率を示し、東京23区が50%を超えているのに対して全国は3割、地方は2割程度と大きな違いがあることを示しました(出典:第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(内閣府))。リアルタイムでイベント視聴者に行ったアンケートでは、現在基本的に出社する人が31%、基本的にリモートワークが27%、また「どのくらいリモートワークで働くのが良いですか?」という質問に対しては、週1〜2回リモートワーク/週3~4回出社希望と答えた方が最も多く37%という結果でした。

セッション中にリアルタイムに視聴者アンケートを実施
セールスフォース・ジャパン 執行役員 コマーシャル営業 第五営業本部 本部長 大平 宏美

北村氏は、パフォーマンスが出せるならどこで勤務してもよいという、外資系IT企業の環境でキャリアを重ねてきました。センシンロボティクスでは、こうした北村氏の経験に加え、コロナ禍もありABW(Activity Based Working)のコンセプトを取り入れて、場所に関係なく働ける環境を用意し、採用も住んでいる地域に関係なく行っています。北村氏は子育て世代ということもあり、自身もリモートワークです。

セールスフォースでは、「Success from Anywhere」というコンセプトがあり、全ての社員がどこからでも働ける柔軟なハイブリッドワークを実施しています。この効果について吉川は、社員のエンゲージメント向上や人材の確保につながっていると説明しました。セールスフォースの出勤の実態は、オフィスに週4〜5回来る人、フルリモートの人、週に1〜2回はオフィスに来る人の3つに分かれています。

吉川は、国土交通省が行ったテレワーク人口実態調査から、テレワークのメリットとして「通勤の苦痛からの解放」「時間の有効活用」「新型コロナウイルス感染リスクの軽減」を、デメリットとして「仕事とプライベートの区切りがあいまい」「仕事をする設備や環境が不十分」を紹介しました。特に、仕事のオン/オフにメリハリをつけることが難しいと述べました。

これに対して北村氏は「オン/オフをつけなくてもいいかなと正直思っています。週末や夜間はSlackやメールを禁止にしましょうという意見もありましたが、それが嫌な人もいれば、やりたい人もいます。返信するかどうかは自由にして、返信がないからといって怒るのではなく、多様性を理解する文化を作るようにしています」と述べました。

株式会社センシンロボティクス 代表取締役社長 CEO 北村 卓也氏

センシンロボティクス社員の平均年齢は35歳以上です。社会人として一定のキャリアを重ねてきた人たちが多く、皆自分たちが一番パフォーマンスを出せる働き方を知っています。ですから北村氏はそれを尊重したいと言います。その背景には、顧客にとって一番価値を出せることを、自らの価値基準にしてほしいという考えがあります。

吉川は、テレワークのルールとして、Webミーティングのときにカメラをオンにして、なるべく表情やチャットなどで反応するように決めているとし、「ハイパフォーマーの方は、話し手側への気配りもしっかりされていると思います」と話しました。大平も、日頃から口角を上げるなど、表情には注意を払っていると加えました。

セールスフォース・ジャパン コマーシャル営業 第三営業本部 本部長 吉川 徳彦

オンデマンド配信中

クロージングセッションの議論は、リモートワークにおけるITツール、そしてチームビルディングへと深掘りしていきます。全編はオンデマンド配信でご覧ください。

1日目から濃い出演者とセッションが展開されました。中小企業・スタートアップゆえの頷ける共通課題が多くあり、またその解決事例も多彩に共有され、皆様にとってもきっと参考になるかと思います!今回ご紹介した3つのセッション以外にも4つのセッションが開催されておりますので是非オンデマンド配信でチェックしてください!

中小企業・ スタートアップ経営変革Days、Day2のレポートでは、元宮崎県知事/前衆議院議員の東国原 英夫氏と都市経営アドバイザーの毛塚 幹 氏をお招きして、中小企業と地方自治体をテーマにした基調講演がありました。本講演の様子と、クロージングセッションでの脱炭素経営やSDGsに関する中小企業のホンネ討論をレポートします。あわせてご覧ください!

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