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カスタマーサービスを一変させる生成AIの3つの用途

コンタクトセンターやコールセンターなどのカスタマーサービス部門に求められる期待値は、ますます膨らんでいます。一方、現場では膨大な数の問い合わせ対応など多くの業務に忙殺される厳しい状況が続いています。カスタマーサービス部門に、生成AIを活用することでこのような状況はどう変わるのでしょう。3つのユースケースをご紹介します。

※本ポストは2023年2月9日に米国で公開された“3 Ways Generative AI Will Reshape Customer Service”の翻訳版です。本ポストの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。

現在、カスタマーサービス組織は厳しい状況下にあります。サービス担当者は、膨大な数の問い合わせに翻弄され、長引く待ち時間に不満を募らせる顧客に対応しています。多くの場合、レガシーシステムからデータが読み込まれるのを待ちながら、複数の顧客に同時に応対し、何とかケース対応をこなしているのが実情です。

問い合わせの処理後にメモを残しても、散逸することがあります。散逸してしまうと、他の担当者は以前別の担当者が対応した履歴を知らないまま、似たような問題に最初から取り組まなければなりません。昨年、約50%(英語)の顧客がブランドを乗り換えた主な理由として「不十分なサービス体験」を挙げていることから、改善を求める顧客からのプレッシャーは高まっているといえます。

最近、OpenAIが開発した生成AI(人工知能)モデルのChatGPTが大きな話題を集めています。GPTや、Anthropic/Bardなどの他の生成AIモデルは、あらかじめトレーニングされた大規模言語モデルをベースとしており、ユーザーはテキストベースのプロンプト(指示文)画面から独自のテキスト、画像、その他のコンテンツを作成することができます。長年AIに携わってきたSalesforceの専門知識を生成AIモデルに適用すれば、カスタマーサービスを一変させる可能性があります。それは、会社内部の業務効率化にとどまらず、顧客のリクエストにより高い共感力で対応できるようになり、ケースを速やかに解決に導くことができるように変革することができるかもしれません。 

ここでは、生成AIがサービスをどのように変革するのか、その一端を紹介します。

AI用語虎の巻: ビジネスのための生成AI用語集

「ChatGPT の LLM ってハルシネーションや機械学習バイアスは大丈夫だっけ?  」
この一文を読んで意味が分からなかった方必見、生成AIに関係する用語まとめ集を作成しました!
増え続けるAI用語のキャッチアップにご活用ください。

サービス向けの生成AIとは

私たちは、サービス分野におけるAIの影響をすでに目の当たりにしています。約7年前、SalesforceはEinstein for Serviceを公開し、サービス担当者にAI機能を提供しました。AI機能には、Next Best Actionの推奨や顧客からの問い合わせ対応、ケースの自動要約などが含まれます。

生成AIにより、これまでとワンランク上の効率的なカスタマーサービスとお客様一人ひとりへのパーソナライズが実現しようとしています。

生成AIをEinstein for ServiceおよびCustomer 360と併用すると、お客様一人ひとりにパーソナライズされたレスポンスが自動生成されるので、担当者はメールやメッセージで顧客にすばやく対応できるようになります。社内のあらゆる担当者がケース対応で残したすべてのケースメモを活用してAIのトレーニングを実行することで、ナレッジ記事のドラフト案が自動生成されます。人間の担当者はそれらをレビューして仕上げるだけなので、ナレッジ記事の執筆に要する時間が大幅に短縮され、記事を最新の状態に保つことも容易になります。このように組織全体で関連性を強化し、ナレッジ記事の品質を高めることで、セルフサービスポータルとチャットボットの価値が高まり、サービス担当者は複雑な問題に時間をかけて取り組めるようになり、長期にわたる顧客関係を築くことが可能となります。

私たちは、生成AIを活用したフィールドサービスも、現場のサービスチームと顧客の両方にメリットをもたらすことになると見込んでいます。レポートの自動化により、現場担当者は現場での時間を削減できるようになります。AIが生成するガイダンスを活用することで、新入社員や業務委託する業者をいち早く戦力化し、継続的な学習リソースで技術や知識を磨くことができるように支援します。ナレッジベース記事を活用して、顧客はよくある問題を独力で解決できるようになります。

現在、生成モデルは非常に力強い波に乗っています。しかし、数は多くないものの偏りのある結果を出力する場合があり、それは結果として全体への有害な影響や事実の捏造(ハルシネーション)を引き起こす可能性もあります。そのため、しばらくの間はサービス担当者やナレッジエキスパートなど、人間のレビュアーを置くことが重要になります。生成AIが大きな機会と課題をもたらすことを踏まえ、Salesforceは先日、信頼できる生成AIを開発するための5つのガイドライン(英語)を公開し、エンタープライズ向けテクノロジーにおける生成AIの可能性(英語)について論じ、この変革的なテクノロジーと現実・リスクのバランスをどのように取ればよいのかを解説しました。

大幅に能力が向上したチャットボット

生成AIをEinstein機能と併用することで、よりパーソナライズされたスマートなチャットボット応答を自動で作成できるようになり、顧客が抱える問題に対する深い理解、予測、対応が可能になります。その結果、それぞれ微妙に異なる顧客からの問い合わせにも、豊富な情報を駆使して回答できるようになり、初回での問い合わせ解決率を高めることができます。生成AIを顧客対応データに適用して、会話の感情やパターンを分析することによって、サービス組織では継続的な改善が促進され、トレンドを導き出して、ボットトレーニングとアップデートを加速できます。

自動生成されるナレッジ記事

Salesforceでは、今後生成AIを利用してナレッジ記事のドラフト案を生成する計画を進めています。ケースメモだけでなく、Slackで交わした会話、メッセージやり取りの履歴、Customer 360関連のデータを駆使することで、担当者による顧客からの問い合わせの解決時間を短縮し、より多くのサポート依頼をセルフサービス機能に回せるようになります。その結果、コールセンターやサービス担当者に対するプレッシャーを緩和することができると考えています。

迅速なケーススウォーミング

私たちは、組織中のエキスパートの力を結集して複雑なケースや規模の大きなインシデントに対応する「ケーススウォーミング」により、多くのサービスチームの作業効率が向上するのを目の当たりにしてきました。これまでの膨大なケースから学んだことを共有し、広範囲に適用できれば、どれほど効率が向上するか容易に想像できます。生成AIを使用すれば、過去の同様のケースを特定し、組織のどの担当者がその問題にもっとも適任で、もっとも関連性の高いスキルを備えているかを確認できます。さらに、解決策と顧客との推奨コミュニケーションを提案し、迅速で自動化されたケーススウォーミングを行えます。

私たちは、カスタマーサービスの状況を一変させる、素晴らしいAIの新時代を迎えています。Salesforceの倫理的な製品開発の長い歴史を土台として、組織は生成AIの力を存分に活用することで、チームの生産性の向上させ、顧客からの問い合わせを迅速に解決し、より一層、パーソナライズ性と関連性を高めることで、これまで以上に密な顧客関係を実現することが可能となるのです。

Service×生成AIで変わるコンタクトセンター

コンタクトセンターの業務に生成AIを取り入れることによって、日々の業務はどのように変わるのでしょう。
ケースへの返信文章の作成や、ケース要約の作成、そしてナレッジ記事の作成など3つのユースケースを動画でご紹介します!

Clara Shih
Salesforce AI担当EVP兼GM

Clara ShihはSalesforce AI担当EVP兼GMです。デジタルパイオニアとして、ClaraはFortuneの「40 under 40(40歳以下で影響力のある40人)」と「Most Powerful Women Entrepreneurs(ビジネス界で最もパワフルな女性)」、Fast Companyの「Most Influential People in Technology(テクノロジー分野でもっとも影響力のある人)」の1人に挙げられており、世界経済フォーラムで「Young Global Leader(ヤンググローバルリーダー)」に選出されています。Claraは、Starbucksの取締役会に名を連ね、自身が2009年に設立した株式非公開のデジタルソフトウェア会社「Hearsay Systems」の執行役会長も務めています。スタンフォード大学のコンピューターサイエンス学部を主席で卒業し、コンピューターサイエンスの理学修士も取得しています。また、オックスフォード大学で米国マーシャル奨学生としてインターネット研究に参加し、理学修士を取得しています。

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