AIはビジネスや教育現場、医療など幅広いジャンルで活用されており、多くの企業で導入されています。とくに、2023年はChat GPTの登場により多くの企業がAIに注目した1年になりました。
とはいえ、「AIを導入したいけれど、どのように活用すればよいかわからない」「そもそもAIが何に使えるかがわからない」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、AIの活用事例を業種別に分けて解説します。AIのメリット・デメリットについてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
幅広い業界で活用されているAI(人工知能)とは?
AI(人工知能)は機械学習やディープラーニングといった技術を駆使し、人間のように学習・判断し、作業を行えるシステムの総称です。AIは以下のようにさまざまなシーンで活用されています。
- 医療分野での疾病診断支援
- 製造業での生産の効率化
- 小売業での顧客行動分析
- 金融業でのリスク管理
AIは膨大な量のデータを高速に処理し分析できます。人間では見落としがちなパターンを発見したり、予測が難しい将来のトレンドを予測したりできるのが特徴です。
より効率的な意思決定を行え、新たなビジネスチャンスを掴むきっかけが得られます。
AIのなかでも、テキストや画像などを生み出す生成AIが注目を集めています。AIとの違いや課題などを知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
AIの導入によって実現できること
AIの導入によって、以下のようなことを実現できます。
AIにできること | 概要 |
---|---|
画像認識 | 画像データから情報を認識・判別する |
音声認識 | 音声データから情報を認識したり、テキストデータに変換したりする |
自然言語処理 | 人間の会話のように言語を処理・分析する |
予測分析 | 蓄積されたデータをもとに将来の予測をおこなう |
最適化 | 蓄積されたデータから最適なパターンを導き出す |
AIで実現できることを押さえたうえで、どのような分野で活用されているかをチェックしていきましょう。
画像認識
画像認識とは、カメラなどで取得した画像データから情報を抽出したり、判別したりする技術です。あらかじめ学習させた画像データをもとに、対象の画像に何が写っているかを明らかにできます。
たとえば、顔認証システムや工場の異常検知などは、顔や製品を画像として認識したうえで、認証すべきか異常がないかを瞬時に判断しています。
ほかにも、医療分野での画像解析や防犯カメラの映像解析などにも役立てられており、AIによる画像を用いた判断や分析は今後さらに一般的になるでしょう。
音声認識
音声認識とは、音声データから情報を読み取ったり、テキストデータに変換したりする技術です。これまで音声データを文字に起こすためには、手動での作業が必要でしたが、音声認識によって自動でテキストデータに変換できるようになりました。
会議の議事録作成で文字起こし作業が不要になったり、コールセンターでのトークの振り返りをテキストでおこなえるようになったりするなど、活用の幅が広がっています。
音声で機器を操作する技術にも応用されており、声をかけて操作を促せるスマートスピーカーをはじめとしたスマート家電は代表的な例です。
自然言語処理
自然言語処理とは、人間の言語をコンピューターが理解できるように処理する技術で、ユーザーとAIの対話を実現しています。
本来コンピューターは人工的なプログラミング言語しか理解できませんが、自然言語処理によって人間の言葉も理解できるようになり、内容にあわせて回答できるのが特徴です。
質問に自動で回答するチャットボットは代表的な事例で、入力された内容に応じて最適な回答を導き出すことができます。
予測分析
予測分析とは、蓄積されたデータをもとに規則性や傾向などを分析する技術です。学習したデータと分析結果を照らし合わせることで、将来の傾向を導き出し、今後の予測を立てられます。
たとえば、店舗の顧客や売上に関するデータを学習させれば、来客数や売上の見込みを把握できます。ある商品の販売実績を分析すれば、その商品の今後の需要を予測できるでしょう。
見込み顧客の成約確度や、機器の故障リスクなど、将来を予測する必要がある領域で幅広く活用されています。
最適化
最適化とは、学習したデータを分析し適切なパターンを抽出する技術です。過去のデータをもとに傾向を分析し、最適なパターンを発見することで、方針や戦略の検討に役立てられます。
たとえば、商品の発注データや購買データを学習させると、最適な発注数や発注タイミングなどがわかり、無駄のない的確な発注ができるようになるでしょう。
【業界別】AIの活用事例16選
AIを本格的に導入する前に、業界ごとの使い方や活用方法を知っておくことが大切です。自社でどのように活用できるかがわからないまま導入すると、達成したい効果が得られない可能性が高いためです。
ここでは、AIの活用事例を業界別で詳しく紹介します。
自社の業界・業種はもちろん、関連する事例を参考にし、AI導入を検討しましょう。
事例1:AIによるコンタクトセンターの効率化|小売業
株式会社ビックカメラは「DX宣言」を実現するために、Salesforceを活用したシステムの内製化を進めています。
同社はこれまでコンタクトセンターを外注していましたが、予算が超過しており業務改善が必要でした。
解決策として「Service Cloud」を導入し、SalesforceのAIであるEinsteinを活用した電子メールの自動振り分けや電話対応後の業務の簡素化を試みます。
Einsteinを活用したことで、電子メールの自動振り分けが可能となり、アサインミスが1日1~2件程度で済むようになりました。
Service CloudとEinsteinの活用により、コンタクトセンターの効率化につながり、コストを20%以上削減できました。
小売業でAIの導入に悩んでいる方は、小売業界でのAI戦略を解説した以下の記事も参考にしてみてください。
▶ 【1390社実態調査】小売AI戦略を進めるための5つの方法
また、コンタクトセンターでの生成AI活用については以下の資料で解説しているので、あわせて参考にしてみましょう。
事例2:AIが退会阻止と受注数増加に貢献|不動産
不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」を運営しているLIFULLは、大量の業務データにAIを適用し、退会阻止と売上向上に取り組んでいます。
同社は「Salesforce Einstein」を活用し、必要なデータを揃えて退会予測分析を実施しました。解約に影響しそうな要素を抽出し、AIモデルを作成した結果、退会リスクの高い顧客を抽出できるようになりました。
モデルを作成したことで、退会リスクの高い顧客に対し、営業担当者が適切なサポートを提供できるようになっています。
また、受注確率予測にもSalesforce Einsteinを活用し、AIモデルを作成しました。AIモデルは受注実績データから契約企業の傾向を分析し、営業現場の感覚も取り入れて作成しています。
作成したAIモデルをブラッシュアップした結果、アポイント取得率や受注率の改善につながり、新規受注会員数が300%伸びました。
事例3:AI活用でキャンペーン施策を活性化|アウトドア・アクティビティ
フランスに拠点をもち、スキーやスノーボードなどウィンタースポーツ関連の商品を幅広く取り扱うRossignol(ロシニョール)では、AIをキャンペーン施策に活用しました。
自動で生成したカスタマージャーニーとAIを活用し、キャンペーンの作成を効率化したことで、1週間に生成するキャンペーンが3倍に増えています。
生成したキャンペーンを多言語に翻訳したり、SalesforceのAI「Einstein」で送信時間を最適化したりすることで、キャンペーンの効果を高めているのが特徴です。
キャンペーン以外にも、Eコマース事業やカスタマーサービスへのAI導入を進めており、幅広い領域で効率化や成果の最大化を目指しています。
参考:AIを活用してマウンテンスポーツ・アクティビティの魅力を伝えるRossignol社
事例4:予測AIを活用した生産性・顧客満足度の向上|銀行
株式会社ふくおかフィナンシャルグループは、九州における地域経済発展に貢献し、人々の生活を豊かにすることを目指す金融グループです。
既存のビジネスモデルの変革や新事業の展開を推進するにあたって、AI活用を決定し、Salesforceの各ツールを採用しました。グループ全体で顧客情報を共有し、ニーズにあったサービス開発を目指しています。
Einstein Next Best Action(予測AI)を活用することで、顧客が求めているものを予測し、サービスの満足度向上や業務の生産性アップに向けて取り組みを強化しています。
参考:ふくおかフィナンシャルグループ、データとAI活用による営業改革とオフラインとオンラインを融合する情報共有基盤としてSalesforceを採用
事例5:AIによるユーザー分析で広告配信をパーソナライズ|音楽・エンターテインメント
音楽やポッドキャストなどを楽しめるSpotifyでは、広告の自動化やパーソナライズにAIを活用しています。ユーザーにあった広告を配信することで、音楽の雰囲気を損なわずに、新しいアーティストやブランドとの出会いを生み出す取り組みです。
AIを導入するまでは手作業での広告配信の割合が多い状況でしたが、SalesforceのAI「Einstein」のダッシュボードやAIを活用し、カスタマージャーニーの自動化や優先度の高いリードへのアプローチなどを実現しています。
参考:自動化により、年を追うごとに成長するSpotifyの広告ビジネス
Spotifyをはじめとした海外企業のAI活用事例は以下の記事にまとめているので、あわせて参考にしてみてください。
▶ 【海外発 AI事例3選】Uber Eats、Spotify、Sunnova。最先端のEinstein活用 教えます
事例6:AI搭載のドライビングシミュレーターとテスト車両による実験|自動車
本田技研工業株式会社では、交通事故死者ゼロを目指す取り組みとして、ヒューマンエラーをゼロにする知能化運転支援技術の研究に取り組んでいます。
同社は研究の過程でAIが搭載されたドライビングシミュレーターを開発し、運転支援の実験を行いました。
ドライバーの視線の動きや走行結果などから事故につながるリスクのレベルを推定して、状況に合わせて運転を支援します。
また、AIを搭載したテスト車両を用いた実験も実施しています。車のルーフにカメラを取り付けモニタリングし、AIシステムがリスクを推定して安全運転になるようにサポートするのです。このようなAI技術の研究をして、本田技研工業株式会社では、安全・安心な運転の実現を目指しています。
自動車業界の生成AI活用については以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
▶ ここまで進んだ自動車業界の生成AI活用と脱炭素技術開発 CES 2024レポート
事例7:生成AIで医療文書の作成時間を削減|医療
東北大学病院と電機メーカーNECは生成AIおよび大規模言語モデル(LLM)を用いて、電子カルテから医療文書を作成する検証を行いました。
医師の業務負担軽減を目的としており、とくに記録・報告書作成や書類の整理に費やす時間の短縮を目指しています。
検証では、NECが開発した医療テキスト分析用のAIモデルが電子カルテの情報を時系列に整理し、LLMを用いて治療経過の要約文を自動生成しました。
検証の結果、医師が紹介状や退院サマリーなどの要約文を新規作成する際の作成時間が平均47%短縮されました。文章の表現や正確性についても高い評価を得ています。
事例8:パーソナルデータとAIで利用者にあった保険を提案|保険
株式会社NTTドコモでは、AIを活用した保険サービスである「AI保険」を提供しています。どの保険があっているかわからないユーザーに向けて、簡単な質問で得たパーソナルデータをAIが分析し、最適な保険を提案するサービスです。
提案された保険は、スマホで詳細の確認や申し込みができ、月額料金の調整も簡単におこなえます。さまざまなサービスをスマホでリサーチするユーザーが増えるなかで、保険領域においてもAI活用が広がっていくでしょう。
保険領域での生成AI活用については以下の記事で解説しているので、詳細が気になる方はぜひチェックしてみてください。
事例9:製造物のデータから不具合の要因を発見|製造業
株式会社ヨシズミプレスは、金型製作から順送プレス加工までの一貫生産を行っている会社で、車の自動運転のセンサーに用いられる半導体レーザーの製造をしています。半導体レーザーの製造は高度な品質検査が求められますが、これまで検査担当者が顕微鏡で目視検査を行っており、膨大な時間を要していました。
そこで同社はAIによる画像検査の導入に取り組み、自社で整列機を製作して良品と不良品の画像をAIに学習させるトレーニングを行います。試行錯誤を重ねながら、約4~5ヶ月かけてAIによる検査システムを立ち上げました。
AIの導入により目視検査の総時間が月40%減少し、従業員の負担が軽減されました。
製造業におけるAI活用事例は以下の記事で紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
▶ 製造業でのAI活用事例10選|企業の現状や導入メリットを解説
製造業における生成AIの活用と課題
世の中を席巻している生成AI。製造業ではどのような使われ方が期待されているのでしょうか。現場への意識調査を行い、そのリアルな期待と課題をまとめました。
事例10:通信設備の保守へのAI活用|通信業
ソフトバンクでは、通信設備の保守にAIを活用しています。AI導入以前は、監視担当者が目視で機器のアラートを確認し、対応を検討していましたが、緊急性の高い障害への対応が遅れやすいという課題がありました。
AIの導入によって機器のアラートを自動で重要度や関連度をスコアリングできるようになり、関連ツールで原因や対応手順を担当者に提案できる仕組みを構築しています。
これにより保守対応の所要時間が平均23分から2分30秒に短縮され、スピーディーな保守対応ができるようになりました。
通信業においては、営業でもAIが活用されています。営業におけるAI活用を知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
事例11:ブドウ収集AIロボット|農業
農業でのAIの活用事例として、フランスのブドウ収穫ロボット「Wall-Ye V.I.N.」があります。Wall-Ye V.I.N.はブドウ園での労働力不足に対応するために生まれたAIロボットです。
人工知能とマッピング機能を駆使して、植物の特徴を認識し、ブドウの木を剪定します。1日に600本の選定が可能で、労働者不足に貢献しています。
剪定や不要な若い芽の除去を行いながら、土壌や果実、ブドウの木の健康状態に関するデータも収集可能です。GPSとジャイロスコープを搭載しており、盗難を防ぐためのセキュリティ機能も備えています。
事例12:AIによるマグロの品質判定|漁業
TUNA SCOPEは、マグロの味や鮮度などを見極める「目利き」をAIでおこなう技術です。目利きには経験と技術が求められるため、後継者が次第に減っていることから、AIでの品質判定に取り組みました。
TUNA SCOPEには、マグロの品質判定に使用する断面画像データや職人による品質判定データが学習されており、断面図を撮影するだけで瞬時に品質がわかるのが特徴です。
国内だけではなく、海外でも利用が広がっており、AIで目利きしたマグロの店頭提供も開始しています。
事例13:生成AIによる学びを提供|教育
教育業界ではChatGPTのような生成AIを活用した教育が注目を集めています。一例として、AIを利用した英会話アプリがあり、学生が気軽に英語を学べるツールとして利用されています。
生成AIが搭載されたアプリによって、実践的な英会話ができるようになり、失敗をおそれることなく経験を積むことが可能です。
また、ChatGPTが家庭教師代わりにも活用されています。ChatGPTが問題を作成し、生徒が回答を打ち込むことで、答え合わせをしてくれます。間違いがあれば解説してくれ、生徒がわからなければ、よりわかりやすく解説もしてくれるのです。
自分のペースで勉強できるようになり、モチベーション向上にもつながっています。
教育機関におけるAI活用は以下の記事でも解説しているので、実践のステップを知りたい方はぜひチェックしてみてください。
事例14:アスリートに必要な食事トレーニングをサポート|スポーツ
オンキヨースポーツ株式会社では「food coach」というAI搭載の食事トレーニングアプリを開発しました。アプリは約10万件の食品や料理のデータベースを利用し、アスリートが摂取した食事の栄養価を正確に計算してくれます。
トレーニングや試合などの活動にもとづいて、個々のアスリートに最適な栄養摂取計画を提案してくれるのが魅力です。AI技術により、アスリートは自身のパフォーマンス向上に必要な栄養管理を効率的に行えます。
事例15:不正送金対策モニタリングシステムの導入|金融
住信SBIネット銀行は、自社開発のAI技術を活用して不正送金対策モニタリングシステムを高度化しました。不正取引を高精度で検知し、24時間365日体制で振込のモニタリングを行います。
AIの導入により、不正取引に関する判断の高速化と不正送金の検知が可能になり、金融犯罪の防止に大きく貢献しました。今回の取り組みによって、金融業界におけるAI技術の活用の先駆けとなり、ほかの金融機関への提供も視野に入れています。
事例16:ドライブスルーにAIチャットボットを導入|飲食業
アメリカのファストフード店「ウェンディーズ」は、Googleが開発したAIチャットボットをドライブスルーに導入し、顧客との対話を自然に行えるようにしました。AIチャットボットがよくある質問に答え、従業員と同様の応対ができるようにしています。
ドライブスルーにAIを導入することで、注文の効率化と顧客サービスの向上が可能です。飲食業界におけるAI技術の新たな活用モデルとして、注目が集まっています。
【BtoB向け】AIの活用事例5選
AIの技術は企業向けサービスでもよく活用されています。ここでは、BtoB向けのAIの活用事例をまとめます。
BtoBで商品・サービスを提供している企業は、ぜひ上記の事例を参考にしてみてください。
事例1:生成AIでコンタクトセンターの工数を8割軽減|富士通
Salesforceのリセールパートナーである富士通は、Salesforceの製品の問い合わせ対応に向けてサポートデスクを設置しています。同社ではカスタマーサービス向け生成AI「Einstein for Service」を導入し、サポートデスクの工数削減を検証しました。
検証したのは、以下の2つの機能です。
- サービス返信:チャットでの問い合わせの返信内容を自動作成して提案する機能
- 会話サマリー機能:オペレーターと顧客のやり取りを要約してテキスト化する機能
検証結果、サービス返信機能によりオペレーターの平均処理時間が89%、会話サマリー機能により平均後処理時間が86%削減されるという、期待値を大幅に上回る結果が得られました。
富士通のコンタクトセンターにおいて、生成AIの活用は、もはや選択肢ではなく必須のツールとなっています。
参考:【生成AIで約8割工数削減】富士通のSalesforceサポートデスクが挑む顧客体験と生産性の向上
事例2:定性データを含めた情報共有|株式会社マーケティングデザイン
広告代理店の株式会社マーケティングデザインは、「Sales Cloud Einstein」に搭載されているAIで「どのような見込み客が商談につながりやすいか」を判断しています。
同社ではもともとSales CloudとPardotを導入して、顧客を増やすことに成功していましたが、人手不足で全員にアプローチできていない課題がありました。
そこでSales Cloud Einsteinを導入し、見込み客ごとに商談につながる可能性をスコアリングするようにしたのです。スコアから顧客リストを作成し、商談化率が高い見込み客に積極的にアプローチするようにしました。
結果、新入社員でもアポ率が10%以上となり、月間のアポ数も20倍に増加しました。
事例3:法人営業を自動化|SALES ROBOTICS株式会社
SALES ROBOTICS株式会社は、営業支援サービス「SALES BASE」を提供している企業です。Salesforceの製品を活用しており「SALES BASE」と連携させています。
同社はSalesforceのAIである「Einstein」が搭載された「Sales Cloud」を導入し、AIが出したスコアを営業担当者による「見込み確度」を補正するのに活用しています。営業担当者の見込みとEinsteinの評価に差があればミーティングで確認するようにし、安定的に成果を出せるような仕組みを作りました。
さらに売上予測もEinsteinに任せたところ、ある程度の範囲で予測値の絞り込みが可能となり、目標を達成しやすくなりました。
事例4:AIによる商談確度の分析により過去最高売上高を達成|株式会社淵本鋼機
株式会社淵本鋼機は、製造業向けの機械工具を扱う専門商社です。同社は価格競争の激化や顧客情報の共有不足、新規顧客開拓の課題などに直面し、生産性向上と収益性向上のために、Salesforceの導入に踏み切りました。
これまでSalesforceの「Sales Cloud」と社内SNSChatterなどを導入し、生産性向上に成功しましたが、さらにAIが搭載された「Einstein Analytics」を導入し、既存顧客に対するアプローチを最適化します。
Einstein AnalyticsではAIによるスコアリングを用いて商談の確度を分析し、担当者の感覚に頼らない効果的な営業活動の具体化に取り組みました。結果、課題をひとつずつ解決していき、2018年、2019年と2年連続で過去最高の売上高を達成しました。
事例5:AIで商談内容を可視化し、ネクストアクションや改善のスピードを向上|スマートキャンプ株式会社
スマートキャンプ株式会社は、BtoBマーケティングやインサイドセールスの支援事業を展開する企業です。
成約を目指すための仮説検証に商談を活用したい場面で、SalesforceのAI「Einstein」が活用されています。Zoomで録画した商談をAIで文字起こしし、要約とネクストアクションをまとめることで、会話が可視化され課題が明確になりました。
顧客情報の入力時間は1人あたり約5時間以上削減され、文字起こしや要約による情報の蓄積、会話情報の振り返りを生かしたアップセル・クロスセルなどを実現しています。
参考:月最大100時間の削減も。スマートキャンプが手がける「AI×営業改革」
営業・セールスにAIを導入するなら「Sales Cloud」
営業・セールスへのAI導入を推進するなら、Salesforceの「Sales Cloud」がおすすめです。
Sales Cloudは、セールス向けAIが搭載されたCRMで、予測AIと生成AIの両方を活用できます。生成AIではセールスメールの自動作成や通話記録の文字起こしができ、予測AIではAIによる最優先案件の見極めや売上予測などが可能です。
AI機能以外にも、アナリティクスや自動化、収益管理など、営業管理に必要な機能が幅広く搭載されているので、ぜひ導入を検討してみてください。
営業部門におけるAI活用方法は以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
▶ 営業部門でのAI活用法 7選。AIで売上を飛躍的に高める方法を紹介
AIを活用するメリット
AIを導入すれば、事業における作業効率や新しいビジネスチャンスが得られます。AIを活用するメリットは、以下のとおりです。
- 業務効率化
- 新たな価値の創造
- 人件費や業務コストの削減
自社が導入することでどのような恩恵を受けられるか具体的に把握できます。ぜひ参考にしてみてください。
業務効率化
AIを使うことで、何度も繰り返す仕事や、時間がかかる調べものなどが自動で完了します。顧客からの質問に対して、人工知能が自動で答えることも可能です。
疑問点に対して即座に対応すれば顧客満足度が高まり、従業員の負担も軽減します。他にも、データ入力や分析などの繰り返し作業をAIが担えば、従業員は別の業務に集中できるでしょう。
新たな価値の創造
AIを使うことで、今までにない新しい事業やサービスをはじめられます。データにもとづいて意思決定を支援し、顧客のニーズをより深く理解することで、価値ある新しい製品やサービスを提供することが可能です。
AIによる予測分析を活用すれば、市場の変化に迅速に対応し、新たなビジネスチャンスを先取りできるでしょう。
人件費や業務コストの削減
AIを使うことで、人がする必要のある仕事が減り、簡単な仕事はAIがやってくれるようになります。自動化によりこれまで必要とされていた作業が減少すれば、人件費を大幅に減らせるでしょう。
AIを適切に利用すれば、ヒューマンエラーの発生率を低下させ、修正にかかるコストや時間も軽減できます。AIは24時間365日稼働できるため、いつでも作業してもらえる点もメリットです。
AIを活用するデメリット
業務効率化や新たな価値を提供するAIですが、導入にともなうデメリットも存在します。主なデメリットは、以下のとおりです。
- 初期投資が必要
- セキュリティ体制の構築が必要
- AIを運用できる人材の不足
導入する際は、メリットだけではなくデメリットも考えてからにしましょう。それぞれ詳しく解説します。
初期投資が必要
導入するAIによっては多額の初期投資が必要です。とくに自社で開発する場合は、数百万円から数千万円の投資が必要になる場合があり、予算に余裕がないと難しいでしょう。
ただし、クラウド型のサービスには低価格で利用できるものもあります。月数千円程度から利用できるサービスもあるので、予算を抑えたい方におすすめです。
セキュリティ体制の構築が必要
AIは膨大な量のデータを処理して学習するため、セキュリティ体制の構築が重要です。個人情報や機密情報を扱うので、情報漏えいや不正アクセスに対するリスクが高まります。
情報漏えいを防ぐためにも、セキュリティ対策が整備されたツールを導入しましょう。また、社内研修で情報の扱い方を共有して全社員が適切にデータを扱えるようにすることをおすすめします。
AIを運用できる人材の不足
AIツールの運用にはデータの分析やセキュリティ対策などで専門の人材が必要です。自社にAIを活用できる人材がいない場合は、採用や人材の育成が必要になります。
採用・育成にはコストがかかります。とくにAIの分析に詳しい人材は希少価値が高いため、人件費にも注意が必要です。AIを導入する際は、人材の採用や雇用に発生する費用も考慮することも大切です。
ただし、最近では生成AIの登場で、自然言語でのAI活用の幅も広がってきました。AIツールの導入検討に当たっては、ツールが自然言語に対応しているかどうかも確認しておきましょう。
中堅・中小企業向け
AI活用ガイド
AI (人工知能)の仕組みとビジネスでの活用方法を詳しく解説します。中堅・中小企業の飛躍的な成長を可能にするAIの力を理解いただけます。
AIの活用事例を知ってから導入を検討しよう
AIの導入を検討する際には、まずは実際にAIがどのように活用されているか、具体的な事例を知ることが重要です。成功事例や失敗事例を学ぶことで、メリットとリスクを理解しながら導入を検討できるようになります。
自社の目的を効率的に達成するためにも、AIを活用してみてはいかがでしょうか。
なお、SalesforceではAI機能が搭載されたCRMを提供しています。自動分析による費用対効果の向上が目指せるMarketing Cloudや、商談管理や売上予測に役立つSales Cloudもあります。
▶ AIを活用したCRMとは?従来型との違いや導入ポイントを解説
AIを活用して営業業務やマーケティング業務の効率化を実現したい方は、お気軽にお問い合わせください。
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