営業先に電話をかけるたびに、どのようにアプローチをすればいいのか、どのタイミングで電話をかけるべきかと悩む営業担当者の方も多いでしょう。
テレアポは電話をかけて営業する伝統的な手法であるものの、アプローチされた相手からは敬遠されやすく、成功率を上げるのは決して簡単ではありません。
そこで本記事では、テレアポを成功へと導くためのコツについて、基礎編・実践編・改善編に分けて詳しく解説します。トークスクリプト(台本)などの事前準備やクロージングの方法を学び、相手目線に立ったテレアポを実践してみましょう。
営業トーク台本のワークシート
営業活動を成功に導く5つのステップ
営業活動を成功に導く5つのステップをご紹介します。ワークシート形式になっているため、ステップに沿って自分の営業トークを作れます。
目次
テレアポの基本的な流れ
テレアポの実践的なコツを紹介する前に、まずは基本的な流れを再確認しておきましょう。
流れ | 内容 | |
---|---|---|
1 | 挨拶 | 「はじめまして」などの基本的な挨拶をする |
2 | 自己紹介 | 「〇〇のサービスを提供しております、△△社の□□と申します」のように、自分が何者かを伝える |
3 | 導入 | 電話をかけた理由や簡単な要件を説明する |
4 | 本題 | サービスを利用するメリットや、導入事例を説明する |
5 | クロージング | アポ日時を提示し、詳細な日程をすり合わせる |
テレアポの成功率を高めるには、まず確度の高い架電リストを作成し、ターゲットを明確にしておく必要があります。次節より、準備編・実践編・改善編に分けてテレアポのコツを紹介しますので、課題を感じている点からチェックしてみてください。
【基礎編】テレアポを成功させるためのコツ5選
テレアポの成功率を高める「基礎編」として、5つのコツを紹介します。
- 相手の情報を収集して仮説を立てる
- 自社製品・サービスを十分に理解する
- トークスクリプトを作成する
- 断られた際の対応を考えておく
- 相手目線の立った対応を心がける
製品やサービスを紹介するだけの電話では、相手からすぐに拒否されてしまいます。テレアポの基礎を押さえて、事前の準備を整えておきましょう。
1.相手の情報を収集して仮説を立てる
営業先へ電話をかける前には、以下のような相手の情報を徹底的に収集しておきましょう。
- 事業内容
- 社員数
- ビジネスモデル
- 業界の動向
これらの情報をもとに「△△という課題を抱えている可能性が高い」「〇〇の分野に興味があり、自社製品が役立つと感じてもらえそうだ」といった仮説を立てていきます。
情報をもとに仮説を立てられれば、提案の説得力が増し、相手からの共感も得られやすくなります。
2.自社製品・サービスを十分に理解する
自社製品・サービスの特徴や機能、メリットの理解を深めた上で、他社との差別化ポイントなど強調して伝える情報をまとめておくのも重要です。
テレアポする営業担当者の知識が乏しい場合、説明不足が生じたり自信のなさが伝わったりと、相手が不安を感じてしまいクロージングまでつなげられません。
また、相手から弱点を指摘された際に、どのようにカバーできるか、あるいは別の強みで補完できるかを説明できるように準備を進めておきましょう。
3.トークスクリプトを作成する
テレアポを成功させるカギとなるのは、会話をスムーズに進行させるための受け答えやポイントをまとめた「トークスクリプト」の作成です。
標準化されたテレアポの台本があれば、各担当者の会話の質を一定以上に保ちつつ、自信を持った提案ができるようになります。トークスクリプトを作成する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 「誰になにを話すか」のペルソナを設定する
- 相手の返答を想定した回答を複数パターン用意する
- 導入効果や事例は具体的な数値を用いる
ただし、トークスクリプトはあくまでも台本です。機械的な会話にならないようにトレーニングや経験を積んでいく必要があります。
営業トーク台本のワークシート
営業活動を成功に導く5つのステップ
営業活動を成功に導く5つのステップをご紹介します。ワークシート形式になっているため、ステップに沿って自分の営業トークを作れます。
4.断られた際の対応を考えておく
電話を受けた相手が「また営業の電話か」「忙しい時間に割り込まれた」と感じ、断られてしまうケースも少なくありません。
そのため、断られた際の会話や対応方法をあらかじめ考えておくことで、再び電話をする機会や自社の認知拡大のチャンスを得られます。具体例は以下のとおりです。
相手の断り | 返答例 |
---|---|
今は忙しいので話を聞く時間がありません。 | 承知しました。それでは、後日あらためてご都合のよい時間にお電話させていただいてもよろしいでしょうか? |
他社の製品を利用しているので、今は必要ありません。 | かしこまりました。今後のご参考に、弊社の製品をまとめた資料をお送りしてもよろしいでしょうか? |
たとえ断られたとしても、不機嫌な態度を表に出さずポジティブな言葉を発して、冷静かつ丁寧な対応を心がけましょう。
5.相手目線に立った対応を心がける
テレアポの基本は、相手の立場やニーズに応じたコミュニケーションを取り、自社への興味や信頼感を持ってもらうことです。
たとえば、忙しい時間帯に電話をかけてしまった場合「お忙しいところ恐縮ですが、少しお時間をいただけますか?」と、相手の状況に配慮した挨拶を心がけましょう。
また、相手との対話を通して課題や問題点をヒアリングし、それに対する具体的な解決策を提示することで、相手にとって価値のある情報が提供できます。営業トークではなく対話を重視し、相手を尊重する姿勢を忘れないようにしましょう。
【実践編】テレアポを成功させるためのコツ10選
続いては、テレアポの成功率を高める「実践編」として、10個のコツを紹介します。
- 電話をかける時間・タイミングを工夫する
- 最初の挨拶や名乗りを確実に行う
- 声のトーンは明るく、強弱にメリハリをつける
- 相手の会話のテンポに合わせる
- 営業の雰囲気を出さないようにする
- 回答しやすい質問から行う
- 簡潔な説明を心がけ、一方的な会話をしない
- 質問の切り返しには即答する
- 相手にとって役立つ情報を提供する
- 次の行動につながる提案を行う
実際にテレアポを行う際は、上記を一つだけ実践するのではなく、すべて取り入れられるように経験を積んでいきましょう。
1.電話をかける時間・タイミングを工夫する
電話をかける時間やタイミングを工夫することで、相手の忙しい時間帯での架電を避け、電話に対する反応もよくなります。
業種によっても異なりますが、一般的には、午前中の正午に近い時間帯や夕方頃の時間帯が、比較的電話がつながりやすいタイミングです。一方で、仕事が始まった直後や終業間近の時間帯は、業務が立て込んでいて電話に出られない可能性があります。
企業の業種や担当者によっても最適な時間帯が異なるため、事前に企業情報や業界の傾向を確認して、架電のタイミングを見計らいましょう。
2.最初の挨拶や名乗りを確実に行う
電話冒頭での挨拶や名乗りを確実に行うことが、相手に好印象を与えて、本題へとスムーズに進めるための基本となります。
まずは「はじめまして」「お世話になります」などの基本的な挨拶を行い、自分が何者なのかを伝えるための自己紹介をします。
「△△社の□□と申します」と名乗るのが一般的ですが、以下のようにもう一歩踏み込んだ自己紹介をしてみましょう。
- 〇〇のサービスを提供しております、△△社の□□と申します
- わたくし、△△社の□□と申しまして、〇〇のサービスを手がけております
自社がどのような会社なのかを簡潔に伝えることで「〇〇なら△△社」のように、相手に強く印象づけられます。
3.声のトーンは明るく、強弱にメリハリをつける
テレアポは、対面での営業と違ってお互いの顔が見えないため、声のトーンや聞き取りやすさが相手の印象に大きな影響を与えます。
電話で会話する声のトーンは、対面よりも明るくすることを心がけ、相手に対して親しみやすさやポジティブな印象を与えましょう。
また、話す内容に応じて声の強弱にメリハリをつけることで、相手の注意を引きつけやすくなります。過度に元気な口調で会話するのではなく、落ち着きを保ちながら明るめのトーンで話すのがポイントです。
4.相手の会話のテンポに合わせる
相手の話すスピードやリズム、タイミングを合わせることで自然な会話を作り出し、相手から親近感を持たれやすくなります。
たとえば、相手がゆっくりと話している場合には、相手の言葉に相づちを打ちながら聞く姿勢を保ち、自分も落ち着いたペースで話しを切り出しましょう。
逆に速いテンポで話している場合は、相手が忙しいことをくみ取って、要件を素早く伝える必要があります。過度な早口やゆっくりすぎる話し方は避け、相手が心地よく感じるテンポでの会話を心がけましょう。
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5.営業の雰囲気を出さないようにする
営業の雰囲気を出したトークをしてしまうと、相手は「売り込まれている」という警戒心を強め、会話の途中で拒否される可能性も考えられます。
- この商品は他社でも大変好評です
- 御社の売上を間違いなくアップさせられます
このように、営業色が強いアピールや、商品を押しつけるような言葉は避けるべきです。挨拶や自己紹介をした上で「御社の取り組みについてお伺いしたいのですが、どのように進めていらっしゃいますか?」と、自然な流れで会話を始めましょう。
相手が興味を示さない場合でも、無理に会話を続けず「ご都合のよい時間帯にまたご連絡させていただきます」と相手への配慮を示すことが重要です。
6.回答しやすい質問から行う
会話の流れをスムーズに進めるために、冒頭では相手が答えやすいシンプルな質問から行いましょう。まずは「はい」や「いいえ」で答えられる質問(クローズドクエスチョン)で、簡単な情報確認を行うのが効果的です。
【質問例】
〇〇のような課題があるとお伺いしましたが、お間違いないでしょうか?現在ご利用中のサービスにはご満足されていますか?△△のサービスについて、これまでに導入を検討されたことはありますか?
簡単な質問で会話を進めていき、徐々に深い質問へと移行していくことで、ニーズを聞き出しつつ相手の負担も軽減できます。
7.簡潔な説明を心がけ、一方的な会話をしない
本題となる製品・サービスの説明は簡潔に行い、相手が理解しやすいように話す順番や構成を事前に考えておきましょう。
【サービス説明の例】
弊社のサービスにはデータの自動分析機能がありますので、業務効率化とコスト削減が実現できます。他社では、作業時間が〇〇時間短縮された事例もございます。
このように簡潔な説明をすることで、相手の時間を奪わず自社サービスの特徴も伝えられます。また、一方的に情報提供するのではなく、会話の途中では「この機能についてどう思われますか?」といった質問を交え、相手の反応を見ながら対話を続けましょう。
8.質問の切り返しには即答する
相手との信頼関係を築くためには、相手からの質問の切り返しに対して、迅速かつ正確な回答が求められます。
たとえば「このサービスの料金体系について詳しく教えてください」と質問された場合、以下のように具体的かつ簡潔な回答を心がけましょう。
【回答例】
弊社のサービスには3つの料金プランがございます。基本プランは月額〇〇円で、追加機能が必要な場合はオプション料金が発生します。
質問の切り返しに即答できるように、よくある質問などを事前に準備しておくのもおすすめです。もし回答に時間がかかる場合は、謝罪と理由を説明し、再び電話する日時のすり合わせを行いましょう。
9.相手にとって役立つ情報を提供する
テレアポでは製品・サービスを売り込むのではなく、相手が抱えている課題に対して、自社が解決できることを提案しましょう。
たとえば、コスト削減を目指している企業には「弊社のソフトウェアを導入すれば、作業効率の向上が見込めます」と、具体的なメリットを提示することが重要です。
製品やサービスの情報に加えて、相手と同じ業界のトレンドや動向など有益な情報を提供することも、信頼を得るためには有効な手段です。その情報に価値を感じてもらえれば、より詳しく情報や資料を提供するなど、次のステップにも進みやすくなります。
10.次の行動につながる提案を行う
テレアポでは、製品やサービスを提案したり意見交換したりするだけではなく、最終的には商談のアポを取りつける提案をしましょう。
たとえば、相手が新しいプロジェクトを考えているものの、まだ具体的なプランが決まっていない場合は、以下のような提案が考えられます。
【提案例】
お話を伺って、御社のニーズに合ったサービスのご提案ができるかと思います。もしよろしければ、〇〇日にお伺いして、詳細な打ち合わせをさせていただけないでしょうか?
このように、アポの具体的な日程を提示して次の行動につなげましょう。アポが取りつけない場合は、自社サービスをまとめた資料送付の提案をするなど、相手との関係性を継続する工夫も重要です。
【改善編】テレアポを成功させるためのコツ3選
最後は、テレアポの成功率を高める「改善編」として、3つのコツを紹介します。
- チーム内で情報共有し、次の計画を立てる
- トークスクリプトを修正する
- テレアポの数をこなし経験を積む
試行錯誤を繰り返し、電話の応対方法や提案内容をブラッシュアップすることで、よりテレアポの成功率を高められます。
1.チーム内で情報共有し、次の計画を立てる
テレアポの成功率を上げるために、各担当者が実践した内容や成果をチーム内で情報共有し、次に活かすための計画を立てましょう。
「△△を提案したら、より詳しい情報を求められた」「〇〇の時間帯は応答率が低かった」など、成功例や失敗例を集めて分析します。
それらの情報をもとに改善点を見つけ出し、新たなアプローチや戦略を見直すことが、テレアポを成功へと導くための秘訣です。
2.トークスクリプトを修正する
「基礎編」でも解説したように、準備段階から完璧なトークスクリプトは作成できません。そのため、相手の反応やフィードバックをもとにスクリプトを見直すことで、より相手目線に立った効果的なアプローチが可能です。
サービスの説明が長かったり、台本にない質問で回答できなかったりと具体的な改善点を抽出し、成功例と照らし合わせながらトーク内容を見直していきましょう。
ただし、会話のパターンが増えすぎてしまうと、回答に戸惑ってしまう可能性もあるため、柔軟な対応ができるよう修正しなければなりません。
3.テレアポの数をこなし経験を積む
最初からテレアポを成功させるのは難しいため、とにかく数をこなし経験を積むことで、相手と対話する力が身につきます。たとえ完璧なトークスクリプトが手元にあったとしても、経験の少なさから質問に対して戸惑ってしまい、相手に不安感を与えかねません。
数多くの経験を通じて、相手の雰囲気を読み取る力や、質問にスムーズに回答できる対話力を身につければ、自信を持った提案ができます。
他の担当者がアポ取りに成功したトーク内容を取り入れるなど、次に活かしていく姿勢を保つように心がけましょう。
テレアポでの話し方のコツ・例文
テレアポは、相手の表情がわからずコミュニケーションが取りにくいため、以下のような話し方を心がけましょう。
- 明瞭な発音で慌てず話す
- 大きめのリアクションをする
- オウム返しで話を聞いている姿勢を示す
また、テレアポの流れに沿って例文をいくつか紹介しますので、ここまで紹介したコツを実践しながら活用してみてください。
流れ | 例文 |
---|---|
挨拶・自己紹介 | はじめまして。〇〇のサービスを提供しております、△△社の□□と申します。 |
導入 | 御社の事業内容を拝見し、弊社で〇〇のサポートができないかと思い、ご連絡させていただきました。突然のお電話で申し訳ありませんが、ご担当者さまはいらっしゃいますか? |
本題・質問 | 御社の〇〇業務に関して、弊社のサービスでサポートできないかと考えております。今後、〇〇業務の改善や、新しいものを取り入れる計画はございますか? |
具体例 | 御社と同様の企業、同業種の企業での事例がございます。A社では、弊社サービスを〇〇業務に活用いただき、前年比+10%の利益につながりました。ご興味はいかがでしょうか。 |
クロージング | 御社の状況をお伺いし、具体的な改善策や事例についてご紹介できると思います。一度ご提案するお時間をいただけないでしょうか? |
AI活用でテレアポの最適化が可能に
データ分析や文章生成を可能にするAIの活用も、テレアポの成功率を高めるためには有効な手段です。
AIを活用すれば、社内のデータや相手の情報をもとに、架電のタイミングや受注確度の予測ができます。また、相手との会話をAIで分析すれば、まだ相手も気づいていない欲求(インサイト)を特定し、その情報をもとにアプローチするのも可能です。
Salesforceのセールス向けAIは、会話を分析する機能だけではなく、文字起こしの自動化や次のアクションの提案をする機能も備えています。
営業担当者の方に向けた「AI活用法」をまとめた資料もご用意していますので、成約件数を伸ばすための参考資料としてご活用ください。
▶「営業向けAI活用|AIを活用して成約件数を増やす7つの方法」のガイドを見る
テレアポのコツを実践して成功率を高めよう
テレアポは、電話相手から営業だと煙たがられがちな業務ですが、事前の準備や相手目線に立った応対によって成功率を高められます。
まずは相手の情報を細かくチェックし、想定される会話をまとめたトークスクリプトを作成しましょう。相手との会話では、営業の雰囲気を前面に出さず、抱えている課題やニーズを聞き出す「対話」を心がけることが重要です。
本記事で紹介したコツを参考にして、商談・成約へとつながるイメージをしながら、ぜひ実践してみてください。
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