MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略語で、「漏れなくダブりもない」状態を指します。
ビジネスシーンにおいて、ロジカルシンキングの基本的な概念として知られており、複雑かつ大きな問題を解決するのに必要な考え方です。
本記事では、MECEの概要から利用する際の考え方、分析方法、役立つフレームワーク、具体例などを詳しく解説します。
Tableauで実現するデータ分析と業務効率化
日々の業務の課題を特定して次のアクションに繋げるためには、容易にデータを分析して理解できる環境が必要です。
ではTableauでそれらがどのように実現することができるかをご紹介します。
目次
MECE(ミーシー)とは
MECEとは、物事を整理・分析する際に活用できる重要な概念で、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略語です。
MECEへの理解を深めるために、MECEの概念や必要性、ロジカルシンキングとの関係性を詳しく解説します。
MECEの概念
MECEは、物事を整理・分析する際に重要な概念で「互いに重なり合わず、かつ全体的に漏れなく網羅された」状態を指します。
ビジネスシーンでは「漏れなくダブりなく」の意味で使われるのが一般的です。
この概念は複雑な問題を解決可能な大きさに分割する際に、漏れやダブりを発生させないように分類するという目的でよく使われます。
MECEな分類が必要な理由
ビジネスの目的は、社会や人々の課題を解決することで、住みよい世の中を作ることです。
現代は技術の急速な発展や価値観の多様化により、以前と比べて課題が複雑化しています。1つのモノやサービスによって簡単に課題が解決することはなくなりました。いまは課題がより大きく、より複雑になっており、その解決策を考えることの難易度は増すばかりです。
そのため、まず問題の全体像を正確に把握し、課題を細分化して具体的な要素に分けていく必要があります。そして、それぞれの要素を「漏れなく重複なく」整理することで、問題の核心を明らかにし、効果的な解決策を導き出すことが可能になります。現代の大型化、複雑化した課題を解決したり、企画戦略や施策検討など、変化するニーズに柔軟に対応するためにも「漏れなく、ダブりなく」のMECEの必要性が高まっています。
MECEとロジカルシンキングの関係性
MECEは、ロジカルシンキング(論理的思考)の基本となる考え方です。
ロジカルシンキングでは、物事を順序立てて矛盾なく考えることが重要であり、MECEの「漏れなく、ダブりなく」という原則が土台となります。また、MECEとロジカルシンキングは以下のような特徴から相互に補完し合う関係にあると言えます。
- MECEは情報の整理や分類の原則を提供
- ロジカルシンキングはその整理された情報を用いて問題解決や意思決定を行う
ロジカルシンキングを行う際に、前提条件である情報に不備があると、正しい解決へと導けません。そのため、ロジカルシンキングの質を高めるには、「問題の全体像を漏れなく把握し、重複を排除する」という、MECEな考え方が欠かせません。
MECEに整理する際の考え方
物事をMECEに分類するためには、全体像を把握しながら、問題を漏れなく重複なく整理する必要があります。複雑な問題になればなるほど難しくなるので、状況に応じて、以下の2つのアプローチを適切に選択することが重要です。
- トップダウンアプローチ
- ボトムアップアプローチ
それぞれ詳しく解説します。
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチは、問題の全体像を捉えた上で、段階的に細分化していく方法です。
そのため、事前に物事の全体像を俯瞰する場合に有効な方法と言えます。また、戦略的な視点から問題を整理しやすいため、最終的なゴールを意識しやすいのがメリットです。最初に物事の全体像を正確に把握できないと、漏れやダブりが発生しやすくなり、MECEな分類が行えません。
ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチでは、小さな要素やデータを洗い出しグループ化することで、物事の大枠や全体像を認識する方法です。
そもそも問題の全体像がつかみにくかったり不明確な場合や、物事の要素分解が困難な場合に役立ちます。ボトムアップアプローチは、新しいアイデアの発掘や現場レベルでの問題解決に適しています。また、細部から全体像を見出すため、柔軟性と創造性が求められる場面で効果的です。
しかしながら、要素やデータの洗い出しが不十分であると漏れやダブりが生じやすいので注意が必要です。
MECEな分析方法
MECEな分析を行うには、以下の4つの方法があります。
- 要素分解を行う
- 因数分解を行う
- 時系列やステップごとに分ける
- 対称概念を列挙する
それぞれの方法の特徴を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
要素分解を行う
要素分解は、問題や物事の全体から、それを構成する細かな要素に分割する手法です。
たとえば、自動車を分析する場合、エンジン・車体・タイヤ・内装などの要素に分けられます。この手法では、問題の構造が明確になり、各部分に焦点を当てた詳細な分析が可能です。また、要素間の関係性も把握しやすくなるため、システム全体の理解が深まります。
「足し算型」や「積み上げ型」とも呼ばれ、各要素を合計することで全体集合となるのがポイントです。
因数分解を行う
因数分解は、問題や現象など、分析したい対象を計算式で表し各要素に分解する方法です。
たとえば、店舗の売上を「客単価 × 顧客数 × リピート率」であらわす場合が該当します。計算式を考える際は、足し算・引き算・掛け算・割り算のいずれも活用できます。
時系列やステップごとに分ける
時系列やステップごとに分ける方法は、プロセスや変化を時間軸に沿って整理する方法です。
たとえば、商品開発のプロセスであれば、「企画・設計・試作・テスト・量産」の5段階に分けられます。この分析により、各段階での課題や改善点の箇所が明確になり、効率的な問題解決やプロセス管理を実現できます。
対称概念を列挙する
対称概念の列挙は、ある概念に対する反対の概念をあげる方法です。
この手法では、二項対立や多項対立の構造を用いて、問題を包括的に捉えます。たとえば、「新規・既存」「メリット・デメリット」「速さ・品質」「下位・上位」などです。
各カテゴリーが互いに排他的で、すべての可能性を網羅しているかが重要です。この分析により、問題の全体像が明確になり、バランスの取れた戦略立案が可能になります。
MECEな分類を進める上で活用できる6つのフレームワーク
フレームワークは、目的に応じて、誰でもが活用しやすいように考えられた枠組みです。MECEな分類を適切に進めるためにも、以下のようなフレームワークを活用してみてください。
- 3C分析
- 4P分析
- 5フォース分析
- PEST分析
- SWOT分析
- ロジックツリー
それぞれの特徴を詳しく解説します。
3C分析
3C分析は、ビジネス戦略の立案において、外部環境を分析する際に用いるフレームワークです。
市場を「Customer(顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」の3つの要素に分けることから、3C分析と呼ばれています。顧客のニーズや行動を理解し、自社の強みと弱みを把握し、競合他社との差別化ポイントを明確にします。これにより、市場における自社の位置づけを把握でき、効果的な戦略を立てることが可能です。
4P分析
4P分析は、マーケティング戦略を立案する際に必要な4つの要素を分析するフレームワークです。
フレームワークを活用する際は、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」の4つの視点に分け、以下のように考えます。
- 製品:品質、特徴、デザインなど
- 価格:金額、支払い条件、値引きなど
- 流通:販売場所、流通範囲、在庫など
- 販売促進:広告宣伝、販売方法など
MECEの漏れなくダブりなくを意識しながら分類することで、効果的なマーケティング戦略の立案につながります。
5フォース分析
5フォース分析は、マイケル・ポーターが提唱した業界分析のフレームワークです。
具体的には、「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」「既存競合との敵対関係」の5つの競争要因を分析します。これにより、業界の競争環境を包括的に理解し、自社の戦略立案に活用できます。
新規事業をスタートする際や新ブランドの立ち上げ時などに、収益性の検証で活用可能です。
PEST分析
PEST分析は、世の中のマクロ環境を分析する際に役立つフレームワークです。
具体的には、「Political(政治的要因)」「Economic(経済的要因)」「Social(社会的要因)」「Technological(技術的要因)」の4つの視点から外部環境を評価します。各要因の相互関係も考慮しつつ、将来的なチャンスやリスクの特定を可能にします。
SWOT分析
SWOT分析は、組織の内部環境と外部環境を同時に評価し、ビジネスチャンスを見つけるためのフレームワークです。
具体的には、「Strengths(強み)」「Weaknesses(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」の4つの要素を分析します。内部要因である強みと弱み、外部要因である機会と脅威に分けて、さらにプラス要因とマイナス要因で分析するのがポイントです。
ロジックツリー
ロジックツリーは、問題や課題を階層的に分解し、一本の木のように可視化するフレームワークです。
ロジックツリーを用いることで、複雑な問題構造を明確化し、論理的な思考を促進できます。問題を細分化しやいため、本質的な課題発見にいたりやすいのがメリットです。また、視覚的なわかりやすさがあるため、チーム内での情報共有や議論の基盤としても活用できます。
MECEの具体例
MECEな分類の具体例を以下の4つのパターンで解説します。
- MECEな状態
- 漏れがなく、ダブりがある状態
- 漏れがあり、ダブりのない状態
- 漏れもダブりもある状態
具体的にどのような状態がMECEな分類であるのかを確認してみてください。
MECEな状態
国民の年齢を、漏れなくダブりなく分類した例が以下の通りです。
- 0-18歳
- 19-64歳
- 65歳以上
上記の分類では、全年齢が網羅されており、かつ各カテゴリーで年齢の重複がありません。
また、以下のようにMECEで地域を分類できます。
- 北海道
- 本州
- 四国
- 九州・沖縄
日本の全地域がカバーされ、各地域が互いに重なり合っていません。
漏れがなく、ダブりがある状態
漏れがなく、ダブりがある状態はMECEではありません。たとえば、「キャンプ場の種類」というカテゴリーで、以下の項目を挙げたとします。
- フリーサイト
- 区画サイト
- オートサイト
- コテージ
- バンガロー
- グランピング
- 貸別荘
「キャンプ場の種類」という大カテゴリーにおいて漏れがなくても、貸別荘とコテージ・バンガローにダブりが生じています。名称が異なっても、広い意味でコテージやバンガローは貸別荘に該当するからです。
漏れがあり、ダブりのない状態
漏れがあり、ダブりのない状態もMECEであるとはいえません。たとえば、日本の地方を以下のように分類したとします。
- 関東
- 関西
- 中部
- 九州
この場合、各地域は重複していませんが、北海道や東北、四国、沖縄などが漏れています。
漏れもダブりもある状態
漏れもダブりもある状態もMECEではありません。たとえば、以下のようなアパレルの商品ラインナップを確認してみてください。
- 衣類
- 靴
- アクセサリー
- トップス
この分類では、「衣類」と「トップス」にダブりがあり、ボトムスや下着などが漏れています。このような分類は混乱を招き、効果的な分析や戦略立案の妨げとなります。
MECEを効率的に行うならSalesforceのツールの活用がおすすめ
MECEを分析をより効果的に行うためには、Salesforceの『Tableau』がおすすめです。
MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)の概念において、データの分類や分割をもれなく、ダブりなく行うことが求められます。Tableauはそのプロセスを強力にサポートするツールで、データの視覚化と分析を通じて、より明確な意思決定を促進します。
特にTableauを利用することで、次のようなMECE分析におけるメリットが得られます。
- データの体系的な分類:複雑なデータを細かく分類し、それぞれのカテゴリーを明確に視覚化することで、データの重複や漏れを防ぎます。
- 相関関係の視覚化:分類されたデータ間の関係を簡単に把握できるため、全体像をもれなく把握し、核心をつく戦略の発見に寄与します。
- リアルタイムでのデータ分析:動的に変化するデータをリアルタイムで分析し、分割されたデータセットを必要に応じて即座に調整できます。これにより、常に最適なMECE分析を維持することが可能です。
手動でデータを分類し分析する場合、どうしても漏れやダブりが発生しがちですが、Tableauを活用することで、これらの問題を軽減し、より効率的かつ正確にMECE分析を実施できます。データをもれなく、ダブりなく分類する力が強化されるため、ビジネスの課題解決や戦略立案において大きなアドバンテージをもたらします。
ぜひ、MECE分析を徹底的にサポートするTableauを導入し、データ駆動型の意思決定を強化してください。
データをビジネスの力に変える Tableau とは?
MECEを活用して複雑な課題を明確にしよう
MECEとは、物事を整理・分析する際に活用できる重要な概念で、「漏れなくダブりなく」という意味で知られています。顧客の抱える悩みや社会課題などの複雑な問題を解決する手段を見つけるためには、問題の全体像を漏れなく把握し、重複なく整理する必要があるのです。
本記事で解説した分析方法やフレームワークを活用して、課題の解決を目指してみてください。また、MECEを効果的に活用しつつ、業務効率を上げる方法として、MAに代表されるような業務効率化・自動化ツールの導入も検討してみてください。
Tableauでデータ可視化してみましょう
Tableauは、「誰でもデータを見て理解することを支援すること」をミッションに作られた分析プラットフォームです。
本動画では、ハンズオン形式でTableauの製品と機能、操作感をご体感いただけます。
ぜひご視聴いただき、貴社のデータ分析業務の一助としてください。