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生成AIは業務で使えない?AIエージェントで一変する金融・保険業務のAI活用

金融・保険業ならではの業務への生成AIの適用は進んでいません。その理由は業界・業務の知識や実行能力の欠如にあります。本記事ではこの課題を解決する「Agentforce for Financial Services」の可能性を解説します。

なぜ生成AIは金融特有の業務に適応できていないのか?

2024年10月23日、セールスフォース・ジャパンは「Dreamforce 2024」のフィードバックイベントとして、「Dreamforce 2024 Recap in Tokyo」を開催しました。

金融業界向けのセッションには約250人のお客様に現地参加いただき、さらに「Salesforce+」でのLiveストリーミングにも250人を超えるお客様にご視聴いただきました。(ご参加・ご視聴いただきました皆さま、ありがとうございました!)

セッションでも触れましたが、金融業界でも生成AIの活用は主に文章の要約やプレゼン資料用の生成など、まだまだ汎用的な用途に限られ、ローン審査や保険金支払い業務など、金融特有の業務へ適応できていません。なぜでしょうか?

その理由の一つは、現在広く利用されている生成AIツールが金融業務の知識と業務実行のスキルを持たないからだと考えています。本記事では、この課題に対応する最新の金融業界向けソリューション「Agentforce for Financial Services」の価値をご紹介します。

生成AIの次は「AIエージェント」

2024年9月。Salesforceが主催する世界最大の年次イベント「Dreamforce」が今年もサンフランシスコで開催されました。その基調講演の冒頭で、創業者兼CEOであるマーク・ベニオフが、「AIの波」をご紹介しました。

2010年代の第一の波といえる「予測AI」から約10年を経て、コパイロット・アシスタントとしての第二の波が到来したのが2023年でした。生成AIで業務を効率化・高度化し、あらゆるビジネスパーソンをアシストするというものです。そして2024年に到来した第三の波が、AIエージェントです。

生成AIが人間の指示に従ってアシストするのではなく、AIエージェントは人が介入せずに自律的に業務を完結するようになります。生成AIをツールとして『使う』のではなく、人と同様に、AIエージェントを『採用する』という考え方です。

労働人口が減少するなか、多様化・高度化していく顧客の期待に応えるためには、AIエージェントの採用は必須になると言えるでしょう。

(Dreamforce 2024 基調講演でAIの第三の波について言及するマーク・ベニオフ)

AIエージェントの採用を加速するAgentforce

ではどうすればAIエージェントを迅速に・効果的に『採用する』ことができるのでしょうか?その答えは、Dreamforceで発表された「Agentforce(エージェントフォース)」です。

AIエージェントの導入に向けて、自力で、すなわちDIY(Do It Yourself)で構築することを検討される企業がありますが、それは、いわば水面に浮かぶ氷山の一角しか見えていないために選択しがちな方法です。たちまち、コスト増加の壁にぶつかることになります。

例えば、公開データを学習する「ChatGPT」のようなAIは、具体的な業務に関する質問に正確に答えることはほぼできません。そのため、カスタムモデルを作成することになります。しかし、カスタムモデルを作成・維持するには継続的なトレーニングが必要で、データストレージのコストもかかります

ビジネス環境が変化すれば、それに対応することも必要です。多くの企業は、データを保護するために必要なリソース、ガバナンス、セキュリティを確保できず、変化のスピードにも対応できていません。

一方で、企業が自ら資金を投じて独自のモデルを構築し、再トレーニングや連携の整備をしなくてもAIエージェントを採用できる方法、それがAgentforceというわけです。

【5分で解説】Salesforceの自律型AIエージェント “Agentforce”とは

本デモ動画では、AIエージェントによる顧客対応の様子をはじめ、Agentofrceがどのように業務を変革するのかを、5分間の動画でご紹介しています。 従来のチャットボットとの違いを、ぜひ皆様の目でお確かめください。

金融業務に適応するAgentforce for Financial Services

Agentforceを活用することで、企業はDIYすることなく、AIエージェントを『採用する』ことができるようになります。

さて、ここからが本題です。Agentforceといえど、汎用AIエージェントは金融業を理解できていません。この記事の冒頭でも記載した通り、現在広く利用されている生成AIツールは、金融業務を理解しておらず、業務を実行するスキルも持ち合わせていません。これが、金融ならではの業務での生成AI活用に至っていない背景でした。

AIエージェントでも同様のことが言えます。金融業務を理解しておらず、業務を実行するためのスキルを身につけていないAIエージェントは、金融ならではの業務に適応することはできません。では、AIエージェントにDIYで学習させれば良いのでしょうか? DIYの難しさは前述の通りです。

Salesforceはこれを踏まえ、金融業界・金融業務に特化したAIエージェントを展開します。それが、「Agentforce for Financial Services」です。

(Dreamforce 2024 金融業界向け基調講演でAgentforce for Financial Servicesを発表する金融業界向けソリューション責任者のエラン・アグリオス)

Agentforce for Financial Servicesが実現する金融業務の知識と業務実行のスキルを持ち合わせるAIエージェントは、以下のような金融業務に関する質問に答えアドバイスするだけでなく、自律的に実行・サポートすることができるようになります。

  • 銀行
    • 360 度の顧客ビュー: 銀行員や融資担当者は、顧客の包括的なビューにアクセスできるため、よりパーソナライズされた効果的なやり取りが可能になります。
    • 合理化されたオンボーディング: AIエージェントは新規顧客のオンボーディングプロセスを合理化し、より迅速かつ効率的にすることで顧客体験を向上させます。
  • アセットマネジメント
    • パーソナライズされたサービス: ファイナンシャル アドバイザーは AIエージェントと連携してカスタマイズされたアドバイスとプロアクティブなサービスを提供し、顧客との関係を強化して満足度を高めることができます。
    • 運用資産 (AUM) の増加: AIエージェントと連携することでファイナンシャルアドバイザーはクライアントのポートフォリオを効率的に管理および拡大することが可能になり、AUM の増加につながります。
  • 保険
    • 営業活動の高度化: AIエージェントは顧客リスト内で契約更改とクロスセルの機会を特定し、事前に準備されたコンテンツを使用して自律的にキャンペーンを展開することができます。代理店営業担当者はAIエージェントと連携することで、代理店の得意領域や改善余地を特定することもできます。
    • カスタマーサービスでの連携: AIエージェントは 24時間365日、チャネル横断で保険契約者とやり取りし、事前に決められたガイドラインに基づいて自然な応答とオペレーターへのシームレスな引き継ぎを行うことができます。
    • 保険金支払いでの役割分担: AI エージェントはシンプルな保険金請求の事故受付 (FNOL) とストレートスループロセスを促進するのに役立ちます。これによりカスタマーサービス担当者 (CSR) と査定担当者は、困難に直面しているお客様への寄り添いなど、AIでは提供できないことに集中できます。

Agentforce for Financial Servicesを活用することでDIYすることなく、上記のような金融ならではの業務にもAIエージェントをアサインすることが可能になります。

【活用シーン2選】Agentforceで変わる金融機関の業務

この動画では、金融業界に特化したAgentforceの活用シーンを紹介します。金融機関の法人営業やコンタクトセンター業務で、Agentforceがどのように人と協業し業務を支援するかをご覧いただけます。

今後の展望 – AIエージェントが金融・保険業界に変化をもたらす

2024年5月の記事「保険 x 生成AIの現在地と未来。」で述べた「AIと一緒に働くことが求められるWith AIの未来」は、AIエージェントの登場でより現実味を帯びました。脅威的なスピードです。スピードだけではありません。AIエージェントは金融・保険業界に求められる顧客体験や、あなたの働き方、あなたのチームの働き方にも、脅威的な変化をもたらすでしょう。

あなたが一緒に働くなら、汎用的なAIエージェントでも良いですか?それとも、金融を理解したAIエージェントが良いでしょうか?

Agentforce for Financial Servicesは、今後さらなるアップデートやお客様事例の紹介を予定しています。最新情報はブログやセミナーで随時発信します。金融に特化したAIエージェントで金融業界を支援するAgentforce for Financial Services、これからの進化にぜひご期待ください。

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