20分かかるメールを20秒で書いたり、何時間もかかる調査を数分で終わらせたり、顧客のサービス履歴の全概要を自動的に受け取ったりすることを想像してください。
これらの時間節約は、AIアシスタントであるAI Copilot(コパイロット)の能力を明確に示しています。仕事の中で、やってほしいことをAI Copilotに指示するだけでよいのです。
この1年で、何億人もの人々がAIプラットフォームに集まってきましたが、AI Copilotはまったく新しいレベルに到達しました。このアシスタントは顧客関係管理(CRM)、eメール、そのほかあなたの業界に特化したシステムなど、あなたの日常的なワークフローと統合された会話型AIインターフェースとして現れたのです。
【徹底解説】ビジネスに最良のAI、Einsteinの活用法を知り尽くす
AI Copilotがあなたに代わって仕事をすることで、生産性を高めます。このテクノロジーは現在、販売、サービス、マーケティング、小売、その他多くの業界や役割に応用されています。
オリバーワイマンフォーラムのレポート(英語)によると、世界の労働者の55%がすでに週に1回以上は生成AIを利用しているが、期待した生産性の向上は得られていません。
しかし、生成AIが日々のワークフローに統合されることで、転機が訪れようとしています。その結果、2030年までに年間3,000億時間の生産性向上が見込まれるとレポートは予測しています。
では、これらの生産性向上ツールはどのように仕事をこなすのでしょうか?
もっとも一般的な方法を例に挙げて説明していきましょう。
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目次
営業担当のためのAI Copilot
産業用機器サプライヤーバッカ・システムズ(英語)のエンタープライズアーキテクトであるアンドリュー・ルッソ氏は、AI Copilotのさまざまな使い方を想定しています。まずは営業メールです。
「営業担当者は、1通のカスタムメールを書くのに20分もかけていることがわかりました。「より多くのeメールを送ることは、価値の高いことです」。
営業チームとマーケティングチームがCRMのAI Cpilotで、それぞれの顧客に響くeメールを作成する様子を思い浮かべてみましょう。
ありきたりの一般的なメッセージではありません。生成AIは、過去のやり取りに関するCRM情報を利用したり、自動的に対象者を細分化し、成約率を劇的に高めるパーソナライズされたメールを作成できるのです。
営業担当者は、一日の始まりにCopilotを使って仕事の優先順位をつけることもできます。Copilotはセールス見込み客上位3社と、それらに対するコンテキストを提供してくれます。なぜその顧客が優良な見込み客なのか、生成AIは、例えばその企業が新しい市場への投資や製品ポートフォリオの拡大を計画していることを示す最近のニュースにフラグを立てることができるのです。
見込み客とコンタクトをとったら、AI Copilotが会話を要約し、顧客のニーズ、好み、すべてのコミットメントの把握をサポートします。また、通話の詳細をより広範なアカウント情報や履歴データと統合することで、完全な営業サマリーを作成することもできます。
SalesforceのAI、Einstein をどう使える?
製品解説:プロンプトビルダービジネスで使えるプロンプトを設計する仕組み
取引を進める方法がわからない?AI Copilotは連絡先、直近のメール、通話、顧客とのミーティングを確認し、次に最適なアクションを提案することができます。例えば、顧客の意思決定者が購入の準備ができている場合、Copilotは製品やサービスに関する詳細情報を送信する適切なタイミングを提案するかもしれません。
Copilotは、顧客が過去の行動や発言、好みに基づいて、最適なミーティング時間を提案することもできます。
- 提案されたタスクリストを作成する
- 意思決定者へのeメールを作成し、送信前には確認することもできる
- 案件をクローズとしてマークし、売上金額を含むオポチュニティを更新する
このようなエンド・ツー・エンドのサポートは、AI Copilotが組織内のすべてのデータにアクセスすることで可能になります。多くの企業では、部門ごとに異なるデータセットがサイロ化されていますが、異なるソースにある様々なタイプの情報を1つのシステムに取り込むことができる企業は、AI Copilotのメリットを最大限に享受することができます。
サービスチームのためのAI Copilot
カスタマーサービスに携わる人、あるいはサービス部門とやり取りをしたことがある人なら、チャットボットが目新しいものではないことをご存じでしょう。しかし、AI Copilotを使えば、サポート担当者の問題解決能力をさらに高めることができます。
AI Copilotは多くの場合、顧客に関する最も関連性の高い情報をリアルタイムで収集し、サポート担当者がケースを迅速に解決できるよう支援します。
例えば、ある顧客が月々のインターネット料金を過大請求されたと言ってきました。この場合、サポート担当者はAI Copilotに次のことを依頼します。
- 顧客から提供された日付範囲に基づいて、関連する請求情報を取得する
- サブスクリプションの発注書と契約条件を取得する
- この期間の請求額が、昨年の同時期と比べてどれだけ高いか比較する
- 製品の使用情報を収集し、使用量が増加しているかどうか分析する
- 価格や契約条件が変更されたかどうか調べる
- 問題に対処するための提案書を作成する
以前は、このような情報を集めるには、複数の異なるシステムや部署にアクセスしなければならず多くの時間がかかるため、顧客やサポート担当者をイライラさせていました。
もしマーケティングとカスタマーサービス業務にSalesforceのAIを組み込んだら
セルフサービスのためのAI Copilot
Salesforceの調査によると、57%の顧客が注文状況の確認や住所変更などの簡単な問題については、テキストやチャットなどのデジタルチャネルを通じて企業と対応することを好むといいます。
AI Copilotは、このようなやり取りをどのようにサポートできるでしょうか。現在多くのチャットボットが行っているように、顧客がタスクを完了するためのリンクを提供する代わりに、AI Copilotは情報バンク(ナレッジベースとも呼ばれる)、顧客データ、その他のソースから引き出したパーソナライズされたデータを提供できます。
これにより、セルフサービス・システムはより深みを増し、人間と人間の会話に近い会話能力を持つようになるのです。
AI Copilotは組織全体からデータを取得しているため、注文に関する質問(納期や配送先変更)や、特定の顧客アカウントデータ(次回の支払日について) また、アカウントの閉鎖や代替カードの郵送など、以前は人間が行う必要があったアクションを代わりにやってくれます。
カスタムAIビルダー
使い慣れたCRMで管理、カスタマイズできるAIを活用して、思い通りのエクスペリエンスを業務フローに取り入れましょう。カスタムAIビルダーを使えば、お客様や従業員とのやり取りが、いっそうスムーズになります。
小売業のためのAI Copilot
レコメンドエンジンは長年使用されてきましたが、顧客が期待するきめ細かさやパーソナライゼーションには欠けていました。しかしAI Copilotがゲームチェンジャーとなりました。
今、顧客はリテール業者のウェブサイトで「6月の結婚式に着ていける半袖のピンクのドレスを教えてください」といった簡単なリクエストを入力することで、関連する選択肢を得ることができます。
バックグラウンドでは、AI Copilotが自然言語によるプロンプトの知識を活用して、買い手に最適な結果を迅速に提供しています。
このように、AI Copilotはデジタルコンシェルジュとして機能し、顧客が完璧な商品を発見するのを最小限の手間で支援することができます。既存顧客であると仮定すると、AI Copilotは顧客のプロフィールを使ってその意図を理解し、過去の購入履歴、親和性、サービス実績に基づいて商品を推奨します。
例えば、顧客が過去に返品した商品と似たような商品をわざわざ勧めることはないでしょう。
AI Copilotは、リテールチームにとっても画期的な存在です。タスクを指示するだけで、複数商品のカタログデータ管理や商品プロモーションのパーソナライズといった複雑なタスクを自動化できます。また、過去にどのようなコピーが成約につながったかを示す過去のデータに基づいて商品説明を作成したり、複数の言語で商品説明を作成することもできます。
「Eコマース最新事情」レポートによると、小売企業におけるAIの導入は始まったばかりですが、早期に導入した企業は週平均6.4時間を節約しているといいます。例えば、小売企業のマーケティング担当者は、例えばAI Copilotにロイヤリティプログラム会員向けのハイキングシューズのターゲットプロモーションを作成するよう依頼することで、時間を大幅に節約することができます。
第3版 Eコマース最新事情
全世界2,700人のEコマースリーダーを対象に調査を行い、15億人以上の一般消費者や企業の購買担当者の購買データを分析することで、次のようなトレンドを明らかにしました。
マーケティング担当者のためのAI Copilot
マーケティングチームは、トレンドの分析、顧客の好みの理解、セグメント戦略の策定、競合のポジショニングの確立に多くの時間を費やしています。また、メッセージをパーソナライズするためのコンテンツ作成にも深く投資しています。
もし、信頼できるアシスタントがその作業を代行してくれたら、と思っているあなたはAI Copilotに次のことを依頼できます。
- 過去の顧客データを詳細に分析し、より狭いセグメントを特定し、個人レベルでマーケティングメッセージを調整する
- 顧客セグメントごとに独自のマーケティングコピーを作成する
- リレーションシップの各ステップにおいて、顧客がどのように貴社と関わっているかを追跡・理解し、最善のアクションを提案する
- 既存の顧客データを使用して、顧客が好むトピックやチャネルを推測し、そこで目にする製品や記事、その他の情報をパーソナライズする
- 顧客がどのようにコミュニケーションを受け取ることを好み、何に興味を持っているかを理解し、それらのメッセージタイプや関連コンテンツを優先する
もしマーケティングとカスタマーサービス業務にSalesforceのAIを組み込んだら
AI Copilot =すべての人にスマートな毎日を
AIはすでに、反復作業を自動化し、大量のデータを迅速に処理・分析し、あらゆる部門でデータ主導の意思決定を支援することができます。パソコンが人々のビジネスタスクへの取り組み方やコミュニケーションに革命を起こしたように、AI Copilotによって生産性の転換点にいます。
ビジネスユーザーはAI Copilotに欲しいものを尋ねることができます。AI Copilotはバックグラウンドで仕事をし、数秒で答えを出し、それに応じてアクションを起こします。
適切なプロトコルとプロンプトシステムが活用されている場合、AI Copilotから瞬時に得られる回答は、営業、マーケティング、顧客サービスシステムだけでなく、組織全体のビジネスデータに基づいています。Copilot向けに構築されたアクションは、これらのビジネスデータに加え、PDF、ウェブページ、eメールなど、以前は分析できなかったデータにもアクセスできます。
ルッソ氏は言います。「AI Copilotは、仕事を自動化する考え方から、より多くの取引成立とより良い顧客サービス提供を支援する、という考え方に大きくシフトしています。これは、ありふれた仕事をスピードアップするだけではありません。1日の仕事で達成できることを再定義することなのです」
※本記事は米国で公開された “5 Business Uses for an AI Copilot” の抄訳版です。本ポストの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。