現実の世界にCGキャラクターを映し出すARゲームアプリや、世界チャンピオンに勝利するAI搭載の囲碁ソフト、自動車の自動運転など、ARやAIを活用した技術はすでに多くのシーンで活用されており、ますます身近になってきました。
もちろんビジネスの世界においても、今後は積極的にARやAIの活用を考えなければならない時代となるはずです。ここでは、そのために必要なARとAIの知識について解説します。
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目次
AR(拡張現実)とAI(人工知能)の関係性や可能性
ARとは
AR(Augmented Reality)とは、アプリを通して現実の風景に文字、音声、映像などの情報を重ね合わせる技術のことです。これにより、たとえば何もない部屋に家具やカーテンの映像を重ね合わせることや、知らない街を観光する時に名所旧跡ごとに説明文、音声、関連映像などを映し出すことなどができます。
AIとは
AI(Artificial Intelligence)とは、抽象的な思考力、推理力、洞察力、認知力など人間が持つ高等な知的能力のこと、あるいはその知的能力を人工的に作る技術のことです。研究分野には、音声・画像認識、エキスパートシステム、自然言語処理、情報検索などがあります。なお、AIの定義は、知的能力(知能)自体の定義がないことから人工的な知能を明確に定義することが困難なため、研究者によって細かい定義は異なります。
ARとAIの関係性と可能性
ARとAIの2つの技術を組み合わせると、またはそれぞれの技術がさらに進化すると、ARによって得られる利便性の範囲が拡大し、活用の可能性を大きく進化させることができます。たとえば、AIによる画像認識や空間認識をARに加えることで、画像認識の精度が向上し、必要な場所に正確に文字や映像を重ね合わせられるようになります。他にも様々な業界・業種でビジネスの効率アップ、品質・安全性の向上、作業の迅速化・省力化などが実現できます。
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)の違い
ARと似た言葉に「VR」があります。ARは現実にある世界にデジタル情報を重ね合わせて現実世界を拡張するのに対して、VRは現実にはない世界をコンピューターで仮想的に作り出す点で異なります。
AI(人工知能)とML(機械学習)の違い
AIは人間が持つ高等な知的能力を示す概念のこと、あるいはその知的能力を実現できる技術のことですが、機械学習は人間の知的能力をコンピューターなどの機械で実現するために必要な技術の一つです。
人間も、たとえば犬と猫を最初から区別できるわけではなく、いろいろな犬や猫を何度も見ることでそれぞれの姿や大きさ、動き、鳴き声などといったそれぞれの特徴(パターン)を学習します。この結果、今まで見たことがない犬や猫を見ても、その特徴から推論して犬か猫かを区別できるようになっていきます。つまり、犬と猫を区別できる知的能力をAIとすると、たくさんの犬と猫を見て、その犬と猫の特徴を学習し、判別できることが機械学習に相当するということになります。
AR(拡張現実)の活用例とメリット
では、ARは実際にどのような業界やビジネスシーンで活用され始めているのでしょうか。6つの活用例とそのメリットを見ていきましょう。
ARの活用例
流通・運輸・物流・倉庫業での活用例
人手不足のために非経験者・非熟練者を雇用しなければならない時、AR技術を使い作業手やピックアップする荷物や商品の場所を現実世界に重ね合わせて示すことでスムーズに業務を教えることができ、効率がアップします。人口減が進む将来においては外国人の雇用が避けて通れなくなる可能性がありますが、同時翻訳技術とAR技術を駆使して作業指示を母国語で行えば、人手不足解消だけでなくミスの軽減にもつながり、コストの削減が実現できます。
医療での活用例
手術に使う医療機器がモノクロ画像であったり不鮮明な画像であった場合にAI技術でカラー映像に変えたり、鮮明な画像に変更することができます。それを手術中の医師にARでリアルタイムに見せることで、手術の精度を向上させることができます。
建築・建設・土木業界での活用例
設計データから立体的な画像を生成して工事前の現場に表示させたり、大きな建設機械の配置を表示させ事前にシミュレーションしたりすることで、作業の効率アップや安全の確保に役立ちます。
広告・地図・観光業での活用例
カタログ、ポスターなどの印刷物や道路標識、名所旧跡の場所に動画、音声を重ね合わせることで、テキストでは十分に伝えられない情報を付加できます。
農業での活用例
農業もIT化が進み、作物の成長や温度・湿度、水分量などをセンサーで計測できるようになってきています。これらのセンサーからの情報を色分けして現実の風景に重ね合わせることで、異常がある作物の場所を迅速、かつ容易に確認できます。
その他のあらゆる業界での活用例
ARは現実世界にさまざまな情報を重ね合わせられることから、上記以外の業界、例えば製造、音楽・ゲームなどのエンタメ、ファッション・小売・EC、教育、美容、不動産業界など、利用できない業界はないほど多岐にわたります。たとえば、人手不足は今後すべての業界に共通して深刻化していく課題だと考えられますが、教育研修にARを活用することで文字情報よりも多くの情報を付加できるため、効果的な教育研修が可能となります。
ARを活用するメリット
上記の活用例からわかるとおり、ARの活用には様々なメリットが存在します。作業ミスの防止、的確な指示による効率アップ、コスト削減、品質向上、高い教育研修効果、早期の戦力化と人手不足対策、広告や商品説明の多言語化、情報量の付加による機能性の向上、販促効果による売上増大など、その効果には計り知れないものがあります。
AI(人工知能)の活用例とメリット
次に、AIがどのように活用され、どのようなメリットをもたらしているのか、6つの業界の事例を見ていきましょう。
AIの活用例
製造業での活用例
外観検査や製造工程の作業監視で不良品の選別を自動化することで、作業効率や検品の確実性、品質の向上などが図れます。
保守サービス業での活用例
複雑な工程が必要な保守作業において、最も適切な作業内容をマニュアルからAIがピックアップすることで、作業効率のアップや迅速な対応が可能となります。また、損傷の箇所が分かりにくい保守作業でも、AIが効率的かつ正確に場所を特定します。
医療での活用例
CT・MRIなどの画像診断に活用することで、異常の発見を正確かつ迅速に行うことができます。また、診断の精度が向上することにより、治療の成功率を向上させることも期待できます。
教育業での活用例
学習者のレベルに応じた問題を提示したり、間違えた問題に関するデータを蓄積して間違う原因を解析し、学習者に合った適切な指導をすることが可能となります。
自動車製造業での活用例
長年研究開発が進む自動運転がより現実的、実用的なレベルへと進化します。いずれ、街を走る多くの車が自動運転となる日がやってくるかもしれません。
その他のあらゆる業界での活用例
口コミなどのビッグデータをAIで解析しマーケティングに活用することは、製造業、小売業のほか、多くの業界で応用できる技術です。また、省人化やコストダウンはすべての業界で求められていますが、AIであれば言葉を理解しその言葉に応じた動作をさせることが可能なため、単純な業務の多くはAIに置き換えられるようになります。
AIを活用するメリット
上記の活用例から分かる通り、AIにも多くの活用メリットが存在します。人手不足対策、コストダウン、人よりも高速・高度な処理と、それによる生産性・信頼性の向上などが挙げられます。
AR(拡張現実)とAI(人工知能)の経済への影響は?
今はまさに、AR、AI、IoT(Internet of Things)、ビッグデータなどの技術をベースにした「第4次産業革命」の時代です。経済産業省は2018年に発表した「第4次産業革命への対応の方向性」の中で、『第4次産業革命により新たに立ち上がるIoTやAIに関する市場は、世界規模で今後大きく拡大。日本企業がグローバル競争に打ち勝ち当該市場を獲得すれば、新たな「仕事・労働」の創出が可能。』と述べています。
ARとAIの技術が今後さらに進化・融合していく見込みであることを考えれば、また、活用例として挙げたような取り組みがより広がるのであれば、その存在は日本の経済の成長に直結し、あらゆるビジネスにおいて欠かせない存在となっていくのは間違いないのではないでしょうか。
まとめ
ここでは、これからのビジネスに欠かせないAR・AIについて基本的な知識や活用例を紹介しました。
ここ数年、ITを駆使したさまざまなイノベーションが巻き起こっていますが、その中でも、ARとARの可能性に欠かせないAIの技術には大きな注目が集まっています。ぜひあなたのビジネス領域においても活用のアイディアを捻り、他にはない価値とサービスを生み出してください。
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● 生成 AI に関する懸念
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