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脳科学者・茂木健一郎氏が伝授!ニューノーマルを生き抜くための「脳」の鍛え方

脳科学者・茂木健一郎氏が伝授!ニューノーマルを生き抜くための「脳」の鍛え方

社会経済活動の段階的な再開が進む中、新しい生活様式によってもたらされている「ニューノーマル」をどう捉え、この先の「ネクストノーマル」を見据え仕事や生活をどう変えていけばいいのか。スペシャルゲストに脳科学者 茂木健一郎氏をお迎えし、この逆境を乗り越え、チャンスに変えていくための脳の使い方について語っていただきました。

Leading Through Change – いま、私たちができること。-

世界が大きな課題に直面する今、Salesforceとして何ができるかを皆さまと一緒に考えていくというコンセプトのもと、さまざまなテーマでブログ記事やオンライン番組、オンラインセミナーを実施する企画「Leading Through Change いま、私たちができること。」。各分野のTrailblazer(先駆者)をゲストに迎えてお話を伺うオンライン番組の日本版初回は、脳科学者の茂木健一郎氏が登場。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除され、社会経済活動の段階的な再開が進む中、新しい生活様式によってもたらされている「ニューノーマル(新しい日常)」をどう捉えるべきなのか、そしてこの先の「ネクストノーマル(その先の成長)」を見据え仕事や生活をどう変えていくのか。Salesforceイノベーションセンター センター長の杉山真理子が聞き手役を務め、茂木氏に多角的に考察していただきました。こちらの記事では、そのハイライトをお届けします。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、私たちの社会は大きな変革を迫られました。今なお、第2波・第3波が危惧されており、経済活動の再開に不安を感じながら日々を過ごしている人は少なくないはずです。しかし、茂木氏は「人間の脳はこういうときこそ進化する」と語ります。

「”予想ができない”のは困ったことではありますが、チャレンジのもとにもなるんですね。2020年の上半期は本当に大変でしたが、いろいろなチャレンジが見えてきた時間だったんじゃないかなと思います」(茂木氏)

茂木氏は、過去の偉人が”自粛期間”に大発見を成し遂げた例を挙げて、次のように続けます。

「アイザック・ニュートンは、ペストの流行が起きたときに田舎町に移り、研究生活を続けました。このパンデミックから逃れていたときに、『万有引力の法則』や『微分積分学』などを発見しました。ある意味、ニュートンにとっては『創造的休暇』だった。掘り下げて新しいことを見つける、新たな成長を学ぶ可能性を探ることにつながったのです」(茂木氏)

また、14世紀のイタリアでもペストの大流行後に、ルネッサンスが誕生したことを例にとり、「(パンデミックが契機になり)これまでの常識がはたして本当に唯一の答えだったのか見直される傾向にある」と茂木氏は分析します。

「『生きるって何だろう』『仕事の付加価値ってなんだろう』と、生活やビジネスの習慣の本質を考えるようになります。このように、これまでの常識にとらわれずに本質を考えるというのは、破壊的なイノベーションや発見、発明を促す重要なヒントになります。14世紀のフィレンツェで起きたことと同じように、人類を次の文明へ進化させるための新しいルネッサンスが生まれるきっかけになるのではないかと期待しています」(茂木氏)

このとき、個人個人が自分の「脳」をどう使うかが鍵になるとのこと。

「人間の可能性を見直す時期に鍵になるのが、脳全体を使えるかどうかです。たとえば、脳の扁桃体は、不安や恐怖により活性化され、『不安だから何もしたくない、新しいことにチャレンジしたくない』という反応を引き起こします。かたや、前頭葉はこうした感情の変化をうまく制御して、ポジティブな感情に結びつけていきます。この前頭葉の働きを高度にするために必要なのは、教養や経験、知識なのです。小説、音楽、映画といった、いわゆる芸術に触れると、前頭葉を中心にして脳の機能が高度になるのです」(茂木氏)

また、この3月から今日までの時間の経過を長く感じている人も多いかもしれません。それは茂木氏によると、起きている出来事の密度が濃いことで生じる脳の反応が現れているからだといいます。

「新しい情報の処理が必要なとき、脳は時間をものすごく濃密に感じています。予想してなかったこと、つまりサプライズは脳にとっては非常にいい栄養でもあるんです。いまリモートワークをはじめ新しい生活様式が推奨され、チャレンジが必要になりますが、これは脳にとっては前頭葉を中心とする回路が大活躍するチャンス。その意味では、脳がより成長する時期に来ているのかなと思いますね」(茂木氏)

空間を超えてどのようなコラボレーションが叶うのか、歴史上稀にみる偉大なチャレンジがはじまっていると茂木氏は期待を寄せていると語ります。では、私たちは何を基準に物事を判断し、行動していけばこれからの時代に適応できるのでしょうか。茂木氏は次のように考察します。

「たとえば、住まい探しでは最寄り駅からなるべく近いところを選ぼうと考えていたところ、リモートで働けることが分かってからは、駅からの距離よりも、家に仕事場を確保できた方がいいかなと判断しますよね。海外留学も日本にいながらリモートで留学する方法を考えはじめるかもしれません」(茂木氏)

これは、私たちが新たな可能性に気づきはじめていることになり、ニューノーマルに適応していることに他ならないといいます。

「時代が変わっても変わらないのは、人間の脳が描く幸せのかたち。人間にとっての幸せを本質的に見抜いた人が、次の時代のスタンダードを作りあげる。つまり明治維新に相当するような変革期が訪れているのかもしれませんね」(茂木氏)

固定観念から離れて、ピンチをチャンスに、ネガティブをポジティブに変換するためにも、知恵を出し合い協力し合うことを推奨する茂木氏。最後に「トンネルを抜けて明るい世界へ希望を持って頑張りましょう」とメッセージを送ってくれました。

これから先のネクストノーマルの到来に向けて、脳科学の視点から私たちが生き抜くためのヒントが得られた「Leading Through Change いま、私たちができること。」。
より詳細に当日のトーク内容を知りたい方は、ぜひ動画全編をご覧ください。

Leading Through Change – いま、私たちができること。-」シリーズでは、ビジネスとリーダーシップのヒントになるさまざまな記事もご紹介しています。他の記事もぜひご覧ください。Salesforceのブログニュースレターにご登録いただければ、最新情報をいち早くお届けします。ご登録はこちら

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