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LLMとコパイロットでは救われない。企業がAIを誤って使う原因とAgentforceの強み。

An image of a woman and an AI agent standing together
企業がAI活用で成功するためには、データとAI、自動化、そしてイノベーターのエコシステムをシームレスに統合する必要があります

完全なAIシステムは一体性と拡張性があり、データとAI、そしてアクションを統合してビジネスの成果を最大化します。本記事ではAI活用において企業が陥る罠とSalesforceの「Agentforce」の優位性をお伝えします。

各業界のCEOは、AIを導入し飛躍的な成長と前例のない生産性向上、抜本的なコスト削減を想像しています。しかし、その多くは失敗に終わっています。

大規模言語モデル(LLM)だけでAIのすべての課題を解決できると考え、LLMの整備と訓練を急いでいますが、これは大きな誤解です。

企業はLLMのトレーニングに多額の費用を費やしたり、孤立したAIコパイロットのパイロットを立ち上げますが、結局うまくいかず、AIの成功に本当に必要な全体像を見失っています。

LLM単体では解決しません。どんなに洗練されていても、LLMは慎重に設計されたシステムの一部でなければなりません。

企業のAI活用における真の成功とは、データとAI、自動化の統合であり、単に質問に答えるだけでなく、自律的に行動することです。そして真の有効性とは、AIが人間と肩を並べて働き、複雑で価値の高い仕事を円滑に引き継ぐことを意味します。データとAI、自動化、そしてスムーズなハンドオフが揃ってこそ、完全なAIシステムと言え、この4つがなければ、最先端のLLMであっても期待する成果は得られません。

このことを認識できない企業は、AIの恩恵を受けないまま大金を費やすことになります。

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企業AIのアンチパターン

多くの企業は、コストのかかる失敗や、成功してもスケールアップの道筋がない「概念実証プロジェクト」など無駄なサイクルに陥っています。

このようなサイクルは、企業向けAI活用のアンチパターンとして認識することが必須です。

組織がこうしたサイクルのいずれかに陥っているかどうかを特定し、そこから抜け出すために行動することは、これ以上無駄な時間とリソースを費やさないために極めて重要です。それぞれについて考えてみましょう。

1. DIYのLLM:高価な失敗の繰り返し

独自のLLMをトレーニングするというアイデアは魅力的で、リーダーたちは独自の競争優位性を思い描いています。

しかし、LLMを構築することは、単にデータを収集し、機械学習モデルで学習させるだけではありません。エンジニアリングの複雑さやインフラ要件、継続的なチューニングが必要なため、この作業は大変なものになります。

OpenAIやGoogle、あるいは同様の大企業に匹敵するリソースがない限り、独自のLLMをトレーニングすることはすぐに財政的な落とし穴に陥り、期待外れのパフォーマンスにつながります。

これらの技術的な課題を克服したとしても、以下のようなさらなる問題が待っています。

「データの最新性」問題

LLMは、その時の最新のトレーニングデータと同程度の最新性しかありません。ビジネスのようなデータが豊富な環境では、データは常に変化します。継続的な再トレーニング(非現実的でコスト負担の大きい作業)を行わなければ、モデルはすぐに古くなり、実質的に役に立たなくなります。

例えば、最新のローンリスク評価を提供する必要がある金融サービス会社を考えてみましょう。LLMが最近の市場の変化やポリシーの更新、または顧客の信用行動を反映するように再トレーニングされなければ、古い査定を提供することになり、不十分な状態での意思決定と重大な財務リスクにつながります。

「データガバナンス」問題

従来のデータベースは、構造化されたスキーマでデータを保存し、明確な権限、可視性および一貫性のあるデータの呼び出しを可能にします。

一方、LLMがデータを学習すると、そのデータはモデルのパラメータに埋め込まれ、ロケーションや所有権の概念を失ってしまいます。

これはガバナンスの問題を引き起こし、LLMによって学習されたデータに対して詳細な権限を適用したり、特定の情報を抽出することが非常に難しくなります。このようなデータガバナンスの問題を管理することは、企業にとって深刻かつ過小評価されがちなリスクをもたらし、コンプライアンスや監査、リスク管理プロセスを複雑にします。

多くの企業にとって、社内でLLMをトレーニングすることは非現実的であると言えます。

2. コパイロット運用の誤謬

社員の仕事をサポートするために設計されたデジタルアシスタントを指す「コパイロット」は、一部のアプリケーションや限定的な状況では役に立つかもしれませんが、本格的に多くの場面で活用できるように展開するのが難しい課題があります。

マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は最近、「コパイロットはAIのためのUI」と述べており、現在のコパイロットは、既存アプリケーションに表面的にAI機能を追加するだけにとどまっているという問題を指摘しています。

企業が必要としているのは、単なる便利なインターフェースではなく、データ、AI、行動が統合された、自律的にタスクをこなしてビジネスの変革を推進する能力を持つシステムです。

しかし、現在のコパイロット・アプローチでは、企業はUIレイヤーのみに焦点を当て、表面的にLLMを組み込むだけで、実際には本質的なビジネス変革にはつながっていません。

3. エージェントの孤立:プラットフォームとしての役割を見失う

自律型AIエージェントは変革をもたらすものとして注目されていますが、単独で実装された場合、それもまた失敗に終わる可能性があります。

企業に必要なのは、真のエージェントプラットフォームであり、AIエージェントが企業のデータやビジネスプロセス、アプリケーションで作業する人間の従業員と深く統合された、完全に実現された統合環境です。

この統合がなければ、最もインテリジェントなAIエージェントであっても、意味のあるビジネス成果を生み出せず、単なる実験に終わる運命にあります。

現在、市場にはAIエージェントを提供するAIスタートアップがあふれていますが、そのほとんどは、重要なビジネスワークフローやデータと統合するためのインフラが不足しています。

この不足をカバーするために、「共同開発」という名目で、パイロットプロジェクト(プロのサービスを使って手作業で行う統合作業)を行います。彼らはこうした作業を繰り返して時間を稼ぎ、不足部分を構築し補おうとします。

これはリスクを伴います。最初のエージェントは軌道に乗っても、2番目、3番目のエージェントが必要になった場合はどうなるでしょうか。あるいは、エージェントに簡単な変更を加えたいときは?上記のようなスタートアップは、統合作業を行うためにプロフェッショナルサービスのコストを負担し続けるでしょうか。それとも、限界を明らかにしてそのコストをあなたに転嫁するでしょうか。

データやビジネスプロセスとの真の統合がなければ、大規模なAIを提供することは困難かもしれません。

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4. DIYプラットフォームの落とし穴

多くのITリーダーは、前述のアンチパターンの1つ以上を経験することで、完全なAIプラットフォームの必要性を認識します。それでも彼らはDIYの道を選ぶという間違いを犯しがちです。しかし、統合AIプラットフォームの構築は、大規模な統合の課題、技術的負債、コストのかかる遅延に満ちた途方もない作業です。

クラウド革命から学んだことは、企業は基盤となるインフラをゼロから構築するよりも、価値を生み出す活動に集中すべきだということです。

今日、AWSのような実績のあるベンダーのサービスを活用せず、独自のグローバルクラウドインフラを構築しようとする企業は存在しません。同様に、AIプラットフォームも、既存の信頼できるものを使うべきです。スケーラビリティやセキュリティ、データ、AI、自動化のシームレスな統合など、必須要素がすぐ利用できるように設計されています。

賢明な企業は、こうした基盤構築に時間とリソースを使わず、顧客のために差別化された製品やサービス開発に集中すべきです。

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多くの企業がアンチパターンに陥る理由

メディアは執拗にLLMの誇大広告を流し、何十億ものパラメーターや注目を飾るユースケースに執着し、ITリーダーがAIに本当に必要な広範なシステムを見失う原因となっています。

その結果、LLMだけで十分だという誤解が生まれ、実際のスケーラブルな成果を上げるために必要な、より洗練された統合AIシステムが陰に隠れてしまいました。

20世紀初頭の自動車産業では、内燃エンジンは画期的でしたが、エンジンだけでは自動車は作れません。タイヤ、ステアリング、トランスミッションが必要であり、これらすべての統合された部品が組み合わさって機能するマシンが作られます。

マイクロプロセッサはコンピューティングを根本的に変革しましたが、メモリ、I/Oデバイス、ソフトウェアとの統合がなければ、孤立した部品に過ぎませんでした。マイクロプロセッサの威力は、これらの部品が組み合わさって完全なコンピュータシステムを形成して初めて発揮されました。

同じ原理が企業向けAIにも当てはまります。 LLMは画期的ですが、より広範なシステム(データフロー、ビジネスロジック、自動化、ワークフロー統合)がなければ、不完全なままです。

成功させるためには?

企業向けAIシステムを成功させるためには、データとAI、自動化、イノベーターのエコシステムをシームレスに統合する必要があります。これらの要素のどれかひとつでも欠けると、戦略全体が危うくなります。それぞれを検証してみましょう。

1. データ:基礎

データは、成功するAIシステムの基盤となります。しかし、課題はデータの質を確保することだけでなく、組織全体で包括的かつリアルタイムのデータアクセスを実現することです。

データのサイロ化は、AIを効果的に活用する上で最大の障害です。企業は、部門間のシームレスな統合を促進し、サイロ化を迅速に緩和する柔軟なデータプラットフォームを採用する必要があります。

SalesforceのData Cloudは、リアルタイムのデータ利用を可能にする統合されたデータ基盤を提供します。また、オープンで柔軟性が高いため、顧客はゼロコピーフェデレーションを使用して、Snowflakeなどの既存のデータレイクに接続することで、データレイクへのROIを最大限に活用できるでしょう。

データプラットフォームが整えば、次の課題はデータをLLMに接続することです。

ここで、非構造化データにもインデックスを付けて検索するベクトルデータベースと組み合わせた検索拡張生成(RAG)が活躍します。LLMが完全な再トレーニングサイクルを経ることなく、最も関連性の高い情報にアクセスできるようにします。
SalesforceのAtlas Reasoning Engine(英語)のようなテクノロジーは、より優れた階層検索と抽象化を可能にする高度なRAGテクニックを使用しており、複雑な企業ドキュメントをより深く理解し、アクセスすることができます。その結果、より正確で関連性の高い結果が得られます。

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2. AI:エンジン

データが整えば、AIはビジネス変革を推進するエンジンとなります。

しかし、これはLLMだけにとどまらず、使用されるAIモデルは、予測、分析、企業の特定のニーズへ適応できる必要があります。

さまざまなタスクには専用のモデルが必要であり、企業は規制要件を満たすために地域ごとに異なるLLMを展開したり、多様な種類の業務に合わせたモデルを使用するなど、柔軟性を求めることがあります。

Einstein Trust Layer(アインシュタイントラストレイヤー)により、Salesforceのお客様は任意のLLMを持ち込んで安全に使用でき、コンプライアンス、ガバナンス、セキュリティを確保しながら、それぞれのビジネス状況に最適なモデルを活用できるようになります。

AIは静的なものではなく、リアルタイムで学習し適応する必要があります。

常に進化するビジネスデータによって駆動される継続的なフィードバックループは、AIが関連性と有効性を維持するのに極めて重要です。このループにより、モデルは新たなインサイト、市場環境、業務シフトに動的に適応し、一貫してインパクトのあるビジネス成果を提供できるようになります。

この適応性こそが、AIを静的なツールから、常に進化し続ける変革のエンジンへと変えるのです。

3. 自動化: 自律的行動

AIがもたらす真の価値は、インサイトを提供することではなく、インサイトに基づいて実際に行動することです。

LLMが提案を生成するだけでは不十分であり、提案に基づいて行動することで真の企業価値が得られます。そのためには、ビジネスワークフローシステムやAPI、自動化ツールと深く統合する必要があります。

例えば、SalesforceのFlowMuleSoftは、このような自律的行動を可能にするために不可欠なコンポーネントです。

Flowが自動化レイヤーを提供し、MuleSoftがAPI統合を処理することで、AIエージェントが複数のシステム間でシームレスに行動できるようになります。

AIエージェントがサプライチェーンの問題を特定するだけでなく、自律的に解決策を策定し、企業のエコシステム全体で実行することを想像してください。

例えば、潜在的な在庫不足が検出された場合、AIエージェントはリソースの再配分、調達スケジュールの調整、さらにはサプライヤーとリアルタイムで通信するワークフローをトリガーすることができます。

こうした自律的行動は、AIエージェントがハイレベルな推奨事項を提供したり、質問に答えるだけでなく、業務に新たに積極的に参加することを意味します。

4. イノベーターのエコシステム

大規模なAIで成功するためには、テクノロジーだけでは不十分であり、人材とその育成が重要です。

企業はイノベーターのエコシステムを育成する必要があります。つまり、エージェントファーストの企業になるために必要なツールを、特定の業務領域をよく理解している従業員に提供する必要があります。

Agent BuilderなどのSalesforceのローコードツールは、誰でもAIソリューションを効果的に設計、構築、導入できるようにします。

Salesforceは、新しいAIの道を切り開く「Agentblazers(英語)」と呼ばれるコミュニティをサポートしています。Agentblazerは、Agentforceを単なるツールとしてではなく、仕事の進め方を再考し、最終的にはキャリアを再構築するための出発点として利用しています。

Agentforceのご紹介: 企業向け完全AIシステム

世界中が新たなLLMの規模に惹かれる中、Salesforceは誇大広告に踊らされることなく、データ、AI、自動化、人を統合した真の統合AIソリューションであるAgentforceの構築に注力しました。

これは、20年以上にわたり、一貫してクラウドコンピューティング、モバイルテクノロジー、予測AIなど、画期的なイノベーションを企業に導入する顧客を支援してきたことと同じです。

Agentforceは単なるAIツールではなく、企業全体に自律型AIエージェントを拡張するために設計された、完全なエンタープライズエージェントプラットフォームです。LLMのパワーと接続されたデータを使用して、実行する必要がある作業を特定し、その作業を実行するための計画を構築し、完全に自律的にその計画を実行します。

Agentforceをあなたのビジネスにとって現実的で信頼できるものにするために必要なものがすべて揃っています。あらかじめ構築されたエージェントをすぐ使い始め、独自のエージェントをカスタマイズしてください。

また、貴社のセキュリティポリシーを適用しながら、優れたデータ取得で作業しながら学習し、適応します。エージェントはCustomer 360とシームレスに統合され、適切なタイミングで従業員に引き渡されます。

Opentable社(英語)はAgentforceでカスタマーサービスを一新しました。Agentforceは、レストランや顧客の質問に答えるだけでなく、予約の変更やロイヤルティポイントの還元を完全に自律的に行うことができます。こうしたタスクを自動化することで、AgentforceはOpentable社のチームをより戦略的で有意義な作業に集中できるようにし、同時に効率と顧客満足度を向上させます。

企業AI革命は到来しましたが、それは決して孤立したLLMやバラバラのツールのことではありません。データ・AI・自動化・Agentblazerを統合して、具体的なビジネス成果を今すぐ実現する、まとまりのあるスケーラブルなシステムを示します。

コパイロットやDIY AIの時代は終わりました。これからはAgentforceの時代です。

※本記事は米国で公開された “LLMs and Copilots Alone Won’t Save You: Why You’re Doing Enterprise AI Wrong” の抄訳版です。本ポストの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。

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