今年は、米国の感謝祭の日が昨年より6日遅れたため、買い物客そして小売店は「ホリデーショッピング(サンクスギビング翌日のブラックフライデーからクリスマスにかけての年末商戦)」のほぼ1週間を失いました。より短い時間でより多くの収益を求める小売店にとって、これは特有の課題となっています。これは、今年最大の購買シーズンにどんな影響を与えるでしょうか。
私たちは数字を分析し、魅力的なホリデーになる要因を予測しました。世界の5億人以上の買い物客のショッピングデータやEコマースサイトの独自調査、1万人以上の消費者の調査を用いたホリデーショッピング予測の上位5つをご紹介します。
Eコマースの収益は世界中に良い影響を与える
米中貿易戦争や小売店の利益の混ざり合い、消費パターンの変化、時期が短くなったことなどの市場の圧力にも関わらず、買い物客は依然としてクリスマス商戦を盛り上げる準備を整えています。Salesforce Commerce Cloudのデータに基づき、11月1日から12月31日まで、今年のホリデーシーズンにおける米国のデジタル収益は、持続的かつ堅実で、前年比13%の成長を維持し、総売上は1360億ドルになると予測しています。
小売店は需要を促すため早期にきっかけをつくる
エンゲージメントやコンバージョンに必要な期間が短くなるため、小売店はシーズンの早い時期に、特別な製品の発売や創造的なコラボレーション、限定品のプロモーションで需要をつくり出すようになるでしょう。シーズンにおけるデジタル収入の50%は、昨年同様、サイバーウィーク明けの金曜日(12月6日)に完了しますが、2019年のホリデーシーズンの支出は、過去最大のショッピングトップ日を超え、伸びると見られています。小売店は、ブラックフライデーのかなり前にクレジットカードを発行する理由をつくるでしょう。実際、私たちのデータによると、感謝祭前の火曜日と水曜日は、世界のデジタル収益が前年比19%増と大きく伸びています。買い物客はもはや、ショッピングシーズンが始まるブラックフライデーやサイバーマンデーを待ってはいないのです。
「クリック&コレクト」は購入機会を広げる
買い物客の多くは、出荷の期限である12月14日までに注文しようと競い合うため、小売店はクリック&コレクト、つまりオンラインで注文した商品を店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pickup In Store)によって、より短いシーズンで収益をあげようとしています。クリック&コレクトなら、たとえ12月14日以降の注文でもクリスマス前に店頭に足を運べば購入できるため、売り上げの寿命を伸ばしてくれます。
このサービスは、小売店にとって、すばらしいパートナーになるでしょう。店頭で注文を受け取ることができるeコマースサイトは、同じ体験を提供していない同業他社に比べ、シーズン最後の5日間で28%高い収益シェアを得るでしょう。
さらに、クリック&コレクトを利用する小売店は、12月25日までの過去5日間で、そうでないサイトよりもアクティブなオンライン買い物客を48%も多くサイトに引きつけます。なお、ここでの「アクティブな買い物客」とは、バスケットを作成し、チェックアウトを開始し、サイト検索を行い、同様のエンゲージメントアクティビティを実行する人たちのことを指します。
ホリデー商戦のジャーニーはエッジへ
かつて、ショッピングは店舗やWebサイトを訪れて購入するという、個別の活動でした。しかし今日では、ほぼ10件のうち1件の購入がソーシャルメディアやメッセージプラットフォーム、音声アシスタントなど、新興のデジタル購入ポイントで発生しています。これらは、ブランドや小売のサイトとは完全に分離されたチャネルです。私たちはこれら自分たちが所有しているもの以外でのポイントを「ショッピングのエッジ。」と定義しています。
10,000を超える世界の消費者を対象にした調査によれば、買い物客は平均して8つの異なるチャネルを使って、ショッピングの過程でブランドと関わりを持っています。今年のクリスマス商戦では、より多くの買い物客がエッジに移動する見込みです。特に旧世代に比べて3.5倍も購入率の高い若年層の買い物客が、こうした新興のデジタル仲介業者を利用するようになるでしょう。
これらのデジタル体験とタッチポイントの購入に関する私たちの予測をご紹介します。
- メールマーケティング: 驚くべきことに、買い物客の68%がホリデー期間中は企業のメールにより多くの注意を払うと答えています。昨年のサイバーウィークでは、買い物客に送られるメールが前年比で20%増加しました。
- Instagram: 買い物客の20%、そしてZ世代の37%が、ホリデーショッピングにおいて、インスピレーションにもっとも影響を与えるソースはInstagramであると回答しています。
- モバイルでの購入: モバイルは公式にデスクトップを上回り、シーズン全体のデジタル注文におけるシェアは52%増加します。デジタルアクセスの70%はモバイルデバイスからのもので、ピーク日は75%に近づきます。
取引と関連性がある場所へ、買い物客は行く
ホリデーシーズン期間中、セール会場に行って、お買い得商品をゲットするバーゲンハンティングは競技スポーツのようです。そして競争は熾烈です。
- 買い物客の47%は、この休日にはセール品しか買わないとまで言っています。
- 買い物客は、セールやプロモーションコードがホリデーシーズンの買い物に影響を与える最大の要因だとも述べています。
- 67%の買い物客が、2019年のホリデーシーズンにAmazonなどのオンラインマーケットプレイスからさらに買い物をする予定だと述べています。
特にサイバーウィークが始まる前に、買い物客は取引を探す代わりに小売店から大きなデジタル割引を受けます。その割引率はサイバーウィークの前週に9%増加します。サイバーマンデーは、年間最高のデジタル割引を達成し、平均割引率は29%になります。
しかし、小売店は価格を引き下げるだけでなく、いかにして利益率を維持し、はるか高くにある消費者の期待とバランスを取るのでしょうか。答えはパーソナライゼーションです。AI(人工知能)が成熟するにつれ、パーソナライズと関連性が、小売店と買い物客の間の値引き競争の対抗手段になるでしょう。昨年、AIを利用した商品のレコメンデーションを行った購買者はそうでない購買者に比べて平均注文額が26%高くなりました。AIは適切な製品を適切なタイミングで適切な場所に配置し、特にモバイルにおいて、小売店の利益率を引き上げ、買い物客に欲しい製品を提供する。パーソナライズ化は双方にとってメリットがあり、誰も妥協する必要がないのです。
私たちは、このエキサイティングな2019年のホリディ・ショッピング・シーズンに向けて準備を進めています。引き続き世界中の5億人の買い物客の活動をモニターし、小売に関する最大のニュースをお伝えしていきます。最新の情報は、こちら(英語)をご確認ください。