2019年2月に提供開始したSpring ’19。今回も多くの機能を提供開始していますが、その中のひとつが、AIをカスタムでつくることができるEinstein 予測ビルダーです。今回は、この機能がどのように提供されているのか?またどのように企業で活用できるのかをご紹介したいと思います。
AIに大きな可能性を感じていながら、AIを利用している企業は国内企業では、わずか12.2%にすぎません(AIの利用実態調査についてはこちら)。企業はAIを活用したいと考えていますが、実際にAIを導入するとなると、さまざまな壁にぶつかります。
第1に、ビジネスにおいて、どのような問題をAIで解決したいと考えているのかを明らかにする必要があります。ビジネスを改革する上で、「過去に何が起きたのか」を把握したいのか、「これから何が起こるのか」を予測したいのか、「どのように対処すればよいのか」を知りたいのかを見極めなければなりません。
第2に、アルゴリズムにかけるデータを収集し、前処理を行う必要があります。ほとんどの企業ではデータが複数のシステムに分散しているため、この収集作業だけでもかなり難しいことは明らかでしょう。
第3に、モデルを構築するためには、データサイエンティストが必要になります。しかし、そのような人材を雇用して、投資できる企業はかなり稀でしょう。
そして、一番大切なことは、構築したモデルから、実際にビジネスに有益だと思われるインサイトを得て、営業やマーケティング担当者、サポート担当者などに利用可能なものとして提供しなければなりません。
AIを利用する壁をいかに低くして、「AIの民主化」を図るか。この答えとしてセールスフォース・ドットコムが提供開始したのが、2016年に発表したSalesforce Einsteinです。営業支援やマーケティング、カスタマーサービス、Eコマースなどの領域において、さまざまなEinsteinの製品が業務の生産性を高めたり、より良い顧客体験を提供できるように支援しています。
※レコード単位の要因を生成する機能は現在提供されていません。 ※Lightning コンポーネントでの表示には開発が必要です。
これらのEinstein製品に加えて、先日Spring ’19で新たに提供を開始したのが、Einstein 予測ビルダーです。これにより企業は、データサイエンティストなど特別な専門家がいなくても、データ分析に詳しくなくても、クリック操作で、独自の予測モデルを構築し、AIを活用することができるようになったのです。
Einstein 予測ビルダーでは、Auto Machine Learning(機械学習の自動化)の技術によって、データの収集や、ローデータのフィルタリング、データに応じた最適なモデルの選択やデータの最適化など、AIを利用するために必要なプロセスをバックグラウンドで自動化して、業務に最適なAIを提供できるようになっています。
Einstein 予測ビルダーはSalesforce上に格納されたあらゆるデータを利用して、カスタムでAIのモデルをつくることを可能にします。例えば、ある保険会社では、この機能を利用して、解約の可能性が高い顧客をスコアリングして、解約する前に担当者にアラートすることで事前に解約を防ぐという試みを行っています。
このような使い方の他にも、成約率や売上金額などの営業のKPIを予測したり、コンタクトセンターが顧客満足度を測るために利用したりといったようなことにも利用可能です。
また予測だけではなく、実際のアクションなどにもつなげられるように、プロセスビルダーとも連携して、予測をもとにビジネスアクションを起こす設定をするという使い方も可能です。
実際どのように利用できるのかを、ぜひ無料オンライン学習サービスである Trailheadの「クイックスタート: Einstein 予測ビルダー」からお試しください。