Trader Joe’sの店員の柔和な笑顔と、Appleの洗練されたデザイン。この2つに共通することは何だと思いますか?その答えは、どちらの企業も、経営陣が従業員エンゲージメントに力を入れているということです。それによって、顧客体験の向上だけでなく収益も増加することが、調査で明らかになっています。
こうした取り組みは、驚くべき成果を出しています。SalesforceはForbes Insights と共同で、従業員体験(EX)や顧客体験(CX)を担当している300人の経営幹部にアンケートを実施しました。その結果、上質なCXを提供するためにEXを重点的に改善した企業は、収益成長スピードが1.8倍速いことがわかったのです。反対に、顧客体験だけに注力している企業には、従業員体験の向上や収益増との相関が見られませんでした。この調査結果は、収益増やビジネス継続性の取り組みにおいて最初に行うべきことは、市場が変化しても一貫して成長を促進できるような従業員体験の最適化であることを示しています。
「お客様に自社ブランドを愛してもらうための最短の方法は、従業員に自分の仕事を愛してもらうことです」Salesforceのグロウス・イノベーションエバンジェリストであるTiffani Bova (英語)は、そう語っています。企業が発展するためには、社内に目を向ける必要があるのです。
従業員体験を向上するために企業ができることは、いくつもあります。
- 管理の効率化:従業員の心身の健康状態を評価する自動システムを利用する
- 企業文化の変革を支援:情報をより直感的で利用しやすいものにする
- 部門横断型のチームを立ち上げてその活動を奨励:従業員と顧客に関連する体験を強化する
- 統合を実現するテクノロジーに投資:従業員のトレーニングとセキュリティ保護、重要データの収集、統合された体験の評価を継続的に実施する
今回は従来の調査に加え、米国顧客満足度指数(ACSI)とGlassdoorによる長文のインタビューと机上調査が含まれています。
調査チームは「顧客体験」を、上場企業が顧客の期待に応えているか、および全般的な満足度にもとづいて定義し、「従業員体験」の測定には、Glassdoorの従業員エンゲージメント、および従業員満足度のレーティングを使用しました。また、収益成長率の測定には、調査対象企業の3年間の複合年間成長率(CAGR)の中央値を使用しています。
それでは、市場が急速に変化するなかでも増収とビジネス継続を達成した組織はどのような取り組みをしてきたのかをご紹介しましょう。
ビジョンを統一して企業文化の変革に取り組む
調査結果によると、企業文化の変革に対して意思統一ができていないことが、変化に立ち向かううえでの障壁となります。具体的には、意思決定の最も高いレベルにあるEXリーダーとCXリーダーの間でビジョンが共有されていないという意見が多く見られました(CXリーダーの41%がそのように回答)。一方で、企業文化の変化に対する抵抗感も同じくらい重要です(EXリーダーの43%がそのように回答)。
組織の仕組みを見直すのは簡単なことではありません。しかし、従来とは異なる市場で顧客数を大幅に増やすことに成功した企業は、企業文化の変革の必要性を認識しています。共通のビジョンにもとづいて連携を進めるには、イノベーションの推進を強く望むリーダーが必要です。そこで、ビジョンに沿ってチームの結束を実現するのに威力を発揮するのが、統合CRM (英語)ソリューションです。
こちらの調査 (英語)によると、顧客の84%は製品やサービスと同じくらい、企業が提供してくれる体験を重視しています。こうした状況のなか、企業にできることは、CX指標に沿って従業員のやる気を高めること、そして、機能横断型のチームを立ち上げてCXとEXの両方に取り組むことです。
EXとCXのスキルを集めて機能横断型のスキルセットを構築する
企業文化に関する障壁を克服するには、EXとCXのスキルを備えるメンバーを集めてチームを作るのが最善の方法だと、調査対象となった経営幹部の40%が回答しています。しかし、企業文化に問題がない場合でも、顧客を一元的に把握するための第一歩はチームを1つにまとめることです。
こうしたグロースハッキングを実践した企業は、CX指標に沿って従業員のモチベーション向上にも取り組んだと述べています。従業員体験の改善が、従業員が日々接している顧客の体験の改善につながるのです。統合CRMソリューションは、顧客とのやりとりを複数のタッチポイントで追跡できる、実証済みのソリューションです。さらに重要なことに、顧客の履歴データを安全に保管して、顧客の好みに合わせてあらゆるやりとりをパーソナライズすることができます。
従業員が燃え尽きる前に対処する
快適なリビングルームで仕事とプライベートを区別することが今ほど難しい時代はありませんでした。自宅で仕事をするということは、昼も夜もなく働く環境があるということです。したがって、従業員の過重労働を防止することの重要性が高まっています。
収益成長企業のリーダーの89%が、EXを改善すればCXも改善されると回答しています。従業員体験を、戦略的に必要なことと認識しているのです。収益成長率や顧客満足度が高い時期でも、CXの低下に直結する従業員の燃え尽きや離職率の増加を防ぐためにはEXへの注力を続ける必要があることが、このレポートでは明らかになっています。リーダーが従業員の日々の働きに感謝の気持ちを述べたり、創造的で新しいキャリア開発方法を用意したりしていない企業は、従業員が燃え尽きるリスクが高い状態にあります。
幸いなことに、テクノロジーが進化したおかげで、高まるニーズに対応し、継続的なトレーニングソリューションを合理化して従業員のエンゲージメントを維持 (英語)することは可能です。ソリューションを選ぶときは、心身の健康を促進するプログラム (英語)が組み込まれているものにします。同時に、リアルタイムのインサイトを収集して従業員のケアに役立てましょう。平均的な組織では、900個のアプリケーション (英語)が導入されていますが、連携がとれているのはそのうちの28%に過ぎません。情報のサイロ化から脱却できていない企業は、従業員の日常業務に必ずしも重要でないものに投資を行っています。
Brittani Marie
Brittani Marieはブランドエディトリアルリーダーであり、その専門知識を活かして、作家、コンテンツストラテジスト、そしてエンタープライズストーリーテラーとしても活躍しています。Huffington PostやThe Daily Mail、Essence、Buzzfeedなど、多数のメディアに寄稿しています。