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5ステップで実現するヘッドレスコマース – その必要性を組織に納得してもらうには

5ステップで実現するヘッドレスコマース – その必要性を組織に納得してもらうには

APIを使用してEコマースツールのフロントエンドとバックエンドを分離すれば、よりスムーズで対象を絞った顧客体験を実現できます。

ソーシャルメディアから、ライブコマース、メッセンジャーアプリに至るまで、商品をオンラインまたは店舗で安全な距離を取って見つめるだけの時代は終わりました。ソーシャルディスタンスの時代では、顧客は平均で9種類ものチャネル(英語)を利用して在庫を調べ、参考情報を求めながら買い物をしています。モバイルの普及に、今回のパンデミックから生まれたソーシャルコマースのような新しいトレンド(ソーシャルチャネルの参照は前年比104%増(英語))が相まって、さまざまなチャネルを利用する顧客に対して統一感を打ち出すことが、ブランド各社にとっての新たな急務となっています。企業間(B2B)(英語)と企業対消費者(B2C)、どちらの形態の取引においても、今こそヘッドレスコマース(英語)を組織に導入するときです。

ヘッドレスコマースは、一貫性のあるブランド体験を目指すコマースリーダーたちから注目を集めています。ヘッドレスコマースとは、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を使用して、ソーシャルメディア、カーブサイド・ピックアップ・アプリ、オーダーメイドのEコマース・ストアフロントなど、企業およびサードパーティの消費者タッチポイントを横断してオムニチャネルジャーニー(英語)をつなぐアーキテクチャです。買い物客がエッジ(ソーシャルメディアなど、従来の店舗以外での買い物)に移行するにつれて、APIの必要性が増しています。たとえば、2020年のサイバーウィーク期間中、APIの利用は前年比で51%増となり、APIコール数は10億回以上に達しました。

ヘッドレスコマースとは?

定義:ヘッドレスコマースとは、Eコマースアプリケーションのフロントエンドとバックエンドを分離したアーキテクチャです。ヘッドコマースを導入することで、ブランド(通常は大規模な開発チームとITチームを持つ大企業)は、APIを使用して必要なときにビルドのプログラミングやカスタマイズができます。その結果、より優れたユーザーエクスペリエンスをお客様と従業員の両方に提供できます。

ヘッドレスコマースは、初心者にとって敷居が高いものと捉えられるべきではありません。開発者ツールやテクノロジーソリューションとは異なる考え方です。言わば、新しいチャネルにコマースを組み込み、臨機応変に最良の結果を顧客にもたらすために、チームが柔軟性と俊敏性を維持することを可能にする組織的な変化(英語)なのです。

もしあなたがヘッドレスコマースを検討しているなら、次の5つのステップが役に立つはずです。チームを味方に引き入れ、一貫性のあるブランドエクスペリエンスの創出を始めましょう。

ステップ1:お客様のユースケースを1つ作る

リーダー層からヘッドレスコマースへの賛同を得るには、テクノロジーやチャネルではなく、顧客の現在のペインポイント(悩みの種)に焦点を当てる必要があります。顧客があなたのブランドにたどり着いた方法(検索、ソーシャルメディア、その他のメディアなど)を、正確に把握しましょう。その際、つまずいているのはどの部分でしょうか?必要な情報をスムーズに提供できていないがために、顧客に別のアプリを操作させたり、手動で商品の検索をさせたりしている原因はないでしょうか?

このユースケースを出発点にします。そして、そのお客様の未来の姿を描いてみましょう。どうすればその行程のステップを効率化できるでしょうか?どのツールを使えば、多様なお客様の行動に合わせることができるでしょうか?重要なのは、現在の顧客体験を中心としたヘッドレスのアプローチで何が可能になるかを示すビジネスケースを構築することです。

ステップ2:ヘッドレスコマースに対しリーダー層からの賛同を得る

マーケター、マーチャンダイザー、デジタルの各チームを集めましょう。なぜなら、そういった業務に携わるメンバーこそ、このアプローチを広める必要があるからです。多くの企業では、ヘッドレスへの移行はIT主導で行うものだと考えられています。しかし、コマースの成功にはさまざまな業務部門が関わるため、ステークホルダーがコマース変革を先導する必要があります。  

そこで、あなたのユースケースを提示してください。お客様のペインポイントと、それがビジネスに与える影響を共有します。そうすれば、皆がその問題を解決しようという気持ちになるでしょう。データやヒートマップを使った具体的な例を提示して、現在お客様が企業ブランドとどのように関わりをもっているか、チャネル全体について示します。トレンドや業界調査結果を取り入れて、主張するポイントを裏付けましょう。最後に、問題を解決しない場合にブランドの将来がどのようになるか(すなわち「機会費用」)を予測し、伝えます。

プロのアドバイス:この時点では「ヘッドレスコマース」という用語を出さないようにします。この用語を出すのが早すぎると、難しくて込み入った話のように聞こえてしまいます。最初のミーティングの主な目的は、お客様の観点から見た課題と、何が危機にさらされているかを全員が理解できるようにすることです。

ステップ3:新しい体験の設計を支援してくれるパートナーを見つける

企業ブランドの「成功」を定義します。API主導のヘッドレスコマースアプローチについて言及するのはこのタイミングです。ただし、聞き手が理解できるような伝え方をしてください。たとえば、顧客体験の責任者にプレゼンテーションを行うのであれば、ヘッドレスコマースがいかにブランド認知度を高め、新規顧客の獲得につながるかを訴えます。

次に、新しい体験の設計を支援してくれる信頼できるパートナーを選びます。Commerce Cloudのようなプロバイダーは、ドラッグ&ドロップ型のツール、API、堅牢なパートナーエコシステム(英語)を通して、企業のユースケースに合わせたカスタマイズや、新しいチャネルにコマースを組み込むことを可能にします。また、こうしたツールを使うとシステムステータスを可視化(英語)できるため、店舗にかかる負荷を軽減できます(パンデミックが始まって以来、多くのブランドがデジタルコマースにおいて年末商戦時のような数字を目にしてきました。そのため、ヘッドレスコマースは、2021年にも想定されるピーク時に備えるための要素でもあります)。

ステップ4:サービスを開始、テスト、学習する

チームにとって最大の変化の1つはマインドセットです。大抵の場合、メンバーは時間をかけて1つ1つの体験の完成度を高めることに慣れています。しかし、ヘッドレスコマースではアジリティ(俊敏性)に慣れる必要があります。すぐにサービスを開始し、顧客の反応を評価して、そこからの学びを次に活かすのです。

重要なのは、小さく始めて、すばやく成果を上げることです。すべての問題を解決しようとせず、最初のユースケースに集中してください。とにかくまずは、現在のプロジェクト範囲から逸脱しないようにします(要件変更が発生すると進捗が遅れます)。そして、主要なマイルストーンを含むロードマップを設定し、継続的にリーダー層に説明して投資収益率(ROI)を示しましょう。学習を続け、次のユースケースに対応するための準備をしてください。

ここで1つ、実際のケースを見てみましょう。Under Armour社(英語)の場合、アスリートのニーズを先取りしてより良いサービスを提供するという目標は、トラフィックの大半がモバイル端末からのアクセスになったため、達成が難しくなりました。モバイル機器による訪問者のコンバージョン率と平均注文額が低かったため、実際の収益は訪問者数から期待される額よりも1億1,500万ドル少ない結果になりました。そこで同社は、Commerce CloudとMobify(ヘッドレスコマースのためのWebストアフロント。現在はSalesforce傘下)を使い、Progressive Web App(PWA)に移行して26の国際市場でサービスを開始し、魅力的なモバイル体験を通じて重要な瞬間にアスリートにアピールしています。API主導のヘッドレスコマースアーキテクチャにより、チームは迅速なサービス開始、結果の確認、イノベーションを繰り返して新しいWebアプリ体験を生み出せるようになりました。API主導のヘッドレスコマースアプローチを用いたUnder Armourの取り組みについては、こちらで詳しく紹介(英語)しています。

ステップ5:一貫した体験を実現し、改良する

ヘッドレスコマースソリューションは、顧客体験に関する1つの課題を解決するだけのものではありません。統一されたブランド体験を提供するには、APIを使用して、Pinterest、Instagramショップ、メッセンジャーアプリなど、より多くのサードパーティーソースを連携しましょう。

さらに一歩踏み込んで、Eコマース、マーケティング、サービス、および注文管理を、信頼できる唯一の情報源(英語)であるデータにつなげます。新たなチャネルにEコマースを組み込むことで、チームは1つのプラットフォームから新しい体験をすばやく展開し、消費者行動のトレンドや変化に対応できます。

ヘッドレスコマースを始めよう

2021年も、消費者行動が変化し続けることは間違いありません。デジタルショッピングチャネルが主流となり、デジタル店舗での需要が続くでしょう。ヘッドレスコマースを使えば、ブランドは常に準備を整え、その時々に合った適切なチャネルで適切な体験を提供することができるようになります。

Abhi Sharma

Abhi Sharmaは、製品管理担当バイスプレジデントとしてSalesforce B2C Commerceチームを率い、Trust、マーチャンダイジングアプリ、ストアフロントショッピングアプリ、開発者ツール、パートナーエコシステムなどを担当しています。これまで新しいコマースAPI、ヘッドレスゲートウェイ、SDK、Sandbox、Commerce Cloud Developer Center、および拡張性の高いコマースサービスの再構築などを通じて、B2C開発者体験の変革をリードしてきました。AbhiはSalesforceのお客様やパートナーと常に交流し、Commerce Cloudのロードマップの周知や、新たなイノベーションの継続的な提供に尽力しています。Salesforceの前は、Amazon、Microsoft、Oracleの各社で製品およびエンジニアリング部門を率いました。

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