Skip to Content

営業育成は“名門サッカーチーム”に習え!インサイドセールスが貢献する組織のあり方とは?

営業育成は“名門サッカーチーム”に習え!インサイドセールスが貢献する組織のあり方とは?

マーケティングが得た見込み客情報を温め、商談として営業に引き渡す「インサイドセールス」という役割が、注目されています。インサイドセールス導入の際、重要になるポイントとは?

デジタルの進化により、企業規模を問わず、デジタル上で広告展開をすることが可能になってきています。そうした背景から、今はどのような規模の企業であっても、顧客情報をもとにした営業活動が盛んになってきています。しかし一方でWebなどを通じて苦労して得た顧客情報をもとに営業をかけても、なかなか商談に至らないケースが多々あるのも事実。

「リストにはこんなに情報があるのに…買ってくれそうな顧客はどこに?」という声が営業フロアから聞こえてきませんか?

こうした会社には3つの共通する悩みが見受けられます。

  • 「見込み客の温度感がバラバラ」 マーケティング施策からの見込み客発掘率は一般的に数%程度。営業が期待する見込み客は、早々見つからない。
  • 「見込み客をほったらかし」 「今は必要なくても、そのうち検討したい」という見込み客を放置したまま。
  • 「営業ノウハウが属人化しており継承されない」 一部のスーパー営業マンに頼りきり、次世代を育てきれていないため、組織力の底上げができていない。

そのような背景において、マーケティングが得た見込み客情報を温め、商談として営業に引き渡す「インサイドセールス」という役割が、新たな潮流で大きな役割を果たす仕組みとして注目されています(インサイドセールスの役割や運用方法について、詳細についてはeBookをご覧ください)。

このインサイドセールスの真価は、営業活動の効率化に留まらず、組織を活性化する点にもあるようです。インサイドセールスを早期に導入し事業を拡大してきた、セールスフォース・ドットコム。今回、同社におけるインサイドセールスについて、セールスディベロップメントに所属する3名にインタビューを実施。

その中で、セールスフォース・ドットコムは「営業のバルセロナである」という答えが返ってきました。これは「世界中からスタープレイヤーを集めている」という意味ではなく、バルセロナが保有する下部組織「カンテラ」にあるということです。

写真左から、セールスディベロップメント シニアSDRマネージャー 鈴木淳一、セールスディベロップメント 部長 今村和広、セールスディベロップメント SRマネージャー 杉山直矢
セールスディベロップメントに所属する3名。写真左から、シニアSDRマネージャー 鈴木淳一、部長 今村和広、SRマネージャー 杉山直矢

——セールスフォース・ドットコムでは、新人をインサイドセールスに配置することで、大きな成果を上げていると伺っています。その狙いはなんでしょうか?

鈴木淳一(以下鈴木):私が関わる多くの企業さまでは、営業が育たないという共通の課題を持っていらっしゃいます。例えば新人や若手の営業マンが新規の飛び込み営業をします。提案できるか分からないまま訪問し、空振りをして帰ってくる。効率が悪く、教育もままならないため成果も出ない結果疲弊してしまい、定着率が悪くなってしまうのです。

今村和広(以下今村):私たちが新人をインサイドセールスに配置する狙いとして、一つはコミュニケーションの基礎を養うことが挙げられます。インサイドセールスは単なる「アポインター」ではありません。

見込み客に興味を持ってもらい、商談に結びつけなければなりません。そのためには、相手の立場に立ったセールストークや情報提供など、どんなコミュニケーションをするべきかの基礎を身につける必要があります。インサイドセールスは非対面でのコミュニケーションなので、お客さまとの間の取り方や、コミュニケーションの基礎が鍛えられるのです。

セールスディベロップメント 部長 今村和広

鈴木:視覚情報がゼロの状態なので、いかに口頭だけで分かりやすく説明するかというスキルが鍛えられますね。またタイムマネジメントスキルにも良い影響があります。

お客さまがつかまりやすい時間とか、メールを見てもらいやすい時間、役員の方がつかまりやすい時間というのが、身体に刻まれます。インサイドセールスを経験していない人は、そうした時間に提案書を書いたり、意味のないメールを打ったりしてしまいがちです。しかしインサイドセールスを経験していると、確実に役員がつかまる時間に、一気に40-50件電話するなど、より効率的な営業活動ができるようになります。

セールスディベロップメント シニアSDRマネージャー 鈴木淳一

——マーケティングから外勤営業への橋渡しをする一方で、将来外勤営業へ進むための基礎が出来上がるということですね。しかし昨今ではBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)*も盛んです。経験豊富な外部にアウトソースする選択肢もあるのではないでしょうか?

杉山直矢(以下杉山):私もBPOの営業代行を使ったりするのですが、社内で行った場合と比較して、渡した商談が誰に渡って、どんな反応だったかをダイレクトに知ることができないという点で大きく違うと考えています。

アウトソースでは、アポイントを何件送ったということがゴールになってしまいがちです。つまり、その後にどの商談が決まったのかといったフィードバックを共有して、ノウハウを蓄積するというところまで至らないケースが多いのが現状です。

鈴木:アポイントを取って日程調整するだけなら、それこそテレフォンアポインターでいいわけです。弊社の場合、20近いヒアリング項目があり、これを全て埋めなければいけません。どんな課題を感じていらっしゃるか、いつごろまでに検討したいか、どういう状況であれば買うか買わないか。こうした踏み込んだところまで聞けるかどうかが、商談として進む可能性に大きく関わります。これだけのことをアウトソースするのは現状難しいと考えています。

杉山:また弊社では、キャリアパスの仕組みによって社員のモチベーションを高め、社内にインサイドセールスを置くことの効果を最大化しています。インサイドセールスは将来外勤営業に進むための教育機関でもあります。そこで評価されれば、段々と外勤営業へのステップを上がっていくというキャリアパスを明確に提示しています。

弊社の場合、アポイントの数だけではなく、活動量と商談の質の両方が評価対象となっています。このようにキャリアパスとその評価制度を透明にすることで、今弊社のインサイドセールス部門のメンバーは、皆モチベーション高く、辞めることなく、楽しく競争しています。

セールスディベロップメント SRマネージャー 杉山直矢

——フィードバックを共有する仕組みと、社内におけるキャリアパスによって、インサイドセールスの効果を最大化しているわけですね。

今村:弊社のインサイドセールスには、商談を作るという役割と別に、次の世代のエースを作るというミッションも持っています。そういう意味でも自社でやる意味は大きいですね。またインサイドセールスを経たからこそ強い営業になれるのだと考えています。

杉山:弊社の営業組織は、サッカーチームのバルセロナに例えることができると考えています。バルセロナは、言わずもがなの名門FC。世界中からトップの選手が加入すると言うこともありますが、トップチームにいる選手の多くはカンテラという下部組織(ユース組織)出身で、選手育成のための「教育機構」がしっかりしているのが強さの秘訣とも言われています。弊社の場合、インサイドセールスがカンテラにあたり、外勤営業がトップチームです。

カンテラ出身の選手がなぜトップチームで活躍できるかというと、トップチームと同じ戦術を用いているからです。例えば、トップチームの戦術が目まぐるしく変わったとしても、どんな選手が活躍するのか、あるいは監督に評価されるのかといった点を、下部組織にいながら見ています。そのため、ポンとトップチームに放り込まれても対応できるわけです。

鈴木:インサイドセールス導入についてお話をしているお客さまの中には、もちろん新人ではなく中堅やシニア層をインサイドセールスとして配置するケースもあります。ただ最終的には、新入社員に最初の半年か1年間やらせて、最終的には若手の育成部門となるモデルにしてほしいとお話させていただいています。これがほかのお客さまの成功パターンでもあるからです。

機会の最大化を図る成果の面と、営業の教育という面で有用なインサイドセールス。まだインサイドセールスを導入していない企業さまは、ぜひ自社への導入を検討していただきたいですね。

インサイドセールスで営業効率化を図りたい方はぜひ「インサイドセールススタートブック」をご覧ください。

*ビジネス・プロセス・アウトソーシング=業務やビジネスプロセスを外部業者に委託すること。ここでは、営業のアポイントを取る場合の電話代行サービスなどを指す。

今、知るべきビジネスのヒントをわかりやすく。厳選情報を配信します