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Einstein(アインシュタイン)で顧客対応時間が半減。AIで進化するイーデザイン損保のコンタクトセンター

東京海上グループのデジタルR&D組織としての役割も果たすイーデザイン損害保険会社がSalesforceのAI「Einsitein(アインシュタイン)」を活用したコールセンター改革に挑んでいます。顧客対応時間が半減するなど、すでに成果が生まれている同社のAIプロジェクトを紹介します。

イーデザイン損害保険がSalesforceのAI「Einstein(アインシュタイン)」を活用してコンタクトセンターを進化させています。顧客とのやり取りにAIを取り入れ、ACW(平均後処理時間)が50%削減するなど、まだ取り組み始めて間もない中、成果がすでに表れています。東京海上グループのデジタルR&D組織とも位置付けられる同社のAIチャレンジを紹介します。

その返信、AIの Einstein (アインシュタイン)がやっておきます。

この記事ではカスタマーサービス向けAIを紹介しています。

その返信、AIの Einstein (アインシュタイン)がやっておきます。

東京海上グループのデジタルR&D組織

イーデザイン損害保険(イーデザイン損保)は東京海上グループで、個人向け自動車保険に特化した企業。テクノロジーを活用した販売や顧客対応を得意としており、「東京海上グループ内のデジタルR&D(研究・開発)組織としての役割も担っています」(竹内隆お客さまサポート部長)。

イーデザイン損害保険株式会社 竹内隆お客さまサポート部長

AIなどの先進テクノロジーをいち早く取り入れて検証し、効果がある技術やツールは、そのノウハウも含めてグループ会社に共有。グループ全体のデジタル変革の先駆者であり先導役としての位置付けでもあります。

顧客との重要なタッチポイントであるコンタクトセンターは、東京・新宿区と宮城・仙台市の2拠点に設置。テックタッチ(Webサイトやチャットボットなどを通じたデジタルコミュニケーション)とヒューマンタッチ(有人チャットやメール、電話を通じて人によるコミュニケーション)を有機的に組み合わせた対応を行っています。

イーデザイン損保はこれまで、Salesforceの「Financial Services Cloud」や「Marketing Cloud」、「Tableau」などのソリューションを活用してカスタマーセンターの業務効率化や顧客満足度向上を推進してきましたが、AIの活用にも積極的に取り組んでいます。

イーデザイン損保様のこれまでのSalesforce導入事例

フルクラウドのシステム基盤で目指す、損害保険サービスの「究極のCX」(2023年4月)

試した3つのAI活用領域

これまでのAI活用領域は、主に下記の3つです。

  • 顧客と事故対応担当者の最適なマッチング
  • 不正請求検知
  • バーチャルコンシェルジュ(アバター)による顧客対応(実証実験)

顧客と事故対応担当者の最適なマッチング

最適なマッチングでは、顧客とオペレーターに予め実施したコミュニケーションに関するアンケートを実施し、それに基づいて事故が起きた際に、相性の良いオペレーターをAIで選任するというもの。

米国の心理学者が提唱した「ソーシャルスタイル理論」と呼ばれるメソッドを活用し、「感情を出すタイプか、抑えるタイプか」、「意見を聞くタイプか、主張するタイプか」をアンケート。その結果から顧客の好みのコミュニケーションスタイルを推定し、事故にあった場合にスムーズな会話ができる最適なオペレーターを選び出します。

不正請求検知

過去の不正請求情報を学習したAIが、不正請求があった際にそれを検知するというもの。これまですべて人がチェックしなければならなかったが、AIを活用することで業務の効率化を実現しています。

バーチャルコンシェルジュによる顧客対応

問い合わせが多い自動車保険の車両入替業務で生成AIを搭載したバーチャルコンシェルジュが対応する内容。本実証実験の結果を踏まえ、引き続きAI技術を活用した顧客体験のさらなる向上を目指しています。

Einsteinでコンタクトセンター革命

着実にAIを業務に根付かせているイーデザイン損保ですが、今年に入ってさらにAI活用にドライブをかけ、コンタクトセンターのオペレーターの日々の業務に、SalesforceのAI「Einstein(アインシュタイン)」を活用した検証を開始しました。

具体的にはカスタマーサービス向けEinsteinを活用し、顧客とオペレーターの有人チャットのシーンで、2つのトライアルを始めています。

1つは、「Service Replies(サービス返信)」という機能を活用し、顧客の問い合わせ内容に対して蓄積したデータから最適な返信を自動生成するもの。これによってオペレーターの平均処理時間( Average Handling Time=AHT)の削減をつなげようとしています。

その検証結果について、竹内部長はこう話しています。

「情報表示のスピード、回答の正確性、特徴の把握という3点で主に検証しています。表示スピードは5秒程度で、業務で使えるレベル。正確性は質問と用意したナレッジが一致しないと正しい答えが返ってこないので正確な回答が出しやすい形で、ナレッジを登録することが必要。特徴は短文の質問には正しい返答が出ないや、複数の質問をした場合、最初の質問しか回答しないなどいくつかのポイントが見えてきました。いずれも改善すれば精度が上がる感触は得ています」

もう1つのトライアルは「Conversation Summaries(会話サマリー)」という機能を活用した、チャット後のその内容を自動要約する内容。この機能では、オペレーターの平均後処理時間(After Call Work=ACW)」の削減を図っています。

「この機能では要約の精度、オペレータ業務の考慮点、特徴の把握がポイント。精度は本番で十分利用できる水準で、ACWが50%削減できたケースもありました」(竹内部長)。

オペレーターの業務への考慮点や特徴としてはチャットに残らない情報はオペレーターが追記する必要があることなど「いくつかの気づきや課題を得られた。実用化に向けてさらにブラッシュアップしていきたい」と竹内部長は語っています。

イーデザイン損保は、今回の2つのトライアルをStep1と位置付けており、Step2やStep3の青写真も描いています。

「次の段階では、テキストだけでなく音声にも対応したAI活用。Step3では顧客向けの生成AIの活用やCRMデータも含んだAIアシスタントの活用などでデータ+生成AIによる顧客体験価値を向上させていきたい」(竹内部長)。

東京海上グループのデジタルR&D拠点として先進技術の活用に積極的なイーデザイン損保。AIでも同グループの牽引役として、また損保業界をリードする存在として今後も注目です。

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