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コールセンターで活用されているAIの種類|事例や導入手順も解説

コールセンターでもAIを活用すると、さまざまなメリットが得られます。本記事ではコールセンターで活用されているAIの種類や導入事例を解説します。導入するメリットやデメリットも解説しますので、AIシステムを導入したいコールセンター事業者はぜひ参考にしてみてください。

コールセンターの人手不足や稼働率の低下などの課題を解決するために、AIの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。

コールセンターにチャットボットやボイスボットなどのAIを導入すると、オペレーターの負担軽減や対応品質の統一などのメリットが期待できます。

しかし、AIの知識がないまま導入すると、自社に合った製品を導入できず思ったような効果が得られないこともあるでしょう。

本記事では、コールセンターに導入できるAIの種類や導入の手順などを解説します。企業の導入事例も詳しく紹介するため、AIで生産性を向上させたいコールセンター事業者の方はぜひ参考にしてみてください。

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コールセンターでAIを活用して解決できる課題

コールセンターの運営においては、以下のような課題があります。

  • 人材不足に陥りやすい
  • オペレーターのスキルに差が生じやすい
  • 教育に時間がかかる

コールセンター業界は電話対応やクレーム対応などによるストレスが大きく、離職率が高い職種といわれています。

厚生労働省の「令和6年上半期雇用動向調査結果の概要」によると、コールセンター業が該当する「サービス業(他に分類されないもの)」の離職率は10.9%でした。ほかの産業と比べて3番目に離職率が高く、人材不足が深刻であることがわかります。

また、顧客対応の品質はオペレーターのスキルに左右されやすく、対応品質に差が出やすいのも課題です。オペレーターの教育にも時間がかかるため、早急な課題解決が求められています。

以上のような課題を解決する方法として注目されているのがAIの活用です。AIがオペレーターの代わりに顧客対応をしたり、新人オペレーターのサポートをしたりすることで業務の効率化が期待できます。

コールセンターの主な課題と解決策は以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

関連記事:コールセンターによく見られる課題とその解決策

コールセンターで活用されているAIの種類

コールセンターでは、以下のようなAIが活用されています。

  • チャットボット
  • ボイスボット
  • FAQシステム
  • 音声認識ツール
  • テキストマイニング
  • AI検索システム

それぞれできることが異なるため、特徴を理解したうえで、自社に必要なシステムが何かを検討しましょう。

コールセンターでのAI活用術は以下の記事で解説しているため、あわせてお読みください。

関連記事:コールセンター業務を劇的に変えるAI(人工知能)活用術

チャットボット

チャットボットとは、チャット(対話)とロボットを掛け合わせた言葉で、ユーザーの質問に対して自動で返答するシステムです。AI搭載型と非搭載型のものがあります。

AI搭載型のチャットボットは、ユーザーが入力した問い合わせ内容を分析し、過去のデータをもとに最適な回答を提示できるのが特徴です。

営業時間外でも顧客の対応が可能になり、カスタマーサポートの利便性を高められ、顧客満足度の向上につなげられます。

チャットボットについては以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

関連記事:チャットボットで、問い合わせ業務を効率化・高速化!

ボイスボット

ボイスボットは、音声認識機能や対話型プログラムなどによって、顧客の音声による質問に対し自動で適切な回答ができるAIシステムです。

顧客からの問い合わせを適切な部署につなげ、待ち時間の短縮やスムーズな連携を実現できます。シンプルなお問い合わせ内容をボイスボットで自動化し、複雑な問い合わせをオペレーターが対応するといった棲み分けをしやすいのが特徴です。

FAQシステム

FAQシステムとは、顧客のよくある質問に対してあらかじめ用意した回答を表示し、疑問を自己解決できるシステムです。顧客向けとオペレーター向けの2種類があります。

顧客向けのFAQシステムの場合、問い合わせをする前に自身で疑問を解決できるようになるため、オペレーターの負担軽減に効果的です。

オペレーター向けのFAQシステムは、電話対応で最適な回答を探す際に活用されます。必要な情報を簡単に検索できるので、新人オペレーターでもスムーズに対応できるのがメリットです。

AIと音声認識機能が搭載されているFAQシステムでは、顧客の電話音声をリアルタイムでテキスト化して、システム上のデータから最適な回答をオペレーターに提示してくれるものもあります。

音声認識ツール

音声認識ツールはAIの音声認識機能を活用し、通話内容を自動でテキスト化できるシステムです。オペレーターの通話内容を可視化できるため、品質のチェックや分析に役立ちます。

模範となる顧客対応をテキスト化すれば、オペレーター全員にノウハウを共有でき、全体のスキルアップを実現できるでしょう。

新人教育のための教材づくりや対応マニュアルの作成にも活用できます。

テキストマイニング

テキストマイニングとは、大量の文章や言葉からデータを分析し、文字列データや数値データなどを抽出できるAI技術です。

コールセンターでは、問い合わせ内容から商品・サービスの改善点を見つけ出したり、クレームの傾向を分析して事前に対策を打ったりできます。

FAQシステムやチャットボットなどと連携できる場合もあり、各システムに寄せられた問い合わせのデータ分析を集約できるのも強みです。

コールセンターへのAI導入・活用事例

コールセンターでAIを導入した事例として、以下の3つを紹介します。

  • 株式会社ビックカメラ
  • ベルーナ
  • 株式会社Dai

それぞれどのように活用し成果が得られたか詳しく把握できますので、ぜひご覧ください。

株式会社ビックカメラ

株式会社ビックカメラでは創業からの理念である「お客様喜ばせ業」を実現するためのDX施策として、コンタクトセンターの効率化に取り組みました。

取り組み前は、顧客から届いた電子メールをオペレーターが手動で担当者に振り分けていましたが、AIの導入により自動化を実現しています。人為的な振り分けミスが減り、効率化に成功しました。

音声データの自動テキスト化によって電話対応後の記録業務にかかる時間を半分程度に短縮しています。FAQページの作成にも着手し、入電数の削減にもつなげました。

株式会社ビックカメラのAI活用事例はこちら

ベルーナ

株式会社ベルーナでは、ECサイトの問い合わせ件数が月間1万件以上も発生し、対応に追われる状態が続いていました。

そこでAI搭載型のFAQシステムを導入し、課題解決に取り組んだのです。

導入したFAQシステムは、入力した言葉から検索した意図を予測し、最適な回答を高速で出すシステムです。

導入した結果、FAQを利用して自己解決したユーザーが増え、問い合わせ件数が50%減少しました。また、問い合わせに対する返答までの時間も半減し、業務効率化の向上に成功しています。

株式会社Dai

株式会社Daiは、BtoB向けのECシステムを提供している企業です。

これまで問い合わせ数の削減のためにシナリオ型のチャットボットを導入しましたが、利用者の回答に辿り着かないケースもあり、大きな成果に至りませんでした。

そこで、AI搭載のFAQシステムを導入し、ナレッジデータを蓄えて運用。導入した結果、問い合わせ数は前期比で約16%減少、ピーク時と比較して約47%減少しました。

カスタマーサポートの対応時間が減少し、ユーザーガイドやサービスサイトの改修、利用者に本当に必要なサポートの検討などの取り組みに時間を充てられるようになりました。

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コールセンターにAIを導入する4つのメリット

コールセンターにチャットボットやボイスボットなどのAIを導入すると、以下のメリットが期待できます。

  • オペレーターの負担を軽減できる
  • 顧客対応の品質を統一できる
  • データ分析に活用できる
  • 災害などの緊急事態におけるBCP対策につながる

自社で抱えている課題と照らし合わせながら、メリットを一つひとつ理解しましょう。

オペレーターの負担を軽減できる

AIが問い合わせに自動で対応することで、オペレーターの負担を軽減できます。オペレーターはAIシステムでは難しい対応のみをすればよくなり、1人あたりの対応件数を減らすことが可能です。

負担が減ることで優秀なオペレーターの離職防止や採用コストの軽減にもつながります。

顧客対応の品質を統一できる

AIシステムの活用によってオペレーターのスキルによる対応品質のバラつきを抑え、全員が質の高い対応を行えるようになります。

たとえば、オペレーター向けのFAQシステムを導入すれば、システムで抽出された回答どおりに対応すれば回答までにかかる時間も短くなり、どの顧客にもスムーズな対応が可能です。

これにより、属人化の解消にも効果的です。優秀なオペレーターの対応をテキスト化して残せるため、全体で共有すれば全員が高品質な対応をできるようになるでしょう。

データ分析に活用できる

AIツールによっては、音声やテキストから顧客の声や傾向を分析できる機能があり、業務改善や対応品質の向上に活用できるのもメリットです。

たとえば、音声から顧客の感情を測定できるAIシステムを活用すれば、オペレーターの対応によってどのように感情が変化したかを可視化できます。不安や怒りなどネガティブな感情に注目すれば、対応の改善に取り組みやすくなるでしょう。

テキストの分析では、お問い合わせで多く使われるキーワードや共通する内容を抽出できます。出現頻度の多いキーワードに対するFAQを追加したり、商品開発にフィードバックしたりするなど、さまざまな場面での活用が可能です。

データ分析については以下の記事で詳しく解説しているため、コールセンターで分析に力を入れたい場合はぜひ参考にしてください。

関連記事:データ分析とは?9つの手法や分析するメリット、注意点について解説

災害などの緊急事態におけるBCP対策につながる

AIシステムはBCP対策にもおすすめです。BCP(Business Continuity Plan)対策とは、地震や水害、感染症の流行といった緊急時に、事業を継続したり、早期に復旧したりするための方針や体制を事前に決めておく取り組みのことです。

コールセンターは、非常時に不安を抱えた顧客に対応できるよう、可能な限り業務を継続することが求められます。

AIシステムはオペレーターが不足して対応できない事態になった場合の対策として効果的です。自動応答システムで一部の問い合わせに回答しながら、限られた人員での業務をサポートしてくれます。

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コールセンターにAIを導入する手順

コールセンターにAIを導入する際は、以下のステップで進めましょう。

  1. コールセンターの課題を明確にする
  2. 課題を解決できるAIツールを選定する
  3. 必要なデータを入力する
  4. テスト運用を実施して稼働する

いきなりAIを導入するのではなく、課題の洗い出しから丁寧に準備し、自社の課題にあったツールを導入・運用しましょう。それぞれ詳しく解説します。

1.コールセンターの課題を明確にする

はじめにコールセンターにおける課題を洗い出しましょう。導入効果を最大限に高めるには、課題にあったAIを選定する必要があるためです。

たとえば「定型的な問い合わせが多くてオペレーターの負担が増えている」という課題がある場合は、チャットボットやボイスボットなどの導入が有効な選択肢となります。

AIで解決したい課題が明確になれば、導入すべきシステムを把握できるでしょう。

課題にあわせて必要なデータも絞られるので、闇雲に情報収集をしなくて済み、効率的にデータ入力の準備を進められます。

2.課題を解決できるAIツールを選定する

明確になった課題を解決できるツールの中から、導入するツールを選定しましょう。

同じ種類のシステムでも、販売している会社によって以下のような項目が異なります。

  • 搭載されている機能
  • 費用(初期費用、月額費用)
  • 操作性
  • セキュリティ
  • AIの精度

これらの点を比較検討し、自社のコールセンターと相性のよいものを選ぶのがポイントです。

ツールによっては無料トライアルやデモなどを実施しているため、実際に試してから導入することをおすすめします。

3.必要なデータを入力する

AIシステムを導入したら稼働するために必要なデータを入力します。

たとえば、チャットボットを導入した場合は、想定される質問や回答、会話のシナリオなどを登録しましょう。

必要なデータが多い場合は設定に時間がかかるため、運用開始日から逆算して計画的に作業を進めてください。

4.テスト運用を実施して稼働する

データの登録後、すぐに稼働すると不具合が起きるおそれがあるため、必ず社内でテスト運用をしましょう。

質問に対する回答や対応履歴の記録など、ツールが問題なく稼働しているかを確認し、トラブルがなければ公開します。

稼働を開始して終わりではなく、運用状況に応じたデータの更新や修正が必要です。管理者を中心に日々稼働状況をチェックし、こまめに調整しましょう。

コールセンターへのAI導入で注意したい3つのデメリット

コールセンターへのAI導入はさまざまなメリットを期待できる一方で、気をつけたいデメリットが3つあります。

  • AIに学習させる時間と環境づくりが必要になる
  • システムの導入や運用にコストがかかる
  • 導入しても管理者やオペレーターは必要になる

AIを機能させるための環境や体制の構築に注意し、有効に活用できるようにしましょう。

AIに学習させる時間と環境づくりが必要になる

AIは学習した内容をもとに自動応答や分析を行うため、効果が得られるまでに時間が必要です。AIを稼働するためには膨大なデータを収集・入力する必要があり、時間がかかります。

また、AIの精度を高めるためには、最新の情報を更新できる環境づくりも欠かせません。AIを導入さえすれば課題が解決するわけではないため、導入前の準備と継続的な運用体制の構築が重要です。

システムの導入や運用にコストがかかる

AIの導入は長期的にはコストカットに効果的ですが、システムの導入や運用には費用が発生します。

導入時には初期費用がかかり、金額はシステムの種類や機能によって異なります。運用開始後は、月額費用の支払いも必要です。

高機能なシステムほど高額になる傾向があるため、トータルのコストを把握し、予算内で継続的に運用できるシステムを選びましょう。

導入しても管理者やオペレーターは必要になる

AIシステムだけでコールセンターの全ての業務をこなすのは難しいため、人件費を抑えたい場合でも、管理者やオペレーターは最少人数確保しなければなりません。

AIは定型的な対応は得意ですが、イレギュラーな状況や細やかな感情の理解が求められる対応は苦手です。また、AIの精度を向上させるには、システムを管理できる人材が欠かせません。

AIの得意・不得意を理解したうえで、人間とAIが協力して高品質な対応ができる体制づくりに取り組みましょう。

コールセンターへのAI導入で課題を解決しよう

チャットボットやボイスボットなどのAIシステムは、コールセンターが抱える人材不足や対応品質のバラつきなどの課題解決に活用されています。

AIシステムによってはデータ分析の機能もあり、業務の効率化や対応品質の改善にも効果的です。一方で、システムの導入費用やAIに学習させる時間などのデメリットもあるので、予算や運用開始日を考慮して計画的に導入を進めましょう。

なお、Salesforceの「Service Cloud」は、AIを活用したカスタマーサポートの効率化を実現できます。

各チャネルからの問い合わせ内容を管理したり、サービスに関する質問への回答を生成AIで自動化したりするなど、オペレーターをサポートする機能が豊富です。ナレッジ管理やコミュニケーションツール「Slack」との連携などの機能もあり、業務効率化を実現できます。

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