CDPの導入は顧客データを一元管理し、マーケティング効率を大幅に向上させるために欠かせません。正確な顧客一人ひとりにあったコミュニケーションを実現し、顧客満足度を高められます。
しかし「CDPをどのように導入すればいいかわからない」などと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、CDPを導入する流れや注意点を紹介します。CDPのメリット・デメリットや成功事例もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
アニメで学ぶCDP
マーケターの視点から、データの統合、キャンペーンの最適化、顧客を満足させるパーソナライズされた体験の提供にCDPを活用する方法をご紹介します。
目次
CDPは顧客データを一元管理する際に導入するツール
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)は、顧客情報を一元管理し、分析できるツールです。CDPを日本語訳にすると「顧客データ基盤」という意味になります。
顧客の行動パターンや嗜好を詳細に把握し、デジタルマーケティングや顧客とのコミュニケーションを効率的に実施できます。複数のシステムのデータを統合でき、データ管理を容易にできるようになるのが特徴です。
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CDPを導入する5つのステップ
CDPは以下の流れで導入します。
- 目的の明確化
- データの把握と整理
- 既存システムの把握
- CDPの選定と導入
- 導入効果の測定と課題の改善
導入のイメージをしやすくなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 目的の明確化
CDP導入の最初のステップは、目的を明確にすることです。CDPを導入することで何を達成したいのか、どのような問題を解決しようとしているのかを具体的にする必要があります。
たとえば「新規顧客を獲得するため」や「業務効率化のため」などで収集すべきデータや施策の内容が異なります。目的によって方向性は異なるため、事前にしっかりと決めましょう。
目的が達成できたかどうかを判断するためにKPIも設定して、数値で客観的に確認できるようにすることも大切です。
2. データの把握と整理
次に顧客データを把握し、整理しましょう。主に以下のようなことをします。
- 収集・活用しているデータの洗い出し
- データの品質評価
- 重複や矛盾の解消
- データの加工
データ整理はCDP導入後データを正確に把握したい場合や、データを活用して新しい情報を見つけられるようにするために欠かせない作業です。
データ構造を構築する必要があるため、チームメンバーで情報共有をしておくことが大切です。
3. 既存システムの把握
CDPを導入するために、既存のシステムをどのように連携するかを具体的に決める必要があります。既存システムを把握し、CDPとの互換性を調査しましょう。
CDPでよく統合されているシステムとして、以下のようなものがあります。
- CRM
- SFA
- MA
- メール配信システム
- ECサイトの管理システム
- 基幹システム
CDP導入後に連携できないと、導入にかかった時間やコストがムダになるおそれもあるため、連携方法を把握することが大切です。
4. CDPの選定と導入
次に自社に合ったCDPを選定しましょう。自社のニーズにもっとも適したCDPを選定するために、以下のような点を確認します。
- 機能
- 価格
- サポート体制
- 操作性
- 視認性
多くのツール提供会社でデモ動画や無料トライアルを提供しているので、実際の利用方法をイメージしてから選ぶのがおすすめです。
自社にあったツールが見つかれば、導入をして運用に向けて準備をします。既存システムと連携させてデータを取り込みましょう。
5. 導入効果の測定と改善
CDP導入後は収集・活用したデータを分析し、効果を検証します。効果測定には目的の段階で設定したKPIを確認し、日々進捗を確認するようにしましょう。
うまく分析ができなかった場合や、思うような効果が得られなかった場合は、原因を考え改善に取り組みます。
導入効果を測定し改善することで、効果的かつ効率的なマーケティング戦略を立案できるようになるでしょう。
CDP導入における注意点
CDPを導入する際は以下のようなことに注意しましょう。
- 部門間の協力が必要
- 人材育成やスキルアップのための投資が必要
- 個人情報の保護に向けた対策が必要
適切に導入しないと自社にあったツールを導入できず、社内で活用されなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。それぞれ詳しく解説します。
部門間の協力が必要
CDPをスムーズに導入するには、部門間の協力が必要です。全部門でCDPの必要性と目的を共有し、どのようなことができるのかを知っておかないと、協力に応じてくれない部門もでる可能性があります。
部門ごとの代表者で定期的にミーティングをして、CDPに関する理解を深め、全員が納得してから導入しましょう。導入が決まれば、CDP導入に特化したプロジェクトチームを作り、推進することをおすすめします。
人材育成やスキルアップのための投資が必要
CDPを担当者がうまく扱えるよう、人材育成に投資する必要があります。CDPはマーケティング部門や営業部門など、顧客情報を扱う部門の全員が扱えるようにしておくのが望ましいです。
研修を実施して、CDPの使い方や活用方法を周知して全員が使える体制を整えましょう。研修をしておかないと、導入しても使い方がわからず、十分に活用されないおそれがあります。
運用開始後もCDPを利用している人が困ったらサポートできる体制を整えましょう。人材育成には時間とコストがかかりますが、担当者がCDPを使いこなせるようになることで、業務効率が改善し、利益向上につながります。
個人情報の保護に向けた対策が必要
CDPを通じて収集・管理される顧客データには個人情報が含まれるため、セキュリティ対策が必須です。個人情報の漏洩事故が起きてしまうと、自社の信頼が失われるだけでなく、利益の損失にも大きく影響を及ぼします。
個人情報を保護するためにも、以下のような対策をしましょう。
- アクセス権限の厳格な管理
- データ保護に関する従業員の教育
- 定期的なセキュリティ監査の実施
セキュリティ対策に強いCDPを導入するのもおすすめです。
CDPを導入する際のツールの選定ポイント
CDPにはさまざまな種類があるため、自社にあったツールを選定することが重要です。
以下のポイントを押さえて選ぶようにしましょう。
- 費用対効果は高いか
- サポート体制が整っているか
- セキュリティ対策が取れているか
それぞれ詳しく解説します。
費用対効果は高いか
CDPによって機能や費用が異なるので、自社にとってもっとも費用対効果の高いものを選ぶようにしましょう。
一般的に機能が充実しているほど導入費用や月額費用が高くなります。高価格帯のシステムを導入すればさまざまな機能を使えますが、自社の目的によっては不要な機能もあり、ムダな出費になってしまう可能性があります。
導入によって「どのくらい人件費や管理コストを削減できるか」や「どれほどの売上につながるか」を把握して、CDPを選びましょう。
サポート体制が整っているか
CDPの導入や運用は初心者にとって難しいため、サポート体制が充実しているかも考慮して選びましょう。サポート範囲やマニュアルの充実度、問題発生時の対応スピードなどを事前に確認します。
ほかにも導入後のフォローアップもしてくれる企業かも調べましょう。担当者がシステムを使いこなせるようになるまでサポートしてもらうことで「導入後あまり利用されていない」という問題を解消できるようになります。
セキュリティ対策が取れているか
CDPを安心して使えるようにするには、セキュリティ機能を必ず確認しましょう。とくに自社でセキュリティ対策をするのが難しい場合におすすめです。
セキュリティ対策を確認するポイントとして、以下があります。
- 多要素認証に対応しているか
- データの暗号化に対応しているか
- データの閲覧・操作権限の設定ができるか
- IPアドレスを制限できるか
- Pマークを取得している企業か
以上の項目がシステム会社のホームぺージに記載があれば、安心して導入できるでしょう。記載がない場合は事前に問い合わせたり、商談時に確認することをおすすめします。
CDP導入のメリット
CDPの導入は、企業が顧客データをより効果的に活用する際に有効です。導入メリットをまとめると以下のとおりです。
- 顧客情報の統合と一元管理
- 高度な顧客分析
- 顧客エンゲージメントの向上
メリットを把握することで、自社にCDPが必要かどうかを判断できます。それぞれ詳しく解説します。
顧客データの統合と一元管理
CDPを導入するメリットは、顧客データを一箇所に統合して管理できる点です。社内にはオンライン上で取得した顧客データや、店頭などのオフラインで取得したデータなど様々なデータが分散した状態で保存されています。CDPを利用すれば会社全体で収集した顧客情報を統合し一元管理でき、組織全体で同じ情報を閲覧できるようになります。
情報を整理すれば、顧客の購買履歴や行動パターンなど必要な情報を素早く把握することが可能です。紙やExcelで情報管理するよりも、必要な情報を見つけることが容易になり、顧客情報の分析もできる様になります。
高度な顧客分析
CDPを利用するとより高度な顧客分析が可能です。分析結果から、顧客の行動や嗜好を読み取れることから、人間だけでは予測できなかったパターンやトレンドを発見できます。
CDPによっては顧客の行動を自動で予測でき、より効果的なマーケティング戦略やインサイトを提案してくれます。
顧客エンゲージメントの向上
CDPの導入は顧客エンゲージメントの向上につながります。顧客エンゲージメントは企業と顧客の信頼関係のことです。
一元管理された顧客データを活用すれば、顧客の購入意欲やタイミングに合わせたコミュニケーションが可能になり、より関係性を深められます。
たとえば、顧客の行動にもとづいて作成したメールを送信すれば、関心をもってもらいやすくなり、製品の購入につなげられます。顧客のフィードバックを迅速に収集してサービスを改善すれば、満足度をさらに高められるでしょう。
CDP導入のデメリット
CDPには以下のようなデメリットも存在します。
- 導入には時間とリソースが必要
- 情報開示に伴うリスクが発生
CDPはメリットだけでなくデメリットも考慮して導入するようにしましょう。それぞれ詳しく解説します。
導入には時間とリソースが必要
CDPの導入は長期にわたるため、導入する担当者の負担が大きくなります。データのやシステムの構築まで、多岐にわたる作業が必要なためです。
既存のデータシステムとの互換性を確保するためには、計画立案とテストが不可欠です。導入までにかかる期間は数ヶ月から数年に及ぶこともあり、専門知識をもったスタッフや外部の支援が必要になるケースもあります。
外部のサポートを受ける場合はコストが発生する場合もあるので、予算を確認して慎重に依頼しましょう。
情報開示に伴うリスクが発生
CDPは十分なセキュリティ対策が施されていますが、社内でのデータ管理に不備があると情報漏えいのリスクが高まります。たとえば、システムの誤操作で共有先を間違えてしまうと、関係者以外が情報に閲覧されてしまうことがあります。
不正アクセスや情報漏えいを防ぐには、セキュリティ対策を徹底して運用することが大切です。顧客からの信頼を損なわないためにも、セキュリティに関する社内研修を実施したり、情報共有のルールを策定したりして個人情報が外部に漏れないようにしましょう。
CDPの導入事例
CDPの導入事例として、霧島酒造株式会社があります。
同社は人口減に伴う国内事業の縮小を見据え、直接ファンとのつながりを強化するための基盤を構築することが課題でした。
そこでMAツールの「Marketing Cloud」とデータプラットフォーム「Data Cloud」を導入し、自社のマーケティング改革に取り組みます。
2つのツールを組み合わせることで、ECサイトや工場見学施設に来た人などの情報も統合でき、データ基盤として活用できるようにしました。
統合した顧客情報によって、販促メールの配信数を2万通から4万通へと倍増でき、幅広い顧客にアプローチが可能となっています。
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CDPの導入で顧客満足度を高められる
CDPを活用すれば、顧客データを一元的に収集・活用・分析し、顧客に合わせた体験を提供できるようになります。顧客の期待を超えるサービスが実現し、顧客満足度を向上できるでしょう。
CDPを導入する際は自社の目的を明確にすることが大切です。費用対効果や機能、セキュリティ対策などを調査し、自社にあったCDPを導入しましょう。
なお、セールスフォース・ジャパンは、幅広いシステムと連携し情報を一元管理できる「Data Cloud for Marketing」を提供しています。AIを駆使した分析が可能で、より効果的なマーケティング戦略の立案に活用できます。
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