CRM導入の検討をしている中で、実際に「どのような企業が導入しているのか」「導入による効果があるのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。
CRMは小売や金融、製造などのさまざまな業種で導入されており、顧客管理や営業プロセスの効率化が主な導入目的です。
そこで本記事では、CRMを導入して成功へと導いた企業事例を12社ご紹介します。
CRMの導入前の課題や導入目的、施策による効果を詳しく解説していますので、CRM導入検討時の参考にしてみてください。
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CRMはどのような企業が導入している?
CRM(顧客関係管理)は、製造業や小売業、金融業など幅広い業界で導入され、企業の競争力向上に貢献する有効なツールです。
企業がCRMを導入する目的には、主に以下のような理由があります。
- 顧客情報を一元管理し、個々の行動やニーズを分析するため
- カスタマーサクセスなど顧客応対の品質を高めるため
CRMを導入し、社内での情報共有が円滑になることで、各部門が有するデータを活用して、顧客獲得につながる効果的なアプローチができます。
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CRMを導入した企業の成功事例12社
CRMを導入した企業が「どのような目的で導入して成果をあげているか」について、12社の企業事例をご紹介します。
業種 | 企業 |
---|---|
小売・消費財・食品 | 日本ピザハット株式会社 |
霧島酒造株式会社 | |
株式会社三越伊勢丹 | |
IT・ソフトウェアサービス | 株式会社SmartHR |
ディップ株式会社 | |
製造業 | 株式会社アマダ |
パイオニア株式会社 | |
金融・保険 | イーデザイン損害保険株式会社 |
メディア・コミュニケーションズ | 株式会社リバネス |
建設業 | 西松建設株式会社 |
公共機関 | 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) |
ビジネスサービス | 株式会社日本M&Aセンター |
さまざまな業種の成功事例を通して、自社の課題や目標に合ったCRMの活用法を検討してみてください。
事例1:日本ピザハット株式会社
会社名:日本ピザハット株式会社
事業内容:ピザハット事業
日本ピザハット株式会社は、SNSや動画などのPRを強化し、ファミリー層以外への自社の認知を拡大するため、CRMを導入しています。
メルマガ設計やカスタマージャーニー検討のプロセスが、CRMによって自動化・省力化・最適化され、顧客の購買頻度の向上に貢献しています。
また、プッシュ通知機能の追加によってスマホアプリの利用頻度が高まり、メルマガと同様に購買頻度が向上しました。
事例2:霧島酒造株式会社
会社名:霧島酒造株式会社
事業内容:酒類の製造・販売事業
霧島酒造株式会社はDXに取り組む中で、以下のような課題を抱えていました。
- 日報ツールやExcelなど、複数のツール使用による情報の分断
- 日報が担当者軸になっており、顧客軸の情報管理が困難
この課題解決に向けて社内情報の一元化を図るため、CRMを導入しています。
施策によって「営業活動の生産性が向上した」と感じた社員は、CRM導入当初の2%から14%に増加しました。
また、データも蓄積され「顧客とのコミュニケーションや関係性が改善された」と感じる社員も増えています。
事例3:株式会社三越伊勢丹
会社名:株式会社三越伊勢丹
事業内容:百貨店業
株式会社三越伊勢丹は、情報感度の高いミレニアル世代との接点を築き、カジュアルギフト市場での強化を図るため、Salesforceを導入しています。
「MOO:D MARK」の開設翌年とその2年後を比較すると、サイトの会員数が約3倍となり、レコメンデーションによる売上も3.2倍に増加しました。
また、メルマガ会員数とメルマガ経由での売上も約4倍と、CRM導入の大きな効果が得られています。
事例4:株式会社SmartHR
会社名:株式会社SmartHR
事業内容:クラウド型人事労務ソフトの開発・運営等
株式会社SmartHRは、より精度の高い顧客情報の管理と、戦略的な営業活動を実現させるため、CRMを導入しています。
3万件を超えていた顧客の重複データが、CRM導入によって重複データの警告はゼロになり、データの処理作業も不要になりました。
また、CRMを容易に操作できる仕組みや、多様なツールと連携できる営業基盤の構築も実現しています。
事例5:ディップ株式会社
会社名:ディップ株式会社
事業内容:インターネット求人広告サイトの運営事業
ディップ株式会社では、早くからCRMを導入していましたが、ビジネスニーズにうまく対応できていなかったため、施策の改善に取り組みました。
求人広告の応募者情報にもとづいた、きめ細かなメルマガ配信を効率的に実施できるようになりました。
また、改善前のコストや工数が「3分の1」から「4分の1」に軽減し、メール配信の処理自体も安定しています。
事例6:株式会社アマダ
会社名:株式会社アマダ
事業内容:金属加工機械の製造・販売等
株式会社アマダは、顧客との関係性の維持を目指し、IoT技術を活用したサポート「V-factory」を提供するため、CRMを導入しています。
施策によって、機械トラブルの兆候を察知して予防保全ができるようになり、ネットワークを使ったスピーディな対応が実現しました。
また、同社の有償サポート契約の売上も、2020年から2022年の2年間で約2.8倍に伸びています。
事例7:パイオニア株式会社
会社名:パイオニア株式会社
事業内容:テレマティクス事業等
パイオニア株式会社は、企業に直接アプローチする「B to B直販」の基盤構築のため、CRMを導入しています。
CRMのシームレスな情報連携が実現したことで、エンドツーエンドの情報活用が可能となり、以下のような効果が得られました。(※2021年から2022年の変化)
- リード数:269%
- アポイント数:160%
- 新規顧客の導入検討台数:213%
- 新規顧客の受注台数:852%
事例8:イーデザイン損害保険株式会社
会社名:イーデザイン損害保険株式会社
事業内容:損害保険業
イーデザイン損害保険株式会社は、自社のIT基盤を根底から見直し、多様な外部サービスとの連携を図るため、CRMを導入しています。
顧客情報の一元化によって、日々発生する課題に迅速に対応でき、顧客の問い合わせにもスピーディに対応できるようになりました。
チャットサポートへの移行によって、同時に2人の顧客対応が可能となり、1日あたりの平均対応件数が150%ほど増加しています。
事例9:株式会社リバネス
会社名:株式会社リバネス
事業内容:科学技術分野における教育・人材育成・研究等
株式会社リバネスはCRMを長く利用していましたが、さらなる生産性向上を目指した機能の拡張を行うため、施策の改善に取り組んでいます。
施策改善によって、同社サービスのログインIDを一元化した「リバネスID」の数が、初期の2,000から2023年1月までに28,000まで急増しました。
また、集約された顧客情報によって営業担当者の属人化を防ぎ、サービスの品質向上と均質化にもつながっています。
事例10:西松建設株式会社
会社名:西松建設株式会社
事業内容:土木・建築事業等
西松建設株式会社は、個人の営業力に依存していた文化の変革に向け、営業活動のデータ共有化を図るため、CRMを導入しています。
CRM導入により、営業活動の過程で工事名を指定し、過去の工事データを簡単に表示できる仕組みが構築できました。
また、営業活動の記録もスマートフォンから1〜2分で入力完了できるようになり、社員の記録する習慣も定着しています。
事例11:東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
会社名:東日本旅客鉄道株式会社
事業内容:旅客・貨物鉄道事業等
東日本旅客鉄道株式会社は、顧客とのコミュニケーション強化を図るためCRMを導入し、会員向けポイントプログラム「JRE POINT」の機能向上に取り組んでいます。
CRM導入後、ポイントプレゼントのキャンペーンを打ち出したところ、エントリー率が高まり、キャンペーンの売上も向上しました。
また、顧客層ごとの「キャンペーンに対する反応の良し悪し」がわかり、データ分析にも役立っています。
事例12:株式会社日本M&Aセンター
会社名:株式会社日本M&Aセンター
事業内容:M&A仲介・企業再生支援等
株式会社日本M&Aセンターは、廃業する企業をM&Aによって救うことを目指し、社内の生産性向上やスキルアップを図るため、CRMを導入しました。
施策によって、顧客と商談に関するすべての情報の蓄積・管理が行え、営業担当者の成績やスキル向上に直結する仕組みが構築できました。
また、リード獲得数も2年半で約6倍に増加し、コロナ禍以降も成長を継続しています。
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CRMのよくある失敗事例
CRMは、企業と顧客の関係性強化には不可欠なツールですが、以下のような失敗があることも事実です。
- 導入が目的になり運用がうまくいかない
- 自社の運用に合わないツールを導入してしまう
- データを業務に活用できていない
CRMの運用方法によっては、うまく効果が現れない可能性もあるため、事前に解決策を検討しておきましょう。
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導入が目的になり運用がうまくいかない
CRMの導入自体が目的になってしまい、機能が使いこなせなかった場合、その後の運用がうまくいかない可能性があります。
システム導入だけで効果を発揮するわけではないため、顧客情報の分析・共有による営業活動への活用が必要不可欠です。
CRMは単なるツールではなく、営業プロセスやカスタマージャーニー改善の手段であると認識し、目的を明確にしてから導入を検討しましょう。
自社の運用に合わないツールを導入してしまう
CRMツールの選定において、自社のビジネスモデルやニーズに合わない製品を選んでしまうケースがあります。
各ツールの基本的な機能は似たような部分もありますが、データ入力方法やシステム操作などの機能・性能が異なります。
自社の課題を解決する機能がなかった場合、別のツールを再検討して導入しなければなりません。
その場合、導入コストの増加につながってしまうため、導入前にCRMの機能を十分に確認しておきましょう。
データを業務に活用できていない
CRMを導入してから情報が蓄積されているにも関わらず、そのデータを十分に業務に活かせていないケースもあります。
蓄積されたデータを放置すると、集約した時間が無駄になるだけでなく、本来の目的である顧客との良好な関係構築や、戦略の立案が実現できません。
また、データの管理部門や操作マニュアルが整備されていないことも、データを活用できていない原因の1つです。
CRMの導入・運用で抑えておきたいポイント
CRMの導入や運用においては、以下のポイントを事前に抑えておきましょう。
- 導入の目的を明確にして運用ルールを決める
- 複数のツールを比較して必要な機能を見極める
- 業務プロセスを分析し行動パターンを決める
施策や戦略の実現のために、CRM導入前にビジョンや目標を確立して、業務プロセスに組み込む必要があります。
導入の目的を明確にして運用ルールを決める
CRMを導入する前には、まず明確な導入目的を決めた上で、課題解決に向けた運用ルールの確立が不可欠です。
以下のように、CRMを導入して改善したい点を明確に決めましょう。
- 新規顧客を獲得するために営業プロセスを効率化する
- 既存顧客に別サービスを提供し、売上の最大化を図る
また、導入後スムーズに活用できるように、顧客情報の入力方法や更新頻度など、具体的な運用ルールの整備も必要です。
複数のツールを比較して必要な機能を見極める
CRMを導入する際は、さまざまな企業が提供するツールの中から、自社に最適なものを見極めて選定しましょう。
自社に必要な機能を見極めるためには、以下のようなポイントが重要です。
- ユーザビリティが高く、機能の拡張性があるか
- 他のビジネスツールやシステムとの連携ができるか
- セキュリティ対策やデータ保護の機能があるか
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ツール導入時は、複数のツールの機能面やコスト面を比較し、必要に応じてトライアルに申し込んで実際に使用してみましょう。
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業務プロセスを分析し行動パターンを決める
CRMの運用時は、自社の業務プロセスを徹底的に分析し、適切な行動パターンを確立しておきましょう。
- 顧客との商談方法や手順
- 商談の承認・決裁プロセス
- 部門間での情報共有の方法
上記のような業務プロセスを明確にすれば、業務上の課題を「どのように解決するか」が分析でき、次のアクションに移行できます。
また、高いパフォーマンスを発揮する社員の行動パターンを分析することで、チーム内でも横展開ができ、組織力の向上にもつながります。
CRMの成功事例から自社の施策へも反映させよう
今回の記事では、CRM導入における企業の成功事例や、導入・運用時のポイントを解説してきました。
顧客への最適なアプローチや、営業活動の効率化を目指すためには、CRMの導入が必要不可欠です。
しかし、導入の目的や運用方法を明確に決めておかないと、CRMの効果を最大限に引き出せません。
本記事で紹介した他社の事例を参考にして、自社の目的に合った適切なツールを選定し、効果的な施策を行いましょう。
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