カスタマーサービス向けAIって何?
カスタマーサービスの専門家の皆さまは、日々、お客様からの問い合わせに今までの経験とナレッジを活用して、素早く回答を行っていると思います。
しかし、問い合わせ対応が必要なプロダクトやサービスは増え続け、仕様も細かくなるばかり。お客様からの問い合わせがわかりにくい内容もあるでしょう。そんな中で、すべて満足度の高い回答するのにはこれまで以上に時間がかかっていると思います。
もし、あらゆる顧客データが蓄積されている CRM に「お客様の問い合わせを理解して答えることができるAI」 が搭載されていたらどうでしょう? 推奨解答案を作成してくれて、オペレーターが知らない製品も把握したら? そんな“エキスパート”がいたらコールセンターの生産性は確実に上がるでしょう。
それを実現するのが、 Salesforce のカスタマーサービス向けAI である「 Einstein(アインシュタイン)」 です。
このカスタマーサービス向けAIであるEinsteinには、さまざまな機能があります。
- お客様の問い合わせに的確に答えてくれる「サービス返信」
- 新たな知見を他のメンバーが使えるように「ナレッジ」に変えてくれる「ナレッジ記事と検索」
- 問い合わせ内容を対応後にまとめてくれる「コールサマリー」
- 購買傾向からお勧めするべき商品を提案してくれる「ネクストベストアクション」
など、カスタマーサービスのクオリティとスピードを格段に上げる機能が満載です。それはオペレーターにとって、ベテランアドバイザーがついてくれるようなものです。
Service Cloudで、サービスのさらなる価値を生み出しましょう
信頼性の高いカスタマーサービス向けAIで、お客様に最高のサービスを提供できます
どんなユースケースや効果があるの?
Einstein に生成AI機能が搭載されて以降、日本ではカスタマーサービス向けAIの採用と活用が急速に進んでいます。
Salesforce製品をビジネスに採用すると、平均で約30%の生産性向上が得られますが、コールセンター向けAIを採用すると、コールセンターにおける指標である「 AHT (Average Handling Time、平均処理時間)」 や「ACW (After Call Work、平均後処理時間)」 などが大幅に改善される傾向にあります。
また「新人や知識経験が少ないオペレーターでも回答品質を一定レベルにすることができるようになった」と声も多く寄せられており、AIと人間が協働することでサービスレベルの標準化のスピードがことともわかっています。具体的な事例をいくつか紹介しましょう。
富士通様
2023年8月、年間受付件数が約1700件の日本国内のSalesforceサポートデスクにて、Einsteinの実証実験を開始。Fujitsu North America, Inc.の環境で蓄積されたデータやプロセスを翻訳してAI活用しました。これは、普段運用しているコンタクトセンターでのチャット対応に適用した場合を想定した内容でした。
その結果、「サービス返信(Service Replies)」機能によりオペレーターの「平均処理時間(AHT」は、20分36秒から、事前の想定期待値12分を大幅に上回る2分18秒を記録。実に89%の削減効果を得ました。
一方、「会話サマリー(Conversation Summaries)」機能では、対応の要旨を記録するなどの「平均後処理時間(ACW)」が3分36秒から、事前の想定期待値2分を上回って30秒に。86%の削減効果をもたらしました。
サンレディース様
人材派遣・業務請負業務を手がけるサンレディースでは、スタッフの能力向上と業務効率化が喫緊の課題でした。スタッフ全員の業務レベルを均一化し、効率的な業務遂行を実現し、スーパーバイザーの負担を低減するために、業務のアドバイスを提供できる仕組みとして、AIの活用を決断しました。
「Einstein サービス返信」機能の導入で、実際の業務での返答時間が大幅に短縮され、従来の8分から1分以内に改善。この技術が可能にした電話対応からチャットへの移行や、管理者の階段移動の削減など、業務プロセスの根本的な変革により、90%近い効果を実現しました。
イーデザイン損害保険様
東京海上グループのデジタルR&D組織としての役割も果たすイーデザイン損害保険会社は、今年に入ってAI活用にドライブをかけ、コンタクトセンターのオペレーターの日々の業務にSalesforceのAI「Einstein(アインシュタイン9」を活用した検証を開始しました。
具体的にはカスタマーサービス向けEinsteinを活用し、顧客とオペレーターの有人チャットのシーンで、2つのトライアルを始めています。1つは、「Service Replies(サービス返信)」という機能を活用し、顧客の問い合わせ内容に対して蓄積したデータから最適な返信を自動生成するもの。これによってオペレーターの平均処理時間( Average Handling Time=AHT)の削減をつなげようとしています。
もう1つは「Conversation Summaries(会話サマリー)」という機能を活用した、チャット後のその内容を自動要約する内容。この機能では、オペレーターの平均後処理時間(After Call Work=ACW)」の削減を図っています。精度は本番で十分利用できる水準で、ACWが50%削減できたケースもあったとのことです。
今後どのような進化があるの?
パイロット提供の段階ですが、Einstein は予測AI、生成AIの次のフェーズである「自律型AI」であるエージェント型に進化していきます。
こちらのリリースで発表されているように、「Einstein Service Agent」として、お客様との自然言語の対話、顧客情報に基づいた対応、そしてマルチモーダルな情報を理解するようになっていきます。
マルチモーダルとは、複数の情報形式を理解することです。Einstein はすでに顧客情報に基づいて日本語で会話が成立するレベルになっていますが、さらに画像などのデータも解釈することができるので、お客様が説明しにくい製品のエラーコードや故障の状況などを画像でエージェントに知らせて、それをエージェントが理解、対応することができるようにもなっていきます。Einstein のさらなる進化と、日本で生まれ始めたユースケースのさらなる発信をお楽しみに。
広告に出ている人は誰?
「その返信、Einstein にやっておきます。」に登場してくれた方は、NMT Inc 所属の藤野結衣さんです。気になる人は、藤野さんのInstagramもチェック。
【3分で学ぶ】生成AIで変わるコンタクトセンター
カスタマーサービス向けAIを短い動画で学びましょう。
この動画では、3つのユースケースを紹介しています。
・ケースへの返信文章の作成
・ケース要約の作成
・ナレッジの作成