近年、幅広い業界でIoTやビッグデータ、AIなどを利用する企業が増えています。とくにDXを推進していくうえでビッグデータをはじめとするデータ活用は欠かせません。
しかし、課題となるのはデータ活用の方法や手順です。データを正しく活用し、分析できなければビジネスに役立てることはできないでしょう。
本記事ではデータ活用の概要やデータ活用のメリットデメリット、データ活用の手順や事例について解説します。
最後まで読めばデータ活用の方法がわかり、自社での利用を検討できます。
データ分析の始め方
組織や事業の現状を把握する上で、重要となるのがデータ分析です。しかしやり方を誤ると課題を特定出来ず次の行動に繋がりません。本動画ではデータ分析を始めるうえで考えるべきことをご紹介いたします。
目次
データ活用とは
データ活用とは、企業に蓄積されているデータや入手できる社外データを日々のビジネスのなかで継続的に活用することです。
近年、IoTやビッグデータ、AIなどを活用する企業が増えています。顧客や社員の情報を収集・分析し、システムを用いてマーケティング戦略や人事戦略などを立案しているところも少なくありません。また、近年はChat GPTなどの生成AIツールが大きな話題になったこともあり、AI活用の検討を始めた企業も多いのではないでしょうか。
データの分析結果を製品・サービスに反映させることで、自社の売上や利益につなげられる可能性があります。
データを活用した意思決定とデータ分析の採用によって生産性の向上が期待できます。
データを最大限に活用したデータドリブンな組織をつくるための方法は以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
データ活用とデータ分析の違い
データ活用と似た言葉として、データ分析があります。データ分析とは、収集データや加工データなどを整理した後、目的に沿って分析することをいいます。
それぞれの違いは以下のとおりです。
データ活用 | データ分析 |
---|---|
データから収集した情報を活用しビジネスに役立てる | データから知りたい情報を獲得する |
以上のようにデータ分析は、データ活用の手順のひとつで、あくまでも手段にすぎないことを知っておきましょう。
データ分析については、以下の記事で手法やメリットなどを解説しています。データ活用との違いを詳しく知りたい方はチェックしてみましょう。
▶データ分析とは?9つの手法や分析するメリット、注意点について解説
データ活用はなぜ必要?
データ活用はこれまでも経営戦略の立案や新製品の開発などに必要な取り組みでしたが、近年はさらに重要性が増しています。
データ活用がより必要とされる背景には、以下のような理由があると考えられています。
- 顧客のニーズや情報収集手段が多様化しているため
- 商品・サービスが生まれるサイクルが高速化しているため
- データ活用に取り組む企業が増え、競争に欠かせなくなっているため
顧客の情報収集手段が増えたり、多様なニーズをもつようになったりしたことで、直感的なマーケティングでは対応しにくくなっています。顧客が求めているものをデータから導き出し、ピンポイントにアプローチするにはデータ活用が欠かせません。
さまざまなニーズに応えるために、商品・サービスが生まれるサイクルが短くなっており、よりスピーディな事業展開を行うためにもデータ活用が必要です。データを効果的に活用することで、サイクルに置いていかれることなく、最前線でシェアを獲得できるでしょう。
また、データ活用の重要性を感じている企業では、すでにデータを駆使して事業を展開しています。データ活用に取り組む競合他社に遅れをとらないためにも、データ活用は早急に実践すべきものといえるでしょう。
分析に活用されているデータの種類
総務省の「令和2年版情報通信白書」分析に活用されているデータの種類として主に以下のようなものがあります。
カテゴリ | データの種類 |
---|---|
業務データ | ・顧客データ ・経理データ ・業務日誌データ |
販売記録 | ・POSデータ ・eコマースにおける販売記録データ |
顧客とのコミュニケーション | ・電子メール ・CTI音声データ ・固定電話 ・携帯電話 |
自動取得 | ・アクセスログ ・動画・映像視聴ログ ・Blog・SNS等記事データ ・GPSデータ ・RFIDデータ ・センサーデータ ・交通量・渋滞情報データ ・気象データ ・防犯・遠隔監視カメラデータ |
医療 | ・電子カルテデータ ・画像診断データ ・電子レセプトデータ |
それぞれ業界や職種によって利用しているデータは多種多様です。
データ活用の現状
データ活用の現状について、以下の2点を紹介します。
- 幅広い業界で開発や効率化のためにデータが活用されている
- ビッグデータによってDXが推進されている
データ活用が多くの企業で取り入れられていることについて、具体的にイメージできる内容になっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
幅広い業界で開発や効率化のためにデータが活用されている
総務省が公表している「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究の請負報告書」によると、以下のような業界でデータを活用していることがわかりました。
- 製造業
- 情報通信業
- エネルギー・インフラ業
- 商業・流通業
- サービス業
また、各業界で以下のような用途で活用していることも明らかになっています。
- 経営企画・組織改革
- 製品・サービスの企画、開発
- マーケティング
- 生産・製造
- 物流・在庫管理
- 保守・メンテナンス・サポート
以上のように幅広い業界で、さまざまな用途で使用されていることがわかります。ただし、中小企業で活用しているのは55%程度で、データ活用に向けた取り組みができていない企業も少なくありません。
今後、グローバル市場で競争力を向上させ経済成長を実現するためには、大企業だけではなく中小企業もデータ活用をしていくことが求められています。
ビッグデータによってDXが推進されている
現在、IT技術が発達しており、ビッグデータを活用できるようになり、さまざまな企業がDXを推進しています。
ビッグデータとは、人間ではすべてを取り扱えないくらい膨大なデータ群のことです。ビッグデータには、以下3つの要素(3V)があります。
- データの量(Volume)
- データの種類(Variety)
- データの発生頻度・更新頻度(Velocity)
ビッグデータの分析を通して、企業は一人ひとりの顧客の嗜好や行動を理解でき、マーケティングの改善に活用できます。
ビッグデータの活用により成功した企業もあります。
たとえば、AppleやGoogleのようなビッグテック企業です。ビッグデータと先進的な分析技術を活用した結果、世界のトップを争う企業になりました。
今後、企業の成長力を高めるためにはビッグデータを活用し、DXを推進することが重要です。
ビッグデータを活用したマーケティングのポイントや活用事例を紹介しているので、ビッグデータに興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
データ活用を行う5つのメリット
データを活用するメリットとして、以下の5点があります。
- 自社の経営状況や課題を正確に把握できる
- データに基づいた施策で売上アップを実現できる
- 素早い意思決定ができる
- 業務を効率化できる
- 新商品や新規事業の発見につながる
メリットを知ることでデータ活用が自社にとって必要なものかどうかを判断できます。それぞれについて詳しく解説します。
自社の経営状況や課題を正確に把握できる
自社の経営状況や課題などが可視化され、俯瞰して自社の状況を把握することが可能です。
業務担当者や経営者のカンや経験による主観的な判断で行うと、誤った方向性で戦略を立ててしまう可能性もあります。
データ活用によって、販売不振の原因やボトルネックになっている業務などを正確に把握できるため、適切な対処方法を見つけやすくなります。
データに基づいた施策で売上アップを実現できる
商品・サービスの売上が伸び悩んでいるときや、さらに売上を拡大したいときに、データに基づいた施策を立案・実施することで売上アップを期待できます。
たとえば、顧客に商品・サービスを提案する場面で、商品の魅力をただ伝えるのではなく、類似する事例における導入後の数値変化や成長率などを説明すれば、説得力が増し成約に近づくでしょう。
マーケティングにおいても、顧客の年齢層や購買行動の傾向など各種データを活用すれば、よりターゲットの印象に残る企画によって売上が生まれやすくなります。
素早い意思決定ができる
データ活用によってリアルタイムで情報を共有でき、迅速な意思決定が可能です。
昨今は顧客のニーズや嗜好が複雑化しています。テクノロジーの発展によって市場の変化が激しく、カンに頼った判断や意思決定にはリスクがあるので注意が必要です。
データ活用によって短時間で最適な対処方法を見つけやすくなるので、行動にスピード感が生まれ、改善点の発見や新たなビジネスの創出をしやすい体制を整えられます。
業務を効率化できる
データ活用によって、ムダな作業を削減できるようになり、業務の効率化につなげられます。
たとえば、経理業務のデータを電子化することで書類作成や管理が容易になります。人的ミスも減らせるため、手戻りが発生するのを防ぐことが可能です。
社内にある大量のデータもAIを利用して自動で簡単に分析できるようになります。売上予測やマーケティング施策の提案などもできるため、経営戦略や商品・サービスの企画の立案もより効率的にできるようになるでしょう。
新商品や新規事業の発見につながる
膨大なデータを用いてさまざまな観点から分析できるため、ビジネスのヒントになる情報を入手できます。得られた情報を活用することで、新たな製品や事業領域に踏み出すチャンスにつながります。
たとえば、需要予測を分析して顧客のニーズに合った新商品を開発したり、自社の強みをデータで客観的に把握して新しい事業を展開したりすることも可能です。
データ活用を行う際のデメリット・課題4つ
データ活用にはさまざまなメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
- スキルが不足していると成果を得るのが難しい
- 客観的な視点がないと正しくデータを活用できない
- 導入時にコストが発生する
- セキュリティ対策を怠ると情報漏えいのリスクがある
データを適切に活用できないと費用対効果が低くなるおそれがあるので、デメリットをしっかり把握しておきましょう。
スキルが不足していると成果を得るのが難しい
データ活用に関するスキルが不足していると、データ分析をしても十分な成果を得られません。
データ活用には、以下3つのスキルを持った人材(データサイエンティスト)が必要です。
カテゴリ | データの種類 |
---|---|
ビジネス力 | 自社のビジネス課題を理解し解決できる力 |
データサイエンス力 | 情報処理・AI・統計学を駆使できる力 |
データエンジニアリング力 | データサイエンスを実装・運用できる力 |
以上のスキルを持っていないと、うまくデータを活用できない可能性が高いので、人材の育成が必要になります。
データ活用を成功させるには、データサイエンティストに指示を出すマネージャーや、経営層の理解も必要です。
人手が不足している場合はデータサイエンティストの採用や業務委託も検討しなければなりませんが、データ関連の人材は日本ではまだまだ不足しており、優秀な人材の獲得は容易ではありません。
客観的な視点がないと正しくデータを活用できない
ビジネスに効果的なデータが収集できていても、客観的な視点をもっていないと、誤った判断をしてしまうケースがあります。
データに対して主観的な解釈をもっていると、データから導き出す分析結果に偏りがあらわれやすいため、客観的に分析するスキルが欠かせません。
意識しても担当者の主観が入ってしまう場合には、複数のメンバーでチェックしたり、第三者に分析を依頼したりするのがおすすめです。異なる視点で見られる体制を整えることで、客観的な分析結果を得られやすくなります。
導入時にコストが発生する
データ活用ツールを導入するためには以下のものが必要になるためコストがかかります。
- データ収集ツール
- データ処理システム
- 分析ソフトウエア
ツールやシステムの導入以外にも、導入を担当する社員の人件費が発生するので、運用を始めるまでにある程度の資金が必要です。
ただし、最初にコストがかかっても、業務の効率化や事業拡大などの効果があるので、金額以上の効果が得られるでしょう。
セキュリティ対策を怠ると情報漏えいのリスクがある
データ活用に取り組む際に、取り扱うデータのなかに企業の機密情報や顧客の個人情報などが含まれる場合があり、対策が不十分だと情報漏えいのリスクがあります。
万が一情報漏えいを起こしてしまうと、流出した情報を悪用され個人や企業に損害を与えてしますおそれがあります。企業の信頼低下にもつながり、顧客が離れる原因にもなりかねません。
個人や企業を特定できないようにデータを暗号化したり、特定の人だけが管理できるように閲覧制限を設定したりするなど、セキュリティ対策を徹底しましょう。
データ活用を行う手順
データ活用は以下の手順で行います。
- 目的と課題の設定
- データ収集
- 分析データの準備
- データ分析
- アクションプランの策定
- 効果検証
目的と課題の設定データ収集分析データの準備データ分析アクションプランの策定効果を検証データを適切に活用できるよう、正しい手順で分析を行いましょう。
1.目的と課題の設定
はじめにデータを活用する目的や課題を明確にしましょう。
目的と課題の設定例は以下のとおりです。
- 利益率が前期よりも低下しているので、生産コストを10%削減する
- 商品Aの売上で競合に勝つために、商品Aの売上を20%増加させる
- 急激な需要に対応できず欠品が続いたため、在庫の最適化をする
部門ごとに課題や悩みを洗い出して、使用するデータや、データの収集方法を検討しましょう。部門間でデータを共有したい場合は、担当者同士で意見を交換することが大切です。
2.データ収集
目的と課題に合わせ、必要なデータを収集します。データを収集する際には、以下のようなメタデータ(データに関するデータ)もあわせて収集する必要があります。
- データソース(データの提供元)
- データの所有者
- データの項目名
- 項目についての説明
なお、AIを活用したいと考えている場合は、予測の手がかりとなる情報を大量に用意しなくてはなりません。たとえば「スーパーの顧客がクーポンに反応するか?」と予測する場合でも、数ヶ月分の購買データや個人属性のデータが必要になることがあります。
なお、データの収集や分析をビジネスの意思決定に生かす考え方をデータドリブンといいます。データドリブンについて以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はあわせて参考にしてみてください。
3.分析データの準備
収集したデータが分析に使えるかどうかを確認するために、以下の3点をチェックしましょう。
- データの品質
- データのバリエーション
- データのボリューム
品質については主にデータに誤りがないかを確認します。間違いがあれば修正や削除をしましょう。
バリエーションについては、分析したい内容に必要なデータ項目が揃っているかどうかを確認します。
ボリュームに関しては分析に必要なデータ量があるかどうかを確認します。AIを活用する場合は膨大なデータ量が必要であるため、不足している場合はさらに収集しなければなりません。
必要に応じて分析に使うシステムにあわせてデータを加工して準備する必要があります。
4.データ分析
データの準備ができたら、分析を開始します。
適切なデータ分析により、合理的な意思決定が可能です。今まで気づけなかった課題やビジネスチャンスにも気づけるでしょう。
データ分析には、以下のような手法があります。
分析手法 | 方法 |
---|---|
クロス集計 | 収集したデータを属性や設問で分析する手法 |
クラスター分析 | 特徴が似たものをグループ分けする手法 |
ロジスティック回帰分析 | ひとつの問いに対する回答をYESとNOの二択で整理し予測する手法 |
決定木分析 | 予測の繰り返しにより複数の結果を導き出す手法 |
ABC分析 | 商品・売上・顧客などをA、B、Cの3段階にランクわけする手法 |
たとえば、クロス集計を行う場合は、縦軸に「男性」「女性」といった属性、横軸に「とてもよい」「あまりよくない」といった設問の回答を設定します。属性ごとの回答が簡単に割り出せるため、顧客ごとの評価を分析する際に有効です。
上記以外にも、さまざまな分析手法があり、単体で実施するだけではなく、複数の手法を組み合わせて結果を導き出すこともできます。
データ分析の手法は以下の記事で紹介しているので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
▶ 利益を最大化するデータ分析の基本と営業・マーケで有効な手法を解説
5.アクションプランの策定
アクションプランは以下のように分析結果の種類に応じて内容が異なります。
分析結果の種類 | 内容 |
---|---|
1回のみの分析 | 結果をベースにアクションプランを策定する |
継続的な分析結果 | 予測モデルをどのように経営戦略や事業に落とし込むかを考慮してアクションプランを策定する |
事業を展開するなかであらわれた課題に対して単発で分析をする場合には、その課題に対するアクションプランを策定します。
需要予測やトレンド分析といった継続的な分析を行う場合には、分析から得たデータをもとに、中長期的なアクションプランを立てる必要があります。
アクションプランを策定する場合、最初に設定した目的と課題に合っている、かつ実現性の高いものにすることが重要です。
アクションプランの策定やマーケティングに、AIを活用する企業も増えています。AIの活用法を詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
6.効果検証
アクションプランを策定して実施したら、効果を検証しましょう。効果を検証しないと課題が解決できたかどうかがわからないため、事前に確認します。
効果検証は長期的に実施するのが大切です。持続的に効果がなければ、偶然成功しただけで成功事例のノウハウとして蓄積できないためです。
継続的にデータ分析や効果検証をすることで、より精度の高い予測や課題解決方法の発見ができるようになります。
データ活用によって成果を出す6つのポイント
データ活用によって成果を出すためには、以下6つのポイントが重要です。
- 正確なデータを使用する
- スキルをもった人材を採用・育成する
- 推進チームを設置する
- 経営層も積極的に参加する
- アウトソーシングを利用する
- データの管理・分析を得意としたツールを導入する
データ活用のポイントを押さえて、自社が抱える課題の解決や売上アップなどを実現しましょう。
正確なデータを使用する
データ活用で成果を出すためには、必ず正確なデータを用意しましょう。信頼できるデータを使用することで、より精度の高い分析結果を得やすくなります。
数値や単位などに誤りがあったり、事実に反していたりすると、正しい分析結果を導けず、課題解決に適切な施策を打ち出せません。
正確なデータを用意するためには、収集した情報を客観的に確認することが大切です。主観を入れずにデータをチェックし、誤ったデータを取り除きましょう。
スキルをもった人材を採用・育成する
データ活用には、データサイエンスの知識や分析結果をビジネス課題に結びつける力などさまざまなスキルが求められるため、人材の確保が重要です。
社内にデータ活用を任せられる人材がいない場合には、採用を検討しましょう。スキルをもった人材を専任担当者にすることで、データ活用部門を構築できます。
人材採用が難しい場合には、素質をもって人材をデータサイエンティストに育成する方法もあります。データ活用や分析は現場での経験も重要になるため、専任担当者として経験を重ねることでスキルや知識が磨かれていくでしょう。
推進チームを設置する
データ活用で効率的に成果出すには、推進チームをつくるのがおすすめです。
データ活用の取り組みはすぐに成果が出るものではなく、継続的な取り組みによって徐々に組織に浸透していきます。その他の業務と兼務するのではなく、データ活用を専門としたチームを設置することで、取り組みをフェードアウトさせることなく推進できます。
データ活用チームを中心に、各部門との情報共有や連携を進め、データに基づいたビジネスの進め方を全体に広げていきましょう。
経営層も積極的に参加する
データ活用を成功させるためには、現場での取り組みだけではなく、経営層の協力も欠かせません。
データ活用はすぐに成果が出るものではないため、中長期的な成果を見込んだ経営層からの理解や支援が必要です。さまざまなデータを収集する点で、関係部署との連携も必要になるため、経営層による働きかけが必要な場面もあります。
トップがデータ活用戦略に積極的に参加することによって、組織全体でデータ活用に取り組む意思を統一できます。
アウトソーシングを利用する
データ活用の成功には、人材や工数の確保が必要になりますが、リソース面で課題を抱えている場合にはアウトソーシングを検討しましょう。
データ活用を専門とするサポート企業にアウトソーシングすることで、自社でリソースを確保できない状態でも、精度の高いデータ活用が可能になります。工数が削減されることで、データ活用をプロに任せつつ、自社はコア業務に注力することが可能です。
将来的に自社でデータ活用を行いたい場合には、コンサルティングしてもらう方法もあります。より効率的なデータ活用方法のノウハウを得ることで、自社運用への切り替えがスムーズになります。
データの管理・分析を得意としたツールを導入する
データ活用に向けて、データの管理・収集・分析をするためのツールを導入するのも成果を出すために重要なポイントです。
データの集計や分析に強いツールをBI(ビジネスインテリジェンス)ツールといい、データ活用を推進する際に役立ちます。企業が蓄積しているデータを管理したり、可視化できたりするので、データ活用の効率化や精度の向上を実現できます。
また、ビジネスシーンに特化したツールをデータに活用するのもおすすめです。営業活動のデータ活用にはSFA(営業支援システム)、顧客情報のデータ活用にはCRM(顧客関係管理システム)が便利です。
SFAやCRMなどの特徴や違いは以下の記事で解説しているので、ツールの活用に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
▶SFA・CRM・MAの違いや活用方法とは?連携のメリットや事例も解説
また、SalesforceではBIツール「Tableau」を提供しています。Tableauでは、自社のデータをもとに自由度の高い分析が可能です。顧客分析や売上予測など多種多様な用途で利用できます。
デモ動画の視聴や1か月間の無料トライアルを実施していますので、お気軽にお試しください。
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Tableau は極めて幅広く充実した機能を持つ、データと分析のためのエンドツーエンドのプラットフォームです。無料トライアルからお試しいただけます。
データ活用の事例
データ活用の事例について紹介します。
- コマツ
- 城崎温泉
- 本田技研工業
- ミツカン
- ダイキン
データ活用を実践し、どのような成果が得られたかを具体的に把握できますので、ぜひお読みください。
コマツ
コマツは建設機械を専門に取り扱う企業です。コマツでは建設機械にセンサーやGPS装置を取りつけ、車両の位置や警報の有無、稼働状況などのデータを収集しています。
世界各地で稼働する自社の建設機械の状態を集中管理しながら、収集したデータを利用者や販売代理店などに共有しているのが特徴です。
データの可視化により、故障原因の特定と修理の迅速化、盗難防止、顧客へのコスト削減の提案などを可能にしています。
▶ビッグデータ活用でビジネスはどう変わったか ~コマツにおけるモノのインターネット事例から考える~
城崎温泉
城崎温泉は兵庫県北部にある温泉地で、多くの観光客が温泉めぐりを楽しんでいるスポットです。
城崎温泉では「ゆめば」というデジタル外湯券をスマートフォンや携帯電話のICカード機能で発行し、収集したデータを街の活性化に活用しています。デジタル外湯券があれば、キャッシュレス決済のように、現金を使わずに温泉めぐりやショッピングを楽しめるのが特徴です。
観光客の動きをデータで収集することで、回遊の経路や利用者の多い時間帯、家族やカップルといった訪問客の組み合わせなどを定量化しています。可視化されたデータをもとにして、さまざまなイベントを開催し、魅力的な取り組みによってさらに多くの人を呼び込んでいます。
▶ビッグデータ活用の本質とその進め方 ~城崎温泉の事例にみるデータ活用のポイント~
本田技研工業
本田技研工業はドライバーの快適なカーライフを実現するため、ドライブ情報ネットワーク「internavi」を2002年から開始しています。「internavi」とは安全や天気、低燃費などの情報を提供するサービスです。
「internavi」の活用により約20%早いルートが案内され、約16%のCO2削減ができたり、急ブレーキ回数を約7割減できたりしました。
ミツカン
ミツカンには、主力製品である冷やし中華つゆがオフシーズンになると余剰在庫を抱えてしまうという課題がありました。そこで冷やし中華つゆについて、以下の観点から需要予測を分析しました。
- 売上
- 発注量
- 廃棄量
- 気象
結果、冷やし中華つゆの余剰在庫を約40%削減でき、物流で排出されるCO2も削減できました。
ダイキン工業
ダイキン工業は故障・品質管理を強化するため、以下のようにデータ活用を実施しました。
- AIでエアコンの具体的な不具合箇所や、交換が必要な箇所を特定
- AIで運転異常が出る予兆を検出
結果、不具合の原因を特定することで、故障時の現場訪問が1回で済むようになりました。1年以上早く製品の不具合をフィードバックできるようになり、PDCAをよりスピーディに回せるようになりました。
データ活用に取り組むなら「Starter Suite」
「Starter Suite」は、月額3,000円で手軽に利用できるCRMです。営業活動の管理やカスタマーサービス、メール配信など多彩な機能を搭載し、営業の成果向上を強力に支援します。
分析レポートがデフォルトで実装されており、導入してすぐにデータ活用をはじめられるのが特徴です。自社で閲覧したいデータに絞ったレポートもカスタマイズでき、自社の目的にあわせてデータ確認できるようになります。
「Starter Suite」は、30日間無料トライアルを実施しています。使用感を確かめてみたい方は、ぜひ一度トライアルをご利用ください。
【30日間無料】Starter Suiteトライアル
Starter Suiteでは、ビジネスの成長に必要なツールとサポート体制を提供します。オールインワンのソリューションで、マーケティングから営業、サービスまで対応。
データ活用で業務改善・改革の促進へとつなげDXを成功させる
データ活用によって業務の改善や改革ができ、コストの削減や顧客満足度の向上につなげられます。新規事業の拡大や新商品の開発にも活用できるので、売上の増加も期待できます。
データ活用で成功するには、顧客管理情報や商談管理など、社内におけるすべてのデータを収集できるシステムを活用しましょう。
たとえば、営業部門やマーケティング部門であればSFAの導入を検討してみてください。
また、ツールを選ぶうえでAIが搭載されているかどうかも重要です。AIが生成する提案や需要予測などの機能によりムダな業務を省けるため、顧客との関係を築くために多くの時間を割けられるようになります。
以下の記事でAIの価値についてお伝えしています。ビジネスにおける影響や活用するメリットについて紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
AI を活用したデータ分析でビジネス価値を創出
企業が明日の市場で競争力を維持するには AI を導入する必要があるため、データに基づいた組織になることがかつてなく重要になっています。AI を活用した分析で価値を創出する新たな方法についてご紹介します。