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DX人材とは何か。それはSalesforce管理者そのもの

DX人材とは何か。それはSalesforce管理者そのもの

5年以上MVPとして活躍した人が認定される「Salesforce MVP Hall of Fame」を果たしたNTTテクノクロスの鈴木貞弘氏。革新に挑戦する「Trailblazer」のストーリーをご紹介します。

鈴木貞弘氏は、NTTテクノクロスでプリンシパルエバンジェリストを務めています。Salesforceとの本格的な出会いは2008年。Salesforce導入を支援するビジネスにインテグレータ コンサルタントとして携わった時でした。

それ以降、Salesforceのテクノロジーに魅せられ、自身の仕事に生かすだけでなく、エバンジェリストとして普及活動に尽力。ユーザーコミュニティの拡大にも力を注いでいます。2017年には日本で初めて「Admin Salesforce MVP」を受賞し、2023年には「Salesforce MVP Hall of Fame」として殿堂入りを果たしました。現在は、Salesforceユーザーグループの役員会幹事長としてサポートを行うと同時に、Salesforce管理者向けコミュニティのリーダーとしても活躍しています。

「Salesforceとの出会いは私のキャリアを大きく変えました」。そう語る鈴木氏とSalesforceの出会い、キャリアへのインパクト、生成AIの可能性など多角的に語っていただきました。

Salesforceはシステム管理者の存在価値を上げる

NTTテクノクロスの前身であるNTTソフトウェアが、Salesforceを導入したのは2003年。鈴木氏がSalesforceにユーザーとして初めて触れた時の印象は率直に、「使いづらいシステム」でした。

営業支援のシステムとして導入された当時、一人のユーザーとしてSalesforceに触れた鈴木氏は複数案件の情報をまとめて入力できないなど、操作に不自由さを感じていて、良い印象がなかったと打ち明けます。

その印象が180度変わったのは、2008年にSalesforceのシステム管理者に抜擢された時でした。

「管理者向けの研修を受けて衝撃を受けました。元々システムエンジニアとして数多くのシステム構築に携わってきましたが、Salesforceの管理者向け研修を受講した際に『こんなに簡単にシステムが構築できるのか』と驚きました。項目の追加などはドラッグ&ドロップで変更でき、データベースのスキームも自動生成される。これは従来のWebシステムの開発と比べると驚異的に効率的でした。『ノーコード・ローコード』という言葉は存在しない時代でしたが、その概念をすでに具現化していたのです。

その先進性と進化のスピード、多機能に驚き、これからのシステム管理者は単なるシステムの“お守り役”ではなく、能動的に業務変革をリードする役割に変化すると確信しました」

DX人材とは何か。それはSalesforce管理者そのもの - 鈴木 貞弘 氏、NTTテクノクロス株式会社
鈴木 貞弘 氏
NTTテクノクロス株式会社
カスタマーエクスペリエンス事業部、第一ビジネスユニット
プリンシパルエバンジェリスト

生成AIがもたらす市場価値の向上

鈴木氏は昨今テック業界の話題をさらっている生成AIの登場で「Salesforce管理者の役割はもっと重要になる」と語ります。

NTTテクノクロスでは現在、Salesforceのソリューションと音声認識技術を応用し顧客情報の高度な分析を活用したコンタクトセンターAIソリューション「ForeSight Voice Mining(フォーサイト・ボイス・マイニング)」を児童相談所向けに提供するなど、新プロダクト・サービスの開発にも力を入れていますが、社内の業務改革にも生成AIを積極的に活用する機運が高まっているとのことです。

「生成AIは、ノーコード・ローコード以上のビッグチェンジをもたらすと感じています。例えば、ランディングページを制作するにしても、スクラッチ開発したものをノーコード・ローコードでカスタマイズができるようになりました。これが、生成AIを活用すれば、自然文を入れるだけでランディングページが出来上がり、さらにスピードが速くなることで、仕事の進め方が激変するでしょう」

Salesforce管理者は生成AIを操ることによって、よりビジネスに近い部分で貢献できる範囲が広くなり、その重要性も増すはずです。

「例えば、コンタクトセンターで生成AIの利用が進めば業務効率が格段に上がるとともに、オペレーターの役割も変わってくると思います。そうなると、Salesforce管理者は、Salesforceを活用して顧客満足度を上げるためにどうすればいいか、オペレーターのスキルをどう上げればいいかを考えるでしょう。つまり、オペレーター業務そのものを変革する役割を務めるということです。

SalesforceはAIにコミットしており、私たちへ研究開発の成果を年間3回のバージョンアップリリースで提供してくれるため、先進的なAIを体験できます。Salesforce管理者は、自然とAIの知見と経験を蓄積できるでしょう」

Salesforce管理者は経営企画に属するべき

生成AIの登場によって、Salesforce管理者の存在価値はますます上がると語る鈴木氏ですが、「すでにSalesforce管理者は、ビジネスを左右する存在になっている」とも言います。

「Salesforceのソリューションは多岐にわたっており、企業のさまざまな業務を支えています。それをマネジメントしているSalesforce管理者は、いわば、業務プロセスを知り尽くしている存在です。業務をどう変えればいいのかを提案でき、さらにその先の事業や経営をどう変革すればいいかも提言できると思います。私は、Salesforceの管理者は、情報システム部門ではなく、経営企画に所属してもいいと感じています。Salesforceの管理者は間違いなく現在求められているDX人材そのものです」

実際、鈴木氏は経営目線での管理者としてさまざまな業務改革を提案、実行したことで、社内で「高度専門人材」として認められ、エバンジェリストとしてキャリアパスを構築できた実績があります。

「Salesforce管理者に対する上層部の認識は、すでに『単なる技術者ではなく、経営にコミットする役割』へと当社では変わりました。米国ではSalesforce管理者は、高額な年収を得ています。つまり、それだけ会社の業績を左右する価値ある仕事であると経営層が認めているのです。しかし、日本ではそうしたポテンシャルを理解し、価値を認める経営者はまだまだ少ないのが現状です。

私は『Salesforce管理者はそれだけのスキルと可能性、価値がある』というメッセージを、コミュニティやカスタマーサクセスグループを通じて発信しています。また経営層とも連携し『Salesforce管理者はDX人材である』と広く啓蒙していきたいと考えています。Admin Salesforceグループの目標は、Salesforce管理者の価値向上でもあるのです」

「無理」から「イケる」に変わった瞬間

今でこそ高い評価を得ている鈴木氏ですが、「Salesforceで管理者の評価が変わる」と言い切れるきっかけとなったのは、3つの自治体の定額給付金受付管理システムを2か月で構築する案件をやり遂げたことだったと振り返ります。

「2009年にSalesforceの研修を受けた直後に携わったある自治体からのプロジェクトでした。当初は『そのスケジュールじゃ無理でしょ』と半ば無謀だと感じていたのですが、Salesforceのサポートを受けながら1週間で受付管理システムの画面が出来上がったとき、『無理でしょ』から『イケる』に気持ちが変わりました。その後も、市職員のみなさんに実際の画面を見てもらいながら改変を繰り返し、システムは完成。もし、Salesforceのテクノロジーがなければ、2か月では要件定義すらできなかったと思います」

この経験を通じ、無理だと思われる案件に取り組む際も「Salesforceなら限界を打破できる。Salesforce管理者の地位は上がる」という自信が芽生えたといいます。実際、コミュニティにおける事例発表でも「無理難題なプロジェクトをどうやって達成したか」というノウハウの共有が増加しています。

Salesforceのユーザーが自社の活用事例を紹介して日本一を決める「Salesforce全国活用チャンピオン大会(SFUG CUP)」においても、以前はSales Cloudを活用して業務の効率化や簡素化を実現するといった事例がほとんどでした。しかし、近年では「Tableau」や「Slack」、「Sales Enablement(旧 myTrailhead)」といったファミリー製品と連携させて、いかに業務課題を解決したか、あるいは業務推進に貢献したかという多岐にわたる事例の紹介が主流になっているといいます。

成長を支える『give & take』なコミュニティに浸透する精神

とはいえ、Salesforce管理者になってみると、現場の協力が得にくいなど壁にぶつかる担当者も少なくないでしょう。鈴木氏は、だからこそコミュニティに価値があると語ります。

「私は、コミュニティ活動を通じて『Salesforceの管理者は孤独ではない』というメッセージを伝え続けています。コミュニティでは、さまざまな知識やアイデアを持ち帰った人が次回に新しい気付きを還元してくれる、という良いエコシステムを構築しています。その背景には、Salesforceが企業理念として重要視する平等性(イクオリティ)があり、『give&take』の精神が浸透しています。

メンバーは新規ユーザーからベテランまで、業種や肩書きはさまざまですが、全員が隔てなくフラットな関係で情報を交換しています。私自身は教える側ですが、学ぶことも多々あると感じています。Salesforceは、その技術力だけでなくこうしたコミュニティ活動があることも強みだと思います」

日本のさまざまなコミュニティが会するコミュニティカンファレンス
「Japan Dreamin’」での集合写真
日本のさまざまなコミュニティが会するコミュニティカンファレンス
「Japan Dreamin’」での集合写真

※1 Trailhead :Salesforce が提供する無料のオンライン学習ツールです。初めての方も安心の「Trailhead スタートガイド」はこちら

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