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【連載:Salesforce営業組織の今を知る】最初の1分が勝負。Salesforceのインサイドセールスが実践するヒアリング術

【連載:Salesforce営業組織の今を知る】最初の1分が勝負。Salesforceのインサイドセールスが実践するヒアリング術

Salesforceのインサイドセールスによる、アポイントが取れるヒアリング術とは?インサイドセールスマネージャーの新田 有香里氏と、現場で活躍するBDR(Business Development Representative)の岡崎 朋希氏が、アポイント獲得の成功パターンを明かします。

シリーズ: Salesforce営業組織の今を知る #1-3 最初の1分が勝負。Salesforceのインサイドセールスが実践するヒアリング術

(新田)皆さんこんにちは、新田 有香里です。セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce)のインサイドセールス部門でマネージャーを務めています。2013年にインサイドセールス担当として入社し、外勤営業を経たのち、現在はインサイドセールス部門のBDR(Business Development Representative)チームでマネージャーをしています。今回は、私の経験と部門のノウハウにもとづいて、お客さまからアポイントを獲得するコミュニケーションの成功パターンについてご紹介します。

(岡崎)こんにちは、岡崎 朋希です。私は2021年4月にSalesforceに入社しました。前職ではハードウェアメーカーの外勤営業をしていましたが、業界シェアトップの企業だったため、製品が良ければ売れるという楽な環境でぬるま湯に浸かっているのではないかと危機感がありました。Salesforceならセールスパーソンとして本質的なスキルを磨けると思い、入社を決めました。今は従業員2,000名以上の大手企業を担当しています。

岡崎 朋希

インサイドセールスチームのKPIとミッション

(新田)SalesforceにおけるインサイドセールスチームのKPIは、当社の「The Model」に従ったかたちで、マーケティング部門と外勤営業部門との間で合意された目標値に設定されています。その全体のKPIを元に、各チームのKPIが決まり、各個人のKPIに落とし込まれていく流れです。

図1:Salesforceの「The Model」

インサイドセールスの個人に設定されるKPIには、以下のような内容が含まれます。

  • 外勤営業がインサイドセールスからの商談を案件として認めた数/案件の金額
  • 外勤営業が契約に至った案件の金額

またKPIをクリアするための重要指標として、以下のような内容も各個人の活動目標として設けております。

  • お客さまにコンタクトした件数(電話、メール、手紙など)
  • 獲得したアポイント件数
  • 外勤営業に案件を引き渡したのちのフォローアップ件数

チームマネージャーとしての私の役割は、こうしたメンバー各人のKPIの達成と成長を全力で支援することと、チーム全体のKPIをクリアすることです。加えて、外勤営業をはじめとする関係部門とのスムーズな連携を実現することも私の仕事です。

チームのメンバーにKPIを設定する際は「なぜ、そうしたKPI設定になったのか」と、そのKPIを達成することが、チームや部門、ひいては会社にとってどのような意味を持つのかを、しっかりと説明して納得してもらうことが大切です。

当社の場合、すべての部門、チーム、個人のKPIがオープンになっているので「自分になぜ、そのKPIが課せられたのか」の理由や事業目的をきちんと理解することができます。

(岡崎)前職では外勤営業でしたが『とにかく数を積み上げること』のに重きを置かれ、KPIの設定において手段が目的になってしまうことも少なくありませんでした。これに対して、SalesforceのKPI設定は、設定の理由や数字的な根拠が明確で、自分に何が求められているかもはっきりしています。そのため自身がやるべきことに疑問を抱くこともなく、目標達成に邁進することができています。

Salesforceって何がすごいの?

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最初の1分が勝負。 インサイドセールスの心得とは

(岡崎)当社のインサイドセールスが常に心掛けることは、お客さまの成功を第一に考えることです。その心構えは、当社のインサイドセールスの全員が持っています。私も入社したばかりころは、案件や商材ごとにアプローチの方法が違うため、何が正解が分からなかったのですが、毎週のミーティングで先輩やマネージャーからアドバイスを受けるうちに『ビジネスパートナーになる』という意味を理解できるようになり、3ヶ月目くらいから、少しずつ成果を上げられるようになりました。

商材を売ることを目的にせず、お客さまのビジネスパートナーとしていかに役立つ情報をご提供できるか、ということを心掛けています。

お客さまの成功を支援するうえでは、お客さまのことをどれだけ理解しているかが大切になります。そのうえで、お客さまにコンタクトした最初の1分間で「自分に役立つ情報を持っていそうだ」と感じていただけるかどうかが勝負となります。

ここでポイントとなるのは「Why You Now」(なぜ、あなたに、いま連絡したのか)を明確にし、納得感を得ていただくことです。

(新田)もう一つ、インサイドセールスとして心掛けなければならないことは、お客さまにアプローチする件数を多く保つことです。この基本をクリアできていないと、インサイドセールスとしてのスキルに磨きをかけることはできず、結果として、お客さまの成功に貢献することも難しくなります。

スクリプトは不要!? Salesforce流のヒアリング術

(新田)私はよく、当社のインサイドセールスの「トークスクリプト」について教えて欲しいというご依頼を受けます。ここでいう「トークスクリプト」とは、セールス用の定型的な言い回しや台詞のことを指していますが、当社の場合、そのようなスクリプトは用意していません。定型のスクリプトを覚えたところで、お客さまの課題解決に役立つコミュニケーションは展開できないからです。

お客さまのためになるコミュニケーションを展開するためには、以下のような準備プロセスが大切です。

  1. お客さまの立場や会社、ビジネスの状況を調べ上げる
  2. 「1」の結果にもとづき、どのような課題があるかをさまざまな角度から想定する
  3. 想定した課題への解決策を仮説として作り上げる
  4. 並行して同じような課題を持ったお客さまの成功事例を探し当てる

こうした準備プロセスを踏むことで、アプローチの最初の段階でお客さまに「Why You Now」を感じていただくことが可能になります。

図2:Why You Nowの一例

そのうえで、事前に想定した課題にもとづきながら、具体性をもった質問を投げかけ、お客さまが抱いている真の課題を把握していきます。このように傾聴をすることで、お客さまにとって有益な提案へとつなげていくことが可能になり、アポイント獲得率を高めることができます。

またもう一つ、当社のインサイドセールスには、豊富な事例を使った「示唆質問」が行えるという強みもあります。示唆質問とは「●●を使っていないなら、▲▲でお困りではないですか」といった、お客さまが気づいていないような課題について確認を促す質問のことです。こうした質問を実例にもとづいて行うことで、お客さまはご自身が抱える課題について整理してとらえられるようになり、セールス担当者との会話も自ずと弾んでいきます。その意味でも、先に述べた「4」のプロセスは欠かせないと言えます。

オープンな環境がヒアリング術を磨く

(岡崎)当社にはトークスクリプトはありませんが、トークやヒアリングをどう構成すべきかのノウハウを学ぶ機会は豊富にあります。

例えば、案件や営業のプロセスごとに自分で作ったトークの文面を先輩や同僚に見てもらい、さまざまな指摘を受けながら改善し、お客さまに連絡をとるといった学びのパターンを繰り返しています。

また社内では、アポイント獲得に成功した先輩たちの話し方やメールの文面が、ノウハウとしてオープンに共有されています。そこからも、多くのことを効率的に学ぶことができています。

(新田)加えて、当社のインサイドセールス部門では、セールス担当者のトーク、ヒアリングのスキルに磨きをかけるためのトレーニングも行っています。トレーニングの代表的な一つは、新人とベテランのセールス担当者の2人が1組になって、インサイドセールスのロールプレイングを展開するというものです。このトレーニングを通じて、新人のトーク、ヒアリングの基本的なスキルが高められます。

また、インサイドセールスとして経験を積んでいく中では、テクノロジーやソリューションに関する知識も必要となりますが、当社には、そうした知識を学び・吸収するための場や環境がしっかりと提供されています。さらに、テクノロジーやソリューションに関して、高度な知識・経験を持った社員も大勢いて、インサイドセールスはそうした社員ともコミュニケーションツールなどを介してつながっています。つまり、自分の知りたいことを、その分野に精通した社員からすぐに学べる環境も整っているのです。

図3-4:Salesforceのインサイドセールス育成プログラム全容

お客さまの成功への追求が信頼につながる

(新田)以上のような教育、トレーニングや環境を通じて、セールストークのテクニック、スキルに磨きをかけることは大切です。ただし、インサイドセールスにとって、それ以上に大切なことは、やはり、お客さまの成功を徹底的に追求する気概と姿勢です。

例えば、岡崎は、私のチームに参加してから数カ月で、「インサイドセールスのお手本だ」と、お客さまからSNSメディア上で絶賛されました。そのお客さまは、使用していたCRMの社内利用率が低下していたことを問題視し、新たなCRM製品を模索されていました。まさにそのタイミングに受けた岡崎の細やかな対応と提案力に感動してSalesforceのアポイントを承諾したと仰せでした。実際に岡崎のアプローチがキッカケで、そのお客さまにはSalesforceを採用いただきました。

(岡崎)当社で学んだインサイドセールスの手法に従い、お客さまのことを入念に調べ上げ、課題や解決策を想定するだけではなく、その企業のサービスを1ユーザーとして実際に利用し、その顧客サービスのあり方をチェック、そのうえで、サービスの感想などを伝えつつ、ソリューションの提案を行いました。単にソリューションを売るのではなく、お客さまの成功を第一に考えた提案ができたからこそ、良い形でアポイントに繋がったと自負しております。

スキルやテクニックは手段に過ぎず、それだけを覚えても、お客さまに感動を与えるようなセールスや提案は行えません。「お客さまの成功をお手伝いしたい、そのために、お客さまのことをもっと知りたい」と願うことが大切であり、その大切さの理解が、当社のインサイドセールスの強さを支えていると私は考えます。

そんな私たちのセールス活動について、もっと知りたい方は、ぜひ、関連の資料などをご覧ください。

また次回、シリーズ「Salesforce営業組織の今を知る」の第4回では、オンライン時代での社員オンボーディング秘話として、トップパフォーマーを育てる育成方法とは?のテーマで掘り下げていますので、是非読んでみて下さい。みなさんの課題解決のヒントになれば幸いです。

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営業活動に必要なデータベース整備/データに基づいた分析


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合わせて読みたい!【シリーズ: Salesforce営業組織の今を知る】

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#1-3 最初の1分が勝負。Salesforceのインサイドセールスが実践するヒアリング術

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