顧客体験の魔法を使うウサギがトレードマークのSalesforce は「Salesforce Data Cloud」においてガートナーが発表した「2024 Gartner® Magic Quadrant™ for Customer Data Platform 」で、実行能力とビジョンの完全性の両軸で最上位の位置づけでリーダーの1社と評価されました。
CRMなど、Salesforce の製品がリーダーとなることは珍しくありませんが、今回Gartnerから評価を得たと弊社が考える理由を解説します。CDP (Customer Data Platform) が何かがわからない人もいるかもしれないので、まずはその説明から始めたいと思います。
目次
CDP (Customer Data Platform) ってなんだ?
CDPとは、外部のデータレイクやデータウェアハウスからデータ統合を可能にし、SFAやMAといったビジネスアプリケーションなどで扱いやすくするためのテクノロジーです。
企業活動に関わるデータが1箇所に集約され、分析やビジネス施策を手間なく実現するーー。これは、データドリブン経営や、データによる顧客体験の向上を望んでいる多くの企業が求めていることです。
しかし、それを実現するテクノロジーの利用は簡単ではありませんでした。なぜなら「バラバラで繋がりのないデータ」を「顧客一人ひとりの価値ある情報にする」ための変換プロセスにデータ管理技術を要するためです。
このプロセスは、大きく3段階で順序づけるとわかりやすくなります。
- データレイク(Data Lake) – 元データをそのまま保管している文字通りデータの溜まり場
- データウェアハウス (Data Warehouse) – データレイクのデータを収集、統合、セグメント化する
- データマート(Data Mart) – セグメント化されたデータをマーケティングや広告などの特定用途に加工・整理
ビジネスユーザーが欲しいのは、データマートの領域まで整備されたデータですよね。マーケティングや営業活動で使えるデータが欲しい。しかし、それを得るには、データレイクから ETL (Extract/Transform/Load) でデータウェアハウスへ構造化したデータを流し込み、SQL (Structure Query Language) でビジネス要件に応じたデータ整形やマート化するための処理が必要でした。
さらにいえば、マート化されたデータをマーケティングオートメーション (MA) で使えるようにつないで、エンジニアではない人々に使い方を教える必要もある……。
これはデータベースエンジニアやデータ技術にとても詳しいデジタルマーケティングの領域です。これがやりたかったことでしょうか? データの複雑な技術的管理やデータベースエンジニアの採用じゃありませんよね。ビジネスに使えるようにして欲しいのです。
そのために、複雑で高度なデータをビジネスで使えるようにする技術がCDPです。そして 「Salesforce Data Cloud」 がそのカテゴリに該当します。
なぜ最高リーダーの1社という評価になったのか
このCDP市場で Salesforce Data Cloud はリーダー・クアドラント内でビジョンの完全性、実行能力両軸において最上位の位置づけと評価されました。ここで疑問が浮かびます。
疑問 : CDP は他にも製品があるけど、Salesforce Data Cloud が評価された理由は?
Gartnerで評価された正式な理由はこちらで確認することができます(申し訳ございませんが、まだ英語版のみです)。機能やブランドに関わると非常に多岐にわたる差別化要因がありますが、一方で、Salesforce では、わかりやすい領域では Salesforce Data Cloud には以下の3つに強力な差別化要素が含まれていると考えています。
1. 顧客データへの統合が圧倒的にスムーズ
バラバラのデータを「ビジネスで使えるように顧客データに統合する」には、そもそも顧客データの管理構造が確立して運用されている必要があります。
こちらのブログでも紹介しているように、Salesforceは世界No.1 CRMとして、顧客データを「メタデータモデル」で管理できるようになっています。企業、契約、商談、リード、ウェブ、メール、営業活動記録などあらゆる顧客接点データ、言い換えると「お金と行動を結びつける顧客データ」であるCRMをより強化するために最適なCDPとしてData Cloudを開発しています。そのためData CloudからCRMへの顧客データ統合に複雑な開発が必要ありません。
一方で、CDPだけを提供しているベンダーは、外部CRMとCDPを接続したい場合、CDP及びCRM両方のシステムにカスタム開発が必要になり、システム間連携に時間がかかります。
ビジネスに使えるようになるまで、そしてその結果を顧客データに紐付けるための中間テーブルや正規化も必要となり時間と開発コストがかかります。
2. SQLではなくGUIで統合・分析できる
「CRMへのデータをマッピングしやすい」とはどういう意味になるでしょうか。メタデータモデルがあることに加え、それらを全て GUI ベースで実現できる部分もメリットです。
例えば、2つのイベントで回収した顧客の参加者リストが入っている2つのエクセルを想像してください。片方は顧客を「お客様のお名前」と、もう片方は「顧客名」と分類していた二つのエクセルがあるとします。
これらを「顧客氏名」という1つのメタデータモデルに統合してCRMにインポートしたい場合、エクセルで手動でコピペしたり、簡単な関数処理することは想像できそうですね。これを SQL で実現してください、と言われたらもう途端に私たちビジネスユーザーはわかりません。
ですが、Salesforce Data CloudはCRMの顧客データ統合のための条件一致や分析をSQLではなくGUIで行えるようになっており、「SQLを知らないとそもそも使えない」という状況がありません。
3. ビジネスのためのAIであるEinsteinを強化する
そして最も異なっているのが「ビジネスのためのAI」である「Einstein (アインシュタイン)」をさらに強化するデータとして使えることです。 EinsteinとはSalesforceのAI機能群の総称です。
SalesforceのAI、Einsteinってなんだ?
Salesforce の AI である Einstein とは何かについて解説します。実際の製品デモ動画を通じて、Einstein がビジネスのためのAIとしてChatGPTと何が違うのかも説明しています。
Einsteinは顧客データに基づいてパーソナライズされたメールを書き起こすような生成AIだけでなく、売上予測や商談スコアリングを実現する予測AIも含まれています。
「ChatGPT」に「お客様が開封してくれそうなメールを書いて」とプロンプトしても、インターネットのSEO記事のような文面しかでてきません。これは仕方ありません、インターネットの情報を学習しているからです。
しかし、Salesforce Data Cloudが顧客のウェブサイト訪問や行動を把握しており、それらがCRMにリアルタイムで統合されている Salesforce の AI である Einstein にそれを尋ねたらどういう生成結果が得られるでしょうか。Data Cloud と Einstein の関係性は以下の Blog で詳しく説明しています。
Einsteinはなぜ「ビジネスに最良のAI」と呼ばれているのか?
Data Cloud を試したい時は Data Cloud Provisioning で
Salesforceをご利用のお客様で、無償で Data Cloud を試してみたい方はこちらのページを参照してください。Data Cloud プロビジョニングには、250,000 データサービスクレジット、1 TB のデータストレージ、1 Data Cloud システム管理者、100 Data Cloud 社内 ID ユーザー、1,000 Data Cloud PSL、5 インテグレーションユーザーが含まれます。Unlimited Plus Edition のお客様は、2,500,000 データサービスクレジットを利用できます。およそ10,000顧客IDぐらいを処理できるクレジット量になっています。
無償で使えるData Cloud Provisioning
生成AI時代が本格化する中、幾多のAIが登場しています。その中でSalesforce の AI である 「Einstein 」は「ビジネスに最良のAI」を謳っています。その理由を詳説します。
ページをみてもよくわからない時はお問い合わせいただくか、Salesforceのウェブページの右下に現れるチャットなどでお伺いください。SalesforceのData Cloud Expertがお答えしていきます。
Gartner, Magic Quadrant for Customer Data Platforms, Lizzy Foo Kune et al., 14 February 2024
Gartnerは、Gartner, Inc.および/または米国とその他の国におけるその関連会社の商標およびサービスマークであり、MAGIC QUADRANTは、Gartner, Inc.および/またはその関連会社の登録商標であり、本書では許可を得て使用しています。All rights reserved.
この図表は、Gartner, Inc.がリサーチの一部として公開したものであり、文書全体のコンテクストにおいて評価されるべきものです。オリジナルのGartnerドキュメントは、リクエストにより Salesforce からご提供することが可能です。
Gartnerは、Gartnerリサーチの発行物に掲載された特定のベンダー、製品またはサービスを推奨するものではありません。また、最高のレーティング又はその他の評価を得たベンダーのみを選択するようにテクノロジーユーザーに助言するものではありません。Gartnerリサーチの発行物は、Gartnerリサーチの見解を表したものであり、事実を表現したものではありません。Gartnerは、明示または黙示を問わず、本リサーチの商品性や特定目的への適合性を含め、一切の責任を負うものではありません。