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知りたい!他の企業のSalesforce人材育成事情

Salesforce人材育成といっても、その規模や状況など企業によって様々です。他の企業が何をしているのか気になったことはありませんか?本記事ではSalesforce人材育成に取り組まれている企業の事例をご紹介することでそのヒントをお届けします。

Salesforceを使いこなすには、社員への教育プログラムの提供や人材育成が欠かせません。では、誰がどのレベルのスキルを身につけるべきなのでしょうか。企業や組織によって状況は異なり、担当者を悩ませる課題になっています。

本記事では、Salesforceの定着化に取り組み、既に自走する組織を実現されている株式会社日本M&Aセンター 藤田 舞氏とレジル株式会社 南 薫氏にご登壇いただき、効果的だった取り組みをはじめ、両社の人材育成事情をご紹介することで、今すぐ取り入れていただける施策についてご紹介します。

※ 2023年10月5日に実施されたこちらのウェビナーの内容をもとに構成しています。

現在取り組まれているSalesforce人材育成について

— 社内で実施されているSalesforce人材育成について教えてください

藤田さん:
2022年から全社員を対象に、Salesforceのスキルアップを目的とした社内独自の社内資格制度を実施しています。「超初級コース」では雛形のレポートを編集できるところまでをゴールにした資格で、「初級コース」はデータ分析を活用して、レポート、ダッシュボードを自ら作成したりすることができるコースになっています。「上級コース」はSalesforceの認定アドミニストレーターレベルの知識をもとに自分で改善要求を整理して実行できる、という内容になっています。
現在、1年9ヶ月ほど経ちましたが、「超初級コース」に至っては2人に1人が取得している状況になっています。社員数は、約1,000人です。
コースの内容については1から作ると言うよりは、TrailheadやSalesforceが提供しているリソースを活用しながら少しずつ自社向けにカスタマイズしてきました。この施策を行った結果、過去2年間で数多くのレポートやダッシュボードが作成されるようになり、機能改善も1日に数件はリリースするほど高頻度に行われるようになりました。他にも、部署で取り組んでいるSalesforce活用をプレゼンする社内コンテスト「Salesforce CUP」を実施しています。

南さん:
「DX人材育成プログラム」というものを行なっていまして、全社員を対象にライフステージが変化した際にも社内外で活躍できるようにデジタルスキルを身につけようという目的で始まりました。どの部署からも参加できるのですが、希望者が多く現在は抽選になっています。選ばれた方は、まずはSalesforceを学習してスキルを身につけた上で自身の部署でSalesforceの活用を進めていくのと、メンターとして次のプログラムの参加者に教えていく、という内容です。
社内で使っているメインシステムがSalesforceなので、この取り組みを通じて事業の成長につながると考えたのと、Salesforce自体、世界で多く使われているので、もしレジルを卒業したとしても自身のキャリアの可能性を広げられる武器を身につけて欲しいという目的でこう言った人事制度が始まりました。
今2年目になりますが、参加者は全員認定アドミニストレーターの資格を無事取得できました。
Salesforceは学習ツールが充実しています。Trailhead Academyが提供している有償トレーニングを活用するなど、各自でSalesforceを触ることによってスキルを身につけています。

認定アドミニストレーターは簡単な資格ではありませんが、持っていることで機能への理解も深まりますし、自信やキャリアアップにもつながるお勧めの資格です。全員取得されているのは素晴らしいですね。

ロール別Salesforce認定資格を取得する

Salesforceの実務経験を証明し、新たなビジネスチャンスにつながる競争力を身につけることができます。

業務スピードへの対応で加速する内製化

— どこまで自社でSalesforceの開発・運用を担当していますか

藤田さん:
かつてはパートナー様にお手伝いいただいていたのですが、現在9割は内製しています。一部、外部の方が常駐はしていますが、弊社社員と一緒に日本M&Aセンターのやり方でやっていただいています。来年にはほぼ100%内製にする予定で進めています。スピード感はとても大事にしていますね。

南さん:
私自身が設定を行なっているわけではなく、情報システム部門が管理をしています。一部は外部のパートナーに依頼はしていますが、やはり内製化の割合はどんどん増えています。それはスピード感が全然違うのでそのようになってきている状況ですね。私の場合は、営業のメンバーから改修依頼を受けて、一旦私の方で預かってから情報システム部門に依頼しています。理由は、営業のメンバーはSalesforceの機能に詳しくないので、私が入ることにより情報システム部門とのやりとりをスムーズに進められるからです。各部門にそういったSalesforceの機能を分かっているメンバーをなるべく配置していきたいと思っています。
業務部門とシステム部門のハブになる、橋渡しになる役割が重要になると考えています。

機能に関する知識と業務の理解、その両方が必要

— 中心メンバーのスキルレベルはどこまで必要だと考えますか?

藤田さん:
ほぼ内製しているため中心メンバーでいうと認定アドミニストレーターレベルは必須です。中心メンバー以外でも、30名近くが認定アドミニストレーターを取得している状況ですので、中心メンバーはそれ以上の資格が必要だと思っています。

南さん:
Salesforceでどういうことができるのか、たとえフローを自分で作ることができなくても、フローを使うことでこういうことができるようになると知っていることがSalesforceの活用につながると思っています。そういう意味で、中心メンバーのレベルとしては認定アドミニストレーターレベルが必要だと思っています。
また、自社の環境、どういうオブジェクトがあってどういう関連性があるのかをわかっていないとレポートが作れないと思うので、その知識は必要ですね。

— 機能的な理解プラス、業務をわかっていないといけない側面もありますか?

藤田さん:
設計していく中で業務が分かっていないと正しいものができないので、両方の理解が必要です。

南さん:
情報システム部門からも「なぜこの依頼が必要なのかわからない」と言われることもあります。なぜ必要なのか、道筋が分かっていないと活用につながらないと思っています。

新しいことに楽しいと思える人材を探すことも大事。また成果を出すことで周囲の人にも影響を与えることができる

— どうやってメンバーにスキル習得の重要性をわかってもらいましたか。またどのようなスキル習得のトレーニングを行ったのかについても教えてください

藤田さん:
早い段階で成功事例を出すことが大事です。スキル習得によってビジネス的な成果を出していると、他の部門でも「うちもやりたい」となります。認定アドミニストレーターまでは結構長い道のりなので、座学だけではなくて自分の業務に活かせるものを作るなどして、早い段階で業務成果を出させてあげる。そしてそれを部長にも共有して部門でも認めるという環境が大事だと思っています。

南さん:
私が教えると自社で使っているやり方に偏ってしまうので、まずは一般的なSalesforceの知識を取得してもらうために有償トレーニングを活用しています。基礎的なことを学べる「Salesforce 管理I」を受講した上で、Trailheadや自社のSandbox環境で実際に触ってトレーニングを行っています。

— 業務と資格試験を両立するのは大変だと思います。そこまで時間や体力を割く必要はあると考えますか

藤田さん:
私の部署の場合はそれが仕事ですので、まず先に資格を取ることを優先しますが、他部署で言うとやはり難しいです。本人の希望と部長の許可をもとにスタートしています。

南さん:
私の部署の場合はシステム部門ではないので、本来の業務とは別に時間を取らないといけません。上長の許可も必要ですし本来の業務を優先しながらになります。業務内の時間で終わるわけではないので、業務外の時間も使って自主学習という形で勉強します。
それでも業務に役立つし新しい知識を身につけて勉強していくことは、社会人になるとなかなかない経験です。個人のスキルアップという意味でも時間を割く必要はあると思います。
私自身も、4月くらいからTableauを部門で導入したのですが、初めて使うのでSalesforceの有償トレーニングで一から学習しました。やはり新しいことを学ぶのは楽しいし成果にもつながるので、時間をかけてそれが無駄になるということは絶対にないと思います。

— 楽しいと思える人材を探すことも大事ですね。チャレンジした人が楽しんでいて且つ成果を出していると、その姿を見た周りの人は羨ましく思うなど、「自分もやってみよう」という気になると思います。また、「Salesforce 管理I」はお二人とも受講されていますね。網羅的に学習できるのでおすすめのクラスです。

Salesforce認定講師によるトレーニング

体系的にSalesforceを学習し、DX実現に向けたスキルを習得しましょう。

現場で協力してくれる人(仲間)を見つけよう

— プロジェクトの規模、ユーザーの規模で意識されていることはありますか

藤田さん:
Salesforce導入時、社員数は100名ほどでしたので、私一人で十分対応可能でした。ところが、今は1,000名になっています。会社が急成長していく中で自分が追いつかなくなっていくのを感じました。業務に追いつかない、リリースしても推進していくのが難しい、スピードが追いつかない。なので、Salesforceができる人を増やそうという流れになりました。

南さん:
前職でSalesforceを使い始めた頃は40人くらい。その規模だと今みたいにプログラムを実施しなくても成り立っていたんですけど、今の会社は200名ほどですが、やはり一人じゃ無理だと思いました、各部門ごとに推進者のようなメンバーがいて、メンバー間でやり方を伝えていく形が効率が良いです。
仲間を増やすことが大事ですね。同じ部門の人が「こうすると便利だよ、効率的だよ」と教えてあげることで、使う人が増えていきます。

藤田さん:
私の言葉じゃ響かないんです。現場の声、生の声が響きます。とはいえ、100人、200人の中には一人、二人くらいは興味を持ってくれる人がいて、その人と一緒に何か一つでも作り上げて、それで成果を出して現場の声として発信するのが一番響くと思います。
会社に誰かいるはず。やりたい人、協力してくれる人は必ずいます。

— 小規模の企業様だと一人でやられている方もいらっしゃると思いますが、最初の一歩として仲間を増やすというのは一つの手段なのかなと思います。一方で、人事制度に取り入れたり、全社的にSalesforceを活用したりといった経営的な判断も必要だと思います。上からも下からもやっていく情熱が必要ですね。

日本M&Aセンター様とレジル様のSalesforce人材育成についていろいろとお話を伺いました。ヒントにしていただけるところもたくさんあったと思います。ぜひ、Salesforce人材育成を進めるにあたってご活用ください。
また、視聴者の方からの質問にも直接ご回答いただきました。とても参考になる内容ですので、ぜひ動画をご覧ください。

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