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IT・情報システム部門向けイベント Connect, Personalize & Automate (Day2) 開催レポート

IT・情報システム部門向けイベント Connect, Personalize & Automate (Day2) 開催レポート

IT・情報システム部門向けイベント Connect, Personalize & Automate -すべての企業にデジタルの真価を-(Day2)開催レポート

SALESFORCE LIVE:Japanイベントシリーズ「Connect, Personalize & Automate -すべての企業にデジタルの真価を-」が2022年6月29日、30日にオンラインで開催され、CIO/CDO などITに関わる方々が、デジタルプラットフォームやコミュニティを活用して、どのように事業成長にコミットするかをテーマに議論を展開しました。本記事では、Day2のプログラムから注目の4セッションを紹介します(Day1のレポートはこちら)。

SaaSは、自社のニーズに合わせて次々と導入し、統合していく時代に

Day2の基調講演のテーマは「『当たり前』になったSaaSの凄みを最大化しよう」。セールスフォース・ジャパン Salesforce Ventures 常務執行役員 日本代表パートナー 浅田 賢をホストに、株式会社ナレッジワーク CEO 麻野 耕司 氏、株式会社アンドパッド 代表取締役社長 稲田 武夫 氏、株式会社RevComm 代表取締役 會田 武史 氏、セールスフォース・ジャパン 取締役副社長 古森 茂幹といったSaaS起業家・専門家が登壇し、SaaSの活用による働き方の変革のノウハウを語り合いました。

セールスフォース・ジャパン Salesforce Ventures 常務執行役員 日本代表パートナー 浅田 賢

2022年、米国のSaaS市場は14兆円と予想されていますが、日本でも拡大傾向にあり、1兆円に達するものとされています。浅田は、各ゲストに、最近の日本でのSaaS市場の変化について質問しました。2014年にアンドパッドを設立し、建築・建設現場の施工管理ツールのSaaSを提供する稲田氏は、「当時はSaaSという言葉がお客様に伝わらないので、パッケージや自社開発との違いを説明する必要がありました。現在は約4000社に契約いただき、お客様には平均で3種のSaaSを使っていただいております」と語りました。

株式会社アンドパッド 代表取締役社長 稲田 武夫 氏

2017年にRevCommを創業し、電話営業支援SaaSの「MiiTel」を提供する會田氏は、米国からオンラインで本イベントに参加。「2017年ごろにはSaaSという言葉が浸透していて、コミュニケーションに困ることはありませんでしたが、お客様はクラウドに対する不安をお持ちでした。2020年に広まったコロナ禍が大きな転機になり、一気に普及が進んだと思っています。なお、アメリカ企業は1社あたり80ほどのSaaSプロダクトを導入していて、それらをどうインテグレートするかが話題になっています」と述べました。

株式会社RevComm 代表取締役 會田 武史 氏

2020年にナレッジワークを創業し、営業力強化や営業生産性向上のためのSaaSを提供するする麻野氏は「創業して2年の若い会社ですが、すでに3000社以上にお使いいただいており、数年前では考えられないことと感じています。SaaSはスピーディーに導入できるというメリットがある一方で、導入の際、セキュリティチェックに半年もかかってしまうという課題もあります」と指摘しました。

株式会社ナレッジワーク CEO 麻野 耕司 氏

続いて浅田は、SaaSが広がる中での導入をためらい、レガシーなIT環境を使い続ける企業も、いまだ存在すると指摘。SaaS導入へ、どのような障壁があるかを、各ゲストに問いました。

セールスフォース・ジャパンの古森は、SaaSの活用について「(SaaSを導入していない企業は)自由にできない、ずっと使わなければならない、ほかのシステムとのインテグレーションが大変、というイメージをお持ちだと思います。お客様がやりたいことを隅々まで実現しようとするなら、(SaaSを)使った方がいい。必ず役立つものはできていますので、所有するよりも使用した方がいい、という考えに変わることが重要だと思います」とコメントしました。

セールスフォース・ジャパン 取締役副社長 古森 茂幹

IoTから取得するデータとSalesforceを連携し、ビジネスの価値を高める

Day2の注目セッションのひとつが、JIG-SAW株式会社 COO 尾崎 博人 氏による「IoT技術の活用で実現するビジネスの本質的価値とは?」です。IoTによって、これまでにないデータを取得し、活用できるようになりました。本セッションでは、IoTに不可欠な技術要素や、具体的な事例が共有されました。

JIG-SAWは、クラウド技術を活用したサポートと、無線通信や自動運転のソフトウェア技術を持ち合わせた企業で、2018年からIoTのプロジェクトでSalesforceと協業しています。同社の提供する「NEQTO(ネクト)」は、通信の共通化によってIoT製品の開発を支援するツールです。IoTデバイスからクラウドへの安定した通信を提供し、クラウド側では大量機器からのデータや装置のメンテナンスをサポートします。

Salesforceと連携したことで、大量データの保存に、データの分析も可能となり、自社製品でIoT化を目指す生産技術やIT担当者のサービス開発に費やす時間を短縮することができます。尾崎氏は、IoTをビジネスに活用するポイントについて、「開発期間、保守、運営費用、サービスの継続的な利用費用を初期投資と考えた場合に、その先で、追加の売上や、人件費削減といった、費用対効果を計測する必要があります」と説明しました。業務システム開発を省力化して早期に事業を開始し、またIoTによるデータ取得で潜在ニーズを顕在化してサービス内容を改善するなど、経営判断のために費用対効果の分析も必要となるのです。

JIG-SAW株式会社 COO 尾崎 博人 氏

尾崎氏は、NEQTOとSalesforceのソリューションの事例として、保守人件費の約20%の時間を削減することで、営業活動に時間を割き、売上を向上させた包装機器メーカーや、Salesforceと連携した機器の利用状況をスマートフォンから見ることができるようにして、きめ細かな顧客対応が可能となった衛生管理品メーカー、そして、Salesforce上で得た洞察によって競合優位性のあるサービスを提供した測定器メーカーの成果を紹介しました。

コミュニティへの参加によって、より上流工程に関わり、モチベーションも高まる

続いての注目セッションは、株式会社フレクト クラウドインテグレーション事業部 テクニカルスペシャリスト 小林 亮理 氏による「企業を成功に導く Salesforce コミュニティの裏側」です。大学では文系を専攻していた小林氏ですが、今ではSalesforce の開発者コミュニティの運営に参加しています。その小林氏の活動を中心に、Salesforceの人とつながるコミュニティの魅力が共有されました。

小林氏は、2009年に新卒で入社した企業でSalesforceに出会い、複数のプロジェクトで経験を積み、2015年ごろにはプロジェクトリーダーの立場になることも多くなり、2017年にはSalesforceの開発者コミュニティに初めて参加します。そして2018年には、Salesforceを中心としたクラウドインテグレーションを展開するフレクトに入社します。2019年には「Salesforce Developer Group Tokyo」のリーダーとなっています。

コミュニティの参加によって生じた変化について、小林氏は「上流工程から関わることが増えていきました。そして大きなポイントは、人とのつながりがすごく増えたことです。情報発信を幅広くしている方も多いので、そこから刺激を受け、学習意欲や資格取得のモチベーションも高まり、結果、仕事にも生きたと思っています」と語りました。

株式会社フレクト クラウドインテグレーション事業部 テクニカルスペシャリスト 小林 亮理 氏

コミュニティ活動ではイベントを開催しています。毎月の定例ミーティングで、どんなイベントを行うかを決めて準備し、イベント当日は、発表や質疑応答、写真撮影、懇親会などの手配をします。イベントには開発者だけでなく、システム管理者やユーザーも一定数参加しており、主に最新情報を得ることを目的としています。

小林氏自身は当初、コミュニティへの参加をためらっていたのですが、知人に誘われて行ってみたところ、大変楽しい思いをしたことで、より熱心に参加するようになっていきました。同じように参加に抵抗を感じる人のために、小林氏は、まずブログやSNSを通じてコミュニティのメンバーとのつながりを持ち、その後、オンラインのイベントに参加をすることを勧めました。

「オンラインなら、顔も出さなくてもいいですし、現地に行かなくてもいいので、参加のハードルが低くなります。イベントに慣れていただいてから、登壇につながっていけば、運営メンバーも泣いて喜ぶと思いますので、ぜひお願いします」(小林氏)

先が見えない時代、デジタル技術によって、より良い将来を描く力が必要

クロージングセッション「DXにより実現するカーボンニュートラルな未来」では、セールスフォース・ジャパン 執行役員 サステナビリティ&コーポレートリレーション担当 遠藤 理恵をホストに、東京大学未来ビジョン研究センター教授 高村 ゆかり 氏とセールスフォース・ジャパン 取締役 副社長 古森 茂幹を迎え、世界的な気候変動の課題と、カーボンニュートラルに向けた経営戦略のためのデジタル活用について、ディスカッションを展開しました。

セールスフォース・ジャパン 執行役員 サステナビリティ&コーポレートリレーション担当
遠藤 理恵

高村氏は法律を専門にしており、パリ協定、京都議定書など、気候変動問題に関する条約を研究対象としています。近年は、企業による気候変動問題への意識の高まりを感じているとの認識を口にしました。

古森は、Salesforceのコアバリューに、今年からサステナビリティが加わったことを報告しました。そして、創業者のMarc Benioffの「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである」という信念を伝え、企業自身が社会や世界を変える大きな原動力になることができる、との考えを示しました。

続いて高村氏は、地球温暖化対策推進法や、世界各国が取り組むカーボンニュートラルの状況を説明しました。同時に、この問題は遠い未来の話ではなく、すでに国内でも雨量の増加による水害や洪水、浸水被害など大きな影響が出ていることを列挙。気温上昇によって、さらに降雨の頻度や雨量が増えていくシミュレーションを示し、今すぐにでも対処できる、可能な限りの取り組みが求められていると力説しました。

もっとも、悪いことばかりではなく、各所で行われている取り組みが実を結ぶ兆しもあります。二酸化炭素の排出量は増加しているものの、排出量の伸びが緩やかになっています。その理由について、高村氏は「再生可能エネルギーや蓄電池など、脱炭素化につながる技術のコストが下がってきたことが貢献しています」と、技術革新について期待を寄せました。

Salesforceは現在、グローバルのバリューチェーン全体で、温室効果ガスの排出量を実質ゼロ化するネットゼロを達成しています。古森も、業界を問わず、顧客の企業からも注目されていることから、トップマネジメント層がサステナビリティに強い関心を持っていることを伝えました。

さらに高村氏は、日本での脱炭素の取り組み状況ついて説明しました。2021年と2022年に、脱炭素に関わる法改正があり、700の自治体がカーボンニュートラルに取り組み、「Science Based Targetsイニシアティブ」と呼ばれる、科学的知見による温室効果ガス削減目標を設定。また、事業の使用電力を100%再エネで賄う「RE100」に取り組む企業も増えているとしました。

また、デジタル化やデータ活用などに加え、新たな技術の登場が脱炭素社会の道筋につながると指摘します。特に、今の技術では排出をゼロにできない鉄鋼、セメント、アルミニウム、化学品、海運、航空、トラック輸送などの分野に対し、新しい技術を開発する「First Movers Coalition」の取り組みに注目しているとしました。

東京大学未来ビジョン研究センター教授 高村 ゆかり 氏

SalesforceでもFirst Movers Coalitionに名を連ねており、炭素クレジットの購入を通じて、大気中の炭素を大規模に除去する技術に1億ドルを投資することを決定しました。また、企業が扱う環境データを収集・分析・報告して、サステナビリティ経営の実現を支援するサービス「Net Zero Cloud」の提供や、東京都・檜原村での森林保全活動「Salesforce Park Tokyoプロジェクト」による植樹活動なども行っています。

最後に遠藤は、先が読めない時代と言われる中、データドリブン経営の次に、どのような活動が求められるかを問いました。古森は「これまで、データに基づいて物事を判断していこうとしていました。過去を分析することも大切ですが、先が見えないなら、お客様と一緒に未来を作っていくという考え方に変えなければなりません。過去からの積み上げでなく、こうありたいという姿に対し、どんなアクションにつなげていくのか、トップダウンの動きに変わっていくと感じています」と述べました。

これを受け、高村氏は最後に次のようにコメントしました。

「私たちが不透明さを持ちながら、変えていかなければならない将来を構想するときに、デジタル技術は重要だと思います。今日イベントに参加された皆さんや、それを支えるSalesforceのビジネスが、持続可能な未来につながっていくといいと思います」

Salesforceイベント「Connect, Personalize & Automate -すべての企業にデジタルの真価を-」では、DX実現の鍵となる、システムの統合や、誰もが扱えるIT環境、シームレスな顧客体験などが議論されました。企業の成長には、ステークホルダーの成功に加えて、社会や環境の課題解決も欠かせなくなっています。安全かつ迅速にビジネスを拡張していくために、Salesforceは引き続き「デジタルの真価」を追求していきます。

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