前回は、TM Forum Digital Transformation World 2023(DTW23)の速報として初日の振り返りをお届けしましたが、今回はCatalyst Projectと弊社の取り組みについてご紹介したいと思います。
目次
Catalyst Projects
Digital Transformation World(DTW)のユニークな点として、セッションや展示ブース以外に、Catalyst Projectsと呼ばれる実証プロジェクトの成果発表とアワード授賞式があります。Catalystプロジェクトでは、通信事業者とソリューションプロバイダー(SW、クラウド、SI企業など)がチームを組成し、それぞれのチームが選択したテーマに沿って、TM Forumの標準モデルやAPI仕様を活用したProof of Concepts (PoC)を6ヶ月程度の期間で開発します。国も企業も異なるメンバーでの共同作業になるので、かなりのコミットメントが求められる活動になります。
今年のCatalystは、『Open Innovation』と『Moonshot』の2つのカテゴリーに分かれて推進されました。Open Innovationカテゴリーでは、各チームがそれぞれの企業の強みを持ち寄り、業界の主要な課題へのソリューションをProof of Concepts (PoC)として開発します。Moonshotカテゴリーでは、事前に設定されたインパクトの大きい課題に対し、商用化可能な技術を持ち寄りソリューションを開発します。
昨年の40チームから大きく増加し、今年は合計で55チーム(178社/1100人以上のメンバー)がCatalyst Projectsに参加しました。SalesforceもTM Forum標準に準拠したCommunications Cloudなどの製品を中心に、以下の3プロジェクトに参加しました。
POP! CSPs curating markets at the edge
チーム:Bell,、Vodafone,、Lightstorm、AWS、Aria、Nokia、Summit、Salesforce
<ユースケース>
通信事業者がNaaSマーケットプレイスの運営を担い、ソリューションを構成する商品やプロダクトは、マーケットプレイスに参加するパートナーがセルフサービスでマーケットプレイスに登録し、NaaSと組み合わされてB2B顧客に販売されます。プロジェクトのシナリオでは、このNaaSマーケットプレイスにて、キャンペーンの一環として店舗にてライブイベントを企画しているリテール事業者がカメラとライブストリーミングサービスをワンストップでセルフサービスで購入できます。
Unlocking B2B2X value for 5G smart spaces – Phase III
チーム:Telefonica、NTT、HP、Matrixx、NTT Data、Salesforce
<ユースケース>
スマートスペース(イベント会場やオフィスエリア)の5Gインフラを複数通信事業者がイベントや用途毎に都度流用してアドホックサービスを提供できるソリューションです。Open RANとネットワークスライシング技術を活用して、複数通信事業者が同じインフラを活用することを可能にします。一つのシナリオとしてテニストーナメントにおいて、会場のギフトショップでのキャッシュレス決済(Grab & Go)、AR観戦サービス、セキュリティなどがあります。
Unlocking revenue and efficiency with intent-driven autonomous operations
チーム:KDDI、Orange、Telus,、Verizon、Nokia、Red Hat、avataa、Salesforce
<ユースケース>
インテント・ドリブンAIOps(AI Operation)を活用して、NWの帯域やスピードをオンデマンドでリアルタイムに自動制御するソリューションです。事前に合意された価格やSLAに沿ってゼロタッチでNWの運営が可能になります。一つのシナリオとして、コンサートのライブ配信やARサービス提供における帯域のリアルタイム最適化や、余裕の出たNW帯域を瞬時に他のサービスとしてディスカウント価格でプロモーション配信する、などがあります。
アワード授賞式
DTW23の閉会式では、中央のステージでCatalyst Projectsのアワード授賞式も行われました。Open InnovationとMoonshot、合計で以下の10のアワードが発表されました。
Open Innovationアワード
- Outstanding Catalyst – Business Impact
- Outstanding Catalyst – Sustainability & Impact on Society
- Outstanding Catalyst – Showcase
- Outstanding Use of TM Forum Assets
- Outstanding Business Growth (New category)
- Best Innovation & Future Techco
- Best New Catalyst (For Phase-I/New Catalysts only)
- Excellence in the application of AI & Automation (New category)
Moonshotアワード
- The Energy Challenge
- The Metaverse Challenge
Salesforceは、Open Innovationカテゴリーの、Business Impact、Sustainability & Impact on Society、Business Growth、Best Innovation & Future Techcoの4つのアワードでファイナリストに残り、Business ImpactではWinnerに選ばれました。これで3年連続のWinner受賞となります。年々参加チームが増えている中での連続受賞は非常に光栄です。通信業界に特化したCommunications CloudやAIを含めた通信業界向けソリューションの強化が評価に繋がっているのかもしれません。
通信業界向けソリューション
3年連続のWinner受賞につながった通信業界向けソリューションの詳細、活用方法をご覧ください。
なお、Catalyst Projectでは参加企同士の連携も強化され、PoCは商用化に向けて継続的に進化していくことになります。今回受賞した「POP! CSPs curating markets at the edge」についても、チャンピオン企業のカナダBell社のプロジェクトリーダーから、今後はカナダのモントリオールのイベントなどでの商用ユースも検討している、というコメントもありました。
以上、本ブログではCatalyst Projectsと弊社の取り組みについて紹介しました。次回はDTW23で強いメッセージを発信していたセッションを中心にお届けしたいと思います。
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