マーケティングのデジタル化にともない、マーケティング組織の業務範囲が拡大し、マーケターにかかる負担が増加しています。また、負担を解消したくても必要なスキルやノウハウの獲得には時間がかかり、なかなか問題の解決には至りません。
そこで注目されているのが「MOps(マーケティングオペレーション)」です。
MOpsによりマーケティング部門のあらゆる活動が効率化され、ビジネス目標の達成が実現します。
本記事では、MOpsとは何か、注目される背景や役割、実行するための手順について解説します。
伸びる企業が持つ仕組み マーケティングオペレーション(MOps)
マーケティングオペレーション (MOps) の教科書の著者、丸井達郎氏が登壇し、成長する企業が共通して持つ仕組みや、それを実現するノウハウについて、グローバルの潮流や成功事例をもとに明らかにしていきます。
目次
MOps(マーケティングオペレーション)とは
MOpsとは、人材や業務プロセス、テクノロジーなどのデータを統括して効果的な販売促進をおこなうマーケティング組織、またはプロセスや手順です。
テクノロジー・データ・人の3要素を組み合わせ、マーケティング戦略の策定と効率化をおこなって生産性を高める役割があります。
目的を達成するため、指針や目標の設定、デジタル基盤とソフトウェアの管理など多くの業務を遂行します。
マーケティングDXに取り組んでも成果が出ない、システムを導入してもメンバーがうまく活用できないなどの課題を解決するのがMOpsです。
MOpsが注目される5つの背景
MOpsが注目される背景は、以下の5つです。
- Big Ops(ビッグオップス)の必要性が向上した
- デジタル化で顧客との接点が変わった
- 企業間の競争に残るための差別化が重要となった
- 顧客中心のアプローチの必要性が高まった
- マーケティングROIを高めやすい環境になった
それでは、どのような理由で注目されるのかみていきましょう。
1.Big Ops(ビッグオップス)の必要性が高まった
デジタル化が進んだことで取得できるデータ量が膨大となり、すべての情報を活用するためにBig Opsの必要性が高まりました。これがMOpsが注目されるようになった背景のひとつです。
Big Opsとは、膨大なビッグデータを活用するための仕組みです。
企業に蓄積されるデータが膨大になり、従来の方法では処理・管理しきれなくなっています。そこで未利用の情報を整理し、すべての情報を活用するためにBig Opsを導入します。
MOpsはBig Opsの一角であり、膨大なデータの処理の効率化をおこなう組織、プロセスです。企業としてBig Opsの導入に取り組むのであれば、MOpsが不可欠といえるでしょう。
2.デジタル化で顧客との接点が変わった
デジタル技術の発展で顧客との接点がオフラインからオンラインに変化し、顧客行動や施策の効果測定が容易となったことも、MOpsの重要性を高めています。。
かつてはチラシ広告や、新聞広告などオフライン広告がメインだったものの、デジタル化でSNSやメールなどデジタルツールが主流となりました。
オンライン広告は顧客行動や結果の数値化が簡単にできるため、多くのデータが入手可能で、このデータを活用できるか否かがマーケティングの効率を大きく左右します。しかし、入手したデータをすべて活用できるかどうかは、処理や分析ができる環境かどうかに左右されます。
企業内のデータ活用環境を整備するには、MOpsの導入が効果的です。
3.企業間の競争に残るための差別化が重要となった
市場の成熟化にともない商品やサービス提供において企業間での差別化を図りづらくなったため、データ分析により顧客にパーソナライズしたアプローチが重要になってきています。
差別化とみなせるほど最適にパーソナライズしたアプローチをおこなうためには、膨大な顧客データを分析して適切な手段を明確にする必要があります。また、データが不足していたり分析が不十分であった場合、十分にパーソナライズしたアプローチができない場合もあるでしょう。
顧客ごとに特別な顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)を提供するには、複雑化したマーケティングプロセスを最適化するMOpsの存在が欠かせません。
4.顧客中心のアプローチの必要性が高まった
インターネットの普及によって、顧客は自分の欲しい情報をすぐに見つけられるようになったため、企業中心ではなく顧客中心のアプローチが求められるようになりました。
企業中心の新聞広告やテレビCMなど一方通行の広告の効果が薄れている一方、Webサイト上のアドレサブル広告やリスティング広告など、顧客中心の広告の効果が高まっています。
しかし、顧客中心のアプローチをおこなうには、顧客一人ひとりの購買履歴や検索履歴まで分析しなければなりません。
当然ながら分析するデータ量が多くなり施策も細分化するため、MOpsのような専門的な組織やプロセスが必要になります。
5.マーケティングROIを高めやすい環境になった
デジタルマーケティングの発展にともない、Webサイトへの流入経路やメール開封率・クリック率などのさまざまなデータが可視化され、適切なアプローチ方法が分析しやすくなりました。
データの可視化は費用と効果の数値を明確化できるため、マーケティングROI(投資利益率)を高めるためにも貢献します。マーケティングROIを追求しやすい環境が整備されたことで、これまでよりも企業はマーケティングへの投資に収益性と費用対効果を求めるようになりました。
このような流れから、ROIを高めるためにツール導入によるプロセスの自動化や最適化をおこなうMOpsの導入が注目されています。
MOpsがもつ5つの役割
MOpsがもつ役割は、以下の5つです。
- マーケティングDXを加速させる
- 組織の連携力が高まる
- プロジェクト管理を改善できる
- データ分析の効率化が図れる
- 事業の生産性が向上する
MOpsが注目されるのは、マーケティングにおけるさまざまな問題の解決につながる役割をもっているからです。どのような役割があるのか理解し、自社の課題解決にMOpsの存在が必要か確認しましょう。
1.マーケティングDXを加速させる
MOpsは、マーケティングDXを加速させる効果があります。
マーケティングに必要な業務は幅広いため、マーケターのタスクが多くなり業務の属人化が発生するケースもあります。
マーケティングにおける属人化を防ぐには、マーケティングプロセスの設計や運用、管理の一元化が不可欠です。MOpsによりテクノロジーやデータを活用してこれらの業務を最適化すれば、属人化が解消され再現性の高い施策の実行が可能になります。
自社がもつテクノロジーをマーケティングのプロセスに適応させていくことで、マーケティングDXの加速につながります。
2.組織の連携力が高まる
MOpsは、組織全体の連携力を高める役割をもちます。
マーケティングにおける課題を解決するには、マーケティング部門だけでなく、営業部門やカスタマーサービス部門などとの連携が必要です。
しかし、部門が異なると利用しているツールが違っていたり、システム上のデータの共有が困難だったりします。これらの問題を解決するには、MOpsを導入して横断的な施策を実行することが効果的です。
横断的な施策を実行するには、各部門の連携・コミュニケーションが欠かせません。施策の立案から実行するまでに部門どうしが多くの関わり合いをもつため、組織全体の連携力が強化されるメリットも期待できます。
3.プロジェクト管理を改善できる
MOpsを導入すると、プロジェクト管理の改善につながります。
MOpsの導入には組織や業務の最適化が必要であり、担当者の役割や適切な人材の配置が必要です。最適化の際、関係者に適切なタスクを割り当てれば業務の効率化につながります。
また、最適化する際にタスクの重複や抜け落ちなどの課題が発見されるケースもあります。課題の発見は事業の改善につながり、より効果的なマーケティング施策の検討につながるでしょう。
マーケティング施策実行の鍵となるキャンペーンマネジメントにおいてもプロジェクト管理は欠かせない要素です。施策実行後はMA(マーケティング・オートメーション)やCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)と自動でデータが連携できるよう設計することで、各マーケティング施策からの創出効果の可視化にも繋がります。
4.データ分析の効率化が図れる
MOpsはマーケティングプロセスを社内に浸透させる役割があり、データ分析の効率化を実現します。
施策を立案し実行するマーケターとは異なり、MOpsのメンバーはマーケティングデータの分析やプロジェクト管理、最適なシステムの導入などをおこないます。これらの作業によりデータの可視化や共有が容易となり、データ分析にかかる時間を削減することが可能です。
5.事業の生産性が向上する
MOpsを導入する際にマーケティングツールを導入すれば、業務プロセスの自動化が可能です。
AIを搭載したマーケティングツールなら、蓄積されたデータを自動で分析し、適切なアプローチ方法やタイミングを知らせてくれます。これにより分析や解析にかかる時間の削減につながります。
また、マーケティングツールを全社的に利用すれば、運用方法が統一されてデータ分析・解析方法が標準化されるのもメリットです。
MOpsを導入すれば業務の効率化、事業の生産性の向上にもつながります。
MOpsを導入するための3つの手順
MOpsを導入するための手順は、以下の3つです。
- 目標と目的を明確にする
- 問題点と対処法を検討する
- 導入するまでのロードマップを策定する
どのような手順で導入を進めればよいのかみていきましょう。
1.目標と目的を明確にする
MOpsを導入する際には、まず目標と目的を明確にします。
なぜMOpsの導入が必要なのか、導入によってどのような効果を生み出したいのか整理します。具体的な目標・目的を掲げることで、導入する道筋がみえてくるはずです。
もし目標と目的の設定に悩む場合は、MOpsを導入した企業の事例を参考にするとよいでしょう。どのような目標・目的を設定したのか、どのような方法で事業の改善・拡大を達成したのか研究することで、新たな気付きにもつながります。
2.問題点と対処法を検討する
MOps導入の目標・目的を設定したら、次に問題点と対処法を検討します。
MOpsの導入には費用や時間がかかり、プロジェクトを円滑に進めるには課題も出てきます。たとえば経営陣から導入の許可を取得する、MOpsに必要な人材を確保するなどの問題を解決しなければなりません。
解決には事前の調査や準備が重要です。各課題に優先順位を付け、順番に対処法を検討しましょう。
3.導入するまでのロードマップを策定する
問題点や対処法を検討したら、導入するまでのロードマップを策定します。
ロードマップはプロジェクト内の地図として機能するもので、進捗を確認しながらプロジェクトを進められます。MOpsを導入する過程でトラブルが起きてしまうと、解決するために多くの時間と費用が必要です。
そのような状況を回避するため、ロードマップを作成しスムーズな導入を促します。無駄な時間や費用の発生を抑えるためにも効果的です。
MOpsの導入にはAI搭載のマーケティングツールの導入が不可欠
MOpsのチームでは企業全体のデータを処理し、的確に分析しなければなりません。
しかし、処理するデータ量は膨大であり分析に時間がかかります。また、処理件数が多くなればヒューマンエラーを起こす可能性が高くなり、蓄積された情報を活かしきれません。
これらの問題の解決には、AI搭載のマーケティングツールの導入が不可欠です。
AI搭載のマーケティングツールなら、膨大なデータを自動で分析し、適切なアプローチ方法を提示してくれます。また、リアルタイムでの分析を実行でき、現時点で必要な施策の検討も可能にしてくれます。
デジタル化により市場や顧客ニーズの移り変わりが激しくなっているため、今必要な施策が迅速に実行できるのは企業にとって大きなメリットです。
Marketing CloudでマーケティングROIの大幅な向上が実現
Salesforceの「Marketing Cloud」は、AIを活用したクラウドベースのデジタルマーケティングプラットフォームです。
CRM機能を有しており、各種データを統合して顧客の全体像が分析でき、分析結果にもとづいてAIが顧客ごとに適したアプローチとそのタイミングをアラートしてくれます。
Marketing Cloudを取り入れた企業は、マーケティングROIが平均28%向上しています。マーケティングが自動化することで、業務効率化だけではなくマーケティングに投下する費用の削減、施策の効果の最大化の実現に貢献している証です。
MOpsの導入を検討している企業は、Marketing Cloudのデモ動画をぜひご覧ください。
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適切なマーケティングツールを導入しMOpsの導入を成功に導こう
マーケティングを取り巻く環境は大きく変化しており、マーケティングDXの推進が不可欠となりつつあります。
しかし、マーケティングDXを推進するには課題が多く、解決するための仕組みを導入しなければなりません。MOpsの導入はマーケティングDXを加速させるだけでなく、組織の連携力を高めたり、プロジェクト管理を改善したりする効果もあります。
今後もマーケティングDXは加速されていくと同時にMOpsに集まる注目度は高くなり、企業にとって欠かせない存在となるでしょう。
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