パイプライン管理とは、見込み顧客が営業プロセスにおいてどのフェーズに位置しているかを視覚化し管理する業務フローのことです。業務の流れを1本のパイプに見立てて可視化することから「パイプライン」と呼ばれています。
パイプライン管理によって、見込み顧客の現状から営業担当者が取引を前進させるための、具体的かつ効果的なアクションの着手が可能です。しかし、集めたデータを効率的に運用・共有するには、他部門を巻き込んだりSFAやCRMといったツールを活用したりする必要があります。
本記事では、パイプライン管理の概要や活用するメリット、管理方法などを詳しく解説します。
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目次
パイプライン管理とは
パイプライン管理とは、営業プロセスにおいて、見込み顧客の現在地を可視化する管理方法のことです。
見込み顧客の現状を可視化することで、営業活動において次のステップに移るための障害を特定し、成約に向けて適切な方向へと進むことが可能です。
パイプライン管理によって、各案件が営業プロセスのどの位置にいるのかを把握でき、、進捗管理や営業課題の発見がしやすくなる点がメリットです。
営業担当者ごとの課題も明確にでき、マネジメント・育成においても有効活用が可能です。
パイプライン管理を活用することで、営業活動全体の効率化が図れます。
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パイプライン管理の目的
パイプライン管理の目的は、営業プロセスにある課題を効率的かつスピーディに発見にすることです。
営業の課題を発見するには、データを用いて客観的に分析する必要があります。パイプライン管理では見込み顧客の行動を営業プロセスごとに可視化するため、具体的にどのフェーズに問題があるかを明らかにすることが可能です。
反対にパイプライン管理を行わないと、営業活動の根本的な課題発見が困難です。表面的な問題に目を向けがちになり、改善してもあまり効果が得られないでしょう。
効率的にボトルネックになっている部分を発見し、スピーディに改善案を実行できるからこそ、営業プロセスを可視化できるパイプライン管理が必要です。
パイプライン管理を活用するメリット
パイプライン管理を活用するメリットは、以下の4つです。
- 営業課題のボトルネックを明確にできる
- 課題の早期発見ができる
- 各プロセスのゴールを明確化できる
- 営業担当者の育成に活かせる
メリットを把握することで、チーム全体へパイプライン管理を浸透しやすくなるでしょう。それぞれ詳しく解説するので、参考にしてみてください。
営業課題のボトルネックを明確にできる
パイプライン管理を活用することで、営業活動を細分化でき、各プロセスごとの状況を視覚的に把握できます。営業担当者別や案件別に詳細な分析ができるため、営業課題のボトルネックを明確にすることが可能です。
営業全体を通して、問題の発生しやすい箇所を見つけられ、迅速に対策を講じられます。ボトルネックを明確にすることで、改善策を具体的に実施でき、効果的な営業活動が可能です。
課題の早期発見ができる
パイプライン管理により、営業プロセスにおける根本課題の早期発見ができ、問題が大きくなる前に対処できます。
たとえば、チームマネージャーはチームおよび部下の課題に向き合う必要がありますが、部下から報告を受けてからでは対策が遅れるケースもあります。早期に問題を把握し対処するため、大きなトラブルを未然に防ぐことが可能です。
問題を早期発見し対処することで、営業チーム全体のパフォーマンスを維持しつつ、顧客への対応品質の向上にもつなげられます。
各プロセスのゴールを明確化できる
商談から成約までのプロセスを細分化することで、各プロセスごとのゴールを明確にできます。
プロセスごとに達成すべき基準を明確にでき、目指すべき数値やフェーズを営業部門全体の統一化が可能です。チーム全体でゴールの基準が統一されると、営業担当者全員が同じ方向を向いて業務を遂行できるようになり、組織力の向上にもつながります。
営業担当者の育成に活かせる
パイプライン管理で営業担当者の活動状況を把握できれば、一人ひとりに合わせた育成が可能です。
各プロセスでのデータを分析することで、個々の担当者の強みや弱みを把握しやすくなります。個人の能力や成績を各プロセスに分けて把握し、より効果的に育成するためにもパイプライン管理はおすすめです。
パイプライン管理を活用することで、属人的な営業チームではなく、一人ひとりが活躍できる営業チームを実現できます。
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効果的なパイプライン管理を行うための4ステップ
効果的なパイプライン管理を行うための4ステップは、以下のとおりです。
- 自社の営業を各プロセスに細分化する
- 各プロセスごとにゴールを明確化する
- 問題点を可視化する
- 問題点を分析し、改善案の立案を行う
各プロセスを詳しく解説するので、参考にしてみてください。
STEP1:自社の営業を各プロセスに細分化する
まずは自社の営業活動を細分化し、どのようなフローで受注につながっているかを把握しましょう。
細分化する際は、顧客の購買プロセスをもとに考えることが大切です。顧客を意識せず自社の理想としている営業プロセスを記載するだけでは、顧客にマッチした営業プロセスにならない可能性があります。
顧客の購買プロセスを考える際は「カスタマージャーニーマップ」を活用しましょう。カスタマージャーニーマップは顧客が購入するまでの購買プロセスを細分化して、プロセスごとの顧客行動や打っている施策などをマップ化することです。
購買プロセスから営業活動を細分化することで、顧客の立場で考えた営業プロセスを作成できます。
営業活動の細分化ができたら、各プロセスの業務内容やアクションの実施方法・タイミングなどを定義しましょう。たとえば、初訪問する際のアポイントの取り方や提案をする際のプレゼン手段など、詳細に決めましょう。
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STEP2:各プロセスごとにゴールを明確化する
各プロセスを細分化したら、それぞれのゴールを明確にしましょう。
「顧客がどの状態になったら次のプロセスに移るべきなのか」を考慮してゴールを定義します。
たとえば、ヒアリングから初訪問に移るプロセスであれば、予算内に抑えられる場合や顧客の関心度が高い場合などが挙げられます。
営業全体のゴールである「成約」に結びつけるには、自社で細分化した営業プロセスを的確に進めることが大切です。各プロセスのゴールの明確化においても、カスタマージャーニーマップを活用して、顧客の心理状態に合わせたゴールを設定しましょう。
STEP3:問題点を可視化する
各プロセスのゴールを設定したら、今までの営業データを用いて既存の問題を可視化します。
たとえば、各プロセスにおける顧客数や次のプロセスへの移動率などを算出することで、営業活動全体における問題箇所を客観視できます。ただし、データの整理や運用は手間と時間がかかるため、ツールを導入して収集・分析することが必要です。
STEP4:問題点を分析し、改善案の立案を行う
問題点を洗い出して改善をはじめたあとは、分析と改善を繰り返します。
具体的には、改善策に合わせて以下のようなポイントに注目しましょう。
- 各プロセスにおける顧客数の増減
- 各プロセスからの顧客の移動率
- 目標未達のプロセスと目標値までのパーセンテージ
- 現時点で契約目標・売上目標を達成できるか
効果的な分析と改善を実施するには「Plan(計画)→Do(行動)→Check(測定)→Action(対策・改善)」の順番で改善を繰り返すPDCAサイクルの活用がおすすめです。洗い出した課題に対して、仮説を立て検証をし続けることで、営業活動の質が高まります。
パイプライン管理を最適化するポイント
パイプライン管理を最適化するポイントは、以下の3つです。
- プロセスを細分化しすぎない
- 担当者全員で共通認識をもつようにする
- データ運用や共有の仕組みを確立する
効果的なパイプライン管理を行うためにも、ぜひポイントを確認してみてください。
プロセスを細分化しすぎない
パイプライン管理では、営業課題の本質を捉えるためにも、プロセスを細分化しすぎないようにしましょう。
営業プロセスを細分化しすぎると、プロセスごとの目標設定や分析で手間がかかります。また、過度な細分化は、全体像を見失わせる原因にもなり、本質的な営業課題の発見が遅れる可能性もあります。
客観的に全体像を把握できる程度に細分化することが大切です。
担当者全員で共通認識をもつようにする
パイプライン管理の導入は、チーム全体で積極的に取り組む必要があるため、担当者全員が共通認識をもつことが必要不可欠です。
各プロセスの目的や業務内容、ゴールを各営業担当者が理解し、同じ意識で取り組むことで連携が強化されます。定期的なミーティングや情報共有の場を設けて、チーム全員が現状を把握できるようにしましょう。
今まで営業担当者が個別に考えて行動していた場合は、マネージャーが各プロセスの理解や意識改革などの教育を実施することが大切です。
データ運用や共有の仕組みを確立する
パイプライン管理では、各プロセスで収集し分析したデータをいかに運用・共有する仕組みを作れるかが鍵になります。
適切なパイプライン管理をするには、各営業担当者の正確なデータ入力作業が重要です。また、集計や分析に時間をかけすぎないことも考慮する必要があります。
データ運用を効率化するにはマーケティング部門と連携し、より多くのデータを共有・分析することも検討しましょう。
ExcelやSFAツールを用いたパイプライン管理の方法
パイプライン管理の方法として、以下の2つを解説します。
- Excelを用いた管理の方法
- SFAツールを用いた管理の方法
それぞれ詳しく解説します。
Excelを用いた管理の方法
Excelでパイプライン管理用のシートを作成して、運用する方法があります。
Excelはビジネスで利用している人も多く、導入している企業も多いため、手軽に活用できるのがメリットです。
ただし、Excelの場合は入力ミスが発生したり、ファイルを紛失したりする可能性もあります。
データを分析するには、自身で入力データを加工しグラフ化する必要があり、時間と手間がかかります。
Excelを用いてパイプライン管理を行う際は、入力の仕方やチェックの方法など、使用ルールを決めることが大切です。
SFAツールを用いた管理の方法
SFA(営業支援ツール)を用いることでも、パイプライン管理ができます。SFAツールは担当者の営業活動や進捗状況を管理・分析できるツールです。
導入することで顧客や案件情報を一元管理でき、営業に関するデータをすぐに閲覧できるようになります。
分析機能も搭載されており、ワンクリックでグラフや分析レポートの作成が可能です。
リアルタイムでデータを共有でき、Excelよりスピーディに進捗管理ができるため、課題の早期発見につなげられます。
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パイプライン管理の導入事例
パイプライン管理の導入事例として、富士通株式会社の事例を紹介します。
富士通株式会社は、ソフトウェア事業やコンサルティング事業を展開している企業です。
同社は「IT企業」から顧客や社会の課題をイノベーションで解決する「DX企業」へ変革するなかで、営業のあり方も変える必要があると考えました。
そこで営業の仕組みを整備するために導入したのが、SalesforceのSFA「Sales Cloud」です。
Sales Cloudを活用したことで、営業部門だけでなくマーケティングやインサイドセールとも連携した新たなパイプライン管理を構築し、国内外で標準化することに成功しました。
使用するルールをSalesforceの製品に統一したことで、マーケティングから営業までのプロセスを全体で客観視できるようになりました。
新たなパイプライン管理をSalesforceで実施したことで、売上予測精度の向上とデータの集計・可視化に必要な時間の短縮を実現しています。
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> 富士通株式会社:「OneCRM」でパイプラインのグローバル標準化と顧客接点強化へ
パイプライン管理を行うならSalesforceのSFAツール「Sales Cloud」
SalesforceのSFAツール「Sales Cloud」では、パイプライン管理の機能も備えており、カスタマイズ性が高く自社にあった使い方ができます。
一画面でパイプラインを管理でき、最適なサポートを受けられます。AIを搭載しており、過去のデータを基に商談に優先順位をつるなど、業務の効率化も期待できます。
見込み顧客や営業活動など、顧客に関するあらゆる情報を一元管理できる機能も搭載しており、顧客との関係強化や効率的な売上アップを実現可能です。
今すぐSFAが必要な 5つの理由
本資料では、営業活動によくある5つの問題点をとり挙げ、具体的な企業の事例を交えながら、SFA活用のメリットについて詳しく解説します。
パイプライン管理を導入し営業の成果を改善しよう
パイプライン管理を導入することで、営業活動における本質的な課題を発見できます。
営業は「属人的な仕事」と言われることもあり、営業の成果は担当者次第と考える人も少なくありません。しかし、パイプライン管理を活用することで、チームとしての課題感を洗い出せるだけではなく、営業担当者ごとの強み・弱みを把握して効果的な改善を実現できます。
効果的なパイプライン管理を行うには、SFAツールの導入も検討しましょう。
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