営業ヒアリングとは、顧客の課題やニーズを把握するためにおこなう聞き取りのことです。顧客のニーズや課題の背景まで理解し、信頼関係を築くうえで重要なステップです。営業ヒアリングのコツや聞く手順、準備を理解しておけば、顧客との信頼関係を築きながら、提案やクロージングに必要な情報を引き出せるようになります。
本記事では、営業ヒアリングの5つのコツや手順、準備に役立つフレームワークについて解説します。
記事の後半では、ヒアリングの質を高めるためのポイントも紹介しているので、営業ヒアリングに悩んでいる人は課題の解決に役立ててみてください。
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目次
営業ヒアリングの基本的な流れ

営業ヒアリングは、闇雲に進めても効果は期待できません。基本的な流れを理解し、ステップに沿って進めることで、お客様から必要な情報を引き出しやすくなります。
- アイスブレイク
- ヒアリング
- プレゼンテーション
- クロージング
営業ヒアリングには基本的な流れがあり、手順に沿って進めると必要な情報を引き出しやすくなります。
STEP1.アイスブレイク
本格的なヒアリングに入る前に、まずはアイスブレイクで場を和ませ、お互いに話しやすい環境をつくり出します。
アイスブレイクとは、緊張を解きほぐすための雑談や軽い話題のことです。たとえば、以下のように営業とは直接関係のない会話から入ることで、顧客はリラックスしやすくなります。
- 「今日の天気は〇〇ですね」といった時候の挨拶
- 顧客の趣味や関心事について軽く質問する
営業とは関係ない話で相手に興味があると顧客に思ってもらえれば、親近感を覚えてもらってから営業ヒアリングを始められます。世間話から顧客との思わぬ共通点が見つかるケースもあり、関係を構築するきっかけが生まれます。
ただし、アイスブレイクが長くなりすぎると営業に入る時間がなくなったり、話し疲れてしまったりするため、本題とのバランスに注意しましょう。
STEP2.ヒアリング
アイスブレイクで打ち解けた雰囲気になったら、いよいよ営業ヒアリングに移ります。
営業ヒアリングする際には、事前に聞き出したい項目を洗い出し、不必要な質問で顧客を不快にしないよう進めましょう。質問が多かったり的外れだったりして営業の時間が長くなると、顧客は疲れてしまい、円滑なヒアリングをおこなえなくなる場合があります。
営業ヒアリングが十分にできていないと、顧客の課題やニーズに響くプレゼンテーションができません。ヒアリングは営業プロセスの中でも重要な位置づけと考えて会話しましょう。
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STEP3.プレゼンテーション
顧客から必要な情報を聞き出したら、プレゼンテーションをおこないます。自社の商品やサービスが、顧客の課題解決やニーズ充足にどのように役立つのかを具体的にアピールする場です。
ヒアリングで明らかになった顧客の抱える課題を解決し、ニーズを満たす提案ができるとプレゼンテーションがうまく進みます。適切なプレゼンテーションをするには、顧客から真の課題とニーズを営業ヒアリングで引き出すことが重要です。
また、プレゼンテーションする際には、一人ひとりの顧客にあわせて説明をしましょう。
データを重視する顧客へは数字やグラフを使った説明、商品・サービスの口コミを重視する人には実際に使った方の体験談を伝えるなど、顧客が知りたい情報を中心にした説明が必要です。
以下の記事では、顧客の課題解決を提案する「ソリューション営業」について解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
▶ ソリューション営業とは?成約を勝ち取るポイントと求められるスキル
STEP4.クロージング
プレゼンテーション後には、必ずクロージングをおこないましょう。
クロージングとは、商談を契約へ進める最終段階のフェーズです。プレゼンテーションはあくまで提案であり、顧客の意思決定がなければ成約には至りません。
顧客の課題を解決するプレゼンテーションができていれば、クロージングで契約に関する調整がスムーズに進みます。
もしその場で契約に至らなかった場合は、ネクストアクションを設定しましょう。ヒアリングで把握した課題やニーズをもとに、たとえば「〇日までに再度お打ち合わせのお時間をいただく」のように日程を決め、徐々にクロージングに近づけていきましょう。
営業ヒアリングするときの5つのコツ

営業ヒアリングをおこなうときのコツは、以下の5つです。
- 「話す」ではなく「聞く」を重視する
- ペーシングを意識して話す
- 質問の仕方を変化させてニーズを掘り出す
- 顧客が発した言葉の背景まで探る
- 営業ヒアリングシートを活用する
顧客との商談中、何も考えずに話をしても、聞きたい情報は引き出せません。営業ヒアリングのコツを理解し、必要な情報をスムーズに引き出しましょう。
「話す」ではなく「聞く」を重視する
営業時には、顧客に「売りつけられている」と思わせないよう、「話す」ことより「聞く」ことを重視しましょう。
自分中心の話し方をすると、相手は商品・サービスを押しつけられていると感じ、営業担当者との間に壁をつくってしまいます。
「聞く」ことを重視し、顧客が自ら話しやすい環境を整えることで、信頼関係が生まれやすくなり、課題やニーズを話してくれる可能性が上がるでしょう。
顧客が話しやすい環境になれば、こちらから積極的に働きかけなくても、自然に必要な情報を手に入れやすくなります。
ペーシングを意識して話す
ペーシングとは、相手の話す速度や話し方、テンションにあわせることで親近感を覚えてもらう手法です。ペーシングを意識して話すと、顧客は営業担当者に親近感を覚え、積極的に課題やニーズを話してくれます。
たとえば、フランクな話し方の顧客に対しては柔らかい言葉遣いを心がけたり、話す速度が遅い顧客にはゆっくり話したりするなど、相手にあわせたコミュニケーションがポイントです。
親近感を覚えてもらうことで、顧客の課題やニーズを引き出しやすくなるため、相手の話し方にも注目してヒアリングを進めましょう。
質問の仕方を変化させてニーズを掘り出す
質問の仕方には以下の2種類があり、状況に応じて使い分けることでより深い情報を引き出せるようになります。
- クローズドクエスチョン:「はい」か「いいえ」で答えられる質問
- オープンクエスチョン:相手が自由に答えられる質問
たとえば、「朝食を食べましたか?」と質問すれば、「はい」か「いいえ」が回答になります。また、「朝食には何を食べましたか?」という質問には、食べたものを回答する形になるでしょう。
顧客との信頼関係がないときにオープンクエスチョンしても、そっけない回答になったり、本音を隠されたりする場合があります。はじめて話す顧客の場合、信頼関係を築けていないため、回答しやすいクローズドクエスチョンを用いましょう。
信頼を得てからオープンクエスチョンすることで、顧客から課題やニーズを引き出しやすくなり、適切な商品・サービスを提案しやすくなります。
顧客が発した言葉の背景まで探る
営業ヒアリング時には、顧客が口にした言葉の表面的な意味だけでなく、「どうしてそのような発言をしたのか」という背景や真意まで探りましょう。営業ヒアリングした際、顧客が発した言葉の意味と真意が違うケースがあるためです。
たとえば、顧客から「時間がないので急いで説明してください」といわれた場合、「本当に時間がないから急いでほしい」のか、「営業されたくないから早く切り上げたい」のか、言葉だけでは判断できません。
背景まで目を向け、顧客の状況や思いに寄り添ったヒアリングをすることで、話を聞いてくれているという印象を与えたり、会話内容と背景の齟齬が生じにくくなったりします。
営業ヒアリングシートを活用する
顧客へのヒアリングで聞き出すべき情報は多岐に渡るため、聞き漏れが発生しないように営業ヒアリングシートを用意しましょう。
ヒアリングで顧客から引き出すべき情報の代表例は、以下のとおりです。
- 現状の課題
- 具体的な要望
- 導入希望時期
- 予算
- 決裁フロー
- 意思決定プロセス
- 比較検討状況
- 選定基準
- 検討中の競合サービス など
このように、代表例だけでも多くの項目があります。必要な情報を把握しきれないと、聞き漏れが発生する可能性が高くなります。
商談の機会は限られているので、営業ヒアリングシートを作成し、聞き漏れがないようにしましょう。
営業ヒアリングの準備に役立つフレームワーク

営業ヒアリングの準備に役立つフレームワークは、以下のとおりです。
- 3C分析|市場環境の分析
- SPIN|課題を引き出す話法
- MEDDIC|見込み顧客の案件感度を見極めるフレームワーク
- BANT|初回面談時に取得すべき情報
営業ヒアリングをうまく進めるには、準備に役立つフレームワークの知識が欠かせません。フレームワークを利用し、営業ヒアリングの質を高めましょう。
以下の記事では、営業戦略の立案に役立つフレームワークをご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
▶ 営業戦略・戦術の立案に役立つフレームワーク16選|活用ポイントも詳しく解説
3C分析|市場環境の分析

3C分析とは、以下の3つの要素で分析するフレームワークで、それぞれの頭文字をとって3C分析と呼ばれます。
- Customer(顧客)
- Company(自社)
- Competitor(競合)
これらを徹底的に分析することで、マーケティング環境を抜け漏れなく把握できます。具体的には以下の内容を分析することで、競合との差別化を図る方法や商品・サービスの改善点を発見できます。
- 自社の商品・サービスの強みと弱み
- 競合の戦略や市場シェア
- 顧客のニーズや行動パターン
自社の商品やサービスの特性が把握でき、商品・サービスの質を向上させることで、ヒアリングにおいて顧客へ効果的なアプローチをしやすくなります。
3C分析の手順はテンプレートを用いて以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
▶ 3C分析とは?目的や順番、やり方をテンプレートで具体的にわかりやすく解説
SPIN|課題を引き出す話法
SPINとは、会話に取り入れることで、顧客の課題を引き出して解決する話法です。
SPINの質問項目と概要は、以下のとおりです。
要素 | 概要 |
---|---|
Situation(状況質問) | 顧客の現状を客観的に把握する |
Problem(問題質問) | 顧客が現在抱えている問題点や課題を具体的に認識してもらう |
Implication(影響質問) | 問題が放置された場合に起こりうる深刻な影響や不利益に気づかせる |
Need-payoff(解決質問) | 問題解決によって得られる価値やメリットをイメージさせ、解決への期待感を高める |
SPINを取り入れた質問をおこなうと、顧客は自らの課題を再認識でき、課題解決の欲求が高まります。課題解決の欲求を高めたところで、解決してくれる自社の商品・サービスを提案しましょう。
購入意欲が高くなった中で適切なプレゼンテーションができれば、商談の成約率が高まります。
MEDDIC|見込み顧客の案件感度を見極めるフレームワーク
MEDDICとは、見込み顧客が本当に成約に繋がりそうかを見極めるためのフレームワークです。以下の6つの要素の頭文字をとっています。
要素 | 質問内容 |
---|---|
Metrics(測定指標) | 自社の製品やサービスの導入によって何%の収益増加を期待するか |
Economic Buyer(決裁権限者) | 製品やサービスの導入を決裁する人はだれか |
Decision Criteria(意思決定基準) | どのような選定基準で製品やサービスを導入するか |
Decision Process(意思決定プロセス) | 製品やサービスの導入を決定するまでにどれくらい時間がかかるか |
Identify Pain(課題) | 製品やサービスの導入で解決したい課題は何か |
Champion(擁護者) | 決裁権限者に製品やサービスの導入を薦めてくれる人はだれか |
MEDDICの質問事項をヒアリングに織り交ぜることで、受注確度の高い顧客かどうかわかり、顧客の優先順位をつけられます。優先順位の高い顧客への営業に注力すれば成約率が向上し、優先順位の低い顧客に対しては、丁寧にナーチャリング(育成)すれば将来の購入客の確保に繋がります。
▶ リードナーチャリングとは?実践的な手法とメリット・デメリットを紹介!
BANT|初回面談時に取得すべき情報
BANTとは、特に法人営業の初回面談などで、最低限ヒアリングしておきたい基本的な情報をまとめたフレームワークです。予算・決裁権の所在・顧客ニーズ・導入時期をもとに顧客に質問します。
要素 | 質問内容 |
---|---|
Budget(予算) | 製品やサービスを導入する際の予算はいくらか |
Authority(決裁権の所在) | 製品やサービスの導入を決裁する人はだれか |
Needs(顧客ニーズ) | 顧客ニーズの有無と範囲はどうなっているか |
Timeframe(導入時期) | 具体的な導入時期が決まっているか |
BANTは、顧客との初回面談時に聞き出すべき項目です。これらの項目はSFA/CRM(営業支援/顧客管理ツール)で、顧客の受注確度を分析するための重要な要素としても利用されます。BANT条件を把握することで、顧客に対する適切なアプローチ方法やフォローの頻度などを判断しやすくなります。
▶ BANTとは?営業の成約率を高めるフレームワークを徹底解説
営業ヒアリングの質を高めるためのポイント

営業ヒアリングの質を高めるポイントは、以下のとおりです。
- ロールプレイングを実施する
- トップセールスに同行する
- SFAを活用する
顧客から情報を引き出すには、営業ヒアリングの質を向上させる必要があります。ここで挙げるポイントを実践し、営業ヒアリングをスムーズに進めましょう。
ロールプレイングを実施する
ロールプレイングとは、実際の商談場面を想定して、社員同士が営業役と顧客役になっておこなう模擬練習のことです。具体的には、初回商談を想定し上司が顧客を演じ、新入社員が営業ヒアリングをすることで、商談前のシミュレーションをおこなえます。
ロールプレイングをおこなうことで、自分の課題が明確になり課題を改善できます。また、よかった点や改善点をフィードバックしてもらえるため、営業ヒアリングの質を高められるでしょう。
トップセールスに同行する
実際の営業現場でトップセールスの話法を学べば、営業ヒアリングのテクニックが学べます。
顧客に対してトップセールスがどのような対応をしているのかを現場で目にすることで、どのような方法をいつ使っているのかを理解できます。学習したトップセールスの話法を、実際の商談で実践してみるのもよいでしょう。
トップセールスの営業ヒアリングを学ぶことで、自分では思いつかなかった方法が見つかり、営業ヒアリングの質が大きく変化する可能性も秘めています。
SFAを活用する
SFAとは、案件の情報管理や過去の対応履歴、営業担当者のタスクなどを一元管理し、営業活動を効率化・自動化するためのツールです。
SFAには、過去の対応方法や結果が蓄積されます。データが蓄積されるので、営業担当者が変わったときに顧客に同じことを指摘されたり、対応履歴がなく課題やニーズを一から聞き取らなければならなくなったりするなど、情報共有の問題による失敗を防げます。
蓄積されたデータをもとに営業することで、成約率を高めて事業拡大へとつなげられるでしょう。
SalesforceのSFAが選ばれる理由

SFAには多くの種類があるため、自社にあった高性能ツールの導入が必須です。高性能なSFAを導入するなら、SalesforceのSFA「Sales Cloud」がおすすめです。
株式会社TSUIDEの調査によると、SFA/CRMツールを導入した企業のうち、48.4%がSalesforceを選んだという結果が出ています。
Salesforceが選ばれる主な理由は、以下の4つです。
- カスタマイズ性が高く自社に適した使い方ができる
- お客様にあわせた最適なサポートを提供している
- CRM機能を有している
- セールス向けAIで業務を最大限に効率化できる
特に、AI(人工知能)が搭載されている点は大きな強みです。セールスAIが搭載されているため、蓄積された顧客データや営業活動履歴から有望な営業機会を予測したり、最適な製品を提案してくれたりします。これにより、営業担当者は「いつ」「だれに」「何を」アプローチすべきかが明確になり、成約率の向上に貢献します。
今すぐSFAが必要な5つの理由
本資料では、営業活動によくある5つの問題点をとり挙げ、具体的な企業の事例を交えながら、SFA活用のメリットについて詳しく解説します。

AIを搭載したSFAに期待できる効果

AIを搭載した「Sales Cloud」を導入した企業は、以下のような効果を得ています。
- 商談の成約率(26%増加)
- 売上予測の精度(38%削減)
- 営業の生産性(38%増加)
- 売上の拡大(28%増加)
※Salesforceのお客様から報告された改善率の平均
※出典:2015~2017年におこなわれたセールスフォース・ドットコムのカスタマーリレーション調査 より
(無作為に選別した7,000社以上の企業を対象に実施。質問ごとに回答数は異なる)
SalesforceのAI「Einstein」は、顧客情報や営業活動の履歴から特定パターンを学習・分析し、見込み客の優先度を自動的にスコアリングします。営業担当者は優先度の高い顧客から効率的にアプローチできるようになり、成約率の向上を実現しています。
また、AIが蓄積されたデータをもとに自動的に分析してくれるため、分析に必要な時間の短縮が可能です。その結果、営業担当者は本来注力すべき顧客とのコミュニケーションや提案活動などのコア業務により多くの時間を使えるようになり、生産性の向上や売上拡大に繋がります。
営業ヒアリングの流れやコツを理解し成約率の向上を実現しよう

営業ヒアリングの質を高めるには、基本的な流れやコツを理解することが大切です。顧客が自ら課題やニーズを話してくれることは少ないため、営業ヒアリングで情報を引き出す必要があります。
しかし、何も考えずに営業ヒアリングしても、課題やニーズを話してくれる顧客はほとんどいません。成約率を高めるためにも、営業ヒアリングのコツや流れを押さえましょう。
より効率的に営業ヒアリングをするなら、AI搭載のSFAの導入がおすすめです。SFAに顧客情報と商談履歴の情報を蓄積させれば、AIがデータにもとづいて商談に適切なタイミングや提案内容を教えてくれます。
営業ヒアリングの質を高めたうえで、SFAまで活用すれば、成約率の上昇や売上アップなどの成果を実感できるでしょう。
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