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営業戦略・戦術の立て方と役立つフレームワーク16選|具体例も紹介

営業戦略は、フレームワークを活用して課題・市場・顧客分析を行い、現状把握のうえ適切にターゲティングし立案することが大切です。本記事では、営業戦略の立て方と役立つフレームワーク11選を紹介します。

営業目標を達成するためのルートマップである営業戦略は、課題・市場・顧客それぞれについて緻密に分析し、正しく現状を把握したうえで立案します。フレームワークは、論理的に計画を立てるために、現状や思考を整理するツールとして活用します。

営業戦略の立案でフレームワークを活用する際は、目的に合わせて正しい手法を選択し、複数を組み合わせることが大切です。

本記事では、営業戦略で活用できるフレームワーク11選と戦略の立て方・ポイントを解説します。どのようにフレームワークを活用すべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

また、昨今の営業活動においては、AIの活用が大きなトレンドとなっています。生成AI活用 最新トレンド~営業活動にもたらすメリットとは~では、世界各国の営業現場とAIの関わりについてわかりやすくまとめています。こちらの記事の内容とあわせてご活用ください。

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営業戦略と営業戦術の違い

営業戦略は営業目標を達成するための「計画」、営業戦術は営業戦略を達成するための「手段」であり、階層が違います。

たとえば、市場におけるシェアの拡大を営業目標に設定したとしましょう。営業目標を達成するために、商品の廉価版を販売しターゲットを拡げる営業戦略を立案します。営業戦略を達成するために、廉価版に魅力を感じる顧客層の特定や流通ネットワークの構築といった営業戦術を実践するわけです。

営業戦略を立てずに営業戦術だけを考えることは、地図のない状態で目的地を目指すことと同じです。成果につながるまでに時間がかかったり、いつまでもゴールにたどり着けなかったりします。

限られた時間で営業目標を達成するためには、緻密な営業戦略をもとに、適切な営業戦術を選択することが大切です。

営業戦略と営業戦術は立案すべき内容が異なるため、活用できるフレームワークも違います。

以下の動画では、営業戦略を立てる際の秘訣を解決しているので、参考にしてください。

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営業戦略・戦術にフレームワークを活用するメリット

営業戦略および営業戦術の立案にフレームワークを活用するメリットは、以下の2つです。

  • 営業戦略の立案を効率化できる
  • 営業課題を見つけやすくなる

より効果の高い営業戦略と営業戦術を立案できるようになるので、参考にしてみてください。

営業戦略の立案を効率化できる

フレームワークを活用できると、営業戦略と営業戦術の立案を効率化できます。最初にフレームワークを活用してデータを分析するようになると、戦略の立案時に「何から手をつけたらよいかわからない」という状態が解消されます。

戦略立案から実行までの時間も短縮できるため、スピード感をもって営業活動を行うことが可能です。

営業課題を見つけやすくなる

フレームワークの活用によって、自社の現状を俯瞰して把握・整理できると、営業課題が明確になるメリットがあります。

たとえば、リピーターが増えないケースでは、以下の原因が考えられます。

  • 商品を1回使ってみたものの、合わなかった
  • 商品は気に入ったが実店舗でしか取り扱っておらず、購入しにくい
  • 競合より商品が高い

SWOT分析で自社や商品の強みと弱みを明確化し、外部要因についても明らかにすることで、原因を絞ることが可能です。フレームワークによって本質的な課題を明らかにすると、有効な改善策が立案しやすくなり、スムーズに解決できるようになるでしょう。

営業戦略の立案に役立つフレームワーク11選

営業戦略の立案に役立つフレームワークは、以下の11選です。

  • 3C分析
  • ランチェスター戦略
  • パレートの法則
  • SWOT分析
  • ファイブフォース分析
  • PEST分析
  • バリューチェーン
  • VRIO(ヴリオ)分析
  • ビジネスモデルキャンバス
  • STP分析
  • 4P分析

概要と活用ポイントを解説するので、フレームワークの理解を深めるために役立ててみてください。

また、昨今では営業の現場において「いかにAIを活用し、営業活動を効率化するか」が鍵となってきました。資料「営業向けAI活用|AIを活用して成約件数を増やす7つの方法」では、効率的なAI営業の手法を一挙にまとめています。ぜひご覧ください。

1.3C分析

Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)

3C分析とは、以下3つの利害関係者それぞれの視点を整理し、分析する手法です。顧客分析や市場分析に活用でき、自社の現状や取り巻く環境を把握できます。

利害関係者分析項目の例
Customer
(顧客)
・顧客の属性
・顧客のニーズ
・顧客の行動パターン
Competitor
(競合)
・競合の数
・競合のシェア率
・競合の戦略
Company
(自社)
・自社商品の強み、弱み
・自社の資源
・自社のシェア率

分析結果を俯瞰して見ることで、自社の営業活動で切り込めるポイントが見つかり、営業戦略が立てやすくなります。

以下の記事では、3C分析のテンプレートを踏まえて具体的に解説しているので、参考にしてみてください。

関連記事:3C分析とは?目的・手順とやり方をテンプレートでわかりやすく解説

2.ランチェスター戦略

法則第1法則(弱者の法則)第2法則(強者の法則)
理念工夫で器用に立ち回る力で相手をねじ伏せる
戦略の方向性・ニッチな市場を攻める
・顧客との関係づくりに注力する
・競合相手を絞る
・強みに特化した施策を打つ
・大きな市場を狙う
・広告や流通を活用する
・数打てばあたる理論で施策を展開する
・豊富な資源を惜しみなく活用する
適性・市場シェアが小さい企業
・中小企業
・市場シェアが大きい企業
・大企業

ランチェスター戦略とは、弱者と強者の2つの視点から自社と競合の力関係を分析する手法です。営業戦略の方向性を明確化する際に活用できます。

弱者と強者にはそれぞれの戦い方があります。市場シェアが小さい企業が、市場で1位を目指そうとしても強者の前では太刀打ちできません。真っ向から勝負するのではなく、狙う市場をずらしニッチな領域でトップを狙う工夫が必要です。

ランチェスター戦略を理解すると、自社の立場で営業戦略を立案する際の方向性を明確化できます。

3.パレートの法則

パレートの法則とは、ある事象において80%の結果は20%の原因にもとづいて起きていることを指し、80:20の法則とも呼ばれます。ただし、必ず割合が80:20になるわけではなく、あくまで目安です。

営業戦略の立案において、パレートの法則は売上分析や顧客分析に活用できます。

パレートの法則をもとに考えると、売上全体の80%が20%の顧客によって支えられているといえます。顧客分析から売上に大きく貢献している20%の顧客を明確にし、集中的にリソースを投下することで、効率的に営業目標を達成できるでしょう。このように、ターゲットを絞ることでリソースの再配分や営業戦略の見直しが可能です。

ただし、パレートの法則はイタリアの経済学者ブルフレッド・パレートによる経験則であるため、すべての事象にあてはまるわけではありません。パレートの法則だけでなく、ほかのフレームワークと合わせて活用するようにしましょう。

4.SWOT分析

SWOT分析の図

SWOT(スウォット)分析とは、内部環境と外部環境それぞれのプラスとマイナス要素を洗い出す手法です。自社の現状を把握し、営業課題を明確化するために活用します。

4つの要素を洗い出したあとは、それぞれの要素を掛け合わせる「クロスSWOT分析」を行い、営業戦略を立案します。

たとえば、ソフトウェアを開発している企業でSWOT分析をする場合、以下の要素があるとしましょう。

SWOT分析の要素ソフトウェア開発での一例
サービスの強み競合にない独自機能を有している
サービスの弱みブランド認知度が低い
機会リモートワークの普及によって需要が増加している
脅威市場競争が激しい

「サービスの強み×脅威」で掛け合わせると、競合に勝つために独自機能をどのように打ち出すかという視点で戦略を立てられます。このように、SWOT分析で洗い出したすべての要素を掛け合わせて考えることで、営業戦略の種が生まれます。

以下の記事では、SWOT分析のやり方や具体例をより詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:【図解】SWOT分析とは?やり方から具体例、注意点まで解説

5.ファイブフォース分析

ファイブフォース分析の図

ファイブフォース分析とは、市場に存在する5つの競争要因を分析し、市場の収益構造を明らかにする手法です。分析によって明らかになった市場で、自社が収益を上げられるかどうかを判断する際に活用します。

たとえば、分析結果から参入したい市場の競争が激しいことがわかった場合、撤退を検討することもあるでしょう。ファイブフォース分析は、自社が戦える市場を見つける際に効果的です。

以下の記事では、ファイブフォース分析の活用方法をより具体的に解説しているので、参考にしてみてください。

関連記事:ファイブフォース(5フォース)分析とは?方法と有効な活用法

6.PEST分析

PEST(ペスト)分析は、事業を取り巻く環境を以下の4つの視点から分析する手法です。

  • Politics(政治)
  • Economics(経済)
  • Society(社会)
  • Technology(技術)

外部環境によってもたらされる変化やリスクを想定し、対処方法を定めておくために活用します。変化の激しい市場に対するアプローチや、長期的な営業戦略を立案する際に役立ちます。

PEST分析の結果は、SWOT分析の外部要因につながるため、組み合わせて活用すると効果的です。

7.バリューチェーン

バリューチェーンとは、顧客に製品やサービスが届くまでの間で、営業をはじめとする企業活動の流れと、それぞれの工程で生み出している価値を明確化する手法です。内部資源を洗い出し、市場での競争優位を築くための営業戦略づくりに活用します。

バリューチェーンでは、企業の活動を以下の2つに分けて分析します。

企業の活動主活動支援活動
概要顧客の購買に直接つながる活動顧客の購買に間接的につながる活動
具体例・原材料の管理
・製品の製造
・製品の販売
・製品の原材料の調達
・人材の採用
・財務管理

バリューチェーンでは、企業活動を洗い出し、どのプロセスに課題があるかを特定することが大切です。課題を解消するために戦略を立案し、商品やサービスの価値を最大化します。

8.VRIO(ヴリオ)分析

VRIO(ヴリオ)分析とは、自社の内部資源と内部資源を活用する能力について、4つの視点から分析する手法です。バリューチェーンと組み合わせて活用することで、自社の強みと弱みを明確化できます。内部資源を活用して差別化する、あるいは弱みを改善する際に活用してみましょう。

VRIO分析では、内部資源と活用能力を以下の4つの要素を評価します。

要素評価内容
Value
(経済価値)
内部資源や活用能力が市場で価値をもち、顧客ニーズを満たせるか
Rarity
(希少性)
内部資源や活用能力が市場において希少かどうか
Inimitability
(模倣困難性)
内部資源や活用能力が競合に模倣されないか
Organization
(組織)
内部資源や活用能力を生かして競争優位を築くだけの組織構造や文化を所有しているか

それぞれの評価内容を総合的に見て、内部資源と活用能力を最大限に生かした営業戦略の立案ができるようになります。

9.ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスとは、自社の製品やサービスのビジネスモデルを考える際に活用するフレームワークです。既存商品やサービスを9つの要素に分解し、ビジネスモデルを可視化します。

可視化された仕組みを分析すると、自社製品やサービスの強みと弱み、顧客との関係、価値観が明確になります。9つの要素と仕組み全体を俯瞰して見ることで、自社の製品やサービスの改善点が見えてくるでしょう。

10.STP分析

STP分析の図

STP分析とは、3つの要素から市場を分析し、市場における自社のポジションを明確化する手法です。新製品やサービスを市場に投下する際や、既存製品やサービスの市場ニーズの変化を感じたときに活用します。

いくつかの項目に市場を細分化し分析することで、未開拓のポジションを見つけられる可能性があります。競合と差別化できる、あるいは他社が真似できないポジションを見つけられると、新たな戦略が見えてくるでしょう。

11.4P分析

4P分析とは、4つの要素から自社製品やサービスを分析する手法です。要素を加えて、5P分析あるいは9P分析とすることもあります。

自社の製品やサービスについて、4つの要素を洗い出すことで、必要な要素が足りているかを分析できます。必要な要素をそろえることで、売れる仕組みを構築するという考え方です。

新製品・サービスの導入時や売上が伸び悩んでいる製品・サービスの再評価に活用できます。

以下の記事では、4P分析の具体的な進め方を解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:4P分析とは?マーケティングの基礎を支える手法を解説

営業戦術に活用できるフレームワーク5選

営業戦術の立案に活用できるフレームワークは、以下の5選です。

  • BANT
  • MEDDIC
  • SPIN
  • AIDMA
  • FABE分析

営業戦術の立案に活用し、営業戦略を実現しましょう。

※参考:いまから始める Sales Enablement 勝てる営業組織を仕組みで作る 5 つのステップ

1.BANT

BANT(バント)とは、以下の4つの柱をもとに顧客に質問する営業戦術です。

要素質問内容
Budget
(予算)
製品やサービスを導入する際の予算はいくらか
Authority
(決裁権の所在)
製品やサービスの導入を決裁する人はだれか
Needs
(顧客ニーズ)
顧客ニーズの有無と範囲はどうなっているか
Timeframe
(導入時期)
具体的な導入時期が決まっているか

BANTは、ファーストコンタクトで営業担当者が顧客の情報をつかみたいときに適しています。また、SFA/CRMツールにおける受注確度の分析要素としても用いられます。

BANTで集めた顧客情報は、SFA/CRMツールに集約し社内で共有することで、営業戦略の立案に役立つでしょう。

2.MEDDIC

MEDDIC(メディック)とは、以下の6つの要素を見込み客に質問し、顧客に育成できるかを判断する際に活用するフレームワークです。

要素質問内容
Metrics
(測定指標)
自社の製品やサービスの導入によって何%の収益増加を期待するか
Economic Buyer
(決裁権限者)
製品やサービスの導入を決裁する人はだれか
Decision Criteria
(意思決定基準)
どのような選定基準で製品やサービスを導入するか
Decision Process
(意思決定プロセス)
製品やサービスの導入を決定するまでにどれくらい時間がかかるか
Identify Pain
(課題)
製品やサービスの導入で解決したい課題は何か
Champion
(擁護者)
決裁権限者に製品やサービスの導入を薦めてくれる人はだれか

MEDDICをもとに見込み客を分析すると、精度の高い受注確度の予測が可能です。受注確度が高いと判断した見込み客にフォーカスしてアプローチすることで、営業活動を効率的に行えます。

3.SPIN

SPIN(スピン)は、以下の4つの質問を会話に取り入れることで、顧客の現状から課題を引き出し解決へ導く話法です。

要素概要
Situation(状況質問)顧客の現状を把握する
Problem(問題質問)顧客が現在抱えている課題を把握する
Implication(影響質問)顧客に抱える課題を解決すべきことに気づいてもらう
Need-payoff(解決質問)顧客に解決策を気づかせる

SPINを取り入れながら会話を進めると、顧客は自らの課題を再認識できます。顧客が会話のなかで、再認識した課題の解決策に気づくことで、製品やサービスへの欲求が高まる仕組みです。

顧客の欲求が高まったタイミングで、自社製品やサービスが顧客の課題を解決できる点を踏まえメリットを説明すると、顧客の購買意欲を刺激します。購買意欲が向上した顧客にアプローチするのは、大きなチャンスです。

SPIN話法を駆使することで、成約率向上を狙えます。

4.AIDMA

AIDMA(アイドマ)は、顧客の購買決定までのプロセスを説明するフレームワークです。AIDMAによって顧客が購買プロセスのうちどの段階にいるかを把握することで、適切なアプローチができるようになります。

AIDMAの購買プロセスは、次の6つです。

要素概要
Attention(注目)製品やサービスを認知する段階
Interest(興味)製品やサービスに興味をもつ段階
Desire(欲求)製品やサービスが欲しくなる段階
Memory(記憶)製品やサービスを購入するまでの段階
Action(行動)製品やサービスを購入する段階

6つのプロセスごとにアプローチ方法を決めておくと、スムーズに営業活動できます。

ただし、AIDMAは1920年代から使われている古い手法のため、現代では合わないケースもあります。AIDMAだけでなく、他のフレームワークも活用して、顧客とのずれが生じないように努めましょう。

5.FABE分析

FABE(ファブ)分析は、製品・サービスの特徴や訴求ポイントを明確化するための分析手法です。顧客へのプレゼンテーションにおいて、自社製品やサービスの価値や魅力を伝えるために活用します。

FABE分析では以下の4つの要素を分析、整理し、プレゼンテーションに組み込みます。

要素概要
Feature (特徴)提案の特徴
Advantage (優位性)提案の競合優位性
Benefit (顧客便益)提案によって顧客が得られる価値・利益
Evidence(証拠)提案の根拠となるデータ

顧客に自社製品やサービスの価値や魅力を的確に伝えられるようになると、購買意欲の向上が期待できるでしょう。

【10分でわかる】
営業部長のための営業戦略

営業戦略で抑えるべきことは、たった3つだけ。売る製品も、顧客・テリトリーも、価格も決まっているなか、確実に売り上げを上げるための営業戦略の秘訣をお伝えします。

フレームワークを活用した営業戦略の立て方4つのステップ

営業戦略の立案において、フレームワークをどのタイミングで活用すべきか迷われている方もいるでしょう。ここでは、営業戦略の立て方を大きく4つのステップに分けて解説します。

  1. 目的を明確にする
  2. フレームワークを活用した分析を行う
  3. 営業目標・評価基準を見直す
  4. 戦略方針を決める

全体の流れを知ったうえで営業戦略の立案に着手すると、見通しをもって進められるはずです。

1.目的を明確にする

まずは、営業戦略の目的を明確にします。営業戦略の究極の目的は「営業目標の達成」であるため、営業目標を具体化することが大切です。

このとき「3ヶ月後の売上高を前年同期比105%にする」というように、売上・利益の数値だけでなく、期間も明確にします。また、客観的に達成度を振り返れるように、定量的な目標を設定しましょう。

2.フレームワークを活用した分析を行う

適切な営業戦略を立案するためには、正しく現状を把握する必要があります。そこで、フレームワークの出番です。

フレームワークを活用して、以下の3つの現状を分析し、把握しましょう。

  • 営業課題の分析
  • 市場分析
  • 顧客分析

現状を正しく把握できると、目標達成に効果的な施策の立案が可能です。それぞれの分析目的と活用できるフレームワークを知っておくと、適切なKPIの設定にも役立つので、参考にしてください。

営業課題の分析

まずは、自社の営業活動における課題を明確にしましょう。

たとえば、受注数を前年同期比の105%にする目標を達成できていない場合、どこに課題があるのかを洗い出します。このとき、リード顧客数と受注率を分析したところ、リード顧客数は目標を達成している一方で、受注率が低いことがわかりました。

受注率を改善するためには、顧客に対するアプローチや営業戦術を見直さなくてはなりません。課題はひとつだけではないはずなので、洗い出し、整理したうえで、優先順位をつけます。

このように、課題を絞って解決策を講じていくことで、現状の改善につながります。

営業課題の分析では、自社の現状を把握できる以下のフレームワークが効果的です。

  • 3C分析
  • ランチェスター戦略
  • パレートの法則
  • バリューチェーン
  • ビジネスモデルキャンパス
  • 4P分析

市場分析

市場分析では、内部環境と外部環境を分析し、市場の動向を把握します。市場ニーズは刻々と変化しているため、既存商品・サービスの営業戦略がニーズにマッチしているかを定期的にチェックすることが大切です。

営業部門における内部環境と外部環境の分析では、具体的に以下のような項目を明確化します。

内部環境外部環境
・顧客と対面して営業活動を行える人数
・施策に使える予算
・営業活動に活用できるツール
・市場における自社の立ち位置
・市場の成長性
・市場環境の変化予測

市場分析では、内部環境・外部環境をさまざまな視点から分析する以下のフレームワークの活用が効果的です。

  • SWOT分析
  • ファイブフォース分析
  • PEST分析
  • VRIO(ヴリオ)分析
  • STP分析

顧客分析

自社の課題と取り巻く環境を分析したあとは顧客分析を行い、ターゲットやペルソナを明確化したうえでそれぞれのニーズを深掘りします。

たとえば、顧客によっては新規サービスを勧めるよりも、アップセル・クロスセルを提案したほうがニーズに合っている場合があります。顧客ごとに適切なアプローチを行うためにも、顧客分析は重要です。

ほかにも、新規顧客が「なぜ購入に至ったのか」を分析すると、新規顧客の獲得施策をブラッシュアップできるでしょう。また、顧客を分類し、集中的にアプローチする対象を定めることも、効率的な営業目標の達成に効果的です。

顧客分析には、一般的に以下のフレームワークを活用します。

  • RFM分析
  • デシル分析
  • CTB分析
  • セグメンテーション分析
  • 行動トレンド分析

以下の記事では、上記のフレームワークとその他の手法を詳しく解説しているので、参考にしてください。

関連記事:顧客分析とは?7つの手法と進める手順、活用できるツールについて解説

3.営業目標・評価基準を見直す

各種分析によって現状を把握できたら、営業目標が達成できる数値になっているかを確認し、どのように評価するか基準を見直しましょう。

評価基準によって選択すべき営業活動変わるため、営業戦略のなかで明確化することが大切です。

たとえば「3ヶ月後の売上高を前年同期比105%にする」という営業目標を設定した場合、以下のような評価基準を設けます。

  • 既存顧客のアップセル・クロスセル受注数10件
  • 新規顧客の獲得数30件

サービスや商品によっては、新規顧客の獲得が難しいこともあるでしょう。その場合は、既存顧客に対するアプローチを強化し、LTVの向上を狙います。狙うべきポイントを誤ると目標を達成できないため、各種分析をもとに適切な営業目標と評価基準の設定が必要です。

4.戦略方針を決める

最後に、以下の要素を整理して戦略方針を定め、営業戦略を形にします。

要素概要
営業方針どの顧客にどの戦略を取るのかを明確にする
セグメンテーション顧客を分類するセグメント(属性)の整理・明確化を行い、グルーピングする
ターゲットセグメンテーション分析を経て、ターゲットを順位づけする
ターゲットごとの営業戦術ターゲットごとにアプローチ方法を決める

あらかじめ要素を整理する前提で各種分析をしておくと、この段階をスムーズに進められるはずです。

営業戦略を立案したにもかかわらず、計画通りにいかない原因のひとつに、途中で方針が変わってしまうことが挙げられます。以下の資料では、ブレない営業戦略を立てるために必要な2つの営業タイプを解説しているので、参考にしてください。

関連記事:あなたの会社の営業方針はなぜブレるのか?~戦略を左右する2つの営業タイプ~

営業戦略・戦術にフレームワークを活用する際のポイント

営業戦略と営業戦術にフレームワークを活用する際は、以下の3つのポイントに留意してみてください。

  • 目的に応じてフレームワークを使い分ける
  • フレームワークは組み合わせて活用する
  • 戦略の立案から実践までPDCAサイクルを回す

ポイントを押さえることで、より効果的に営業戦略と営業戦術を立案できるようになります。

目的に応じてフレームワークを使い分ける

営業戦略の立案でフレームワークを活用する際は、目的に合わせて使い分けることが大切です。目的に合わないフレームワークを選択してしまうと、誤った営業戦略の立案につながります。

正しく選択するために、各フレームワークの用途や特徴を理解しておきましょう。

フレームワークは組み合わせて活用する

フレームワークはひとつに絞るのではなく、組み合わせて使うことで大きな効果を発揮します。

たとえば、3C分析で自社の強みや弱みなどを把握したあと、4P分析で自社の商品やサービスを詳細に分析すると、具体的な営業戦略を立案できます。

効果を最大限に引き上げるためには、それぞれのフレームワークへの理解が必要です。

戦略の立案から実践までPDCAサイクルを回す

フレームワークを活用して営業戦略を立案できたら、PDCAサイクルを回して、実践と改善を繰り返すことが大切です。

営業戦略の実践後は、フレームワークの活用も含めて振り返り、評価します。

はじめの頃は、フレームワークの選択が間違っている可能性もあります。PDCAを回し何度も営業戦略を改善することで適切なフレームワークを選択できるようになるでしょう。

営業戦略の改善で成功した具体例

営業戦略の立案は、フレームワークだけでなくデータの収集・分析を自動化するツールを活用すると、効率的に行えます。

ここでは、ツールを用いて営業戦略の改善で成功した具体例を2つ紹介します。

  • 事例1.営業戦略の改善スピードアップで2~3倍ペースの顧客増を実現
  • 事例2.データを活用した営業戦略の立案で顧客ごとにアプローチを最適化

ツールの導入効果を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

事例1.営業戦略の改善スピードアップで2~3倍ペースの顧客増を実現

株式会社お金のデザインは、資産運用をサービス「THEO」を提供するフィンテック企業です。営業戦略を最適化するために「Sales Cloud」を導入して顧客と営業の一元管理をスタートしました。

顧客情報を登録したうえで商談項目を作成。顧客とのやりとりや営業活動の履歴を記録・蓄積し、営業活動を可視化しました。その結果、どのような商談や行動が成果につながっているかを効率的に分析できるようになったのです。

データの収集・分析が効率化されたことで、営業活動や営業戦略の改善がスピードアップ。当初の想定よりも2〜3倍ペースで顧客が増え続けているといいます。

参考:スタートアップの強力な武器“改善スピード”が Salesforce でさらに加速! 注目のフィンテック企業が Salesforce のフル活用で少数精鋭の業務体制を確立

事例2.データを活用した営業戦略の立案で顧客ごとにアプローチを最適化

水道管内の水の逆流を防ぐ逆止弁「スモレンスキ・バルブ」の製造・販売を行う株式会社イシザキは、Excelを使って営業活動や商談の進捗を管理していました。リアルタイムに売上データを確認できず、データにもとづく的確な営業戦略を立てられないことが課題だったのです。

そこで、営業管理を目的として「Sales Cloud」を導入。売上データと営業データを連携させることで、売るべき顧客と売れた理由を分析できるようになりました。また、Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)を併用し、ユーザーの動向からニーズを深掘りできるようになったことで、顧客ごとのアプローチを最適化します。

感覚的な営業からデータドリブンな営業へ移行できました。

参考:売上と営業データを連携させ経営の“見える化”を実現

まとめ:フレームワークを活用して営業戦略の立案を効率化しよう

効果的な営業戦略を立案したい場合、現状把握が大切です。正しく自社の現状を把握するためには、客観的分析につながるフレームワークの活用が必要となります。

以下の3つそれぞれに合ったフレームワークを選択し、営業目標の達成につながる営業戦略を立案しましょう。

  • 営業課題の分析
  • 市場分析
  • 顧客分析

フレームワークによる分析では、さまざまな要素やデータを収集、整理しなければなりません。限られた時間で効率的に戦略を立てるためには、データの収集から分析までを効率化してくれるツールを活用しましょう。

Saleceforceでは、顧客情報を一元化し営業活動を可視化するSFA/CRM「Sales Cloud」を提供しています。また、中小企業の方には、月額3000円で利用できるCRMシステム「Starter Suite」もあります。

ツールに蓄積されたデータを活用すると、営業戦略の立案から、営業戦術の選択を効率化可能です。機能や操作性を試したい方は、無料トライアルをご利用ください。

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