2022年、Salesforce Japanは持続可能な未来を拓くための森林保全の取り組み「Salesforce Parkプロジェクト」を通じて、東京都檜原村に約4,000本を超える植樹を行いました。私たちはこれからも、日本各地における森林保全活動に取り組んでまいります。
「ビジネスは社会を変える最良のプラットフォームである」というSalesforceの考え方は、1999年にアメリカのサンフランシスコで創業してから一貫して変わりません。そして、社会を変える具体的なアクションとして、社会における課題解決のために、就業時間の1%、株式の1%、製品の1%を提供する「1-1-1モデル」を実践しています。
いま、気候変動は数多ある社会課題の中でも最も差し迫った課題です。SDGsに掲げられている「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「質の高い教育をみんなに」といった数々の課題は、とても大切なものばかり。しかし、地球の環境が壊れて私たちが住めなくなってしまったら、どんな課題にも取り組むことさえできません。Salesforce Japanでサステナビリティの責任者である遠藤は、「地球こそが最大のステークホルダー、健全な地球があって初めて、私たちは生活をして、ビジネスを継続できる」と語ります。
世界経済フォーラム(WEF)の「1t.org」は、2030年までに1兆本(1 trillion)の樹木の保全、再生、育成を目指すグローバルイニシアチブです。大規模な森林再生を組織的に推進する活動で、気候変動を抑制し、生物多様性を保全する。「森には植物があり、動物がいて、そして人間も生きている。あらゆる営みの源としての森を健全に維持するのは、次の世代に美しい地球を残していくことと深くつながっています」(Salesforce遠藤)
「1t.org」の創設パートナーでもあるSalesforceは、2030年までに世界で1億本の樹木の保全を目指しています。そうした目標に向けて、日本ではSalesforce Parkプロジェクトをスタートさせました。始まりは、2022年に東京丸の内に新社屋Salesforce Tower Tokyoが完成したタイミングでした。新オフィス開設に対する祝意で贈られる胡蝶蘭などのギフトをお断りさせていただく代わりに森林保全プロジェクトへの寄付を呼び掛けたのです。その寄付金は、認定NPO法人環境リレーションズ研究所の植栽プロジェクト「Present Tree」とのパートナーシップを通じて、森林保全に活用しています。環境リレーションズ研究所の理事長である鈴木敦子さんは、「このプロジェクトを通じてたくさんの企業が私たちの森づくりに参加してくださった」と言います。
環境リレーションズ研究所は、人生の記念日に木を植える「Present Tree」というプロジェクトで日本全国40か所の森づくりを行っているNPO法人。「大切な人へ。そして大切な地球へ」というメッセージが賛同を集め、「都会の人たちが自分で植えた木の里親となって、再び森を訪れる循環をつくる」(環境リレーションズ研究所・鈴木さん)取り組みが、少子高齢化で林業の担い手が減っている山里の森林を元気づけているのです。Salesforce Parkプロジェクトの植栽地にはSalesforceの社員が訪れ、植林や歩道づくりに参加しています。活動の場所は、東京都西多摩郡に位置する檜原村の森林。Salesforce Japanは2022年に4,000本を超える植林を行いました。
檜原村の森に植林をして保全育成する
檜原村は、新しい林業の担い手として注目されている東京チェンソーズの本拠地。その代表を務める青木亮輔さんにお話を聞くと、「2006年に檜原村で4名でスタートした会社ですが、現在は30名ほどで、植林・育林・伐採した木を加工して素材として販売する林業を営んでいます」と。さらには、都会から訪れる人たちに健やかな森の大切さを感じてもらう森林空間の体験プログラムなども活発に行い、森の伝道師のような会社といってもいいでしょう。
じつは、元々の檜原村は広葉樹が中心の森林だったそうです。それが、第二次世界大戦では軍需用材として、戦後は復興用材として木が伐採されて半分ほどが禿山に。日本の戦後経済の成長と住宅需要を見越したスギとヒノキの植林が全国津々浦々の山で始まり、檜原村の山にも苗木が一本ずつ植えられました。しかしながら、高度経済成長を迎えて、山で働くよりも町で働いたほうが稼げる時代が到来した結果、林業の担い手は減少してしまったのです。「加えて、住宅需要が最も増えた高度経済成長期には、植林した木の樹齢はまだ20年ほどで、建築の需要に応えることができず、さらには1964年の木材輸入の全面自由化に伴って、海外から安い木材が入ってくるようになってしまいました」(東京チェンソーズ・青木さん)。林業の担い手の減少によって手入れが行き届かない森林が増えてしまった背景には、檜原村だけではなく日本中の山々に共通する、こうした歴史的な課題があるのです。
日本は国土の約7割は森林であり、そのうち4割ほどが1950年代に植林された人工林が占めています。「手入れされている森林には、スギやヒノキの下層植生として広葉樹がしっかりと生えて、複層林の素晴らしい山になります。いっぽうで、手入れが行き届いていないと、樹齢60年から70年となったスギやヒノキで真っ暗な森となり、大雨が降ると土が流されてしまう場合もあります」(東京チェンソーズ・青木さん)。東京チェンソーズは「緑の砂漠」と呼ばれるこうした健全ではない森林に、適切に人の手を入れていきます。
緑の砂漠から、健全な森林に。そのためには、樹齢の長いスギやヒノキの伐採や広葉樹の植林だけではなく、ツルを払ったり、下草を刈ったりといった手入れも必要になります。「森の寿命は人間よりも長いのですから、植林だけで終わらず、里親として継続して山を訪れることが大切です」(環境リレーションズ研究所・鈴木さん)。今回の檜原村では、Salesforceの社員が参加して、山に入る歩道の整備を行いました。雑草を刈り、大きな石や切り株を掘り返し、道をつくっていく作業。道の淵に杭を打ち込み、木枠をつけていきます。「植えた苗木が成長しているか、ツルが巻きついていないか、冬になれば雪で木が倒されていないかといった視察を常にケアをします。そのために、歩道はとても大切なのです」(東京チェンソーズ・青木さん)。道づくりなどのインフラ管理は地味な作業ではありますが、それがあってこそ、人が森に入っていけるのです。
森林の保全育成を考えることは地球の未来を考えること
「森には、たくさんの公益的機能があります。そのなかでも、気象災害から人々の生活を守る機能は維持保全していかなければなりません。檜原村のような里山地域での活動はとても意義があります」(環境リレーションズ研究所・鈴木さん)。日本において、気象災害の頻発と森林の保全には密接な関係があるのです。「スギやヒノキは常緑樹なので、伸びっぱなしだと、隣同士の木の葉っぱがぶつかり合う。そうすると、支え合っていると勘違いして根を張らなくなってしまう。そうした不安定な木が、暗い森の中で光を求めて上へ上へと成長する。そこに台風が来ると、一斉に木が倒れて土砂崩れに繋がってしまうのです」(東京チェンソーズ・青木さん)。
「Salesforceは、社員はもちろん、お客様やパートナー様をはじめとするステークホルダーの皆様と一緒に、森林を保全、育成、再生していきます。森林は、二酸化炭素を吸収して、水をきれいにしてくれる。それによって生態系を回復し、気候変動を緩和していきます」(Salesforce)。
生命の源である森林を健全に維持し、差し迫った気候変動に直面する地球を守るため、Salesforceはこれからも皆様と力を合わせ、社会を変えるプラットフォームであり続けます。
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