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最近よく聞く「CDP」とは? そろそろ次世代の顧客体験を提供する基盤を考えよう

CDP

顧客接点の増加に伴い、日々膨大なデータが生まれています。パーソナライズされたより良い顧客体験を提供するためにも、顧客データの一元化プラットフォームの導入を検討している企業が増えています。今回は、CDPの定義、CDPとDMPの違い、そしてCDPで出来ることを解説します。

顧客接点の増加に伴い、日々膨大なデータが生まれています。パーソナライズされたより良い顧客体験を提供するためにも、顧客データの一元化プラットフォームの導入を検討している企業が増えています。マーケティング分野では、CDPやDMPなど、さまざまなデータプラットフォームがありますが、どのような種類があり、どういった選定基準で選ばれるのでしょうか。

今回は、CDPの定義、CDPとDMPの違い、そしてCDPで出来ることを解説します。

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デジタルマーケティングにおける企業の課題

データプラットフォームについて掘り下げていく前に、われわれがマーケティング活動を行う上でどのような課題や目的があるかを整理したいと思います。

1.接点の拡張による課題

まず1つ目は、接点の拡張による問題です。社会と顧客は多様化し、データは量も種類も膨大になりました。例えばECサイトへのアクセスログ、メッセージやメールの開封タイミング・時間帯・開封率、アプリの起動や操作ログ、アンケートフォームやSNSで顧客それぞれが入力する自然言語の入力データなど、ありとあらゆるデータが情報として活用されます。

マーケターはこれらを集めて活用するために、データを収集しやすい顧客接点を整備し、すべての顧客接点データを統合し、パーソナライズされた顧客体験を提供するストーリー設計と環境づくりに専念します。そしてまた、接点を増やし続ける、といったサイクルです。その結果、「顧客接点を見出すためのカスタマージャーニーを構築してしまっているのではないか?」「マーケターがデータを収集することを目的に、テクノロジーを使ってデータ収集しているだけであり、本来の顧客行動を限定している、あるいは見落としているのではないか?」と疑問視されています。つまり、顧客の本当の考えや欲する想いとは別に、企業が接点を無理やり作り出しているということです。そのように意図された世界におけるアクションやパーソナライゼーションは、顧客がそれを望み、積極的に体験しようとするシーンにおいてはなんの問題もありません。しかし、それを求めていない顧客は、不快感を抱くかもしれません。

2.企業が抱える課題

次に、企業が抱える課題です。LTV(Life Time Value)は、顧客との関係の全期間にわたるビジネスにとっての総価値であり、新しい顧客を獲得するよりも既存の顧客を維持する方がコストがかからないため、ビジネスで重要視すべき指標です。

この指標を考えるとき、カスタマージャーニーをフェーズ(段階)に分けます。他社製品を利用中あるいは他社と契約をしており、製品や契約内容の情報収集と比較検討中の段階。何かをきっかけに、自社製品の購入や契約に至る段階。そして自社の既存顧客になった段階です。

そしてLTVを重要視するほど、カスタマージャーニーの段階別に異なる部署が関わることになり、その継ぎ目が荒くちぐはぐになります。情報収集・比較検討段階の顧客に関わるのは営業部門やマーケティング・広告部門です。購入や契約段階の顧客に関わるのは、主に営業部門です。POSデータやECサイトの購入の場合、IT部門が顧客データを扱うこともあるでしょう。そして既存顧客になった段階では、カスタマーサクセス部門やアフターサポート部門が関わります。

一顧客のカスタマージャーニーに対して、企業内では部門を横断して関わるため、顧客獲得と維持のギャップがうまれます。顧客獲得と維持、それらで使われる顧客データも分断してしまい、企業内での連携がシームレスではありません。

この部門間にあるギャップをなくし、カスタマージャーニーとLTVの最大化を目指すために重要となるのがデータ基盤であり、今回ご紹介したい「CDP」になります。

CDPとは何か?

CDPは “Customer Data Platform” の略称であり、「顧客データプラットフォーム」です。CDPの業界団体である “CDP Institute” は、CDPを誰が・どこで・いつ使い始めたのかまで公式Webサイトで明示しています。

同団体はCDPを次のように定義しています。「他のシステムからアクセスできる永続的で統合された顧客データベースを作成するパッケージソフトウェア」つまりCDPは、起源・定義を明確に示すことができるマーケティング用語です。

CDPを定義する、3つの重要な要素があります。1つ目はパッケージ化されたソフトウェアであること、2つ目は永続的で統一された顧客データベースであること、そして3つ目は、他のシステムにアクセスできることです。以下にそれぞれを説明します。

CDPの定義3つ

1.パッケージ化されたソフトウェアであること

CDPはパッケージ化されたソフトウェアです。企業のIT部門によってカスタムビルドされるソフトとは異なり、技術的スキルを持たないマーケターが扱うことを前提に設計され、主にマーケティングで使用されます。操作性が非常に容易で、プログラミング用語を使ってコードを書くような専門スキルがなくても簡単に扱えるソフトウェアです。

2.永続的で統一された顧客データベースであること

CDPは複数のシステム(ポイント)からデータを保存し、同じ顧客に関連する情報をリンクさせ、その情報を保存して時間の経過に伴う行動を追跡することにより、各顧客の包括的なデータを作成します。

CDPには個人識別子が含まれており、マーケティングメッセージをターゲティングし、個人レベルのマーケティング結果を追跡するために使用されます。CDPは入力データのすべての詳細を無期限に保持できますが、顧客は保存する内容と保持する期間を制限できます。

3.他のシステムにアクセスできること

CDPに保存されたデータは、他のシステムでの分析や、顧客とのやり取りの管理に使用できます。CDPはデータを再構築し、傾向やモデルスコアなどの計算値を追加し、他のシステムが受け入れることができる形式で結果を共有します。(アクセス方法は主に、API、データベースクエリ、ファイル抽出が含まれます。)

似て非なるCDPとDMP

「顧客データプラットフォーム=CDP」の検討段階で、DMP他、さまざまなデータ基盤との違いや自社にとってのメリット・デメリットが曖昧になることがあります。DMPは “Data Management Platform” の略称であり、「データ管理プラットフォーム」です。繰り返しになりますが、CDPは顧客データプラットフォームです。CDPとDMPは異なるプラットフォームであり、使用目的と扱うデータが異なります。本章ではよく間違えるCDPとDMPの違いを掘り下げてみます。

CDPとDMP:使用目的の違い

CDPはWebサイトやモバイルアプリからデータを収集、他のツールと共有し、そのデータを活用して主にマーケティング全般における顧客へのパーソナライゼーションに使用されます。対してDMPは、匿名化された大規模なデータセットを収集・管理するためのプラットフォームであり、主に広告のターゲティングで使用します。

CDPとDMP:扱うデータの違い

CDPは主にファーストパーティデータを使用し、個人を識別する情報(名前やメールアドレスなど)を含んだデータで運用管理します。一方、DMPは主にサードパーティデータを使用し、個人を識別する情報ではなく、ある一定の特性や特徴を持った匿名オーディエンスのデータが用いられます。

前述のCDP業界団体 “CDP Institute” によると、モバイルデータアプリ分析企業やタグ管理ソリューション提供企業など、100社以上の企業がCDPベンダーを名乗り、各社それぞれの基準で称されるCDPソリューションが提供されています。

また、広告事業者が収集したサードパーティーCookieデータや、広告・メールなどの配信ログデータの蓄積等を「プライベートDMP」と呼ぶ事例や、それらを「CDP」と言い換えている事例も散見されています。

CDPで解決できる

CDPは個人の情報とカスタマージャーニーを追跡し、追跡データをもとにパーソナライゼーションを実施し、その反応やアクションをさらにデータとして追跡・蓄積していくことで、顧客体験の向上を追求していきます。短期的な顧客接点の獲得ではなく、LTV向上と顧客との関係維持向上を目指すには必要なプラットフォームといえるでしょう。

DMPを活用するのは、新規顧客獲得の領域です。DMPはサードパーティのCookieデータであり、匿名で広く定義づけられており、新規顧客獲得の場面で役立てるものです。しかし2021年にGoogleは、ChromeにおけるサードパーティCookieのサポートを段階的に廃止することとそのスケジュールを発表しています。活用領域はさらに限定されてしまうかもしれませんね。

CDPを検討すべき企業とは?

CDPを導入すると、顧客接点のデータを収集・蓄積・分析・活用できるようになり、顧客維持継続への手助けとなります。自社でデータ収集ができる顧客を抱えるほどに比例して、自社が獲得できるデータ量が増え、新規顧客の獲得や、既存顧客のLTVを最大化するノウハウを自社に蓄積しやすくなります。顧客数が多く、顧客の行動も多様なBtoCビジネスはCDP導入後の効果がわかりやすいといえるでしょう。そして、CDPは顧客の個人を識別するデータに紐づくことから、自社で直接顧客との接点を持つ企業、またはD2C移行を検討している企業により適しています。

例えば小売企業、サブスクリプション製品を展開する企業、接客型のビジネスを展開する企業は、各顧客にパーソナライズした提案と体験を提供する機会が多いことから、早めにCDPの検討と導入を実施し、データの収集と活用を始めましょう。

業種別のCDP活用はこちらもご覧ください!

Salesforceが提供するCDP

Salesforceのカスタマーデータプラットフォーム「Salesforce CDP」がCDPの機能を有し、マーケティングオートメーションツールである「Marketing Cloud」やリアルタイム・インタラクション管理ソリューション「Interaction Studio」とシームレスに連携します。

「Salesforce CDP」では、顧客の接点が発生する複数のポイントでデータを収集、一元化して顧客データを作成することができます。これらの顧客データから、企業の実施したい施策を顧客に対してパーソナライズしながら届けるため、データを基にしたアクションの実行とデータ収集を繰り返すことができます。企業とマーケターがデータの収集・管理・アクションを実行できる製品です。

「Interaction Studio」は、AIを活用することで顧客にパーソナライズした1on1の体験を提供します。顧客毎に有する個別のインサイトとニーズを把握し、提供キャンペーンやコンテンツを顧客毎に推奨、顧客のいるチャネルでタッチポイントを作り体験とエンゲージメントを発生させ、以上全ての体験を分析し、レポートを生成します。

今回はビジネスとマーケターに必要な、CDPとその周辺知識を紹介しました。顧客獲得と維持、そしてLTV向上を目指して、最適で正確なデータ分析に基づくアクションが実行できる体制を整えてください。

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