「仕事のための会話型インターフェース」として人気のSlack。あまり馴染みがないかもしれませんが、最近では使いやすいコミュニケーションツールとして夫婦で利用するケースが増えているんです。本記事では、多くのカップル・夫婦を支援してきた社会起業家のあつたゆかさんとご主人のまさとさん(以下、まさとさん)に、夫婦でのSlack活用術をお聞きしました。
あつたゆか さん(@yuka_atsuta)
株式会社すきだよ 代表取締役
IT企業勤務の夫、愛猫2匹と地方暮らし。大学在学中にアメリカでカップル間のコミュニケーションを研究。自身の結婚をきっかけに結婚や家族の課題を解決したいと思い、共働き夫婦の対話支援アプリ「ふたり会議」事業を立ち上げる。2024年「Forbes JAPAN」にて、【今注目すべき「世界を救う希望」100人】に選出。著書に「仕事も家庭もうまくいく!共働きのすごい対話術」(クロスメディア・パブリッシング)がある。
Slackを使った「思考の実況中継」のススメ
Q:夫婦でSlackを使い始めたきっかけを教えてください。
あつたゆかさん
知人が夫婦でSlackを使っていて、気になるお店や買いたいものなどをパートナーと共有しているという話を聞いたんです。そのとき「なんかだか楽しそう!」と思い、夫に「私たちも使ってみない?」と声をかけました。
まさとさん
正直に言うと、僕は夫婦でSlackを使うことに少し抵抗がありました。というのも「Slack=仕事」というイメージが強く、プライベートでは別のツールを使いたいなと感じていたからです。ただ、実際に使ってみると他のツールにはない便利さや快適さを実感できて、今は積極的に活用しています。
Q:夫婦でSlackを使い始めたきっかけを教えてください。
あつたゆかさん
ビジネスと同様、家庭や良好な夫婦関係にとっても情報共有は必要不可欠です。とはいえ、共働きだと直接対話できる時間は限られていて、何かを決めるために一から口頭で説明するのはなかなか骨が折れます。私たちは二人ともフルリモートで働いていますが、それでも8時間位のタイムラグがあって、時間やコンディションに余裕がないと情報共有の難易度はさらに上がります。
そんな忙しすぎる夫婦におすすめしたいのが、Slackを使った思考の実況中継です。これは、互いに離れている時間に何を考えたのか、リアルタイムな感情や思考を実況するシェア方法のこと。簡単に言うと、パートナーにだけ見せる“独り言X(旧Twitter)”みたいな感じですね。
行動や提案に至った背景の共有で、対話はスムーズに
Q:夫婦でSlackを使い始めたきっかけを教えてください。
あつたゆかさん
人の行動や言葉には、見えていない背景がいろいろあります。それを知っているだけで、相手の行動や意見に対する感じ方は大きく変わり、対話もスムーズになるはずです。
具体的なメリットは次の5つです。
①説明がラクになる
仕事でトラブルがあってしんどかったことをパートナーに話したいと思っても、帰宅後や朝の時間帯に一から説明するのは面倒ですよね。でも、Slackで逐一つぶやいておけば、「仕事大変だったんだよね。大丈夫?」「そうなんだよ〜!」という感じでラクに会話を始められます。
②相談し忘れを防げる
パートナーに相談して決めたいことがある場合、夕飯の時に話そうと思っていたら忘れてしまった……みたいなことがありますよね。
Slackでつぶやいておくと、自分が忘れたとしても相手の方から「そういえば○○について相談したいって言ってたよね。どうしよっか?」と切り出してくれます。
③相手を思いやれる
例えば私が仕事でイヤなことがあり、一息つくためにストックしておいたアイスを食べた結果、夫の好きなチョコアイスがなくなったとします。
夫がその経緯を知らないと、「えっ、全部なくなってる!」とイラッとするでしょう。でも、「仕事が大変→疲れた→アイスを食べた」とSlackで実況中継しておけば、「仕事で大変だったみたいだし、アイス食べたってつぶやいてたな。元気になったかな」と思いやりの気持ちが生まれやすくなります。
④喧嘩したときの解決スピードが早くなる
これは実際にあったことですが、夫と言い合いになってギスギスしたとき、私の心の中のモヤモヤをSlackで言語化したんです。
このように、深夜に思いつくままつぶやいたのですが、夫が翌朝にこれを見て「なるほど、そんなふうに考えてたんだ」という感じで仲直りできました。モヤモヤした気持ちを整理してから伝えるのではなく、まとまっていない段階から実況的に伝えるほうが解決スピードが早くなるケースもあるのです。
⑤意思決定で揉めづらくなる
家具や旅行先などを二人で比較検討する際、自分がどこまでリサーチしたのかを事前にシェアしておけば、スムーズに決められますよね。
例えば新しいテレビ台を購入するとき、「候補Aはかっこいいけど、横幅が大きいなぁ」と通販サイトのURLを添えてつぶやきます。その後も「候補Bは横幅OKだけど収納がない」「候補Cは価格はちょっと高いけど機能的なのでイチオシかも」という感じで投稿を続けます。
すると、相手がどんな軸で比較検討したのかがわかるので議論がぶれないですし、検討にさいてくれた工数や時間もわかるので、「いろいろ探してくれてありがとう!私の理想はAだけど、値段やサイズを考えるとCが妥当かもね」と感謝の気持ちが生まれやすくなります。
ただのコミュニケーションツールとSlackの違いとは?
Slackは単なるコミュニケーションツールではなく、もはや経営を左右するツール。 Slackを先進的に使いこなす先駆者たちが、本音でSlackの魅力と課題を座談会形式で語ります。
カテゴリ別チャンネルで家庭のタスクを管理
Q:夫婦でSlackを使い始めたきっかけを教えてください。
あつたゆかさん
まずはチャンネル機能ですね。私たちは、ペット、旅行、家計、妊活などカテゴリ別にチャンネルを作成して投稿の内容を整理しています。
一番活用しているチャンネルが、私と夫それぞれの名前を冠した分報「times」で、ここでは今何をしているのか、何を考えているかなどをリアルタイムで投稿しています。
夫婦でチャットツールを使うと、投稿した内容はすべて相手宛てになってしまいますが、timesは独り言感がより強く、自由きままにつぶやく場として使っています。
まさとさん
僕は夕食を作る機会が多いので、妻のtimesを見てその日の献立を決めたりしています。今日はお疲れモードみたいだから胃にやさしい料理にしようかな、とか。
あつたゆかさん
大きな仕事を終わってハッピー!みたいなつぶやきをしたときには、私の好きなメニューを作ってくれたり。ホント、感謝してます(笑)。
まさとさん
通知の有無を細かく設定できるのもSlackの良いところですね。メンションを付けた投稿だけを通知するとか、すべてミュートにするとか、チャンネルごとに通知をカスタマイズできるので、相手が仕事中でも気兼ねなく投稿できます。
また、未読や既読がわからない仕様なのでプレッシャーを感じずに使えるところも気に入っています。既読マークがつくと相手にレスポンスを期待して、それがイライラの原因になったりもするので(笑)。気軽にリアクションできる絵文字も重宝しています。
あつたゆかさん
わが家では、相手の投稿は見ても見なくてもいい、リアクションも求めないというゆるい感じで使っています。投稿頻度は私の方が圧倒的に多いのですが、夫が夕食時に「今日も大変だったみたいね。お疲れさま」と声をかけてくれるので、Slackのつぶやきでちゃんと意思疎通できているんだな、と。
まさとさん
過去のメッセージもチャンネルをまたいで簡単に検索できますし、メモ代わりに使うのもアリだと思います。僕たちはフリープランを利用していますが、有料プランなら写真やメッセージを無期限で保存できるので、思い出のアルバムとしても活用できるのではないでしょうか。
Q:夫婦Slackを始める上で、心構えやコツなどはありますか?
あつたゆかさん
まずは、相手にリアクションを求めないこと、投稿の頻度が自分の方が多くても相手を責めないことですね。
また、外部ツールとの連携やカスタム絵文字などSlackには多彩な機能が揃っていますが、最初から手を広げすぎず、家計や旅行など必要最低限のチャンネルから始めたほうが継続しやすいかもしれません。
まさとさん
僕たちも必要に応じて徐々にチャンネルを増やしていった感じですね。夫婦によって働き方や生活スタイルは異なるので、自分たちに合った機能を選んでゆるく楽しく使ってみてください。
まとめ
「夫婦は家庭の共同経営者であり、仕事と家庭を両立できている夫婦はうまく対話ができている」と話すあつたゆかさん。
スムーズな対話には日頃から情報や思考をシェアしておくことが大切なのだと改めて感じました。2024年には生成AIの機能を搭載した「Slack AI」が登場し、企業のコミュニケーションに進化をもたらしているSlack。パートナーと最強かつ最高のチームメイトになるために、Slackを活用してみるのはいかがでしょうか。
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