SalesforceなどのIT企業の営業には男性が多いというイメージはありませんか? 確かに多くの企業で男性営業の比率が女性営業のそれよりも上回っているデータも存在します。そのような状況を変えようと、Salesforceは全社のEquality(平等)方針をもと、女性社員および女性管理職を比率を上げようとさまざまな取り組みを行っています。
その一環として、2024年に営業部門の女性活躍支援グループ「SWAN」(Salesforce Women’s AE Network)」を立ち上げました。その背景と内容について、立ち上げた4人の幹部の座談会で紐解きます。
Salesforce Japanは、女性社員を支えるために何ができるかを考え、複数のプロジェクトを推進しています。その取り組みを連載で紹介していきますので、本記事だけでなく今後もよろしくお願いします。
Gender Equality
at Salesforce
“Equality for All ~すべての人に平等を~”の実現を目指し、誰もが自分らしく生き生きと働ける環境を目指しています。
Speakers:
井上 靖英 (専務執行役員 エンタープライズ事業統括)
安田 大佑 (専務執行役員 コマーシャル営業統括)
大平 宏美 (執行役員 コマーシャル営業 本部長)
内山 真弓 (エンタープライズ公共・金融・地域SX営業統括本部 公共・文教・NPO営業本部 本部長)
Moderator:
宮田 真衣 (Diversity Talent Attraction Partner, Recruiting)
Salesforceは「飽きさせない」
──大平さんと内山さんは、これまでのキャリアの大半をSalesforceの営業として歩まれてきました。ここに至るまでの経緯を教えてください。
大平:気づけば、もう16年もSalesforceにいますね(笑)。
その前の話をすると、私のファーストキャリアはキーエンスの営業でした。時代も時代だったので、その当時の女性営業は私一人だけ。
8年間、「ここでやめたら悔しい」と負けず嫌いが発動し、女性一人でずっと突っ走りました。新規開拓の営業として毎日250件架電したり、毎日新しいお客様に会ったりして。
そうこうしているうちに成果がコンスタントに出るようになり、営業成績が昨年同時期に比べて大幅達成した時もありました。ただ、30歳になった時、「もうやり切った」という気持ちに駆られて、新天地を求め、2008年にSalesforceに移籍したんです。
内山:私は、日系セキュリティ企業などを経て大平さんと同じ年にSalesforceに営業として入社しました。大平さんより2か月前で、井上さんとは同じ日でした。
お二人と違って実は私、一度辞めているんです(苦笑)。Salesforceに最初に入社した時、それまで担当してきた公共インダストリーと全く違うテリトリを担当することになってしまって(苦笑)。
商談サイクルもお作法も全く違っていたので、苦しくなっちゃって。それで別のIT企業に転職して5年半勤めたのですが、苦しいことが多くて思い出したくないはずなのに、Salesforceで働いていた時のことを何度も思い出していました。
苦しいながらも、Salesforceでお客様の課題を解決する本当の楽しさや、周囲の優秀な社員の皆さんがもたらす素晴らしいカルチャーを一度知ってしまうと、他から受ける刺激が弱く感じてしまうようになってたんですね。
もう一度あの世界に挑戦したい。そう思って再チャレンジし、ご縁あって受け入れ頂き、2015年の1月にSalesforceに2度目の入社をしました。
──お二人は、営業現場からスタートし、現在は営業本部長を務めています。外資系ITの営業は長く続けることが難しいと言われている中、やり続けてステップアップしている理由は何でしょうか。
大平:うちって飽きないんですよ。「飽きさせない」のほうが正しいかもしれません。
経験を積んで「コツを掴んだ!」と思っても次年度には新しいプロダクトやサービスが生まれ、それに伴って組織も変わり、進化したお客様のニーズが変わって。半年も経ったら、もういろいろ変わってる(笑)。
会社やお客様が変わるたびに、自分も変わらざるを得ないんですね。その変化が心地よいし楽しい。
マネジャーになってからも「飽きない」状態が続いています。前職に10年以上も働いていたメンバーがいたんですが、彼のポテンシャルを最大限に引き出すサポートができた時、「前職の20倍も成長ができた」って言われたんです。
このように「本当にやっててよかったな」と思う瞬間がずっと続いているからこそ、Salesforceで16年も営業人生を続けてこれているんだと感じています。
内山:Salesforceに出戻りした理由としても挙げましたが、Salesforceってお客様がどう成功するのか、そこにどうやって自分たちが役立てるかを考え抜いて、お客様の期待値を超えて行くことを毎日やらなきゃいけないんですね。それが、タフなんですけど、すごく楽しいんです。
忘れられないエピソードを一つ紹介すると、マイナンバー制度に関する案件です。国民がマイナンバーカードを活用した各種手続きをオンライン上で簡単にできるようにするシステムの提案で、中央省庁の担当営業として携わりました。
個人、企業、国や基礎自治体などの行政機関が今までにないまったく新しいカタチでつながる世界の実現を、とても頼もしいパートナー企業様や社内の技術メンバーと一緒に支援することができました。
もちろんその道のりは平坦ではなくて、大変な事件が何度も何度も何度も(笑)起きましたが、皆さんとなんとか乗り越え、ご支援し切ることができました。加えてDreamforceという米・サンフランシスコ本社開催のイベントでもお客様には登壇いただくことができ、そこに日本の業界新聞社が取材のために来場くださり、記事として大きく取り上げてくださったんです。
最終的に、お客様から「実現できたのはSalesforceさんのお陰です、ありがとう」と言われた時は、もう言葉にならない達成感でした。Salesforceではこういう瞬間が幾度も待っているから、いつまで経っても「お腹がいっぱい」にならず、10年以上働き続けられています。
SWANを立ち上げたきっかけと込めた思い
──男性リーダーのお二人にお伺いします。身近な女性の営業メンバーで、Salesforceで長くキャリアを歩んできた人でどのような人が思い浮かびますか。
安田:私が2012年にSalesforceに入社した時の、当初の営業チームのメンバーを思い浮かべます。
現在、私の部門で100名を超える大きなチームをマネジャーとして率いてる彼女は、営業職で結果を出してマネジメント職に昇格し、更にそこからも成長を重ねています。
そのような姿を近くで見れて大変嬉しく思いますし、そのキャリアの途中では彼女は社内異動で営業サポートチームの経験もしています。今後もさらに大きな舞台で活躍が期待される女性リーダーになっています。
井上:私も、思い浮かべるのは今年エンタープライズ営業からマネジャーになってくれた女性メンバー2人です。自ら「やりたい」と申し出てくれたんですね。
そのうちの一人は、数年前に念願のサンフランシスコ本社勤務も経験しました。大平さんも内山さんも述べていたように、Salesforceは次から次へとチャレンジできる土俵のある会社なんですよね。そのチャンスを自ら掴みにいくメンバーが強く印象に残ります。
──Salesforceは、大平さんや内山さんのように、自身のキャリアをSalesforceで切り開く女性営業を増やすことを目指しています。その一環として今年1月に「SWAN」が立ち上がりました。SWANの目的や立ち上げの背景を教えてください。
内山:SWANとは、女性の営業メンバーが活躍し続けるうえでの課題を把握し、解決することを目指す社内グループでメンバーは有志で構成しています。
性別に関わらず営業メンバーが前向きに仕事や人生について考えたり、取り組んだりするための環境を整えることを目指します。正式に立ち上がったのは2024年1月でしたが、同じようなコンセプトを持った活動は2022年頃から始まっていました。当時、井上さんからの声かけがあって女性営業の働き方の実態を把握する調査を進めていたんです。
井上:そうでしたね。というのも、私がSalesforceでアライアンス本部の本部長をしていた時、在籍していた4年の間で女性雇用比率を倍に増やすことができたんです。営業でもできるはずだと、22年ごろに内山さんと話し合ったのがきっかけでした。
内山:いざ調べてみると、驚きの連続で。まず、調査を始めるまで自分の営業部署に女性が何人いるかを考えたこともなくて。その時、初めてその少なさを知りました。みんな、毎日顧客と向き合って数字を上げることに必死で、性別について意識することもほとんど無く、女性営業の働き方について話す機会がなかったんですね。
私はラッキーなことに周囲の方からたくさんのサポートをもらって営業のキャリアを続けてこれましたが、女性メンバーの中には営業のキャリアを続けていく上での悩みを人に相談できずに困っている人が多くいました。そのような人たちを支え、長いキャリア人生をサポートするために立ち上がったのがSWANです。
安田:私が統括している中堅・中小企業担当の営業組織では、育休から復帰する女性営業のヒアリングを行っている最中です。
私の組織は妊娠・出産というライフステージを経験している年代のメンバーが多く在籍しています。育児、家庭と仕事のバランスをとれるように、チームメンバーやマネジャー、会社がどうサポートできるかを私から直接個別面談を行いヒアリングをしています。私が作りたいのは、育休から復帰した彼女たちが「無理をして頑張る」のではなく「楽しんでいる」状態。
子供のために早く帰ることに対して「申し訳ない」と感じさせたくないですし、無理をしていない環境を整える必要があります。そのためにも、時短プログラムなどの支援の実現に向けての調査を進めたりしています。
──Salesforce Japanは引き続き、一緒に働くメンバーを募集しています。女性にもたくさんの方々に興味をもってもらいたいですが、皆さんはどのようなメンバーと一緒に働きたいですか?
大平:変化を乗り越えてきたことを実績で語れる方です。Salesforceは変化の多い会社です。いい変化もあれば、苦しい変化ももちろんあります。その変化を嫌に感じず、楽しめる人と一緒に働きたいです。
その変化に柔軟に対応してきたことを気持ちだけでなく、実績として語られる人はSalesforceのカルチャーに合っていると思いますので。
内山:「自分を変えられる人」です。Salesforceって入社する時に「昔の成功を捨てなさい」って新入社員の皆さんに最初に必ずお伝えするんです。それって結局は「柔軟性を持て」という話であって。私が入社1回目に続けられなかった理由は、正しく自分を変えられなかったからだと感じています(苦笑)。
当社で成果を出し続けられる人は、皆自分の考え方やアプローチの仕方を臆せず変えられる人たちだと思いますし、実際そう教えられます。当社を目指していただく方たちには、ぜひその柔軟性を持っていただけたら良いかなと思います。
安田:「あなたの理想は何ですか」という質問に目を輝かせながら答えられる人です。実際、Salesforceで成功している人はそういう人が多いですしね。
Salesforceの素晴らしいところは、理想をちゃんと持っている人を後押ししてチーム一丸となってその実現に向かって動くところにあります。内山さんのマイナンバーの案件でもそうでしたよね。これを読みSalesforceに興味をもっていただき、もしお会いすることがあったら、ぜひあなたの理想を聞かせてください。
井上:変革の主体者です。「Salesforceは成長しているからその波に乗るために入社したい」と言ってくださる方が多いですが、むしろ「自分がその波を作る変革の主体者でありたい」と思ってくださる方と一緒に働きたいです。
変革というのは別に小さなことでもいいんです。人によって目指す事は様々で違うと思います。まずは目の前の一歩から。自分自身の変革、もしくは目の前の職場やチームの変革、お客様の変革。それは、人によって違っていていいし、大小も関係ありません。
でも、やっぱりSalesforceは飽きない会社だから、色々なことをやっていくうちにその目指す変革も大きくなっていくんですよね。そこがやっぱり面白いんです。
この世界に飛び込んで変革の波を起こしたいと思っている方と一緒に働きたいです。
取材を終えて
「女性ももっと働きやすい職場環境を作りたい」。私は、5年前にそんな思いを抱き、新聞記者から人事へとキャリアをシフトしました。
取材・執筆する機会はもう訪れないだろうなと思っていましたが、今回、人事という立場でSalesforceの営業リーダーをインタビュー。女性営業のキャリアと人生について考える貴重な機会を得ることができました。みなさんのキャリアを考えるヒントになったら幸いです。
今回の座談会でリーダーのみなさんが言う通り、Salesforceは挑戦し続けたい人を後押ししてくれる会社であることを身をもって感じました。この記事をご覧になっていただいた方で少しでもSalesforceに興味を持っている方、新しい挑戦に身を投じたいと思っている方は、ぜひ、こちらにお問い合わせください。
Diversity Talent Attraction Partner, Recruiting
宮田真衣
取材・執筆:宮田真衣、編集:木村剛士