皆さんはSalesforceの認定資格をご存じでしょうか。
Salesforce認定資格とは、Salesforce製品を活用するにあたって必要なスキルを保持していることを証明する全世界共通規格の資格です。
特定の資格を保持していれば転職や業務委託の契約において、自分のスキルをアピールできる材料のひとつとなります。
2021年時点でSalesforceに関わる雇用は日本で44万人以上、GDP(国内総生産)へのインパクトは約10兆円*といわれており、Salesforce認定資格の保有はこうしたビジネスエコノミーへの扉を開くカギといってもよいでしょう。
*出典:IDCホワイトペーパー『The Salesforce Economic Impact』
ドキュメント番号:US48214821(2021年9月20日)
本記事では、Salesforce CRMにおけるService Cloudソリューションの設計・実装ができるコンサルタントを認定する「Salesforce認定Service Cloudコンサルタント」資格を保有し、現在はロート製薬株式会社 基幹情報システム部に所属し、社外でも活躍している馬場谷英司さんのキャリアの軌跡をご紹介します。
目次
Salesforce認定Service Cloudコンサルタントとは?
Salesforce認定Service Cloudは、Salesforceのアプリケーションを活用し、お客様のビジネスプロセスのためのソリューションを提供できることを示す資格です。では、Salesforce認定Service Cloudコンサルタントを取得するには、どのような準備が必要で、資格を取得することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
Salesforce認定Service Cloudコンサルタントを取得し、現在は所属する企業のDX推進に取り組むほか、副業としてDX支援サービスの提供を行うなど、幅広く活躍する方のお話を聞いてみましょう!
導入から運用まではわずか3か月。コミュニティの支えで、無事運用へ
――ロート製薬株式会社に入社される前から、さまざまな業種のコールセンター構築に携わられていたと伺いました。まず、馬場谷さんがSalesforceと出会ったきっかけを教えてください。
入社以前からSalesforceの存在は知っていました。ただ、本格的に出会ったと言えるのは、2016年にプロジェクトリーダーとして社内コールセンターのCRMシステムをリプレイスする際、Salesforceを導入することになり、それから本格的に勉強するようになったことがきっかけですね。
――他社サービスと比較して、導入の決め手は何でしたか?
Salesforceは拡張性が高く、他のシステムとも簡単にデータ連携ができることが一番の決め手でした。コールセンターの部門だけならほかのシステムでもよいですが、マーケティングへの活用や全社での導入などを見越してして、SalesforceのService Cloudを選びました。導入の最終決定を私が下したわけではありませんが、比較検討に際しSalesforceのことを調べていくうちに興味を惹かれて、自分もぜひSalesforceに関わりたいと思うようになったんです。
――運用までの期間で、どのように学習してシステムを構築したのですか?
導入から運用開始まで3か月しかなかったので、正直に言えばかなり大変でした。Salesforceを導入すると決まった時から、さまざまなセミナーへの参加や、Trailheadの活用などで学習しました。さらに、Salesforceのサポートやコミュニティにも積極的に質問するなど、受け身にならないよう勉強していました。
――どのような学習方法が役立ちましたか?
コミュニティで質問を繰り返し、疑問点を解消する学習方法が一番役に立ちました。運用前はベンダーのサポートを受けながら分からないなりに自分でシステムを組んでましたが、実際に運用が始まると現場からいろいろな声が上がってきました。上がってきた意見を改善していく中で、コミュニティで疑問を解消できることはとても助けになりましたね。
Salesforceのコミュニティに参加している方々は、初歩的な質問にも親切に回答してくれるんです。しかも、さまざまな業種の現場で、多様な業務に携わっている方がいるので、こちらが困っていることに対して的確なアドバイスが受けられます。
これまでに、さまざまなシステムのコミュニティに参加してきましたが、こんなにも多くの方とやりとりできるのは、Salesforceだけでしょう。ユーザー同士のつながりに、これほどの価値があるということを、Salesforceのコミュニティで気づかされました。これからSalesforceの知識を身につけたいという方は、まずはコミュニティに参加するのがよいと思います。
資格取得が「ナレッジ」と「できること」の幅を広げた
――馬場谷さんはSalesforce認定アドミニストレーターを2017年8月に取得後、その1年半後の2019年2月にSalesforce認定Service CloudコンサルタントとSalesforce認定Platformアプリケーションビルダーを取得されています。Salesforceの導入直後から、これらの資格の取得は考えていたのですか?
いえ、Salesforceの導入が決まって、運用に向けた準備をしているあいだはそれだけで手一杯でした。運用開始後、少し余裕ができた時期になって初めて、資格の存在を知ったんです。当時は業務で関わるベンダーや、ユーザ会などでさまざまな方とやりとりする機会が多く、資格があればSalesforceに関する一定の知識があると簡単に示せると思い、まずは基本となるSalesforce認定アドミニストレーターを取得しました。
そこからやはり実務でService Cloudを担当している以上、いずれはSalesforce認定Service Cloudコンサルタントも取りたいという気持ちになりました。試験内容には、実務ではふれていない部分もあるため、試験を意識してTrailheadやコミュニティの勉強会などでしっかり基礎を学習するように心掛けました。実務で担当している自負もあるので、「絶対に落ちたくない」と感じましたね。
――合格したときの喜びもひとしおだったのではないでしょうか。
合格したときは、自分が主担当として作ったService Cloudが認められたというか、取り組んできたことが、自分の知識やスキルになって実を結んだと感じました。思い返してみると、Salesforce認定Platformアプリケーションビルダーも含め、この2つの資格の取得は、より前のめりにSalesforceに取り組む契機となったような気がします。
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――実務が順調な中での資格取得は、どのようなメリットがありましたか?
資格取得に向けた学習では、普段使用しない機能も学ぶので、それまで知らなかったものの、実は業務に使える機能があるとわかったことが資格取得のメリットだと思います。そのほかに、実務では問題なく使っていたとしても、深くは理解できていない知識を体系的に理解するという意味でも、資格の取得のための学習は有意義でした。
――2022年にはSalesforce認定上級アドミニストレーターやSalesforce認定Sales Cloudコンサルタントを取得されていますね。これらの取得の経緯もお教えください。
Sales Cloudコンサルタントの資格を取得したのは、やはりSales CloudがSalesforceの看板製品だからですね。弊社ではSales Cloudを導入していないので、必要に迫られていたわけではなかったのですが、外部でSalesforceの話をしているとSales Cloudの話題が出ることが多く、自分でもある程度は理解しておきたかったですし、コミュニティやユーザ会に参加したり、新しく副業の仕事もしたりする中で、やはり取得しておいたほうがよいと感じていました。
実際に、資格を持っているのと持っていないのとではまったく違います。私も副業の名刺には資格保有者であると示すマークを載せているのですが、Salesforceを知っている方は反応が違うんです。
Salesforceの資格を持っていることは、一定以上の知識を持っていることの証になるので、対外的にアピールがしやすい。さらに、近年ではSalesforceはAI分野にも進出して、企業としてどんどん成長していますから、資格の価値はより高まっていくんじゃないでしょうか。
――学び続けることへのモチベーションを支えているものは何ですか?
単純に資格をたくさん取りたいという気持ちもありますが、「Salesforceの学習を頑張ったら、何かしらの成果に繋がる」と考えていて、それがSalesforceにモチベーション高く取り組めている理由のひとつかなと思います。Salesforceにおいては、大抵のことは調べたら何とかなるんです。
Trailheadもあるし、コミュニティもあるし、サポートも手厚い。それだけでなく、ユーザーが多いので検索すれば、解説記事などもたくさんヒットします。勉強すればするほど気になるところが出てくるし、それが解決したらまたその次、さらにその次と、好奇心が刺激されることも、Salesforceの特徴ですね。
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システム構築にSalesforceは必要不可欠。さらなる活躍の場を求めて副業をスタート!
――2022年からは副業もされているそうですね。副業を始められたきっかけについて教えてください。
自分のSalesforceの知識をもっと広く役立てたいと感じたのがきっかけです。社外にも自分の力を発揮できる場所があるのではないかと考えました。長くコールセンター業務に携わっていて感じるのは、コールセンターというのは花形の部門ではないですが、企業にとって欠かせない部門だということです。
コールセンターのオペレーションとシステムの統合に関して、自分の知識と経験に少なからず自負もあり、もっと究めていきたいと考えたときに、弊社では副業が認められているので、社外でもチャレンジしてみようと思いました。
――副業するにあたってSalesforceでのシステム構築を選んだ理由について教えてください。
まずはニーズが高いという点があります。それに加え、エンジニアではない私にとって、Salesforceがノーコード・ローコードでシステムを構築できる点も重要でした。
――馬場谷さんの場合は、コードを書くデベロッパーではなく、アドミニストレーターとしてのご活躍ということですね。
そのとおりです。実は今、業務を理解していて、システムも構築できる人材がすごく求められているんです。ほとんどの企業では、業務の理解が深い方とシステムに詳しい方は、別の部門となっていて、それによってシステム構築において弊害を生む場合もあるんです。
実際の業務を知らない方が作ったシステムには、不要な画面遷移があったり、使い勝手が悪かったりするケースがあります。
また、そういった面を現場の方々は結構我慢してシステムを使い続けるんです。システム側からすると、言ってくれたら改善するのに、となるんですが、何故かこのやり取りって活性化されていない事がよくあります。業務を理解した上でシステムを作れば、現場での感覚を反映できるので、現場とシステムの両方を理解しているのは強みになると思いますね。
――具体的にニーズの高さを感じたエピソードがありましたら教えてください。
さまざまな企業とお話しすると、CRMシステムにSalesforceを導入したいというお客様が非常に多いんです。その際、コールセンターだけでなく、ほかのシステムもすべてSalesforceでまとめるのが一番よいのですが、制約があってできないとなった場合、他のシステムと連携する必要が出てきます。
そのようなケースでは、Salesforce等のシステム知見とコールセンターを始めとする業務知識の両方に詳しい人材が必要です。複数のシステム構築をしていく上ではシステム連携が肝となり、各システムの範囲を超えて俯瞰で対応が出来る人材のニーズは非常に高い存在になっていると思います。
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最近では聞かない日がない生成AI。しかし正しく安全な活用に向けては多くの課題が残っています。今回のセミナーでは「生成AI活用の第一歩:データ収集/可視化としてのCRM利活用」をテーマにAI導入前の人材教育、データ管理の重要性についてご紹介いたします。
――最後になりますが、ご自身のキャリアの目標などについて教えてください。
取りたい資格はいろいろあるのですが、近いうちに認定Salesforce認定Data Cloudコンサルタントは取りたいと思っています。さらに、Salesforce認定アプリケーションアーキテクトも狙いたいですね。
自分のキャリアに関しては、副業のメンバーでチームを作りたいなと思っています。Salesforceをはじめとするさまざまなシステムのエキスパートが集まれば、より質の高い仕事ができると思うし、おもしろいことができそうだと考えています。数年前には、自分が今のような働き方をすることになるとは予想していませんでした。Salesforceと出会い、学んだことによって、自身の仕事のフィールドが大きく変わりましたね。
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