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【Salesforce Einstein】Salesforceが開発するAI、Einstein(アインシュタイン)ってなんだ?

Salesforce の AI 「Einstein (アインシュタイン) 」ってなんだ?

Salesforce の AI である Einstein とは何かについて解説します。実際の製品デモ動画を通じて、Einstein がビジネスのためのAIとしてChatGPTと何が違うのかも説明しています。

Einstein ってなんだ?

Salesforce の AI である Einstein (アインシュタイン) は、端的に言うと、「私たちの世界No.1 CRM に組み込まれた AI 機能群」のことです。

 Salesforceは2014年、  AI 研究所を設立し、2016年に初めて利用可能な製品機能として市場に投入しました。「Salesforce Einstein」 は機械学習、深層学習、自然言語処理を通じて膨大なデータを学習し、ビジネスに効果をもたらすパターンを発見し、次に行うべきアクションを予測・提示します。すでに多くのお客様に採用と活用が進み、1週間で1兆を超える予測処理を実行しています。

Salesforce が AI を CRM に組み込んだ目的は、営業やサービス、マーケティングやコマースの担当者がより効果的な意思決定を行えるようにすることです。マーケターが顧客の行動を予測したり、インサイドセールスや営業担当者が見込みの高いリードからアプローチを行えるようにしたり、カスタマーサービス担当者が顧客の期待を上回るサポートを提供することを可能にしたりするために Einstein は生まれました。

Einstein は Salesforce のビジネスアプリケーションに組み込まれており、難解な設定を行わずに、予測及び生成AIのメリットを享受でき、数多くの業務支援ができるように設計されています。

多数の AI が存在していますが、本記事では主要なポイントを解説します。

Einstein は営業にどう役立つ?

日本でも市場シェア No.1 である Salesforce の代表的な SFAである「 Sales Cloud 」にもEinstein は組み込まれています。例えばリードや商談の見込みを可視化するスコアリング、今までの傾向から見えてくる売上予測など、CRMに蓄積したデータから高い精度で「次にアプローチするべき対象」を教えてくれる「予測AI」が代表的です。

さらに、2023年からはミーティングの音声データを分析して自動的に議事録とタスクを生成したり、お客様へ過去の履歴や興味・関心を踏まえたメールを自動作成したりする「生成AI」機能も有しています。

文字では少しイメージにつきにくいと思いますので、デモ動画でさらに理解を深めていきましょう。

Sales GPT でメールと議事録はもっと簡単に

この動画の中に登場した Einstein の生成AI機能は、以下の2つです。

Sales Email – 日本語対応

CRMデータをもとに対象顧客のコミュニケーション履歴や興味・関心に合わせたメールを、Einstein がワンクリックで自動作成します。

営業担当者の自己紹介や打ち合わせの日程を決め、フォローアップのための連絡も文面を毎回考えることなく数秒で完了します。この Sales Email 機能は「Microsoft Outlook」「Gmail」「LinkedIn」などの他社環境でも自動化できます。

Call Summaries – 日本語対応

この機能は、単なるミーティング音声の文字起こしにとどまりません。通話記録から、ミーティングの要点を簡潔にまとめてくれます。また、ミーティングの重要なポイントや顧客の感情分析、ミーティング後にとるべき次のステップを特定し、営業チームが商談をスムーズに進めるサポートをします。要点を編集してSlackやメールですぐにシェアすることで、部門を超えた案件の共有・連携が実現します。

どうでしょうか。「営業活動が圧倒的に楽になる」と少しは感じられたと思います。 

特に Salesforce の AI である Einstein が一般的な AI と異なる理由は、Einstein が学習するデータにも違いがあります。インターネット情報を学習したAIと、あなたの商談、顧客の行動、ミーティングの記録、アクションの結果を学習し理解している Einstein では、どちらがよりあなたのアシスタントとしてふさわしいか想像がつきますよね。

ここでご紹介した機能や利点はごく一部ですので、さらに他の Einstein 機能や Sales Cloud について知りたい方は、ぜひ「 Trailhead」 に挑戦してみてください。より理解が深まり、みなさんのAI、Einsteinの理解が進むと思います。

Einstein はカスタマーサービスにどう役立つの?

顧客を理解したアシスタントを望んでいるのは、営業担当者だけではないでしょう。お客様と接点が多いカスタマーサービス担当者の方々もきっとそう思っていると思います。

カスタマーサービスに従事するオペレーターは、いかに短い時間でお客様からの問い合わせ内容を解決し、いかに顧客満足度を向上させるかに日々取り組んでいると思います。

一方で、問い合わせ対応でナレッジを検索したり、応対記録を作成したり、また顧客の状況に合わせて提案する製品を考えたり学んだりすることに多くの時間を使っていると思います。
では、こうした業務や思考を Einstein はどのように支援できるのか、カスタマーサービスを支援する機能群「 Service AI」の デモで理解を深めていきましょう。

Service GPT でナレッジ化も提案も生成AIで

この動画で登場している AI 機能は以下の4つです。

Service Replies – 日本語対応

Einstein Service Replies (Einstein 返信) は、リアルタイムで顧客との会話データを分析し、蓄積してきた自社のナレッジベースから最適な返信を生成します。カスタマーサービス担当者は、これらの返信をワンクリックで共有または編集して送信できます。

Next Best Action – 日本語対応

顧客データや会話データに基づいて、 Einstein が最適なアクションを提案し、サービス担当者をナビゲートします。生成された予測や推奨内容を調整し、例えば修理、割引、アドオンサービスといったカテゴリーで提案を管理することもできます。

Work Summaries – 日本語対応

会話終了後、Einsteinが問題と解決策の概要を自動生成、オペレーターの業務時間を短縮します。サービス担当者が生成された概要を確認・編集・保存することもできるので、自社のナレッジベースを素早く充実させることができます。

Knowledge Articles – 日本語対応

顧客とのやり取りを要約し、役に立つナレッジ記事を作成することができます。製品詳細から顧客からのよくある質問にいたるまで、幅広いテーマの記事を活用してナレッジベースを構築します。

いかがでしょうか。的確なコミュニケーションと短時間での対応に日々向き合い、顧客満足度の向上と売上アップに挑んでいるカスタマーサービス。顧客を理解し、オペレーター業務の初心者であってもナレッジを自動で提案してくれる Einstein は、強いカスタマーサービスチームを目指す組織において、強力なアシスタントになってくれます。

Service Cloud についてさらに詳しく知りたい場合は、こちらも Trailheadを用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。

Einstein は ChatGPT と何が違うの?

ここまで営業やカスタマーサポート活動でのEinsteinの強みを紹介してきました。ただ、読者のみなさんの中には、「でも、これって 『ChatGPT』 でも同じことができるんじゃないか」と思う人もいるでしょう。

とても重要なポイントです。Einstein と ChatGPT の一番の違いを一言で表すと「より良いAIにはより良いデータが必要」という観点です。

まずは Einstein と ChatGPT では、実際のビジネス業務において何が異なるのかを、動画でみてみましょう。

ChatGPT と Einstein は何が違う?

どうでしょうか。「ビジネス業務に使えるかどうか」の観点で大きく以下の点が異なっています。

  • インターネットのデータ vs あなたの顧客データ
    • ChatGPTのデータは、最新ではないことがある。
    • Einstein はあなたの企業で利用するリアルな顧客データに基づく。
  • グラウンディングの難易度や正確性の違い
    • ChatGPTでは、顧客を理解した生成結果をえるために、数多くの文脈を自分でグラウンディングさせる必要がある。
    • Einstein は CRM の顧客データを利用するので、一度グラウンディングのためのプロンプトテンプレートをカスタマイズすれば、常に最新の CRM から結果を生成できる。
  • 顧客データ取り扱いに関する信頼性の違い
    • ChatGPTは外部サービスであるため、上述の文脈情報をプロンプトに含めることで意図せずとも顧客データを外部へ送信している状態になる。
    • Einstein は CRM に含まれる個人情報等をマスキングする 「Einstein Trust Layer 」が介在し、CRMの外部に顧客データを共有しない。

これらは決して、ChatGPTとの優劣を示すものではありません。信頼性が高く取り扱う必要がある顧客データを営業やカスタマーサービス業務に使える形に最適化しているのが Einstein であるということです。

「Einstein Trust Layer」を介在させることで、外部の大規模言語モデルを利用することもできるため、自社のユースケースに応じて Open AIなど を組み合わせていくことも可能です。

Salesforce の AI とデータに対する基本指針とは?

Salesforce は、組織としてのコアバリューとして5つの項目を掲げていますが、その中でも何よりも最重要項目としているのが「信頼(Trust)」です。

この企業方針は、AI利用及びその開発方針においても設定されています。Einstein や外部の大規模言語モデルを利用する場合であっても、顧客データの安全性を守るという両立を目指して生み出されたのが 「Einstein Trust Layer」 です。

2023年11月に開催された 「World Tour Tokyo」 で解説された内容を立教大学ビジネススクール田中道昭教授の分析でも解説いただいています。

田中教授が分析。「Salesforceが生成AIでアップデートする世界」とは

2023年11月28-29日に開催した「Salesforce World Tour Tokyo 2023」。初日の基調講演には、6年ぶりに会場を訪れた会長兼CEOのマーク・ベニオフが登壇した。 生成AIでビジネスが大きく変わろうとしている今、何を語ったのか。基調講演の主な内容をレポートするとともに、立教大学ビジネススクールの田中道昭教授にこのセッションを分析してもらった。

また、原則としてSalesforce は CRM テクノロジーの提供を行う組織であり、お客様のデータを商品として扱うことはありません。また、責任あるAIの開発手法に関してもガイドラインを設けています。

責任ある生成AI開発のための5つのガイドライン

生成AIの活用が各方面で進むと同時に、生成AIの開発や利用に伴う責任・生成AIの倫理性について議論されるようになりました。AI搭載型No.1CRMを提供するSalesforceが、生成AI開発に対してどのようなガイドラインを設け、運用しているのかについて、Salesforceの専門家が詳しく解説。

「Einstein Trust Layer」 がどのようにしてグラウンディングとデータの信頼性を確保しているのか、詳細な技術的ユースケースで理解したい方は Trailhead で解説していますので、詳細を理解されたい方はぜひ取り組んでみてください。

もっと Einstein のことを知りたい

今回、具体的なEinsteinの利点は営業とカスタマーサービスに焦点を当てましたが、それ以外の業務や職種でもEinsteinは効果を発揮します。

例えば、マーケティングでは顧客セグメンテーションの自動生成や、ワークフローの自動化、LWC生成、データ分析をプロンプトベースで行うことができるなど、様々なテクノロジーを提供しています。
「でも、ちょっと自分たちで実装する自信がない」と感じている方でも 、Salesforce ではカスタマーサクセス部門から「AI Coach」という支援サービスが提供されているので、自社においてどこから AI 実装を進めていくべきなのか、数々のプロジェクト支援を行ってきたチームがあなたの AI 戦略の成功をお手伝いできます。

AI導入・実装の壁を突破する3つのポイント

AIで成果を出すにはどうすればいいか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事ではAIを活用の鍵をわかりやすく解説するとともに、効果的なAI活用法でSalesforceがお客様を成功へと導く新サービス「AI Coach」を紹介します。

「いや、製品を購入したいわけじゃない、深く研究領域へ進んでいきたい」と言う方もいるかもしれません。Salesforce では Einstein の基礎AI技術を使って、化学配列を言語パターンへ置き換えて新たな人工タンパク質を生成したり、画像データからホオジロザメの生息範囲分析をしたり、税制シミュレーションなども行っています。
現時点では AI Research は英語情報しか提供していませんが、研究内容にまで踏み込みたい方は Salesforce AI Research の Blog も探索してみてください。

今すぐ、AIをビジネスに活用しましょう

Einsteinがビジネスにどのように貢献できるかをより詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。専門担当者がお答えします。

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