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Trailblazerから学ぶVol.8 新人でもアポ率10倍を実現した”Koaユーザー”マックスヒルズのヒストリー

Trailblazerから学ぶVol.8 新人でもアポ率10倍を実現した”Koaユーザー”マックスヒルズのヒストリー

企業のデジタルトランスフォーメーションを支え、革新に挑戦し続けている「Trailblazer(先駆者)」​。このシリーズでは、​そんなTrailblazerたちがどのような成果を上げているのか、そしてその成果に至るまでにいかなるチャレンジを進めてきたのかを紹介し​​ます。今回ご紹介するのはIMJさまです。

企業のデジタルトランスフォーメーションを支え、革新に挑戦し続けている「Trailblazer(トレイルブレイザー:先駆者)」。彼らの取り組みは、他の企業でも参考になる示唆に溢れているはずです。そこでこのシリーズでは、先駆者たちがどのような成果を上げているのか、そしてその成果に至るまでにいかなるチャレンジを進めてきたのかを紹介します。

過去の連載はこちら Trailblazerから学ぶシリーズ

ニッチ戦略で存在感を示す広告代理店がSalesforce逐次導入で好循環を生み出す!

ITを活用して営業活動の再現性を高めることは、特にリソースの限られている中堅中小企業にとって、成果を最大化し得るきわめて有効な施策であるといえます。Sales Cloud Einsteinを活用してまさにそうした営業の“型”の実現を目指し、大きな成果を上げているのが、株式会社マックスヒルズ(大阪府大阪市)です。のみならず同社は、成長の過程で幾度か迎えた重要な局面において、Salesforceの各種製品を積極的に導入・活用することで、企業として一歩、また一歩とステップアップし続けています。そしてSalesforceの導入から10年を超える“Customer Koa Club”のうちの一社でもあります。

同社は2006年にSales Cloud、続いてPardotEinstein Analytics、Sales Cloud Einstein、QuipService Cloudの順に導入を進めてきました。同社第一カンパニー・カンパニー長の廣見剛利氏が、「新たなツールを導入するつどさまざまな効果が現れるという好循環が生まれています。小さな改善を繰り返し、10年間Salesforceとともに成長してきました」と語るその取り組みは、多くの企業にとって手本とすべき事例であるといえるでしょう。

同社は、商圏半径5km以内の地域密着型店舗を主な顧客層として活動する広告代理店です。中でも得意とするのが、スポーツクラブの販売促進活動。同業界の事情に精通するスペシャリストが、Webやテレビ、チラシなどの各種媒体を駆使して地元に対する顧客企業の露出度を高め、集客を支援しています。

また2016年には、SNSを利用してクチコミ・紹介からの集客を促進するアプリ「クチコプレミアム」を開発。クチコミから成約に至るプロセスを可視化することで、低コストな紹介キャンペーンの実施を可能にしました。「広告費以上の集客効果」をモットーに掲げ、同社がこれまでに手がけたスポーツクラブの数は累計1,000店舗以上。地域別のシェアは、本社のある大阪で38%、東京でも18%に達しています。

Sales Cloudで生産性2倍、研修期間6分の1
見込みのお客様・問い合わせ10倍増を実現したPardot

そんな同社がSales Cloudを導入した当初の目的は、営業に関する個人の知識やノウハウなどの“暗黙知”を“形式知”に変換して共有・活用する、いわゆるナレッジマネジメントを実現することだったといいます。

同社はまず、当時バラバラに管理されていたお客様の情報や行動履歴など、営業に関する全データをSales Cloudに入力するところから業務改善に着手します。その結果、適切な行動管理にもとづく営業活動が可能になり、社員1人当たりの生産性が一気に2倍に向上したそうです。また、新人でもSales Cloud内の過去の成果物などを見て短期間で営業ノウハウを学べるようになり、研修期間が従来の6分の1に短縮されたのも大きな成果といえるでしょう。

その時点でナレッジマネジメントの実現という当初の目標を達成したわけですが、そこで満足しないのが廣見氏のTrailblazerたるゆえんです。社内の情報を共有するだけでは、いつか限界に達して成長が頭打ちになる。会社として次のステージへ進むためには、見込みのお客様を発掘・育成して増やしていくマネジメントが絶対に必要になる。廣見氏は会社の将来を見据え、そう確信したそうです。

そこで同社は2015年、マーケティングオートメーションツールPardotを導入します。見込みのお客様ごとにカスタマイズしたメールの配信や、Web上での見込みのお客様の動向のリアルタイムな把握、またそれにもとづく最適なタイミングでの営業活動など、マーケティングの自動化と効率化を進めていったのです。

廣見氏の見立てたとおり、その効果は絶大でした。見込みのお客様の数は一気に10倍以上に増加。問い合わせを受けてお客様を訪問した件数も、年間20件程度から、2016年に185件、2017年には214件と10倍以上に跳ね上がったといいます。

Einsteinで営業の“型”の確立目指す
新人でもアポ率10倍、新規アポ数20倍に!

Sales Cloud、Pardotの連続導入で大きな成果を手にしながらも、同社は成長の階段をさらに一段上るため、2017年、Sales Cloud Einsteinの導入を決断します。AIというのは、データ整備が必須であるという性質上、本来なら稼働までに時間のかかるものです。その点同社には、すでにSales CloudとPardotで蓄積したデータベースがありました。ゆえにSales Cloud Einsteinは必然の流れだった、と同社マーケティング最高責任者CMOの三宅毅氏はいいます。

「Sales CloudとPardotを使ってせっかく見込みのお客様やお問い合わせが急増したのに、人手が全然足りなくて結局アプローチできず、放置してしまうことが多々ありました。弊社のような中小企業は、どうしても目の前の売上を上げることばかりにとらわれがち。いわゆる再現性のある営業の“型”のようなものを作る余裕がないわけです。AIに任せられるところは任せて、それに合わせて組織も変えていくことで、会社としての“型”を確立すべき段階に入ったと考えたのです」(三宅氏)

社内に蓄積されているビッグデータをもとに、どんな見込みのお客様が訪問や商談につながりやすいかをAIで判断するというのが、同社におけるSales Cloud Einsteinの基本的な使い方です。まず、見込みのお客様の流入経路や抱えている課題などの要素と、取り引き開始との相関関係から、プラス要素とマイナス要素を割り出します。次に、そのデータにもとづいて、見込みのお客様ごとに商談につながる可能性をスコアリングしてリスト化します。特にスコアの高い要素については、予算配分を増やすなどしてマーケティングに力を入れます。たとえば、紹介キャンペーンから流入した見込みのお客様の商談化率が高いと判明した場合には、それに見合った内容のブログコンテンツを増やしたりするわけです。

ここで重要なのは、単にAIツールを導入するだけでなく、同時に組織改革を行なったことでしょう。リスト化した見込みのお客様に対してアポ取得の電話をかけるため、インサイドセールス部門を新設し、1998年設立の同社史上初めて、新卒社員を2名採用して配置したのです。Sales Cloud Einsteinによる見込みのお客様の精査と並行して、組織・マーケティング改革を行なった結果は、営業経験の長い廣見氏をもうならせるものでした。

「ベテラン社員が経験にもとづいて可能性の高そうな見込みのお客様に電話をかけて、アポ率はやっと1%程度。それに対して、Sales Cloud Einsteinのスコアリングをもとに電話をかける新人のアポ率が10%以上。月間2件程度だった新規アポ数は、多いときで月間40件に達します。これほど変わるものかと驚きました」(廣見氏)

Einsteinで見えてきた経営のヒント
商談スコアにもとづく営業改革進行中

Sales Cloud Einsteinを使い始めて、営業・マーケティングの方針を定める上で有益な多くの発見があった、と廣見氏はいいます。

「自然検索で流入してくるお客様や特定の業種のお客様のアポ率や商談化率が高いというのは感覚的にわかっていました。ただ、それがスコアという形で可視化されたことが大きい。予算配分などの経営判断を自信を持って下せるようになるからです。また、新規出店のお客様とのお取り引きがもっとも利益が上がる、といった発見があると、当然、そのデータを活かそうと営業担当者のモチベーションが高まり、より積極的にSalesforceへデータを入力してくれるようになります。Sales Cloud Einsteinを核とするマネジメントによって、社内にそういう好循環が生まれているのです」(廣見氏)

さらに同社では、商談のスコアリングによる営業改革にも取り組み始めています。

「精度はまだまだですが、商談に関して営業担当者の報告してきた内容と、Sales Cloud Einsteinの商談スコアとを比較するなどして、成約率向上につなげようとしています。たとえば、『報告書では商談のフェーズはまだ第1段階だけど、実は商談スコアは結構上がっている。これはなぜなのか?』とか、『自分は毎月これだけの商談を後倒しさせていて、20日以降のロスト(失注)の多い傾向が出ているから、活動履歴を一度振り返ってみよう』とか、営業担当者自身に考えさせる。そうしたことによって、再現性のある営業の“型”を確立できると期待しています」(三宅氏)

TrailblazerとSalesforceを両輪に成長の階段を駆け上がる!

このように同社は、Salesforce各種製品を次々に導入し、主に新規のお客様を開拓する領域で大きな成果を上げてきました。ただ、その歩みはまだまだ止まりません。2018年10月には新たにService Cloudを導入し、既存のお客様へのサポートの強化にも力を注いでいます。また、お客様とライブチャットでリアルタイムに対話できるService Cloud のLive Agentを利用し、これまでに培ったSalesforce活用のノウハウ自体を他社に提供するようなサービスの開始も検討中だということです。

「最近、Salesforceに関する弊社の取り組みそのものについてのお問い合わせが増えてきました。弊社は、いわば“プチ・セールスフォース・ドットコム”になることを目指している部分があるので、その仕組みをカスタマーサクセスのような形で他社の方にもどんどん紹介していきたい。その際、Service Cloudは非常に相性のいいツールとして使えると思います」(廣見氏)

Salesforceによって次々に大きな成果を上げながらも、立ち止まることなく歩んできた同社。今後も廣見・三宅両氏というTrailblazerを中心に、Salesforceを駆使して成長の階段を駆け上がっていくことでしょう。

マックスヒルズの取り組みについてはこちから更に詳しく確認いただけます。

マックスヒルズも活用している、Saleforceの人工知能である“Einstein”。AIの予測をビジネスに活かすポイントについては、以下よりダウンロードしてご活用ください。

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