小売業者にとって、商品の返品は非常にやっかいなものです。このレポート(英語)によると、小売業界全体の平均として、10 億ドルの売上高に対して 1 億 600 万ドルの返品が発生しているとのことです。2021 年のサイバーウィーク期間中だけでも、全世界のオンラインショッピングの売上高は 2,750 億ドルに達しました。先ほどの返品率を当てはめると、わずか 1 週間で 290 億ドルの返品が発生することになります。
各企業は損失額を減らすためにさまざまな戦略を採用していますが、通常は、ホリデーシーズンの直後にそうした戦略が積極的に実施されます。また、品質管理を重視し、商品の正確な情報の発信に努めている企業もあります。あるいは、お客様からのフィードバックをビジネスに活用するための仕組みを構築している企業もあります。いずれの企業も、可能な限りセルフサービス方式による返品を実施しています。
しかし、どうしてもサービス担当者が介入しなければならないケースもあります。その場合、カスタマーサービス担当者向けの適切なツールを導入することが、スムーズな返品を行うためのポイントになります。ここでは、返品をスムーズに行うためのシームレスなエクスペリエンスを実現するためには何が必要になるかについて説明します。
コラボレーションで返品を迅速に処理
商品を返品する際に店頭でずっと待たされて、イライラしながら「あのスタッフは店の奥でいったい何をしているのだろう」と考えた経験はだれにでもあるでしょう。店の奥に引っ込んだスタッフは、別のチームスタッフの承認を得ようとあちこち走り回ったり、お客様に代わってメーカーに問い合わせたり、データを追跡して注文内容を詳しく調べたりしているのかもしれません。
Slack のようなコラボレーションツールを使用すれば、カスタマーサービス担当者だけでなくお客様にとっても、返品プロセスが非常にスムーズで簡単なものになります。こうしたツールを導入すれば、各チームのプラットフォームごとに情報がサイロ化されることがなくなるため、すべてのサービス担当者が必要な情報にすぐにアクセスできるようになります。異なるシステムを統合することにより、カスタマーサービス担当者の対応時間を短縮し、ツールを使用しながらシームレスに返品を処理することができます。
コラボレーションツールのテクノロジーを活用することにより、返品に関連するメッセージ、ファイル、チャネル、スタッフを高度な方法で表示することができます。カスタマーサービス担当者がこうしたコラボレーションツールを使用すれば、単なる仲介者ではなく、お客様の返品にスムーズに対応する信頼できるガイドになることができます。
それぞれのお客様をさまざまな角度から把握
お客様は、「この担当者は自分の話をしっかりと聞いてくれている」と感じたいのです。返品の場合は、特にそうです。スムーズに返品を処理するためには、お客様の全体像を把握することが重要になります。各チームが単一の情報源にもとづいて作業を行うことにより、シームレスなやり取りを行いながら迅速にサービスを提供できるようになります。お客様も、「自分のことが理解されている」と感じることができます。しかし、54% のお客様が、「セールス担当者、サービス担当者、マーケティング担当者の間で情報が共有されていないように感じる」と回答しています。
これを変えるためには、カスタマージャーニー全体を一目で確認できる、カスタマーサービス担当者用のプラットフォームとコンソールを導入する必要があります。これにより、返品プロセスの全体像を把握し、お客様とのやり取りをスムーズに進めることができます。お客様のチャット履歴、アカウント情報、注文情報がすべて 1 つのダッシュボードに表示されるため、クロスセルにつながる新しい販売機会や、返品を次の販売につなげる方法などが見つかる可能性が高くなります。
返品レポートを活用して行動を起こす
返品レポートは、小売業者にとって非常に価値の高いツールです。返品が多い商品や不満を持つお客様について詳しく分析することができます。有益なフィードバックループを構築するには、返品レポートをシームレスに処理することが重要になります。返品レポートの実用的な情報を活用すれば、返品率を下げることができます。返品された各商品には、カスタマイズ可能な「理由コード」が設定されているため、時系列で返品パターンを追跡することができます。
その結果、お客様の返品理由を理解した上で、具体的な問題に対処するためのロードマップを作成できるようになります。ある商品の返品率が他の商品に比べて非常に高いことがわかった場合、その商品の理由コードを使用して、その商品のサプライヤーに連絡するかどうか、ワークフローを調整するかどうか、その商品を別の方法で販売するかどうかなどを判断することができます。
これは、高額な商品(特に、かさばる商品や、返品にコストがかかる商品)の場合に特に重要になります。たとえば、スマート家電を販売する企業における返品について考えてみましょう。「取り付けが難しい」というのが返品の主な理由である場合、この商品についてセルフサービス方式による返品を無効にします。これで、カスタマーサービス担当者が介入できるようになります。カスタマーサービス担当者は、その商品の取付方法をお客様に説明することにより、カスタマーエクスペリエンスを向上させることができます。
カスタマーサービス担当者用のツールを導入してブランドロイヤリティを高める
ある調査によると、買い物客の約76%(英語)が、「返品にスムーズに対応してくれた小売店でまた買い物をしたい」と回答しています。カスタマーサービス担当者用の適切なツールを導入すれば、スムーズな返品プロセスが実現します。その結果、コストが削減されるだけでなく、ブランドロイヤリティとお客様からの信頼度が高まります。
Lauren Wallace
Lauren Wallaceは、Commerce Cloud担当の編集責任者です。多くの業界のB2CおよびB2B企業向けに記事を執筆しており、直近ではサイバーセキュリティやヘルスケアについて論じています。コマース関連の執筆活動以外では、サンディエゴ周辺でランニングやサイクリングを楽しんでいます。