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知っておきたい、2024年公共機関向け5つのテクノロジートレンド

A businesswoman using government technology on a digital device.
住民とのより良いつながり、職員の生産性の向上、そしてコスト削減を支援する公共機関向けテクノロジーが求められています

Salesforceの業界エキスパートが、今後12か月間の公共機関の展望を紹介します。

世界的にも地域的にも、テクノロジーが生活や行政のあり方を変え続けています。住民は公共機関とやり取りする際に、民間企業と同じようなサービスが提供されることを求めています。Salesforceの『Connected Government Report(コネクテッドガバメントレポート)』では、世界中の数万人を対象に、住民が公共機関に何を期待しているか調査を行いました。その結果、87%が「素晴らしい」デジタル体験があれば信頼度が高まると回答しました。

近年、公共機関は民間企業と遜色ないサービスを提供するために、モダナイズに取り組んでいます。2025年までに75%の公共機関が、大規模クラウドサービスベンダー(英語)を利用して半数以上の業務を運用すると、Gartner社は予測しています。しかし、課題はまだ数多くあります。そこで、未来に向けて注目すべきトレンドついて、業界エキスパートが展望を紹介します。

この記事では、新たな持続可能性の実践や高いセキュリティ基準から、AI革命によって拍車がかかった包括的な規制措置まで、公共機関のミッションを成功に導くトレンドをまとめています。

公共機関のデジタルサービスの未来を築くトレンド

公共機関のテクノロジーが住民とのやり取りにどのような影響を与えるかについて、世界中の3万5,000人の回答者からの意見をご確認ください。

1. サイバーセキュリティは引き続き最優先事項

トレンドが進化しても、サイバーセキュリティが最優先事項であることに変わりありません。公共機関は、セキュリティを強化し、サイバー脅威に対する強靭な保護を確保するために、サイロを打破しようとしています。 この展開をサポートするためには、データ・セキュリティと高度に準拠した運用基準が非常に重要です。

公共機関は、さらに包括的なサイバーセキュリティ戦略を採用しています。その代表例となるのが、ニューヨーク、コロラド、アリゾナなど、米国全土に急速に普及している「州全体」(英語)アプローチです。サイバー脆弱性に陥りやすい小規模な公共機関は、他の行政機関と協力してリソースをプールすることで、防衛対策を拡げています。

欧州連合サイバーセキュリティ機関(英語)のような組織でも、同様の取り組みが行われています。同機関は、EU加盟国間の国境を越えた安全保障課題で、国内の連携を支援することが目的です。

CISAのゼロトラストモデルや、防衛委託業者向けのサイバーセキュリティ成熟度モデル認証など、ここ数年の間に業界全体で義務付けられた事項については、コンプライアンス遵守の期限が設けられています。また、コンプライアンス要件は、間違いなく厳しくなる一方です。今日の公共機関は、規制の進化に合わせて各省庁の業務をサポートするように設計された、柔軟でセキュアなテクノロジー・プラットフォームを採用、あるいは活用していくべきです。

2. 公共機関向けテクノロジーを活用して、一歩先を行く対応を可能に

最善な意思決定を支援する機能を活用することで、行政機関は能動的な住民サービスを提供できるようになります。

公共機関、システム、地域間のデータをつなぐことで、AIは、より正確な早期警告システムの実装や、効果的な対応策の採用を促し、データ主導型の意思決定による俊敏性を向上させます。その結果、よりスマートな行政運営、有効な規制の見直し、動的な緊急対応、適切な住民とのやり取りが実現します。AIは、業務をモダナイズし住民体験の変革を行うために欠かせない存在になっています。

今年、公共機関のAIとデータ分析への投資の60%近くが、リアルタイムの業務意思決定と成果に直接影響を与えると予想されています。これは、予測分析などのデータ主導の洞察を業務の合理化や意思決定にすでに活用している公共機関にとって、大きな変化を意味します。

すべては、接続された安全なデータから始まります。AIを効果的に機能させるためには、その原動力となるデータが、包括的で適切なデータ戦略のもとで整備されていなければなりません。

AI主導の未来への準備は、データ最新化計画の優先順位づけから始まります。データの最新化の行程は、以下の3つの基本的なステップ(英語)から始めます。

  1. データの最新化戦略(英語)を策定し、幅広いソースの中からサービスプラットフォームを最大限に活用できる有用なデータはどれか特定する
  2. チャネル間でデータを結びつけ、標準化し、統合(英語)する
  3. 日常のワークフローにAIと自動化を組み込み、職員の働き方を変革し、住民にとって有益な体験を提供する

3. 公共機関のリーダーたちに浸透しつつあるAIガバナンス

世界に大きな影響力と可能性を秘めたテクノロジーを、どのくらい信頼できるのしょうか?新しく先進的な技術革新にはつきものですが、政府は、AIの使用とリスクが拡大するにつれて、この急速に成長するテクノロジーが倫理的、安全かつ信頼できる方法で使用されることを保証するための措置を講じています。

米国では、大統領府が人工知能の安全・安心・信頼できる開発と利用に関する大統領令(EO)(英語)を発令しました。この大統領令は、AIの安全、セキュリティ、特に米国国民のプライバシー保護に関する新たな基準を確立するためのものです。

このEOから2つの重要な成果物が生まれました。自動化システムの設計、使用、展開時の原則を示した「AI権利章典のための設計図」(英語)と、AIが個人、組織、社会に及ぼすリスクをより適切に管理するための「NIST AIリスク管理フレームワーク」(英語)です。

あらゆる公共機関がAIの旅を始めるのに必要な指針

世界中の政府が、AIのメリットを認識し、その恩恵を享受し始めています。公共機関が、AIとデジタル・トランスフォーメーションの旅をどのように始め、成果をあげているのかをご確認ください。

その直後、英国ではAI安全サミット(英語)が開催され、20カ国以上の政府代表と業界のリーダーたちが、ブレッチリー宣言に署名しました。この宣言は、AIとその進化に関連するリスクを特定し、軽減するために協力することを約束するものです。。

Salesforceも同様に現在の課題を検証しています。国家AI諮問委員会(英語)の会員組織として、Salesforceは政府代表や同業他社とともに、国家人工知能イニシアチブに関する事項について、大統領への専門的な助言を行っています。

このリーダーシップに対する取り組みに続いて、Salesforceは、独自のAI Acceptable Use Policy(AI利用規定)を策定しました。これは、AIの責任ある使用と採用をまとめたものです。

優れた機関は、最新テクノロジーの使用を増やすだけでなく、より重要なこととして、社会のために責任を持ってテクノロジーを導入することを保証する取り組みを始めるでしょう。

4. あらゆる方法で業務を再定義している公共機関向けテクノロジー

ほんの数年の間に、仕事のリズムや企業文化からオフィススペースとして使用する場所に至るまで、業務のあらゆるものが変化しました。また、このテクノロジー主導の変化はあらゆる業界で感じられていますが、公共機関が特に顕著です。

業務量が増える中、公共機関はデータの力を戦略的資産として活用し、AIを活用して業務プロセスを合理化し、生産性を高めています。多くの機関がすでに、チャットボットやバーチャルアシスタントの幅広い活用に乗り出し、住民とサービスを素早くつなげ、事案の解決時間を短縮しています。

業務量は増える一方でリソースは減り、国会議員からの職員の説明責任(英語)についての要求が高まる中で、取るべき次のステップは、データ、AI、CRMをひとつにしたテクノロジープラットフォームを活用することです。

統合されたテクノロジープラットフォームにより、チームはより素早く、より機敏に業務をこなすことができます。より良いコラボレーションを促し、異なるソースのデータを統合させ、業務へ優れた洞察を提供します。Salesforceには、以下のような優れたツールがあります。

  • Slack:内外のチームが安全につながる手段を提供
  • MuleSoft:さまざまなソースからのデータを収集し、リアルタイムで更新
  • Tableau:強力なビジュアライゼーションで影響度を判断し、洞察に基づいて行動

このような連携ツールの幅広い採用により、生産性が向上し、次世代の職員がより大きな影響力を発揮するのに役立つでしょう。

5. 公共機関向けテクノロジーが、新たな持続可能性への取り組み推進

より持続可能で公平な未来を追求するため、世界中の公共機関や関連業界がクラウドに着目している。クラウドは、環境保護、資源管理、多様性を尊重する社会のための拡張性高いソリューションを提供し、持続可能性と公平性を促進するイニシアチブの基盤になりつつあります。

クラウドテクノロジーの導入により、公共機関は、環境に配慮した、公平な世界への進歩を加速することができます。しかし、世界的な取り組みなしに、大きな成果をあげることは困難です。欧州気候法(英語)では、欧州連合(EU)加盟国は、少なくとも2030年までに二酸化炭素の排出量を55%削減しなければなりません。

同様に、2023年の初めに、米国調達庁および米国情報最高責任者(CIO)協議会は、IT持続可能性ベストプラクティスガイド(英語)を発行しました。これは、2020年のエネルギー法と大統領令14057に対応したもので、持続可能なIT製品・サービスの購入、保守、利用のためのベストプラクティスを作成するよう各省庁に指示しています。。

持続可能性の管理は、実際には幅広い領域の管理を網羅しています。また、環境に配慮するという考え方は、とりわけリソースに限りのある公共機関にとって、非常にハードルの高い課題です。Net Zero Cloudのような、包括的な排出量の追跡プラットフォームにより、迅速に取り組みを始めるために必要な洞察力と、ニーズの変化に応じて拡張する柔軟性を提供することができます。

適切なテクノロジー投資を実施し、持続可能性ジャーニーを始めるためのいくつかのステップを以下にご紹介します。

  • すべてのESGデータ(英語)を1か所で接続し、信頼できる唯一の情報源を使って現在のサステナビリティ状況を分析する
  • 接続されたデータから得られる知見を活用し、既存リソースで最大のインパクトをもたらすことが可能な分野を判断する
  • 進捗を追跡・管理し、戦略に反映させる

私たちは共に、未来への持続可能な道のりを歩んでいます。「隣の芝が本当にもっと青くなる」そんな未来は可能なのです。

2024年に公共機関向けテクノロジーのモダナイズを実現

未来への一歩を踏み出すにあたり、これらのトレンドは、単に対応するだけでなく、積極的な政府テクノロジーへの道を開いてくれます。公共機関がもはや現状を維持する立場から、技術に支えられた明るい未来の設計者になれることを約束します。

信頼できるテクノロジーで未来を見据えた行政サービス

[ Salesforce 公共機関向けソリューション ]
デジタルの活用でどのように行政サービスの提供と住民からの信頼の向上を実現できるのか、動画でご紹介します。

※本記事は米国で公開された “5 Must-Know Government Technology Trends in 2024” の抄訳版です。本ポストの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。

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