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成功するEC戦略と最新イノベーション AIで劇的に進化するCRM

成功するEC戦略と最新イノベーション Vol.3 AIで劇的に進化するCRM

10月に開催された「Retail Connect Tokyo」の中から、カタログ通販とECサイトをメインとしてアメリカンカジュアル衣料を販売する日本ランズエンド株式会社のセッションを紹介します。

10月に開催された「Retail Connect Tokyo」の中から今回は、カタログ通販とECサイトをメインとしてアメリカンカジュアル衣料を販売する日本ランズエンド株式会社のセッションを紹介します。プレゼンターは、マーケティング部eコマースマネージャーの松園 崇氏。AIエンジン「Einstein」の活用事例と成果の挙がるメールマガジン配信のポイントなどが語られました。

EinsteinでCVRに結びつくリアルタイムパーソナライズを実現

松園氏は、効果を挙げているEinsteinの2つの機能を紹介しました。1つは、AIを使ったプロダクトレコメンデーションです。Einsteinを使うことでリアルタイムパーソナライズが可能になりました。「さらに良いのは、Salesforceの場合、このプロダクトレコメンデーションは標準機能。つまり、無料なんです。皆さんも必ず何らかのレコメンデーションを活用されていると思いますが、既存のものは必ずコストがかかります。無料で使えるということは、かなりのコスト削減になります」。

もう1つは、プレディレクティブソート。AIを使って、パーソナライズされたカテゴリーページと検索結果ページを表示する仕組みですが、この機能を日本で初めて導入したのは、実はランズエンドです。現在、さまざまなテストを繰り返しながら、より効率のよいソーティングルールを設定しています。

通常のおすすめ商品の表示ページは、これまでもABテストを実施して、たとえば「7日以内に売れたもっとも高額な商品」や「在庫が多い商品」など、さまざまな条件の掛け合わせで、反応の良かったものを上位表示に使っていました。ただ、その場合、どの顧客に対してもだいたい同じような商品の並び順になります。

スライドで紹介されたのは、「通常のおすすめ画面」と松園氏が実際に自社の衣料を購入した、本人のプレディクティブソートされた画面です。この画面の違いを見て、Einsteinの効果を実感したと松園氏は言います。「私は、過去にジャケットをかなりチェックしたこともあり、実際にドレスシャツもいくつか購入しました。その行為に関連した商品が上位表示されているからです」。

好みの商品だからコンバージョン率がアップする、それは当然のこと

こうした表示は、つまり検索結果がパーソナライズされているということです。たとえば、通常「ジャケット」で検索すると、レディースもメンズも両方が混ざって表示されます。もちろん、その結果に「メンズ」というフィルタリングをさらに掛けることもできますが、顧客の手間は増えます。さらに、それでも、それ以外のおすすめ条件の掛け合わせに従って表示されるため、完全にメンズ商品だけが残るわけでもありません。「果たしてそれが本当に顧客にとってベストの結果でしょうか?」と松園氏は疑問視します。

「プレディレクティブソートの場合、“ジャケット”と検索すると、検索者のこれまでのビューや購入の履歴から、それに合ったものが表示されます。つまりそれまで、メンズ商品ばかりチェックしたり、購入したりしていれば、自然とメンズ商品のみが表示されるのです。これは、かなり有効だと思います」。

さて、ではプレディレクティブソートを使用して、実際にはどんな効果があったのでしょうか。結果は、Basket Rate、Average Adds per Basket、コンバージョンの全てが改善され、特にコンバージョンレートで大きな成果を導くことができたと言います。

プレディレクティブソートの恩恵は、顧客にとっても企業にとっても大きい

松園氏が考えるプレディレクティブソートの恩恵は4つあります。「ECサイトでもリアル店舗と同様に商品を探す楽しさはあると思いますが、実際は時間が限られているケースが多い。たとえば通勤中や子育て中、空き時間にサイトをチェックします。そういったお客様に、好みの商品や買いたいものが上位表示されてすぐに見つかったり、自分の好きなものがたくさん出てきたりと、より楽しい顧客体験を提供できます」と松園氏。

また、企業側のメリットは、担当者の業務時間削減。ソーティングルールやABテストの設定は時間がかかりますが、AIの結果をベースに必要に応じてカスタマイズすれば、新たなソーティングルールの仮説検証時間の短縮になります。

「さらに、モバイルでの表示最適化。限られた小さな画面内に好みの商品が効率よく表示されれば、顧客も見やすく、クリック率やコンバージョンも上がってくるはずです。そして、補正もかけられるのが良いですね。AIを70%使い、在庫過多の商品や売りたい商品を表示するというルールを残りの30%に適用し、お客様の好みに合わせながら、こちらの売りたい商品も表示される。これも長所だと思います」。

メルマガ送信時間の最適化で、売上を最大化

「メルマガの送信時間を顧客ごとに変更し最適化することで、売上が最大化できる。これは確実です。実際に結果が出ています」と松園氏は断言します。

その方法は、まずセグメントごとに一斉配信を行いながら、半年もしくは1年、顧客ごとにオープン、クリック、コンバージョンのもっとも高い時間帯を分析。そして、顧客ごとに最適な時間帯を設定した上で一斉配信する。実際にランズエンドでは、テストを繰り返し実施した結果、現状オープン、クリック、コンバージョンすべてにおいてプラスの結果を導き、大幅な売上アップにつながりました。

「これは当然のこと」と松園氏。理由は、ライフスタイルによって行動パターンが違うからです。たとえば、平日の朝、通勤途中はサイトのチェックだけ、欲しいものがあれば夜帰宅してからデスクトップで購入することが考えられます。その一方で、昼食や午後の買い物の後などが絶好のショッピングのタイミングになる方がいるかもしれません。どの時間の、どの行動がコンバージョンに結びついたのかを分析して、ルール化して配信する。つまり、コンバージョンに寄与する行動を発見することが重要なのです。

追加料金なしで、最新のテクノロジーが利用できるSalesforce

松園氏は、最後に使っていて気づいたセールスフォースの良さは3つあると言います。年に数回システムのアップデートがあり、常に最新の技術やシステムが使えるけれど、これに関しては追加料金が不要であること。運営側からすれば売上ベースの料金体系であることも魅力。そして、3つ目がパーソナルトレーナーのように、二人三脚で支援してくれるカスタマーサクセスチームの存在です。

「Salesforceも売上ベースの料金体系なので、顧客企業の売上が上がらないと自分たちも利益が出ないという体制。また単にソリューションを提供するだけでなく、顧客支援のためのスペシャルチームであるカスタマーサクセスチームがいて、一緒になって売上向上のためのサポートや協力をしてくれます。これはかなり心強いですね」。

そして、最後に「私自身は、かなりAIに期待しています。そして世の中もAIがバズワードになるくらい注目しています。しかし、やはり結果がすべて。結果の出ない間違ったものを導入しても意味がないので、しっかり運用し成果が挙がるものを見極めるのが大事」とアドバイスをいただきました。

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