10連休の始まり、初夏を思わせる暑さとなった4月28日、「東京レインボープライド(TRP)2019」のパレードが東京代々木で開催されました。LGBTに関するイベントとしては、日本最大級。東京開催が25周年を迎えた今年、2日間行われたフェスティバルの来場者数は、予想をはるかに超える20万人を突破しました。
昨年もパレードに参加したSalesforceの社員でしたが、今年はなんと昨年の4倍となる約200名が参加。企業として初のイベント協賛も果たし、ブース出展を行ったのです。
胸にレインボー柄の雲をあしらった鮮やかなブルーのお揃いTシャツを着た社員たち。パレード出発前に200名が集う姿は、なかなかのインパクトです。通り過ぎる外国からの観光客も思わず足を止めて写真をパチリ。ひときわ存在感を放つレインボーTシャツの群衆の中には日本法人の代表を務める、小出の姿もありました。トップ自らが参加するイベント。Salesforceはなぜ、このイベントへの参加を重要視しているのでしょうか?
どうしてレインボープライドに参加をするのか?
Salesforceが創業時より掲げるコアバリューの一つが「平等」です。「国籍、文化、経験などと同様にジェンダーもまた多様性があって当たり前」と話すのは、パレードに参加した1人、常務執行役員の新井成幸です。
新井:現在、Salesforceには約1,500人の社員がいますが、さまざまなバックグラウンドを持っています。一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮する、また、尊重し合い新たな価値をつくりだすにはどうしたらよいかを考えると、多様な価値観を受け入れられる職場でなければなりません。これだけ変化の激しいビジネス環境ですから、自身の尺度にのみこだわる画一的なアウトプットでは、個人も企業ももはや成長していくことはできません。
私たちのコアバリューの中には、「カスタマーサクセス」というまた重要な価値観があります。実現のためには、多様な価値観を受け入れ、理解し、お互いの立場に立った上でのアウトプットを出していく必要があります。平等というコアバリューのもとに、社内でLGBTQを尊重することは、私たちの成長のエンジンとして欠かせないのです。
だからこそ、私自身、LGBTQに関する社内のコミュニティ「Outforce(アウトフォース)」のエグゼクティブスポンサーとしてバックアップを行っています。
日本で広がるOutforceの取り組み
「Outforce」は、8年前に米国本社で立ち上げられたLGBTQ社員と「Ally(アライ)」と呼ばれる支援者によるコミュニティグループです。「企業は社会を変える大きな原動力になる」という信念のもと、性的指向や性自認に対して平等な社会づくりを目指した活動を行っており、現在では世界中26か国のオフィスに広がっています。「今年のTRPの参加を通して、日本のOutforceへの理解も社員の中に広がってきた」と話すのは、Outforce Japanのリーダーを務める小川絢也と松本絢乃です。
小川:日本では2017年にOutforceを立ち上げ、現在はアライを含め350名ほどのメンバーがいます。昨年は基礎を固めていたようなところがありTRPのパレードにも有志の40名弱が参加するだけでしたが、今年は約200名と一気に参加者も増えています。
Salesforceでは今年、LGBTQだけでなく、男女平等であったり、サステナビリティであったり「平等」のコアバリューをもっと具現化しよう、メッセージしていこうというタイミングでした。そこで本イベントにも企業スポンサーとして正式に参加してもらいました。
どうしても日本ですと、LGBTQという言葉自体は認知していても、身近にはいないと感じている人が多いものです。そこで、Outforceの活動を通じて、僕のようにゲイとしてセクシャリティをオープンにしている者がパーソナルストーリーを語り、身近に感じてもらうのと同時に差別のない環境になるよう理解を求めてきました。社内的にも今回のイベントの参加を通じてポジティブな意味で変わってきました。LGBTQがなんなのか、Salesforceが何を目指しているのか理解が深まってきています。
松本:私もアライの1人としてOutforceの活動に参画していますが、ダイバーシティに対するSalesforceの取り組み、姿勢において社員一人ひとりの理解が促進されてきたと感じています。
私はアメリカで大学生活を送ったのですが、その時はLGBTQの友人がたくさんいました。ですが、日本に帰ってきた時にLGBTQへの理解が進んでいないことにショックを受けました。そこで、2017年から私もOutforceの活動を始めたのですが、ビジビリティは確実にあがってきています。
しかし、まだ地道な活動が必要だと思います。差別をするつもりがなくても、「見えない=いない」という無意識な差別やハラスメントになっているという場合も少なくありません。「みんな違ってそれでいい」、それがAcceptされ、一人一人が働きやすい職場環境を目指すためにも、理解促進のための地道な活動はまだ継続していく予定です。
小川:Outforceの活動には、「Ask」「Listen」「Speak up」「Show up」があります。今回のイベントなどはまさに「Show up」ですよね。これまでの活動の中で「Ask」「Listen」は大分提示できたかと思いますので、これからは「Speak up」、もっと外に向かって大きく声を上げていきたいです。
たとえば、間違った発言をしている人に対して、正しい注意ができる人を育てていくことが考えられます。社員はもちろんのこと、Salesforceにはお客様やパートナーを含めたオハナグループがありますので、内外ともに働きかけていくのが、Salesforceの役割、Outforceの役割だと感じています。
企業の主張ではなく、心に届く演出を
Salesforceブースでは、国境を越えて活躍するアーティストのスペシャルエキシビジョンが開催されました。イギリスやオランダの有名雑誌などから注目を集める花結い師のTAKAYA氏が数回にわたってライブパフォーマンスを披露。
Outforceに参画する方々をモデルに、髪に花を結い、人と花を結びそれぞれの美しさを表現するパフォーマンスは、まさに違いの美しさ、違いの誇らしさ、違いの力強さを来場者にアピールするものでした。
米国でOutforceを立ち上げ、世界中32地域で開催されるLGBTQイベントを回るGino Ramosもこのパフォーマンスには驚いたようです。
Gino:TAKAYA氏のパフォーマンスには感激しました。世界中をまわっても、ブース展示でこのようなパフォーマンスを見るのは初めてです。とてもユニークで、日本の展示として素晴らしい選択でした。LGBTQの平等への活動を「美」で人々へ大きく印象付けられたと思います。
日本のOuftorceはまだ始まったばかりです。当然、もっと進歩が必要でしょう。性的嗜好のオリエンテーションやアイデンティティについての教育や気付きが必要です。こうしたイベントに参加することは、私たちがLGBTQの人々となんら違わないという理解に役立つと思います。
日本はビジネスとプライベートを分ける文化が強いと感じていましたが、イベントではそれらが融合しているようですね。エネルギッシュだと感じています。また、今年は小出会長も参加しています。こうしたイベントでトップがリーダーシップを発揮してくれるのは、とても素晴らしいことだと思います。
SalesforceはあらゆるDNAを歓迎します
この日、パレードの列に加わった、代表取締役会長兼社長の小出は、次のように語りました。
「我々は、多様なDNAが加わってくれることを歓迎しています。常に成長を続けるSalesforceでは、国内事業の強化を目指し、今後5年間で最大2,000人の増員を打ち出しています。当然、その中では多様性を広げていくことも重要。互いを尊重し合い、信頼し合い、認め合う。そうした環境だからこそ優秀な人材が集まり、成長し続けられるのです。」
あらゆる人が平等な社会、職場づくりをめざすSalesforceでは、共に成長し、一緒にイノベーションを起こしてくれる仲間を募集しています。興味がある方はぜひ、こちらをご覧ください。