フィールドサービスの効率化に向けたアプローチ、「ディスパッチング」とは何か？

ディスパッチングとは、ディスパッチャーがフィールドサービス依頼に必要なリソースをスケジュール、管理、追跡できるようにするプロセスです。

当社の調査によると、消費者の72％がより迅速なサービスを提供する企業に最もロイヤリティがあると回答しています。これは、すべての顧客が適切なサービスを受けられるようにしなければならないディスパッチャーにとって大きなプレッシャーです。

ディスパッチャーの仕事は簡単ではありません。顧客体験とフィールドサービス管理の両方に深く関与するため、フィールドサービスの中で最も要求の厳しい仕事の一つです。彼らの仕事は多忙で、ペースが速く、ストレスがたまりやすいものです。

毎日問題が発生する可能性が大いにあります。ディスパッチャーは、さまざまな種類のアポイントメントを調整し、ひとつの仕事に対して複数の請負業者や専門家を探し、時には洪水など緊急事態の依頼を処理しなければならないこともあります。これらすべてを効率的に管理するのは大変なことです。

主要なディスパッチング機能を備えた適切なフィールドサービス管理ソフトウェアを使用することで、ディスパッチャーが楽になり、ストレスも軽減されます。

このソリューションは、自動化やAI、およびデータによってプロセス全体を合理化します。さらに、ディスパッチャーは、単一のディスパッチャーコンソールによって、現地作業者（従業員と請負業者）の可用性、スキル、近接性を完全に把握できます。

ディスパッチングの詳細と、フィールドサービス管理ソフトウェアの活用でプロセスを効率的かつ効果的にする方法を見ていきましょう。

ディスパッチングとは

ディスパッチングとは、さまざまな用途に対して、タイムリーで効率的かつ効果的なフィールドサービスを確実に提供するために、リソース（人員、工具、部品、機器、車両など）のスケジューリングやプランニング、トラッキングを行うプロセスです。これには修理や設置、メンテナンス、緊急対応、在宅医療、保険請求査定、配送などが含まれます。

家庭での破裂したパイプの修理から、企業用ソーラーパネルの設置、病院での超音波装置の予防メンテナンス、自然災害や公共施設の停電を支援するための技術者や緊急要員のルート変更まで、多岐にわたります。

依頼内容や業種業態に関係なく、ディスパッチングの目標はリソースを最大限に活用し、コストを最小限に抑え、顧客が必要とするときに、卓越したサービスを提供することです。これは、適切なフィールドサービス技術者を顧客につなぐことから始まります。

「適切」とは、割り当てられた現地作業者が適切なスキル、ツール、機器、車両、可用性など要件を備えており、顧客が迅速かつ完全なサービスを確実に受けられるようにすることを意味します。

ディスパッチングの重要性

サービス依頼を管理する際の方針が先着順だとしたらどうでしょう？あとから優先順位の高い依頼が来たとしても、フィールドサービス技術者全員が優先順位の低い仕事を処理することになってしまいます。

ディスパッチングは、次のような場合に役立ちます。

• 顧客のニーズとリソースの空き状況に基づいてサービス予約を優先順位付け
• フィールドサービス技術者の効率的なルートを特定、計画、実行 
• リアルタイムのイベントに基づいてスケジュール変更と現地作業者のルート変更
• オンタイムで充実したサービスを提供し、顧客満足度を向上
• 移動時間を減らし現地作業者の満足度を向上

フィールドサービスの成功は、できる限り迅速に作業をこなし、最大の効率性と顧客体験のためにチームを活用できるようにする、効果的なディスパッチングにかかっています。

ディスパッチングのメリット

効果的なディスパッチングは、業務パフォーマンスと顧客体験を向上させます。

• 業務効率の向上： 適切なリソースを割り当てることで、生産性が向上し、ダウンタイムが短縮され初回修理率が高まります。このプロセスは、より効果的なサービスの提供に役立ちます。
• コスト削減： ルートを最適化し、移動時間を最小限に抑え、アイドル時間を減らすことで、燃料費、残業代、その他の運営経費を節約できます。移動時間を短縮することで、フィールドサービスの持続可能性が向上します。
• 顧客満足度の向上： 応答時間の短縮や正確な到着時間、サービスの充実により、顧客満足度と顧客ロイヤルティが向上します。これは新たなビジネスチャンスにもつながります。

ディスパッチプロセスとは

ディスパッチプロセスは、最初のリクエスト受付から配送後のデータ分析まで、フィールドサービスのあらゆる側面に関わり、高い効率性とリソースの最大活用を目指します。ディスパッチャーは、すべてが円滑に進むように、変化・競合する優先順位のバランスを取る必要があります。

一般的なディスパッチプロセスには、次のようなものがあります。

• リクエストの受付と割り当て： ディスパッチプロセスは、顧客からのサービス要請から始まります。ディスパッチャーはまず、リクエストのタイプ、場所、特定の要件など必要なデータをすべて収集します。次に、フィールドサービス技術者の空き状況、スキル、距離、能力を調べ、最適なリソースを割り当て、迅速な対応を確保します。
• スケジューリングとルーティング： ディスパッチャーは、時間的制約、優先度、効率性などの要素を考慮して、割り当てられたリソースのスケジュールを作成します。また、交通パターン、距離、天候などの要素を考慮し、フィールドサービス技術者が最も効率的に通れるルートを決定します。
• コミュニケーションとモニタリング：フィールドサービス技術者が現場に向かっているとき、現場にいるとき、そして現場作業が終わったときにも重要な役割を果たします。

技術者とのコミュニケーションを行い続けることで、ディスパッチャーは重要な最新情報をリアルタイムで提供し、フィールドサービスのアポイントメントを支援できます。ディスパッチャーは、現場までの時間、初回解決率、顧客満足度などの主要なフィールドサービス指標をトラッキングし、パフォーマンスを改善し、効率を高め、ビジネスの利益向上に向けた方法を明らかにしていきます。

ディスパッチプロセスを正しく行うには、このように多くのステップと要素が必要です。ディスパッチング機能を備えたフィールドサービス管理ソフトウェアによって使いやすさ、効率性、有効性がどのように向上するのかを見ていきましょう。

フィールドサービス管理ソフトウェアがディスパッチングを改善する方法

適切なフィールドサービス管理ソフトウェアには、ディスパッチャー、顧客、そしてビジネスに利益をもたらす重要なディスパッチング機能が備わっています。このソリューションは、サービスリクエスト、リソース、スケジュールの割り当て、最適化、そして管理のプロセスを自動化および合理化することで機能します。

ディスパッチャーは、ディスパッチコンソールで現地作業者の状況をリアルタイムに把握し、自動化とAIを使用してスケジュールを最適化できます。これにより、顧客が必要とするときに適切な支援を提供することができます。生成AIにより、ディスパッチャーの効率をさらに支援します。

このソリューションは、変化するビジネスニーズに適応できるため増加するフィールドサービスの業務量にも効果的に対応できます。

実際の動作と、ディスパッチングの改善にどのような効果があるか見てみましょう。

• ディスパッチャーの生産性を向上： ディスパッチコンソールでリソースを簡単に管理できます。ディスパッチャーは、サービスリソースの不在リストを作成・更新し、空き状況とスキルに基づいて作業員を整理して、作業に最適な技術者を特定します。
• スケジューリングの自動化： ディスパッチングは、スキルセット、空き状況、作業内容、保証情報、作業経験、ロケーションデータ、サービスレベル契約などの入力によって成立します。ディスパッチャーは、これらのインプット、特定のビジネス目標、プロセスに基づいて自動化を行い、スケジュールを作成します。
• 生成AIによる効率性向上：ディスパッチャーは、一連の作業の中で、会話型AIアシスタントを使用しより多くのことを行うことができます。アシスタントに依頼するだけで、新規のアポイントメントを素早く見つけてスケジューリングしたり、サービス予定のサマリを作成したり、ナレッジベースの記事から回答を生成して顧客の質問を迅速に解決できます。
• 現地作業者の毎日のスケジュールを最適化： 毎日、ディスパッチャーが最適化プログラムを起動し、現地作業者や顧客からのリアルタイム情報とスケジュールを同期させます。その結果、移動時間、ダウンタイム、時間外労働を削減し、サービス提供と生産性を向上させる最適なスケジュールが作成されます。
• 意思決定の自動化： ディスパッチングは、ビジネスルールと最適化目標に合致したアクションで意思決定プロセスを自動化します。既存のガイドラインやパラメータと矛盾がある場合、ソフトウェアは矛盾を検出したことを示す警告を発行します。最終決定はディスパッチャーに委ねられます。
• 予測と計画： リアルタイムのデータにより、ディスパッチマネージャーは、全体もしくは当日の移動時間とリソース使用量の最適化の影響を迅速に評価することができます。スケジューリングポリシーを再定義するときには、最適化の結果とKPIの変更を即座に確認できます。
• 現場までの所用時間・現場間の所用時間を短縮： ディスパッチャーは変更に即座に対応できるため、遅延を減らし、サービスレベルを向上させることができます。ルート最適化により、予測分析で現実的なルートを構築できます。道順を考慮した複数パターンのルーティングは、正確なスケジューリングのために移動区間を細分化します。
• モバイル機能の有効化： フィールドサービス技術者は、現場のどこにいても、ディスパッチャーからスケジュール変更、作業ステータス、顧客情報などの最新情報を受け取ることができます。また、技術者は、自分のモバイルでアップデート内容を記録できるので、ディスパッチャーがそれに応じてスケジュール調整が可能です。さらに、経費の記録やタイムシートの提出などの面倒な作業は自動化によって処理されます。

ディスパッチング成功に向けて

ディスパッチングを適切に行うには、多くのことが必要です。しかし、主要なディスパッチング機能を備えた適切なフィールドサービス管理ソリューションは、プロセスをより簡単に、より効率的に、そして効果的にします。ディスパッチャーと顧客体験を向上させ、フィールドサービスの未来に向けて準備を整えることができます。

※本記事は米国で公開された “What Is Dispatch Management? Tips for Efficiency” の抄訳版です。本ポストの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。