※本ポストは2023年4月7日に米国で公開された“Generative CRM — Here’s What It’ll Mean For Your Business”の翻訳版です。本ポストの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
従業員にとっての価値
あなたは営業担当者として、新しい取引先を任されたばかりです。さっそく取引先の概要を調べ、最新の動向を把握し、連絡をとるべき担当者を特定し、ご挨拶のメールを書かなければなりません。さて、どのくらいの時間がかかるでしょうか。もし、顧客関係管理(CRM)プラットフォームが、すべてを数秒で片付けてくれるとしたら?あなたはメールに少し手を加えるだけで、すぐに送信できるのです。
- これを可能にするのが、ジェネレーティブCRMです。生成AIと顧客データを組み合わせることで、チームが効率よく仕事を進められるようにします。
- 「ジェネレーティブCRMは、いわば電動自転車です」と、SalesforceのチーフデジタルエバンジェリストであるVala Afsharは語ります。「すいすいと進む快適さを知ったあとに、汗だくになって普通の自転車をこぎたいとは思わないでしょう」
チームにとっての価値
生成AIは数年のうちにCRMをがらりと変え、あらゆる部門に影響を及ぼします。セールス、サービス、マーケティング、コマース、ITにいたるまで、生成AIで簡単に、すばやくコンテンツを作成できるようになるでしょう。
- サービスチームは、顧客一人ひとりに寄り添って問題を理解し、先回りして対応できるスマートなチャットボットを自動的に作成できます。
- マーケターは、正確で訴求力があり、SEO対策も万全な商品説明をすばやく作成できます。
生成AIが一大トレンドに
2022年11月にChatGPTが公開されて以来、生成AIは人々を大いに沸き立たせ、関心を集めています。生成AIは機械学習とアルゴリズムにより、テキスト、音声、画像、コードなどのコンテンツを作成します。
- Salesforceは先日、世界初のCRM向け生成AI、Einsteinをリリースしました。
目次
ジェネレーティブCRMとは
ジェネレーティブCRMは、生成AIのパワーと顧客データを組み合わせて、生産性と効率性を高めます。問い合わせに回答したり、会話のテキストやメールの文章を準備したりするほか、疾病対策や環境問題といった社会課題への取り組みを支援(英語)するなど、その用途は無限に広がっています。使う人が増えるほど、ジェネレーティブCRMはさらに賢く、速く進化していきます。
また、ジェネレーティブCRMに日々の煩雑な作業をまかせられれば、浮いた時間でより重要な仕事に専念できます。ジェネレーティブCRMは、インターネットから関連するデータを数秒で探し出せるため、その情報を使って顧客からの問い合わせに的確に回答できます。さらには、そのやり取りをもとにナレッジ記事を作ることもできるのです。
SalesforceのAIおよび機械学習担当シニアバイスプレジデント、Jayesh Govindarajanはこう述べています(英語)。
「考えを形にまとめるまでが、かなり楽になります。打ち合わせを6回行い、その内容をまとめて文書にする場合などに便利です。あるいは、複数の会話から、やり方を改善するためのアイデアを拾うといったこともできます」
AI用語虎の巻: ビジネスのための生成AI用語集
「ChatGPT の LLM ってハルシネーションや機械学習バイアスは大丈夫だっけ? 」
この一文を読んで意味が分からなかった方必見、生成AIに関係する用語まとめ集を作成しました!
増え続けるAI用語のキャッチアップにご活用ください。
ジェネレーティブCRMが生産性、効率性、顧客関係の改善に役立つ
私たちは、単調な仕事に日々多くの時間を費やしています。山ほどあるデータや調査結果に目を通す。新しいSNSマーケティングキャンペーンのアイデアを絞り出す。見込み客の心をつかむメールを何度も書き直す。ご立腹のお客様をなだめる言葉を必死に考える……業界や部門を問わず、こうした時間のかかる作業を効率化できる方法があるとしたら?
あらゆる業界に対応するCRMと生成AIのパワーを組み合わせたジェネレーティブCRMなら、この望みは叶います。しかも、そう遠くない未来に。
スピーディに価値を実現
AIはすでに私たちの身の回りにあり、SalesforceのEinsteinは、1日あたり2,000億件以上の予測を提供しています。文章を生成するChatGPT、画像を生成するDALL-Eなど、生成AI製品も登場し、多くの業界で仕事の効率化に役立っています。では、AIは、お客様との関係作りと管理にどのように適用され、ビジネスに貢献するのでしょうか?
「CRM向け生成AIの力は、スピーディに価値を実現できるところにあります」とAfsharは語ります。
生成AIは、インターネットにあふれている不要な情報をふるいにかけてくれるのです。投げかける質問が的確であれば、ジェネレーティブCRMは、ユーザーが求めている情報を十分に理解します。
雑務を逃れ、価値の高い仕事に集中
さて、あなたはいま、新しい有望顧客にアプローチしようとしています。時間をかけてデータを調べ、プレゼン資料を練ったものの、その間に内容が古びてしまいました。人脈や企業のWebサイトを駆使し、連絡すべき人物を探し当てたと思ったら、その人は2週間前に会社を辞めていたことが判明。こうして、新しい顧客との関係を築くために使いたい貴重な時間が、雑務に費やされていくのです。
「CRMで処理するタスクの多くはルーティンワークで、自動化されています。こうした作業を高速化できれば、すばやく行動を起こせますし、生産性も向上します。顧客との関係構築にもっと時間を使うことができるのです」と、Salesforce Futuresのシニアディレクター、David Berthyは述べています。
信頼できるAI
ジェネレーティブCRMに、セキュリティとプライバシーはきわめて重要(英語)です。長きにわたり、信頼できるAIの原則(英語)にもとづいて、生成AIに対する懸念に対処するガイドライン(英語)を順守していく必要があります。
生成AIモデルには、公開されているデータのみを利用するものもありますが、ジェネレーティブCRMは、セキュリティで保護された非公開の顧客データを基盤に、公開されているデータも取り入れています。ジェネレーティブCRMが、信頼性とビジネスへの効果を両立できる大きな理由はここにあります。
「ChatGPTなどのシステムは非常に強力ですが、公開されているデータソースを使うことを前提に開発されています。しかし、企業で使うシステムは、その企業内のデータを利用するものでなければなりません。Einsteinでは、公開されているデータと非公開の社内データを合わせて、信頼性の高い形で利用できるようにすることで、お客様にとっての付加価値を実現します」とGovindarajanは語ります。
AIについて気軽に学ぼう!6つの学習コースをご紹介
生成AIの登場は、たちまち人々の関心を集め、さまざまな用途が取りざたされています。Salesforceの無料オンライン学習プラットフォームであるTrailheadでAIについて学び、必要なスキルを習得するためのコンテンツを紹介します!
ジェネレーティブCRMで仕事が変わる
ジェネレーティブCRMは、実際の業務にどう役立つのでしょうか。いくつか例を見てみましょう。
サービス
ナレッジ記事の作成、問い合わせ対応時間の短縮、顧客からのフィードバックの分析、よくある質問への回答に、ジェネレーティブCRMを活用できます。たとえば顧客がチャットで問い合わせを送信すると、Einsteinが大量のWebページとデータを検索し、最適な回答の作成を支援。エージェントは回答を編集して、機械まかせではなく人が対応していることを示せます。
セールス
見込み客獲得、営業の傾向の予測、営業データの分析、パーソナライズされたやり取りを強力に支援します。たとえば、ジェネレーティブCRMを使ってある企業の最新情報を見つけ、最適な連絡先をターゲットとして特定。メールのドラフトを作成し、その企業や業界の最新情報と統計を用意して、商談に備えられます。
マーケティング
顧客の閲覧履歴と購入履歴にもとづいて、特定のオーディエンスをターゲットに、訴求力のあるクリエイティブでパーソナライズされた広告を作成できます。顧客の購買行動を予測するモデルの構築や、インフルエンサーキャンペーンの作成も可能。たとえば、テキサス州オースティンの人気のショッピングエリアに、シューズショップを新規に開店するとしましょう。ジェネレーティブCRMを使って、SNSでその地域を紹介するプロモーションを設計し、ユーザーの購入履歴やSNSへの投稿、コメントにもとづいて、来店する可能性が高い顧客にターゲットを絞ることができます。
「これが、データを活用し、リアルタイムでビジネスを支援する生成AIのパワーです。リアルタイムCRMが生成する分析をビジネスの指針とすれば、きっと成功をつかめるでしょう」とAfsharは述べています。
生成AIとクリエイティブの終焉
生成AIによりクリエイターの在り方が急速に変化していく近未来において、ブランドとクリエイティブはどう変容していくのか。ニューヨークを拠点に世界のクリエイティブシーンの最前線で活躍するレイ・イナモト氏からのインサイトを、経済キャスター瀧口友里奈氏によるインタビューでお届けします。
Ari Bendersky
寄稿者
Ari Bendersky氏は、シカゴを拠点とするライフスタイルジャーナリスト。New York Times、The Wall Street Journal、Men’s Journal、RollingStone.comなど、数多くの著名なメディアに寄稿しています。Ace HardwareからGrassroots Cannabisまで、幅広いジャンルのブランドで記事を執筆するほか、Salesforce 360 Blogにも積極的に寄稿。また、飲食業界についてパーソナリティと語り合うポッドキャスト「Overserved」の共同ホストでもあります。