実は、私はSalesforce認定資格を取ることに最初は乗り気ではありませんでした。その気持ちを抑え込み、時間と労力をつぎ込んだ今では、なぜもっと早く挑戦しなかったのかと思うばかりです。
結婚して間もない2013年の始め、英国への移住手続きを始めるために仕事を辞めました。しばらく父のところに身を寄せようと考えていた私に、父はこう言い放ちます。「数か月でも居候は許さん、仕事を探せ!」。その後すぐに、ロンドンの小さな代理店でモバイルアプリを開発する仕事を見つけ、たまたまSalesforceを使うことになりました。
各種ソフトウェアプラットフォームを使った経験と、これまでの知識を活かし、試行錯誤しながらSalesforceを少しずつ理解していきました。行き詰まったときには、オンラインのTrailblazer CommunityとSalesforce Developerフォーラムに助けられました。
結局そのプロジェクトに5年間かかわり、私はSalesforceのすべてを自力で学んだと思うようになりました。Platformデベロッパーの試験に合格したことで、いい気になっていたのです。
その自信は、次の職探しで砕け散りました。
絶対合格!Salesforce認定資格のプロが教える8つの攻略法
Salesforce認定資格試験を受ける予定だけど、ちょっと不安……。そんなあなたに、Salesforce認定資格を知り尽くしたプロが、自信をもって本番に臨めるようアドバイスします。
目次
経験がむしろ邪魔になることも
すべてわかっているつもりでした。しかし面接を受けるうちに、知識が全然足りないことに気づかされたのです。確かに、前の仕事で使った機能はよく知っていましたが、その知識は別の環境では通用しませんでした。
Salesforceは常に進化しているため、私が試してもいないうちに古くなってしまった機能もありました。当時の私の知識ではよくわからなかった質問に的外れな答えを返し、面接官の失笑を買ったことも。
何度も面接に臨んだ末に、なんとか内定を得ました。出された条件は、3つの認定資格を取ること。「まあ、そんなに難しいものでもないだろう」。そのときは、そう思っていました。
本気で認定資格の勉強をしたことがある人なら、私の顔から余裕の笑みが消えるまでそうかからないことを、容易に想像できるでしょう。まったく準備せずに受けたPlatformアプリケーションビルダーの試験は、見事に不合格。そこで目が覚めました。次の試験を受ける前に、しっかり知識を深めようと決意したのです。
“何でも知っている”から“何でも学ぶ”へ
再挑戦する前に、なぜ落ちたのかを理解する必要がありました。これには、Salesforce認定資格の受験ガイドが役立ちました。それぞれの認定資格の出題範囲や点数配分などが公開されていて、これを見れば必要なことを確実に学習できます。
Salesforceの無料オンライン学習プラットフォームであるTrailheadには、試験準備用のTrailmixもあります。試験に特化した学習課程が組まれており、実際の業務に即した実践的な演習を通じて、効率よく試験対策ができます。私はまず、Salesforce Platformアプリケーションビルダー認定試験向けのTrailmixに取り組みました。
Salesforceを集中的に学ぶことは、目からウロコが落ちる経験でした。さまざまなモジュールを見ていくうちに、以前は理解できていなかったプラットフォームの仕組みがわかってきました。そして、さまざまな機能がなぜそう動作するのか見えるようになりました。
このズレこそが、最初の試験に落ちた理由でした。そこで入念な準備をして再受験したところ、無事に合格しました!
理論と実践を結び付けること
もし、実務経験だけに頼って認定資格を取ろうとしているのであれば、自分に問いかけてみてください。機能がそのように動作する理由がわかるか?なぜそうなるのか説明できるか?答えに詰まるなら、Salesforceの仕組みを詳しく学び直すことをおすすめします。
認定資格は、理論と実践の両方を押さえてこそ取得できるものです。
試験に1つ合格しても、まだ最初の関門を越えただけです。私は残り2つの認定資格を取るために勉強を続け、Salesforce Platformの背後にある理論を学びました。さらに、システム管理、コーディング、ソリューション設計など、あらゆる業務を通じてスキルを伸ばしました。この知識を活かして新しいAppExchangeアプリも開発しましたが、以前とはまったく違う経験になりました。
学習の機会は誰にでも
資格取得の道のりを支えてくれたのは、Trailheadです。ここで学んだ考えや知識は、企業向けアプリを構築する現在の業務の礎になっています。また、Trailheadでは、なかなか触れる機会のない、他の分野や役割についても知ることができます。コミュニティのメンバーとつながるだけでなく、お客様や同僚への理解を深めるのにも役立っていると感じます。
優秀なSalesforce開発者になりたいならば、「Architect Journey: Programmatic Architecture(英語)」のTrailmixをおすすめします。このTrailmixでは、Salesforce Platform向けのコードの書き方と、それをSalesforceの機能を最大限に活用する拡張可能なソリューションに活かす方法を学べます。
認定資格の効果は、周りにも波及
Salesforceについて学ぶのにお金はかかりませんが、認定資格の受験は有料です。学ぶだけでも意味がありますが、認定資格を取れば、キャリアアップの可能性が大いに高まります。高待遇の職種には、ある程度高いレベルのSalesforce認定資格が求められるので、目指すキャリアにふさわしい資格を選んで取得することが重要です。
企業は明らかに、認定資格を持つ従業員の重要性を認識しています。ミスなくスピーディに仕事を完遂することで、企業に大きな価値をもたらすからです。
Salesforceについて学ぶ方法は、Trailheadだけではありません。定期的に開催されるDreamforceなどのイベントも、すばらしい学びの機会です。世界中から集まった参加者が、これまでに解決した課題や、Salesforceの新しい機能、効果的なチーム作業の進め方などを話し合うイベントは、学びの意欲を高めてくれるでしょう。また、Trailblazer Community グループでは、同業者から学ぶだけでなく、キャリアアップにつながる人脈を構築できます。
Salesforce認定資格者への道
ここからどこへ向かうのかを決めるのは、自分自身です。資格取得を目指すなら、まずはSalesforce認定資格の概要をまとめた一覧ページを見て、自分に合ったトピックを探します。そのうえで、上司に協力を求めましょう。うまくすれば、業務中に試験勉強をする許可を得たり、受験費用を負担してもらえたりする可能性があります。
従業員への投資は、その従業員が生み出す成果として、会社に返ってきます。つまり、会社への投資と同じことです。
私がおすすめする6つの勉強法を挙げておきます。
- バッジを集める
新しいトピックに手をつけたら、学習可能なTrailheadモジュールをすべて完了します。特に、実践経験を積めるプロジェクトは必ずこなしましょう。 - 仲間とつながる
Trailblazer Communityでは、豊富な情報やガイダンスを入手できるだけでなく、同じように資格取得を目指す仲間とつながることができます。 - 記事を読む
どの分野の認定試験に取り組むかを決めたら、さらなる理解に役立つ投稿や記事を探します。Trailblazerについてのブログ記事もチェックしてみてください。 - 経験を活かす
出題領域に関連する過去の経験を振り返り、今なら違うやり方ができるだろうかと考えてみるのも有効です。 - エキスパートから学ぶ
Trailhead Academyのトレーニングがおすすめです。仲間と席を並べて、エキスパートの対面指導を受ける経験は、知識の定着に大いに役立ちます。 - 学習時間を確保する
学習に専念する時間を、少なくとも毎日1時間は確保します。邪魔が入らない環境を整えるのも大切です。試験前には、この時間をもっと長く取る必要があるでしょう。
今日から始めよう
これらのアドバイスを参考に、Salesforce認定資格の受験に備えてください。きっと合格して、認定資格のメリットを実感できることでしょう。初回で合格できなくても、落ち込む必要はありません。それも経験のうちです。
今では保有する認定資格は14に上り、学習と受験を通じて、全方位に強いSalesforceのプロになれたと自負しています。認定資格が増えるごとに、採用担当者や雇用主からの注目度は確実に上がるでしょう。実際に私も、以前は求人応募の返事すら来なかった企業からスカウトされるようになりました。仕事関係の人脈も、去年と比べて倍に広がっています。
Salesforce認定資格の価値は絶大です。あなたも今日から一歩を踏み出しましょう!合格したあかつきには、ぜひハッシュタグ「#Salesforce資格合格」を付けて投稿してください。
資格取得でキャリアアップ
認定資格合格体験記
Salesforce認定資格を取得することでどんなメリットがあったか、また資格を取得するためにどのように勉強したのかをまとめた合格体験記をご紹介します。
Amnon Kruvi
Kruvi Solution社
ディレクター
開発者、アーキテクト、時々シンガー。時間のあるときは個人でのソフトウェア開発事業を展開