株式会社ビームス

お客様にハッピーをお届けするため 単純なポイント付与にとどまらない 新しい形へと変革したい。

メール配信の自動化だけでなく、
店舗スタッフとの交流を促進し、コールセンターの対応力も強化。
Salesforceをフル活用して「気になる存在」であり続ける。

株式会社ビームス(以下、BEAMS)は、2017年にSalesforce Marketing Cloud Engagement を導入。当初は電子メールの一斉配信ツールとしての利用が主でしたが、ECサイトの自社運用スタートを機にソリューションの適用範囲を拡大しました。Salesforce Service Cloudをコールセンターおよび店舗で稼働させ、Marketing Cloud Personalizationの採用で顧客体験をより高度なものにすることに成功しました。
 
 

1. 顧客と相思相愛になる関係性を確立したい

株式会社ビームスは、国内とアジア地域で約160のセレクトショップを展開し、欧米で卸事業も手掛ける日本有数のファッション企業です。モノを媒介に高揚感や幸せを伝えたいという同社の思いは広く消費者に支持され、日本の良さや面白さを世界へ発信する「BEAMS JAPAN」といった、30を超える多彩なレーベルを有するほか、企業や自治体の依頼を受け、商品開発やイベント企画などを行う法人向けビジネスでも近年注目を集めています。

同社がマーケティングオートメーションに取り組み始めたのは2017年のことです。顧客向けに電子メールの一斉配信を自社で展開することを主目的に、5つのツールを比較検討。Marketing Cloud Engagement が当社と最も相性が良さそうだと評価し、採用を決めました。

マーケティング本部 本部長 山崎 勇一氏は、「データの扱いやセグメント設定、コンテンツの作り方、さらにシナリオの考え方など、すべてにおいて初めてでした。Salesforceには、専任のコンサルタントの方が伴走してくれるサービスがあることも魅力でした」と当時を振り返ります。

システムを実装する作業はインテグレーターにお任せし、BEAMSのスタッフとコンサルタントが毎日のように膝を突き合わせて議論しながら理想の運用へとブラッシュアップしていきました。

マーケティング本部ブランドエンゲージメント部デジタルコミュニケーション課 郡山 祐亮氏は、「うまく活用するためにはある程度のスキルが必要になります。そうした部分についても教えてもらいながら、実際に使いながらやれることがわかってきました。その中で、私たちがやりたいことが明確になってきました」と話します。

当初、このシステムで重視していたのは、カート放棄対策やセールの告知などで、収益を高めるていくことでした。運用を続ける中で、「このセグメントに、この内容の情報を送れば、これくらいの売上になりそうだ」と予測できるようになってきました。実績を重ねながらやりたくなったこと、それは、「顧客の気になる存在であり続け、最終的には相思相愛になる」マーケティングを実現することです。

 
 

2. 購入がゴールではない

ビームスでは、店舗スタッフらが直接顧客に対応することの大切さを経営層が深く理解しています。同社は顧客に直接対応するチャネルの改革として、2020年、コールセンター向けにService Cloudを導入しました。

山崎氏は、「顧客対応の重要性を企業として認識した結果、お客様対応をより良くしようという方向性が決まりました。購入がゴールではなくスタートだと理解し、顧客体験を高度化する施策の一環です。Marketing Cloudとの連携も容易なため、導入を決定しました」と話します。

結果、以前は3つのシステムを見ながらお客様応対に当たっていたスタッフはデータが一元化されたことにより以前に比べてスムーズに応対できるようになり、応対のスピードも速くなりました。ただし、コールセンターでは回答速度ではなく一次回答をより速くすることを重視しています。顧客としっかりと話をすることで、ずっとロイヤルティの高い顧客であってもらいたいと願っているためです。

Service Cloud は店舗にも展開しており、全社で一貫した顧客対応が可能になりました。さらに、店舗では「顧客カルテ」を使い実際に接客した顧客に対して、担当スタッフがメッセージを送れるようにしたのです。スタッフの負担軽減のためにテンプレートは用意していますが、スタッフが書く内容は自由です。

「きっと接客時の話題に出たのでしょうね。お手入れなどのURLを貼り付けている人も居ます。それらを含めて、自由裁量です。そして、このメールの反応が良いのですよ。お客様のことを最もよくわかっているのは現場ですから、スタッフを巻き込んで一緒に顧客体験を作り上げているイメージが出てきました」(山崎氏)

実際に、データを見てみると、店舗購入の顧客はロイヤルティが高いようです。スタッフとの会話がロイヤルティを高めるきっかけを生んでおり、さらに来店後のフォローもできるようにしました。

 
 

3. ポイント依存を脱却し、コミュニケーションを根幹から変えたい

コロナ禍でデジタルマーケティングがビジネスを支えた期間を経て、2022年末ごろからいわゆる「リアルへの回帰」と呼ばれる状況になりました。店舗での販売が順調に推移し、コミュニケーションのチャンスも増えてきました。

このタイミングで、Marketing Cloud Engagement の活用をさらに深化させるために、Marketing Cloud Parsonalization を導入。まずはスマートフォンアプリに適用し、続いて電子メール送信のパーソナライズにも取り組み始めています。この取り組みで、個々の顧客とどのように接し、どのような関係を築けているのかを分析できる土台が整いました。デジタルとリアルの垣根を超えてあらゆるデータがSalesforceに集まるようになったことも大きな飛躍を期待させます。

その成果は、新たなロジックのレコメンデーションを追加したことにより見えてきました。以前はWebサイトだけで顧客がどう動いてくれているのかを分析していたため、顧客がかつてアクセスしたWebページをベースに推奨したい商品が表示されていました。現在は、リアルな店舗での購入実績とWeb行動履歴を掛け合わせたレコメンドになったため、より顧客が欲しいと考えていそうな商品をおすすめできるようになっています。

山崎氏と郡山氏は今後、少子高齢化を迎える日本市場において、ライフタイムバリュー(LTV)を高めることがより重視されるようになると見ています。そして、LTVはポイントによる顧客還元や、セールによる値引きではなく、顧客の体験価値そのものによって左右されると考えています。顧客との接点をSalesforceでシステム化し、データが貯まってきたことで、より多くの統合された顧客行動データが手に入りました。このデータを使うことで、顧客プログラムを根本から作り直していくことが次なるテーマです。

すでにセールの回数は減らしており、単にポイントを付与して顧客に行動を起こさせるという“企業目線”のマーケティングはやめる方向です。RFM(R=最終購入日、F=購入頻度、M=購入金額)のうち、プロジェクト開始当初はMに注目していましたが、現在はFを最も重要だと考えるようになりました。「買ってもらう以上に、触れてもらうこと」を優先し、顧客体験価値を高めるプログラムを構想しています。

山崎氏は、「たとえばNFT Cloudのような仕組みを新しい顧客体験提供の場としてどう活用するか、ということも検討しているのですが、すでにSalesforceはソリューションを持っていますよね。なにかやりたいことがあれば、Salesforceという格好の相談相手が居ます。」と話してくれました。

 
 
 
 
※ 本事例は2023年11月時点の情報です
 

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